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第8回「犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討会」
議事録

○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官おそろいですので始めさせていただきたいと思います。
では、先生、お願いいたします。
○ 椎橋座長本日はお忙しいところ、また大変暑いところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。ただいまから第8回の「犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討会」を開催いたします。
なお、御案内させていただいたとおり、場合によっては30分程度の延長を見込んでおりますので、その旨、どうぞ御承知おきいただきますようにお願いいたします。
それでは、本日の議事について、事務局から説明をお願いいたします。
○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官それでは、お手元の配付資料をご覧ください。まず、本日の議事といたしましては、厚生労働省の方から各種社会福祉、社会保障制度につきまして、いろいろ御説明いただこうと思っております。
厚生労働省さんから御準備いただきました資料が資料1としてまとまっておりますが、これは追って御発表時に個別に御説明いただきます。
資料2は、前回の警察庁からのヒアリングに際し、補充で御説明いただく点が何点かございまして、その一部の資料です。ただし、本日は厚生労働省からの御説明で時間に余裕がないかと思われますので、その場合は次々回に持ち越しとなります。警察庁にはペンディングで申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いします。
資料3は、今回のヒアリングに関して頂戴いたしました事前意見でございます。子どもに関する手当もヒアリング対象とすべきではないかとの御意見がございましたので、本日それもつけ加えまして、以前御提示させていただいたのとは順不同でございますが、母子家庭というよりは、ひとり親家庭への支援制度、医療保険制度、障害者自立支援法に基づく制度、介護保険制度、公的年金制度、そして生活保護制度、労災補償という制度について御説明をいただくようお願いしております。
なお、ヒアリングとしては以上で御意見はないとのことだったのですが、松村構成員からも別途、原爆被害者援護法、水俣病被害者救済制度、オウム被害者救済法、それから振り込め詐欺の現在残高ということについて、参考としての情報提供依頼がございました。
まず、振り込め詐欺についてでございますけれども、預金保険機構からは現在公表できる数値としては、平成24年3月31日時点での数値といたしまして約48億円という御回答をいただいております。これは預金保険機構のホームページ上の公表数値でございます。
また、ヒアリングにかける時間の問題もございますので、原爆、水俣、オウムといった制度につきましては、もし先生方が差し支えなければ、それぞれの制度の所管庁に資料をつくっていただきまして、それを次々回までに参考資料として配付いたしまして、ご覧いただいた上で、さらに必要があれば、その制度について検討会としてどうフォローしていくかというような方向でよろしいでしょうか。
もし、それで差し支えなければ、私の方からは以上でございます。
○ 椎橋座長ありがとうございました。松村構成員、いかがでしょうか。後からまたさらに必要があればということで、今の御説明でよろしいでしょうか。構成員の方々もよろしいでしょうか。
(構成員賛同)
それでは、議題の2にありますように、犯罪被害者等の経済的支援となり得る制度に関するヒアリングから始めたいと思います。これまでの検討会におきまして、今後の検討に当たっては既存の各種社会保障制度との整合性を図っていく必要があるのではないかといった御指摘を踏まえまして、犯罪被害者等の経済的支援となり得る制度についてヒアリングを行うこととしております。今御紹介がありましたように、黒澤構成員、番構成員からもヒアリングの対象、あるいはそのやり方について御意見をいただきましたけれども、本日予定しております厚生労働省からのヒアリングというのは、そのためにもやはり必要なものだというふうに考えておりますので、本日それを行いたいと考えた次第でございます。
このやり方ですけれども、できる限り関連する多くの制度についてヒアリングを行いたいということで、最初に各制度の御説明をいただいた後、残りの時間で一括して質疑を受けるという形にしたいと思います。また、時間の関係上、回答部分につきましては次回まで持ち越しの余地もあるということもあらかじめ御了承いただければありがたいと思います。
それでは、ヒアリングを行いますが、厚生労働省から御説明をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○ 厚生労働省社会保障担当参事官室企画官厚生労働省です。よろしくお願いいたします。
右肩に資料ナンバーを付しておりますので、順に御説明いたします。まず、資料1-1でございますが、児童扶養手当制度でございます。まず、1番上に目的が書いてございますが、離婚によるひとり親家庭等に対して手当を支給するというものでございます。支給対象者はお子さんが18歳に達するまでというのが基本です。
3番のところですが、支給要件として、(1)積極的支給要件と書いてありますが、基本的に主な対象者は、?の父母が婚姻を解消した児童でございます。その他の類型でも<9>まで書いてございますが、対象になり得る。(2)で消極的支給要件ということで、次に該当するときは支給されないということですが、特に<2>を見ていただきますと、児童が父(又は母)の死亡について支給される公的年金の給付を受けることができるとき。要するに、後で御説明いたしますが、年金制度から遺族年金が一般的には死亡の場合は出るケースが多うございますので、その場合には児童扶養手当ではなくて遺族年金のほうになるということでございます。
資料をおめくりいただいて、手当額ですが、今年4月現在の金額で、お子さんが1人の場合、所得制限がありますが、全額の支給要件に該当すれば月4万1,430円で、所得に応じてそこが一部支給になりまして、4万1,420円から9,780円の範囲で出る。お子さんが2人以上になりますと、2人目のお子さんについては5,000円加算されて、3人目以降については1人につき3,000円加算されるという額になっております。5番にありますような形で所得制限が設けられているということ。支給手続につきましては6番で、市区町村の窓口に申請をいただき、認定をするのは市か、町村部については都道府県知事という形になります。
それで、受給状況ですけれども、8番ですが、現在ちょうど100万人をちょっと超えたぐらいの人数の方が受給されております。一番最後の10番、予算額、国庫負担分ですけれども、1,769億円程度の予算になっているという状況でございます。
次に、関連しましてひとり親家庭の施策としましては、今申し上げましたのは手当ですが、次に貸付金という制度もございますので、関連する制度として御紹介申し上げます。こちらは母子家庭ということでございますが、母子あるいは寡婦の福祉資金ということでございます。
母子福祉資金と寡婦福祉資金の2つありますが、3つ目の欄にありますが、貸付資金に幾つか種類がありまして、事業を開始するための資金であるとか、お子さんの修学の資金であるとか、幾つかここに書いてありますような貸付資金がございます。貸付条件が真ん中辺にありますが、貸付金の種類により異なりますけれども、無利子または年利1.5%、償還方法は一定の据置き期間の後、3~20年ということです。貸付実績としましては、下から2つ目の欄ですが、母子福祉貸付金については240億円程度でございます。※印にありますとおり、貸付金の件数・金額とも9割は児童の修学資金関係ということになっております。
裏のページを見ていただきますと、貸付金の例ということで、9割が該当している修学資金、一番上の欄でございますが、対象を見ていただきますと、高校、大学などの授業料とか、書籍代とか、交通費というものが対象になっています。
以上が、ひとり親家庭に関する制度の概要です。
続きまして、資料1-2をご覧いただきまして、医療保険制度について御説明申し上げます。まず2枚おめくりいただいて、頭から数えて4ページ目をご覧いただければと思います。「医療保険制度の体系」と左上に書いてあるページです。日本の医療保険制度を大きく分けますと、一番左側にあります国民健康保険制度と、サラリーマンが加入します被用者の健康保険制度という形に分かれます。
まず、サラリーマンの方を見ていただきますと、真ん中に協会健保と書いてありますが、こちらは主に中小企業のサラリーマンが御加入される健康保険で、現在3,500万人ぐらいの方が加入していらっしゃる。こちらは保険者は全国1つです。
その1個右、健康保険組合ということで、大企業のサラリーマンの方が多く加入されている、約3,000万人ということですが、こちらは保険者としては1,500あるという状況です。公務員は一番右側の共済組合がまた別にあるということで、この3つがサラリーマンの健康保険制度です。
一番左側、国民健康保険制度はそれ以外の方を基本的に全て対象にするということで、国民皆保険体制を日本は敷いていますけれども、サラリーマンの被用者保険に加入される方以外は全て国民健康保険で受け取るということで、加入されている方は現在3,900万人ぐらい、保険者数は基本的には市区町村の数プラス国保組合ですが、1,900あるということでございます。
保険者としては、まず現役世代を中心に申し上げますとそういうことですが、上の方に目を移していただきますと、加入関係は75歳までは今申し上げたとおりですが、実はサラリーマンは年齢を経るに従ってだんだん退職していきますので、年が上がってくるにつれてサラリーマンの健康保険から国民健康保険の方に移っていきます。その結果、国民健康保険の財政が大変だということで、65歳から75歳のところは、書いてございますように、前期高齢者財政調整制度ということで財政支援の仕組みがございます。
さらにその上ですけれども、75歳以上になりますと、それぞれ現役世代に加入していた健康保険制度から抜けて、横割りの後期高齢者医療制度というものに加入していただくという形になります。現在、対象者は1,400万人程度です。1年間に出ております給付額は、それぞれ数字を書いております、後期高齢者医療制度であれば約13兆円、国民健康保険であれば10兆円等々という状況になってございます。
1枚戻って、頭から数えて2ページ目でございます。どういう給付があるかについて整理したものがこの2ページ目でございます。頭に「国保と健保の給付内容」と書いてあるページです。国民健康保険であろうと、健康保険であろうと、基本的には給付は変わらないというのがまず原則です。一番上の欄、医療給付の中の「療養の給付」と書いてところがこの中核部分でございまして、基本的には現役の方であれば7割の給付を出す。逆側から言えば、自己負担が3割あるということで、7割の療養の給付をするというのが基本の給付です。その1個下の欄は、入院しますと食事を病院ですることになりますが、その食事代として1食につき、普通の所得の方であれば260円、低所得の方であれば、ここに書いてありますとおり210円とか160円という形になります。
4つ目の欄ですが、高額療養費制度というのがございます。この検討会でも少し話題になったことがあろうかと思いますが、次の「医療費の患者負担について」というページの右下の絵を見ていただきますと、原則形でいきますと、ここにありますように、ひと月に100万円かかるような医療を受けた場合、3割の負担ですので窓口負担30万円が発生するということになります。30万円は非常に高額な負担になりますので、高額療養費制度という負担の上限を打つという仕組みがございます。ここにありますとおり、30万円のうち8万7,430円を除いた21万2,570円が別途高額療養費という形で保険給付がされるという仕組みがございます。したがって、ひと月当たりの医療費が高い場合も自己負担額には月当たりの上限が付されていて、ここに書いてあるケースでいくと、8万7,430円という上限が付される。
給付の仕方は原則として償還払いということで、1回窓口で30万円御負担いただいて、後から保険者に請求すると21万2,570円が戻ってくる。そういう仕組みが高額療養費制度というものでございます。
ページを戻っていただいて、表の方の高額療養費の欄を見ていただきますと、70歳未満の者と70歳以上の方で左右書き分けてありますが、70歳未満の者で見ていただきますと、一般の所得層の方は、ここに式が書いてありますとおり、8万1,00円+αという形になります。低所得者の方は、負担の上限額がさらに抑えられて3万5,400円ということになります。この中で、一般の方であれば4万4,400円、低所得の方であれば2万4,600円という括弧書きがございますが、こちらは1年のうちに高額療養費の支給を受けるような月が4回発生しますと、その4月目以降は限度額が下がる、要するに配慮されるということですが、一般の方であれば4万4,400円が月額の上限になり、低所得の方であれば2万4,600円になるという仕組みでございます。こちらが高額療養費制度です。
上の4つが医療給付でございますが、それ以外の現金給付というのが医療保険制度にはございます。上から数えて5つ目、出産育児一時金といいますのは、出産については原則医療保険では一番上の療養の給付というのがされないということになっておりまして、その代わりに現金給付が設けられています。出産をいたしますと、原則42万円の給付が行われます。一般的な分娩費を参考に決められているわけですので、こちらで分娩の費用を賄っていただくという形になります。
それ以外にも、例えば亡くなった場合については、右側の健康保険であれば、埋葬料が5万円が出たり、あるいは、これも国保にはないんですが、下の2つの手当金、傷病手当金と出産手当金というのがございます。傷病手当金と申しますのは、業務外でけがをした場合、労務不能で出勤できなくなって、賃金がその間入ってこなくなるような場合に対応した給付ですが、最長で1年6か月、1日につき標準報酬日額、これは賃金ですけれども、賃金の3分の2相当を支給するという手当金がございます。一番下の出産手当金は、産前産後は強制的に休業になりますけれども、その間賃金が出ないので、その代替として賃金の約3分の2相当額を支給するという手当金がございます。
次に、最後の紙、後ろから2ページ目、頭に「入院される方は用意する費用が少なく済みます」というページをご覧いただきますと、先ほど高額療養費制度ということを少し御紹介申し上げましたが、その御紹介申し上げたときに、30万円かかったときに1回窓口で30万円をお払いいただいて、後から20万円ぐらいが還付されるということを申し上げましたが、そうは言っても1回30万円払わなければいけないので、そこが大変だということで、現物給付化を図る制度の運用の改善が最近行われております。下の図を見ていただきますと、通常の場合は左下のとおり、1回病院の窓口で30万円お支払いいただいた後、医療保険者から21万円の還付を受けるということですが、右下のように、保険者の方にあらかじめ手続を踏んで認定証というものを受けていただければ、窓口でお払いいただく金額が当初から高額療養費の上限である9万円になる、そんな取り扱いが開始されているということでございます。
以上が医療保険制度でございます。
次に、資料1-3、障害者の関係の制度でございます。まず、いろいろな福祉サービスを中心とした障害者自立支援法という制度の枠組みがございます。そちらの御説明をいたしますと、1枚おめくりいただいて、4ページ、5ページと書いてあるページをご覧いただければと思います。障害者に対してどんなサービスが保障されているか、その給付のメニューを書いたのがこのページでございます。真ん中から右の方に縦書きで、「介護給付」、「訓練等給付」、「地域生活支援事業」と書いてあるかと思いますが、主に3つの類型に大きく分かれて、介護給付の中に幾つか種類がございます。例えば在宅で暮らされている障害者について、ホームヘルプサービスであるとか、重度の方の訪問介護サービスであるというのから始まりまして、真ん中辺に児童デイサービス、こちらは日中いろいろな訓練を受けていただくようなサービス、さらに下の方に生活介護とか、そういう介護給付のメニューがございます。
白抜きになっております2つ目の大きい類型で、訓練等給付の中にはいろいろな機能訓練や生活訓練をしたりするサービスメニューでありますとか、就労支援を行うサービスメニューなどがあります。
今御紹介申し上げたのは主に個人に対して給付をするという形で行われるものですが、それ以外に、1ページおめくりいただいて6ページ、7ページ目は地域生活支援事業ということで、市町村がこういう相談支援とか、そういう事業をやるということになっておりますので、そういう事業を利用することができるメニューとして、このページにあるようなサービスがあるということです。相談支援事業でありますとか、あるいは手話通訳なんかのコミュニケーション支援事業であるとか、日常生活用具を給付する事業であるとか、移動支援の事業とか、そういう事業がございます。
次の8ページ、9ページ目のところですが、利用の手続を流れで示しているところです。まず、一番左側の方に、市町村にまず相談、あるいは申込みをしていただくというところがサービス利用のスタートでございます。申し込みいただきますと、市町村の方で心身の状況に関するアセスメントということで、106項目について調査を行うということになっております。その調査に基づいて判定をする。真ん中辺に丸がありますけれども、障害程度の区分の認定というのを市町村が行います。この認定を受けられた方についてサービスが提供されていくという流れになりまして、その後、サービス利用の意向の聴取を行いながら、最終的に一番右のようにサービスの決定が市町村によって行われる。そのような流れでサービスの利用が行われるという形になります。
1枚おめくりいただいて、そういういろいろなサービスを受けるときに、医療保険で自己負担があるように、障害者のサービスでも利用者負担という仕組みがございます。障害者の自立支援制度のこの利用者負担の仕組みは、ご覧いただくと分かるんですけれども、非常に複雑になっています。ただし、複雑なんですけれども、基本的には応能の仕組みで、所得に応じて負担が決まる仕組みになっていて、市町村民税非課税の方を中心に負担はゼロに設定されているケースが多うございますので、それ以外の低所得者の方でもかなり負担額は低く抑えた利用者負担の設定になっております。具体的にはということで数字がいろいろ出てまいりますが、これを一つひとつ御説明してもよく分からないということだと思いますので、基本的には応能負担になっていて、多くの方は負担はかなり低く抑えられているということでございます。
次に、16ページ、17ページ目をご覧いただきますと、今御紹介申し上げましたようないろいろな福祉サービス以外に、この自立支援制度からは医療に関する給付もございます。基本的にはまず医療保険が先に適用されますので、現役の方であれば、7割は医療保険から給付が行われる。残った3割の自己負担のところについて、公費でさらにもう少し埋める、給付を行うという仕組みがここのページの自立支援医療という仕組みでございます。
右側のページを見ていただきますと、対象者、自己負担の概要ということで、対象者といいますか、どんな給付メニューがあるかといいますと、精神障害者が通院する場合の自己負担を少し補てんするような医療であるとか、あるいはお子さん、障害児の方に対する育成医療、あるいは成人された方以降の更生医療というような種類がございます。
給付水準については、1行目に書いてありますとおり、自己負担は原則として全体にかかった医療費の1割を負担いただく、要するに3割との差額分はこちらの自立支援医療の方で給付するということです。ただし、所得に応じてそれがさらに減じられて、下にありますとおり、一定の所得以下の方は、生活保護の方であれば負担はゼロですし、市町村民税非課税で本人の収入が80万円以下の方であれば、月額2,500円というような上限が付されているということでございます。
1枚おめくりいただいて、それ以外に補装具費の支給制度というのがございまして、例えば義肢とか、車いす、そういったものの費用の給付の仕組みも同じ自立支援制度の中で行われているということでございます。
さらに最後のページをご覧いただきますと、今御説明申し上げました自立支援制度とはまた別に現金給付、手当の制度が障害者に関して3つございます。まず、一番左側の特別児童扶養手当という制度ですけれども、これは後から年金制度のところで障害基礎年金というものの御説明を申し上げますが、障害基礎年金というのは20歳以後の障害者について年金を支給するという制度ですが、20歳未満の方に対しては年金制度から給付がありませんので、その代替的な給付として特別児童扶養手当というものがございます。
支給要件のところ、上から2つ目の欄を見ていただきますと、20歳未満と書いてあるのはそういうことでございます。等級に応じて金額は違いますが、ちょうど真ん中辺でございますが、1級の方、重度の方であれば5万400円、2級の方で3万3,570円。一定の所得制限がありまして、現在給付人員は23年度末で1級の方が10万人、2級の方も約10万人。予算額としては1,120億円という予算額でございます。
次に真ん中の欄でございますが、一番左は年金のような仕組みですが、真ん中はそういう趣旨ではございませんで、重度の障害者に対していろいろな掛かり増し経費があるだろうということで、現金給付が行われているものです。特別障害者手当という制度です。対象者としては20歳以上で在宅の方で、給付月額は2万6,260円、給付人員11万5,000人、予算額としては290億円という形でございます。
一番右の方は20歳未満の重度の障害児に対しての福祉手当でございまして、対象者は20歳未満で在宅の方、給付月額は1万4,280円、対象人数は6万4,000人で、予算額は88億円ということでございます。
以上が、障害者についての御説明です。
続きまして、資料1-4、介護保険制度でございます。1ページ目のちょうど真ん中に箱囲みしておりますが、高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みとして、2000年に創設された制度でございます。
2ページ目をご覧いただきますと、図なので少し見にくいかもしれませんが、右側の辺りに「1割負担」と書いてあるところがあります。あるいは、一番上の方に「費用の9割分の支払い」というのが書いてあります。医療保険制度では、現役の人は7割給付で、3割が自己負担ですが、介護保険制度ではここが9割の給付で、1割が自己負担という仕組みになっています。
1枚おめくりいただいて3ページ目でございます。介護保険制度では40歳以上の方が被保険者になるということになっておりますが、その中で65歳を切れ目として、65歳以上の方を第1号被保険者、40歳から64歳までの方を第2号被保険者として区分がされています。この表を見ていただきますと、第1号被保険者は約3,000万人いらっしゃいまして、受給要件としては要介護状態、あるいは要支援の状態ということです。要介護認定を受けた方が被保険者全体に占める割合は、今16.2%程度ということです。
保険料の徴収手続は、1号被保険者については市町村が徴収する。原則は年金から天引きするという形になっています。一方、現役世代に属します第2号被保険者につきましては、被保険者数は4,200万人ぐらいですが、受給要件のところが若干65歳以上と違いまして、単に要介護状態になれば給付が出るということではなくて、末期がんでありますとか、ここにある関節リウマチであるとか、そういう加齢に起因するような疾病で要介護状態になった場合にこちらの介護保険からの給付が行われます。現在受けていらっしゃる方は15万人ぐらいです。保険料の徴収の仕組みは、こちらは市町村が徴収するというよりも、医療保険者が医療保険の中で一括して徴収するという仕組みになっています。
4ページ目をご覧いただきますと、サービスの利用手続でございます。障害者と似たような感じですが、利用者はまず一番左の方にあります市町村の窓口に行っていただいて申請をする。申請をいたしますと、市町村から認定の調査が行われます。併せてかかりつけ医の意見書をとっていただいて、この2つを基に要介護認定が行われるという仕組みです。要介護認定に該当した場合、真ん中辺にありますとおり、要介護1から5、程度に応じてそういう認定が行われる。あるいは、要介護状態とまでは言えないけれども、何らかの日常生活に支援が必要な方として要支援の認定というのが行われる場合がございます。
まず、要介護認定が受けられた場合は、右側に行きまして、施設サービスを利用するか、あるいは在宅サービスを利用するか、そこでサービスの選択が行われるということになります。在宅サービスを受けるということになりますと、真ん中に縦書きでありますケアプランというのをつくって、どういう組み合わせで訪問介護、サービスを何曜日に受けて、訪問看護を何曜日の何時に受けてというサービス利用の計画書をつくった上で、その計画に則ってサービスを受けていっていただくという形になります。
要支援の方は、施設サービスがないという違いがございますが、名前は違うんですけれども、要介護者と同じような在宅サービスが基本的には受けられるということになります。
一番下の要介護認定で非該当ということになった場合も、市町村が地域支援事業ということで、介護の予防事業でありますとか、いろいろな事業をしてございますので、そういったものを受けていただくことができるということになってございます。
1枚おめくりいただいて6ページ目でございますが、費用の負担関係について整理した図でございます。冒頭御説明しましたとおり、中核的なところは白抜きになっているところ、「予防給付・介護給付」と書いてありますが、かかった費用の9割が保険から給付されるというのが原則です。裏返して言いますと、下の方にあります1割負担ということになるということです。これに加えて、特別養護老人ホームとかの施設に入所された場合は、右側の方に薄いグレーで網かけになっておりますが、この1割の自己負担以外に居住費、あるいは食費について御負担いただくということになっております。それ以外に、施設の方であれば、日常生活費が別途かかるということになります。
その上で、低所得者について負担に配慮がされているというのが7ページ目の説明です。まず、上半分に「高額介護サービス費」と書いてある表がございますが、こちらは医療保険制度で高額療養費制度の御説明を申し上げましたが、類似の制度でございまして、1割の自己負担が高くなる場合、介護保険の場合は余りないんですが、例外的にそういうケースがございますので、そういった場合、月当たりの負担上限を打つという仕組みです。一般の所得層の方であれば、一番右にあります3万7,200円というのが月額の上限で、低所得の方、市町村民税非課税の方であれば2万4,600円という上限になります。
下の方に図がございますが、こちらは先ほど施設に入所した場合は食費と居住費が自己負担になりますということを申し上げましたが、これも満額御負担いただくということになると、低所得者の方が施設に入所できないということがありますので、そこに配慮がされておりまして、補足給付という形で、例えば生活保護受給者であれば、網かけのライン、合計1万円に負担を抑える。逆側からすると、4万2,000円の給付が行われる。そういうような仕組みが組み合わされてございます。
10ページ目をご覧いただきますと、介護保険制度で受けられるサービスのメニューが整理して書いてございます。上半分が要介護認定を受けられた方に対するサービスメニューでございまして、真ん中の右側の方に濃い網かけで「施設サービス」というのが書いてあります。施設サービスの中で3つの類型がありますが、施設に入所することを選ぶか、あるいはそれ以外の在宅のサービスを選ぶかという形になります。在宅のサービスの中では、真ん中の一番上に「居宅サービス」と書いてあります、訪問系のサービス、あるいは通所してデイサービスを受けたり、あるいは短期で入所したりというサービスがあります。
一番最後のページをご覧いただきますと、支給実績を整理してございます。利用者数については、左側の円グラフの一番大きく占めているところが居宅サービスで230万人ぐらいで、施設のサービスを受けていらっしゃる方が85万9,000人という状況です。給付費としては、これは月当たりの額ですので、年に換算するには12倍する必要がありますが、居宅で大体2,700億円ぐらい毎月給付が行われておりまして、施設も同じように2,700億円ぐらいの給付が毎月行われているということでございます。
以上が介護保険制度でございます。
次に、年金制度、資料1-5をご覧いただければと思います。老齢年金を除きまして、障害年金と遺族年金について御説明申し上げます。まず2ページ目をご覧いただければと思います。
年金制度の給付は、まず、構造として、日本の年金制度は2階建てになっていまして、サラリーマン、OBであろうと、そうでない方であろうと、全ての方に基本的に保障されるのが基礎年金という1階部分の年金でして、さらにサラリーマンの方については厚生年金という給付が2階部分の給付として加わる、そんな構成になっております。この2ページ目は、まず障害者の方に対して行われる1階部分の給付、障害基礎年金についてでございます。
まず、日本の制度は20歳になりましたら、全ての方が国民年金制度に御加入いただくという仕組みになっておりますが、2番目の支給要件のところを見ていただきますと、国民年金の被保険者期間中に云々と書いてあって、障害の状態に該当した場合、そういった場合に出るということでございます。
小さい字で注書きがありますが、国民年金は保険の仕組みでございますので、保険料の納付要件というのがあって、未納の方の場合、未納期間中にもし障害者になった場合は給付条件に該当しないということが注書きで書いてあります。国民年金の被保険者期間中と書いてあって、サラリーマンは厚生年金に入っているという認識が一般的に広く認識されていると思いますが、サラリーマンの方も厚生年金に加入しながら国民年金に同時に加入しているという仕組みになっていますので、ここで言う国民年金の被保険者期間中と書いてありますのは、とにかく20歳以上の方で現役の方であれば基本的に保険料を納付していない方を除けば全員の方でございます。国民年金の被保険者期間中というのはそういう意味です。
3番のところですが、20歳以降になって以降の年金制度の仕組みでありますが、20歳の前に障害になった方についてどうするかという話があります。その場合、20歳前に初診日がある場合については、20歳以降障害基礎年金を支給するという仕組みになってございます。先ほど障害者のところで、特別児童扶養手当という給付があると申し上げました。要するに、20歳まではそちらで現金給付を行い、20歳になったらこちらの障害基礎年金を受けていただく、そんな役割分担になっているというものでございます。
1枚おめくりいただいて、3ページ目でございます。給付額、年金額につきましては、まず2級の方は月額6万5,541円ということで、この額は65歳以上の方の年金と同額、老齢基礎年金の満額と同額の給付が行われます。重度の障害の方は1級の年金を受けるということで、1.25倍の額、8万1,925円が支給額になります。これにプラス子の加算額ということで、お子さんがいらっしゃる場合、ここに書いてありますように1万8,858円の加算があるということになります。
5番のところで支給の調整というのが出てまいります。その中の2つ目の○の※印のところでございますが、最後に労災の説明を申し上げますけれども、労災からも障害の年金の給付がありますが、両方条件に該当するといった場合は、労災の方の給付が減額されて、障害基礎年金は満額支給されるという関係になっております。
次に4ページ目をご覧いただきますと、こちらはサラリーマンの方の2階の年金でございます。障害厚生年金です。制度趣旨のところは、「被用者が」ということで、サラリーマンが障害を負って働くことができなくなったり、働くことが制限されたりした場合の現金給付ということでございます。支給要件としましては、障害基礎年金の保険料納付要件、保険料未納でないということですね、そういった方が障害を負った場合、1~3級の給付があるということでございます。括弧書きにありますとおり、1級あるいは2級の障害に該当する場合、先ほど申し上げました障害基礎年金とこの障害厚生年金が併給されるという形になります。1階と2階ということでございます。
支給額は次の5ページ目でございます。まず、1級の障害の方は報酬比例の年金額×1.25ということで、サラリーマンの年金なので、障害になる前に得ていた賃金にある程度遜色ない水準の現金給付を保障するということで、こちらの厚生年金の方は基礎年金と違いまして、報酬比例の年金になっているということでございます。2級の場合はその1.25倍がない年金額でございます。ただし、例えば25歳とか、非常に若いときに障害者になってしまいますと、被保険者期間が非常に短い、保険料の納付済み期間が短いうちに該当するということになると、単純にやりますと年金額が非常に低くなるということになりますので、この※印のただし書きで、被保険者期間が300月未満である場合は300月とみなして計算するということですので、非常に若いときに障害厚生年金の受給要件に該当しても、一定程度の額が保障されるという仕組みになっているということでございます。
2級と3級は何が違うかというのは、この図に書いてありますとおり、2級の場合は1階の障害基礎年金も出ますが、3級の場合は基礎年金は3級というのがないので、2階の部分のみの年金ということになります。
次に、遺族年金の御説明を申し上げます。8ページ目は、遺族年金の中の1階部分の遺族基礎年金の御説明です。制度趣旨は、家計の担い手の死亡に対して、遺族に対して支給される現金給付ということでございます。支給要件としましては、<1>~<4>のいずれかに該当する方が死亡された場合、そういった場合に支給されるということで、代表的には国民年金の被保険者であった期間に亡くなったときに給付をするということでございます。
3番、支給対象者としましては、次の場合ということで、<1>として子のある妻、ここは※印があって右側に箱囲みがありますが、今般、社会保障の一体改革で通った法律で父子家庭にも支給対象を拡大するということが決まっておりますので、平成26年からは子のある夫というか父に対しても出るようになるということでございます。<2>として、妻とかがいない場合、子に対して出るということでございます。注意すべきは、子どもがいない御家庭には1階の基礎年金は出ないというのが注意すべき点かと思います。注2にありますとおり、生計維持要件というのがありまして、<2>のところで、遺族の方が年収850万円以上あると認められますとこの遺族基礎年金は出ない。逆に言いますと、850万円という年収がなければ出るということで、多くの場合は出るということだと思います。
次に4番、年金額でございます。年金額は先ほどの障害基礎年金と同様でございまして、月額6万5,541円、老齢基礎年金の満額の額と同じでございます。この加算額というのが、ここにありますとおり、子がいる場合には加算されるということになります。
次に10ページ目でございますが、今度は2階部分の年金ですが、遺族厚生年金でございます。こちらも制度趣旨は、家計の担い手の死亡に対して、遺族の生活の安定を図るための現金給付ということでございます。支給要件としましては<1>~<4>とありますが、こちらも厚生年金保険に加入中に亡くなった場合、遺族に対して出るというものでございます。3.の支給対象者でございますが、死亡した者に生計を維持されていた次の遺族に支給されるということで、<1>として子のある妻または子、ここまでは遺族基礎年金と一緒ですが、<2>として子のない妻、厚生年金の場合は子がない場合も妻に出るという形になっております。
1枚おめくりいただいて、4番でございますが、遺族の方が若いときに遺族年金を受給するケースであれば今の説明で尽きているわけですが、遺族が高齢の場合、要するに高齢者の夫婦で例えば旦那さんがなくなった場合の妻に対して遺族年金というのが出るわけですけれども、そのときに老齢年金との関係が出てまいりますので、そのことが書いてあります。高齢の遺族配偶者は、まず65歳以上であれば自分の老齢基礎年金というのが1階部分として出てきます。その1階部分の老齢基礎年金を自分のものとして受けていただいて、更に報酬比例の部分については自分が現役時代に働いていれば、自分の老齢厚生年金が出るということになりますので、その老齢厚生年金と夫が亡くなったことに伴って発生する遺族厚生年金、この2つの受給権を併せ持つということになります。
まず、<1>にありますとおり、自分の老齢厚生年金を全額受給していただいて、その上でいずれか高い方の額の遺族厚生年金をプラスして受給いただくということで、基本的には今の高齢者の女性の多くは現役時代に働いていらっしゃらなかった方が多いので、自分の老齢厚生年金は余り高くないという方が多いので、その場合Aという形で、配偶者の老齢厚生年金の4分の3の水準の遺族厚生年金を受給するという形になります。
次に、年金給付の受給手続でございます。13ページ目をお開きいただきますと、まず、1番として年金請求書の提出ということで、障害基礎年金、あるいは遺族基礎年金のみを請求する場合は住所地の市区町村に御請求いただき、2階部分の障害厚生年金、遺族厚生年金も請求する場合は年金事務所に御請求いただくという形になります。
年金の裁定が行われましたら、年金証書が年金機構から出る。3番のところで、年金の支給は証書の送付から1~2か月後からということで、支給月は偶数月、2か月に1回、2か月分の年金が振り込まれるというような形になります。
給付状況でございます。15ページ、最後のページですけれども、表の上が障害年金で、右側の方の受給者を見ていただきますと、まず、件数としましては143万件ということですので、約143万人が1階部分の障害基礎年金を受けていらっしゃるという状況です。支給総額としましては、1階部分の障害基礎年金で1兆2,730億円の支給総額という状況です。遺族年金につきましては、基礎年金というのは先ほど申し上げたとおり、子どもがいる場合に出るという限定された場合に出ますので、支給件数と支給総額もそんなに多くはございませんが、厚生年金の方は非常に多うございまして、件数として480万件で、年金の総額としましては5兆円という状況でございます。
以上が年金制度です。
引き続きまして、資料1-6で生活保護制度について御説明申し上げます。生活保護制度の目的は2つありまして、最低生活を保障するということと自立の助長を行うという2つの目的を持った制度でございます。
まず、<1>でございますが、資産とか能力とか、あらゆるものを活用した上で生活保護の支給を受けていただくということでございますので、左に4つのポツで書いてありますとおり、預貯金とかの資産があれば、それをまず御活用いただいてから生活保護を受けていただく。あるいは、稼働能力があれば、働いて賃金を得た上で生活保護を受けていただく。あるいは、いろいろな社会保障給付がありますが、そちらを優先的に受けていただく。そういうような仕組みでございます。
<2>で、支給される保護費の額の概念図が書いてございますが、最低生活費というのが国の基準で定まっておりまして、それと収入を丈比べをして、収入が基準額に満たない部分、その差額を保護費として支給するという仕組みでございます。
自立の助長として書いてありますのは、ケースワーカーが就労の指導をしたり、あるいは最近であれば、福祉事務所に就労支援員という者が配置されておりまして、特に現役世代の方であればいろいろな就労支援を行うという仕組みがございます。
1枚おめくりいただいて、保護の種類について整理してございます。基本となりますのは一番上にあります生活扶助というものでございまして、こちらで日常生活に必要な費用を賄うということでございます。基準額は国が定めております。これは年齢別にも違いますし、地域ごとによって違う額が定まっております。それ以外に住居の問題がありまして、アパートの家賃に相当するものとして住宅扶助というものがあります。お子さんがいて、教育が必要ですので教育扶助というのもありますし、医療を受ける場合は医療扶助ということで、実際、これは総額にしますと約半分ぐらいは医療扶助が占めております。介護を受けていらっしゃる方は介護扶助というのが、介護保険の一部負担金部分についてですけれども、出る仕組みになっています。括弧書きのところにありますとおり、医療扶助も介護扶助も本人負担はないという仕組みになっています。
3ページ目ですけれども、一番上に生活扶助の基準額が書いてございます。世帯構成、あるいは年齢、あるいは地域によって額が違いますが、代表的な例として標準3人世帯で、東京都区部のところを見ていただくと、17万2,170円というのが月額の基準額になります。母子世帯であれば、4つ目の欄にあります母子加算がありますので、若干高い額になります。19万2,90円という形になります。
受給の手続ですが、市または町村部であれば県の福祉事務所に事前の相談に行っていただいて、その上で保護の申請という形になります。この申請の段階で預貯金があれば、その活用を促されます。条件に該当しましたら、一番右側のように、保護費の支給決定がされて、保護が行われるということになります。
最後のページは御参考までに、経年で保護率がどういうふうに変化してきているかということをつけておりますが、直近で今年の3月の数字が上の方に書いてありますが、保護を受けていらっしゃる方は211万人ぐらいいらっしゃる。割合にして1.65%ということでございます。
以上が生活保護制度でございます。
最後に、労働者災害補償保険制度について御説明申し上げます。資料1-7、縦紙のペーパーでございます。1番として、理念・目的のところでございますが、3行目のところにありますが、こちらは使用者の災害補償責任を保険によって担保するという仕組みでございまして、その目的は労働者の業務災害と通勤災害に対して保険給付を行うというのが中核部分でございます。
2番、適用のところは、原則として労働者を使用する全ての事業所に強制的に適用されるという仕組みでございます。
3番、保険給付でございますが、まず、別紙のとおりとありますので、2枚おめくりいただくと縦の表のページが出てまいります。表題「労災保険給付一覧」というのがございます。こちらは給付でございますが、順に見ていただきますと、ます一番上が療養の給付ということで、医療給付でございます。健康保険との関係でいうと、労災が優先されるということですが、同様の医療の給付が現物給付で行われるというのが基本形でございます。
2つ目が休業給付ということで、業務災害、あるいは通勤災害で労働することができず、賃金が受けられない場合に、休業4日目から休業1日につき給付基礎日額の60%相当の額が給付されるということです。この給付基礎日額というのは、次のページの一番下に注3という形で注書きがございますが、原則として被災前直前3か月の賃金総額をその期間の暦の日数で除した額ということでございますので、賃金の額だということですね。その6割相当が休業給付として出るというのが2つ目でございます。
3つ目は障害年金でございまして、重い方、1級から7級に該当される方は年金で、8級以下の方については一時金という切り分けがございます。年金につきましては、真ん中の方にありますけれども、障害の程度に応じまして給付基礎日額の313日分から131日分の年金が給付されるという仕組みでございます。
一番下の欄、遺族給付でございますが、こちらも年金制度と同様でございますけれども、亡くなった場合、遺族に対して、真ん中の欄で、遺族の数等に応じまして給付基礎日額の245日分から153日分の年金が支給されるということでございます。
次のページでございますが、葬祭料としまして、死亡した方の葬祭を行うときに給付が行われるということ。
次は、傷病年金ということで、まず、休業補償が最初行われるわけですけれども、その後に1年6か月経過したような場合、その時点で傷病が治っていないような場合、治癒をしていますと、今度は前のページの障害年金が出るわけですけれども、その時点で治癒していない場合はこちらの傷病年金ということになりまして、障害の程度に応じて給付日額の313日分から245日分の年金が出るということになります。
次の欄は介護給付ですけれども、こちらは常時介護が必要な場合、介護の費用として支出した額を給付するということで、10万4,290円という上限がありますが、そういう給付が行われるということでございます。
給付のメニューとしては大体以上でございまして、最初のページに戻っていただきまして、一番下に※印がございます。労災保険の適用労働者が、業務中、通勤中に犯罪被害に遭って負傷等した場合、それが業務の事由または通勤によるものと認められる場合には労災保険の対象になるということでございます。
1枚おめくりいただきまして、他の社会保険給付との調整ということでございますが、先ほどの年金制度の説明のところで若干申し上げましたけれども、年金の方は満額出るということですので、こちらの労災の方が両方とも受給できるような状態の場合、こちらの方は一定程度減額されるという形になります。
5番のところは、労災保険と民事の損害賠償との調整のことが書いてございます。(1)が事業主責任災害の場合ということで、同一の労災によって生じた損害について、労災保険給付と事業主からの民事損害賠償との両方を受けることができる場合は、両者間の調整が行われるということ。(2)の方は第三者行為による災害の場合でございますが、これは医療保険なんかも同じような仕組みですけれども、第三者が何か被害を及ぼして、例えば医療の給付が発生したような場合については、基本的には当事者間の損害賠償というのが優先しますので、こちらの労災からの保険給付より前に損害賠償が現に行われていますと、こちらの方の給付を減額しますし、こちらの方の給付が先に行われて、後から民事の損害賠償が出てきたような場合については、保険者の方から求償していく。そんな仕組みになっているということでございます。
最後、費用の負担につきましては、その費用については事業主が負担する労災保険料によって賄うという仕組みになってございます。
次のページ、支給実績につきましては、23年度の新規の受給者数として61万4,000人、保険給付の支払額、23年度で8,600億円という支給状況でございます。
2枚ほどめくっていただいて、下に11ページと書いてあるところ、これは先ほど表で見ていただいたいろいろな給付がございましたが、それぞれの給付の関係が整理されておりますので、御参照いただければと思います。
次のページは、保険給付を受ける手続が紹介されています。被災労働者、またはその遺族が労働基準監督署に所定の書類を提出して請求するという流れになってございます。
資料の御説明は以上でございます。足りないところは御質問等をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○ 椎橋座長どうもありがとうございました。
ただいま、厚生労働省の担当の方から7つの社会保障制度について御説明をいただきました。構成員の方々から御質問や御意見がございましたら、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。どうぞ、黒澤構成員。
○ 黒澤構成員資料1-6の生活保護制度の関係ですが、2枚目の生活保護基準の内容で、扶助の種類がいろいろあるのですけれども、これと最低生活費の関係がよく分からなかったのですけれども。
○ 椎橋座長お願いします。
○ 厚生労働省社会保障担当参事官室企画官全部足し上げているのですけれども、例えば生活扶助であれば、年齢、地域に応じて基準額というのを国が決めておりますが、それに住宅も要るということになれば、住宅扶助の基準額がまたプラスされて、医療が要るということになれば、医療扶助の額もまたさらにプラスされて、それを足し上げたものと収入額を丈比べをして、収入の方が低ければ扶助が差額分出ていく、そんな仕組みでございます。
○ 黒澤構成員分かりました。そうすると、出産費用とか、就労に必要な技能の習得等にかかる費用だとか、葬祭費用だとか、こういう特別なものを除いて全部入ってくるというふうに理解すればよろしいのでしょうか。
○ 厚生労働省社会保障担当参事官室企画官例えば医療について考えますと、かかる医療費について多分でこぼこがあると思うんですね。そういう問題はありますが、基本的な考え方としては、基本的な扶助の必要額をどんどん足し上げていく。それと収入を比べるという形になります。
○ 黒澤構成員ありがとうございました。
○ 椎橋座長ほかにいかがでしょうか。中曽根構成員、どうぞ。
○ 中曽根構成員資料1-5の遺族年金、8ページのところをお聞きしたいのですけれども、平成26年4月から今度は父子家庭にも対象が拡大されるようになるとのことですが、その段階で父子家庭の方々にはもう全家庭に支給という形になるのですか。それとも、平成26年4月以降父子家庭になられた方が支給対象ということでしょうか。
○ 厚生労働省年金局年金課お答えは後者の26年4月以降に父子家庭になられた方ということです。
○ 中曽根構成員そうなんですか。というのは、確かに被害に遭われた家計の担い手の死亡に対して支給ということで、今の段階で奥様が亡くなられた場合は遺族年金は出ませんよね。しかし、家計の担い手自身が働けなくなって生活が困窮しているというケースも実際に支援している中であるので、そういう意味で平成26年4月以降は現在父子家庭の方が全員対象になるのかなと思っていたんですが、それは違うということですね。
○ 厚生労働省社会保障担当参事官室企画官補足しますと、民主党政権になってから、一番最初に御説明申し上げた児童扶養手当という仕組みがありますが、こちらは父子家庭にも出るように拡大されていますので、年金が出ないケースであればこちらが受給できる可能性があります。
○ 椎橋座長どうぞ。
○ 松村構成員障害年金と遺族年金についてですけれども、これの支給する年数なんかについての制限というのはどういうふうになっていますでしょうか。
○ 厚生労働省社会保障担当参事官室企画官基本的にはずっと期限なく。
○ 松村構成員支給対象者が死ぬまでということですか。
○ 厚生労働省社会保障担当参事官室企画官はい。
○ 厚生労働省年金局年金課ただ、遺族年金の場合は子どもの条件が入ってきますので、子どもが18歳までということになってきます。
○ 岩村構成員あと、若い女性の場合、有期の遺族年金があります。
○ 松村構成員同じ遺族年金制度について、8ページにありますけれども、注2のところで「生計を維持されていた遺族」と書いてあって、将来にわたって年収850万ということで制限されていますけれども、その根拠はどういうことでございますか。
○ 厚生労働省社会保障担当参事官室企画官これはワンポイントで判断するんですね。その年々で850万円を超えているかどうかで判断せずに、亡くなったときワンポイントで850万円かどうかを判断しますので、ある程度高目に設定をして、遺族年金が受けにくくないように、そういうラインとして設定されていたと思います。その数字の根拠は何かあったような気がしますけれども。
○ 厚生労働省年金局年金課今となっては、具体的にあるわけではなくて、過去の経緯がありますので、過去からスライドしてきたということです。
○ 椎橋座長どうぞ。
○ 番構成員児童扶養手当の件ですけれども、概要のところで、これは私も依頼者から言われて知ったという恥ずかしい話ですけれども、保護命令を受けた親の子どもは児童扶養手当をもらえるという制度があるというのをつい最近知りました。これはDV法ができてからすぐこういうことになったわけではないですよね。最近だと聞いていますけれども、いつごろからなのでしょうか。
○ 厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課今年の8月からです。
○ 番構成員やはり今年の8月という理解でいいのですか。でも、それ以前に保護命令をもうとっている人もこれは対象になりましたよね。ありがとうございます。やはり最近のことですね。
○ 椎橋座長どうぞ、お願いします。
○ 厚生労働省年金局年金課先ほどのお答えですけれども、遺族厚生年金のお話です。16年の改正で、受給権を取得したときに30歳未満の女性の場合は有期年金になっていまして、5年を経過したときに失権するということになっております。若年というか、若い方については働いて所得を得ていただきたいという趣旨で改正がされたということ。
もう一つは、850万円のお話ですが、現在、どうして850万円なんだという根拠は余りはっきりしたものはございませんが、これは前からの経緯で、当時の物価とか賃金の変動に合わせて改定してきたということでございます。今となっては、例えば年金額がどうしてこの額なのかというのと同じく、過去から積み上げてきたというお答えになろうかと思います。
○ 椎橋座長ほかにはいかがでしょうか。それでは、岩村構成員、どうぞ。
○ 岩村構成員若干のコメントですけれども、今日御説明いただきましたように、実は社会保障制度においては金銭、現物のサービス、医療も含めてですが、私が見る限りでは先進諸国と肩を並べるぐらいの充実したものが提供されていると思います。
ただ、なかなか難しいのは、例えば犯罪被害に遭われた方がどの局面でどういう金銭給付なり、現物の医療を含めたさまざまなサービスが受けられるかというのは、それぞれの犯罪被害者の方が置かれた就業状況、家庭状況、さらに所得の状況、それから例えば身体、精神に対する被害の状況といったものによってバリエーションが非常に大きいということですね。しかも、それが犯罪被害に遭われた時点から時を経るにつれて、それぞれの時のニーズというか、必要なものというのが変化していくということがあるものですから、全体を通して見るというのはなかなか難しい作業だろうと思います。
そうすると、一つの大きなポイントは、これだけいろいろなメニューが用意されているということを考えると、前にも議論になりましたけれども、ソーシャルワーカーとか、そういう方々が適切にその時々のタイミングでうまく相談なり何なりという形で介入することによって、それぞれの被害者の個人、あるいは世帯にとって必要な社会保障で提供しているメニューと、金銭、現物両方を含めてですね、それがきちっと受けられるようにする体制というのをどう考えるかというのが、今日のお話の中から出てくる一つのポイントなのかなと思っております。
実は、これは結構難しいんですね。今日のお話の中では出てきませんでしたが、その仕事をやっているのが実は生活保護のケースワーカーがそれに似た仕事をやっているんですが、生活保護のケースワーカーというのは、ある意味では社会保障制度の裏側を全部知っていないと、適切なケースワークができないとういことになるのですが、実は社会保障制度を横断的に全部見渡して、その時々に適切なアドバイスをするというのは非常に難しい仕事で、かなり専門的な知識と経験がないとできないということだろうと思います。
そういう意味で、一つはそういう相談なり何なりの支援の体制というのはどの程度組めているのか、またそれがきちっと適切に提供できているのかということが一つのポイントなのかなと思って伺っていました。
あとは、経済的支援との関係でいったときには、そういう意味ではできるだけ既存の社会保障で提供されているものはできるだけ使っていただくというのをうまく考えていただく。その上で経済的支援の在り方というのを考えるということなのかなと思います。
ただ、社会保障のほうから考えたときには、これは今社会保障の場合は非常に問題になるのですが、一体何を目的としてサービスなり金銭を提供するのかという話が常にあって、きちっとと言うと語弊がありますけれども、通常の社会の中で経済的にも社会的にも自立して生活していただけるような現物、あるいは金銭のサービスというのを提供するというのが恐らく一つの目標としてあるのかなと思います。それが全てだとは言いませんが、労災なんかの場合だと、ちょっとそこは論理がやや違うところがあるので違うかもしれませんけれども、社会保障全般として考えたときにはそういうのも一つの目標としてあるのかなと思います。
そういう意味で、経済的な支援を行うといったときに、犯罪被害者の方々に対する経済的支援というのがどういうところを最終的に目指すのか。それはもちろん被害者の方々、あるいは被害者世帯のそれぞれの状況に応じてバリエーションがあるので、一概には言えないとは思いますけれども、その点はやはり考える必要があるのかなと思います。
特に、社会保障の場合は、こう言うとまた語弊があって怒られるかもしれませんけれども、みんなが社会保障に寄りかかられても困るというところはあるので、それは先ほど申し上げたように、できる限り社会的、経済的にも自立した形で生活していっていただくというような形で、支援をさまざまな形で行うというのが一つの背景としてはあるだろうし、その辺のところをどう考えるのかというところが社会保障との関係ではあるのかなと思います。
今日拝見しまして御要望としては、例えば一つの典型的な例をとって、それでどういうサービスを提供されるかというのも、プレゼンの仕方としては考えられると思うんですが、先ほど申し上げたように、実は時系列の中でのフェーズごとによって動いていくということと、やはり世帯と個人のそれぞれの状況に応じてもいろいろなバリエーションが生じるということもあって、明確なイメージを持って語るというのはなかなか難しいのかなと思います。ある一つの例をとって時系列でこういうふうに進行するということを考えていく上で、こういうのがそれぞれのときに考えられますということは言えると思いますが、それで多分全ては語り尽くせないということになってしまうのかなと思います。
雑駁ですけれども、以上です。
○ 椎橋座長ありがとうございました。7つの社会保障制度を説明していただいたわけですけれども、犯罪被害者の経済的支援ということを考えた場合に、犯罪被害者の経済的支援に係るニーズが今までの社会保障制度によってどれだけ賄われているのか、あるいは抜け落ちているところがないのかどうかですね。今、岩村構成員から御説明があったように、それぞれの社会保障制度の目的がありますので、それぞれの目的との関係でぴたっと合う形で保障されるのか、あるいはそこら辺に微妙なずれというものがあって、ぴたっと保障されるというわけにはいかないのかどうか、そういうようなまずニーズから考えると、これでは抜け落ちているのではないかというようなことがおありになれば、そういうことを指摘していただくということも大事だと思います。
あるいは、もし今までの制度では全く不十分で、犯罪被害者という観点からいけば、今までの制度をがらがらぽんとやって、犯罪被害者という観点から何か一つ新しい制度をつくればいいんだというようなことも考えとしてはあり得るかもしれませんけれども、とにかくこれだけいろいろな、それぞれを一つずつとってみると、精緻な制度ができているということがございますので、そういうようなことを前提にして、何かさらに御意見がある、あるいはこういうところを聞きたいというようなことがございましたらお伺いしたいと思います。
今日は思いつかない場合、つまり本日は7つの制度を一遍に御説明していただいたので、それぞれの制度のことを全てよく知った上で、こういうところがさらに犯罪被害者の支援との関係で知りたいということになると、今、すべてにわたって質問したり意見を述べることはかなり難しい面もあると思いますので、そういう点は後からまた御質問をして御回答をいただくということも可能だと思いますので、それは可能ですね、そのときはまた厚生労働省の方にも御足労いただきたいと思いますが、この時点で、今、厚生労働省の担当の方に説明をしていただいたこととの関係でこれだけは聞いておきたいということがございましたら。番構成員、どうぞ。
○ 番構成員これも基礎的なことでお恥ずかしいのですけれども、一応大事なことなので確認させてください。
まず、医療制度の概要ということでお話しいただきましたけれども、犯罪被害者となると第三者加害ということになりますよね。この医療給付の給付内容というところでお示しいただいたこの中で、犯罪被害者が使えるものというのはどれということで理解すればいいのでしょうか。
○ 椎橋座長どうぞ、お願いします。
○ 厚生労働省社会保障担当参事官室企画官基本的には医療保険を全部お使いいただけると思うんですけれども、たしか労災のところで御説明申し上げたとおり、損害賠償がされますと、医療保険をまず利用していただいて、その後損害保険の賠償額が確定したりしてきますと、医療保険者の方から損害賠償を行う人に対して求償していくということになりますので、まずはここに挙がっているようなものは一通り利用していただくということだと思います。
○ 番構成員では、損害賠償を得られなくてだめだったという場合は、もう仕方がないということになるわけですかね。
○ 厚生労働省社会保障担当参事官室企画官結果としてはそういうことだと思います。
○ 椎橋座長それは先ほど御説明いただいた労災のときの第三者行為災害の場合も一緒ですかね。
○ 厚生労働省社会保障担当参事官室企画官そうですね。同じ仕組みになります。
○ 椎橋座長ほかにいかがでしょうか。どうぞ、松村構成員。
○ 松村構成員今の医療保険のところの一番最後のページにあります高額な外来診療を受ける皆様へということで、今年の4月1日から認定証というものを出せば、現物給付になるよということで、この認定証の発行というのはどれぐらいのタイミングで出るんですか。すぐ出るわけでもないんでしょう。
○ 厚生労働省保険局総務課医療保険制度につきましては、国民健康保険や健康保険といった制度ごとに分かれておりますので、例えば国民健康保険であれば、手続については市町村が行っておりますので、そちらで申請をしていただくということになりますので、これは制度ごとによって申請の手続は変わってくるということになります。
○ 松村構成員期間はどのぐらいで。
○ 厚生労働省保険局総務課済みません。個別のことについてはお答えしかねるのですけれども。
○ 松村構成員例えば、全部高額な外来診療というか、犯罪被害に遭ったときに、これは犯罪事件ですということと関係なしに、ただお金がかかるかかからないかということだけで認定されるわけですね。
○ 厚生労働省社会保障担当参事官室企画官基本的には、何を見ているかというと、所得によって限度額が違ってきますので、低所得の方なのかどうなのか、それを見るというのがこの認定証の趣旨ですので、犯罪被害者かどうかというのは余り関係なく認定証は出るんですね。
恐らく、これは私の想像が入っていますけれども、国民健康保険であれば市町村で自分で所得は常に把握しているので、結構早く出ると思うんですね。健康保険組合とかでどれぐらいの時間がかかるのかが私は今存じ上げないんですけれども、そんなに時間がかかるものではないと思います。
○ 松村構成員分かりました。
○ 椎橋座長どうぞ、池田参事官。
○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官恐らく2つの質問ともちょっと関連してくるのかなと思うんですけれども、要は今まで医療保険が犯罪被害だと使えないというようなお話もあったという経緯もありまして、第2次基本計画上も医療保険を被害者が円滑に利用できるようにということにつきまして、厚生労働省さんに2次計画上、施策をお願いしているところでございます。
これは、計画をそのまま読み上げてしまいますけれども、厚生労働省において犯罪による被害を受けた被保険者が保険診療を求めた場合については、現行制度上、加害者の署名が入った損害賠償誓約書等の有無にかかわらず保険給付が行われることになっている旨、保険者に周知する。また、医療機関に対して、犯罪による被害を受けた者であっても医療保険を利用することは可能であることや、誓約書等の提出がなくても保険者は保険給付を行う義務がある旨、保険者あてに通知していることについて、地方厚生局を通じて周知するというものが基本計画上はなっております。
○ 椎橋座長それで、実際に現場ではやっておられるんですか。
○ 番構成員実は現場ではやっていないんですよ。依頼者の犯罪被害者の方は全額自分で行くたびに払っているんですね。だから、どちらが知らないのか分からないけれども、そんなにスムーズではないという認識です。ですから、ああそうなのかと思って、今びっくりしたところです。
○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官先ほど岩村先生のお話にもあったのですが、こういったいろいろな現場でのサービス提供、こういう福祉サービスが使えますよということについては、やはり地元市町村レベルで被害者に適切につなげてあげる体制をつくるべきなのだろうというのはおっしゃるとおりだと思います。
その観点からいきますと、内閣府の当室の施策として基本計画上の宿題としては、市町村レベルでの被害者施策の窓口でありますとか、総合的対応窓口を全市町村につくるように働きかけていくというのがございまして、現在、残念ながら100%に至っていない。また、総合的対応窓口というのは、何かいきなり市町村としてカウンセリング窓口をやらなければいけないのかとか、いろいろ誤解もあって、その窓口が何をしなければいけないのかということにつきましては、今後とも当室の方で周知を図っていく研修などをやっていきたいと思っております。
○ 椎橋座長どうぞ。
○ 岩村構成員犯罪被害者の方が医療保険が使えないというのは理解に苦しむのですが、あり得るとすると、これは交通事故の場合はそうなんですけれども、保険扱いでなくて自由診療にできるというふうに医療機関の方が思う可能性があるというのがひょっとすると背景にあるのかもしれないという気はします。
ただ、交通事故の場合も、実際には医療保険適用を排除するわけではないので、厚生労働省もたしかそういうふうに指導しているはずだと思いますが、病院のところはどうしても、特に交通事故をイメージしてしまうと、保険ではなくて自由診療でという頭で行動する可能性というのはあるだろうと思います。これはあくまでも推測です。
○ 椎橋座長そのほかにはいかがでしょうか。
○ 厚生労働省年金局年金課先ほど遺族年金の支給のときの要件と父子家庭の支給について、ちょっと補足させていただこうと思います。
先ほど、私は850万円の要件について現在は明確にお答えするのは難しいというお答えをしましたが、過去の経緯をさかのぼってみますと、これは平成6年に定めているものでございます。当時は、所得の上位10%に相当するもの、考え方として余り高額の所得を得ている方に社会保険の給付をするのはどうかという考え方だったと思いますが、平成6年当時そういう考え方だったということでございます。
それともう一つ、今回の一体改革で父子家庭に遺族基礎年金を支給するという話でございまして、これは先ほどお答えしましたとおり、平成26年4月以降に死亡したケースということになります。
この件については、基礎年金ですから半分国庫負担が入っているということでして、今回消費税の引き上げと合わせて、これは8%に引き上げるときから支給の対象を拡大するということになるのですけれども、消費税の増税で得られた財源を使いまして対象を拡大するということで、26年4月以降という形になっているものでございます。
以上でございます。
○ 椎橋座長ほかによろしいでしょうか。それでは、この件については、さらに御質問があれば事務局にお寄せいただいて、それを厚生労働省に取り次いでいただいてお答えをいただくということがあるかもしれませんので、その際はよろしくお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。
それでは、要領よく御説明いただいたので時間がありますので、前回、犯罪被害給付制度に関しまして、被害者数及び申請者数、裁定件数の推移、それから親族関係があってもDV等で全額支給された事例について補充説明をしてほしいという要望がございました。警察庁の方に用意をしていただいておりますので、御回答いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長失礼いたします。それでは、資料2をご覧いただければと存じます。こちらが平成19年度から平成23年度までの運用状況の統計のようなものでございますけれども、一番左の欄が区分となっておりますが、その上の段が申請に係る被害者数(申請者数)となっております。これは、例えば平成23年度についてご覧いただければと思いますけれども、申請に係る被害者数というのが652人で、申請者数が810人というふうになっておりますが、これは内訳の遺族給付金の欄をご覧いただきますと括弧書きで書いてあるとおりでございますけれども、お1人の犯罪被害者につき複数の申請される御遺族がいらっしゃる場合に、この申請者数が上積みになるということになっておりまして、申請に係る被害者数というのはお1人の被害者について複数御遺族がいる場合も被害者の方の数で数えているというのが652人という意味になっております。
次の段が裁定に係る被害者数、裁定件数ということでございますけれども、これも平成23年度では715人、896件ということになっておりますけれども、この記載も遺族給付金について申請者が複数いらっしゃる場合について数えると896件というふうになるということでございます。
全体で申しますとこのような形になっておりまして、裁定について言えば、その中身を支給裁定と不支給裁定ということで分けて書かせていただいております。不支給裁定になっているものの中身はさまざまでございますけれども、例えば損害賠償を受け取っていらっしゃって、それが計算をいたしました支給額を超えたような場合などということになっております。
資料2は以上でございます。
それから、平成21年の犯罪被害給付金、犯罪被害者支援法の規則改正を行いました以降、DV被害者の方で保護命令などがあった場合に、親族等であっても全額支給となる例ということですけれども、現在までのところ、規則改正以降1件の事例で改正後の規則を適用いたしまして全額支給とした例というのがございます。
以上でございます。
○ 椎橋座長ありがとうございました。ただいまの御説明について、何か御質問、御意見はございますでしょうか。どうぞ。
○ 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長今のDVの関係ですけれども、申請があったものの中で、1件は全額支給したとのことですが、逆に一応DV関係のものなんだけれども、事情を見ると全額支給は無理だということで減額をしたものも、それ以降もあるという理解でいいのでしょうか。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長申し訳ございません。ちょっと調べてまいりませんでしたのですが、分かるかどうか、また調べてみたいと思います。
○ 椎橋座長今の御質問とも関係するのかもしれませんけれども、全額適用が1件というのは少ないという印象を受けます。報道なんかでDV事例が多数報道されていることを考えると、全額適用が1件なのかというような印象もあるんですけれども、これは先程の報告と関連するのかもしれませんが、全額適用例にまで至らないのか、それとも要件が相当厳しく認定されているのかどうか。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長自分たちのことでございますのであれでございますが、規則の規定に何とかかけられるものはできるだけかけて、3分の2なり、全額なりというふうにできるように、被害者プラスでできる限り考えているつもりではございます。
これは分からないところではございますけれども、保護命令まで行きまして、かつかなりちゃんと間を置くようにしているようなケースで、こういう犯罪被害者等給付金の対象になるような大きな被害を受けられる方という数自体が、保護命令の数と比べればそんなにたくさんあるわけではないというのが本来的にはあろうかと思っております。
その上で、被害を受けられた方についてはできる限り判断できるように努めているつもりでございますけれども、先ほど内閣府審議官からお話がありました点は少し調べられるかどうか見てみたいと思います。
○ 椎橋座長ありがとうございました。どうぞ、中曽根構成員。
○ 中曽根構成員重傷病給付金のところで、改正後にたしかカウンセリングの費用も出るのではなかったかと思います。たしか療養の期限が1カ月以上で、なおかつ3日以上就労できないとか、そういう条件があったように思うのですが、23年度は263人の方が重傷病給付金を申請している。実際、カウンセリングを使ってその費用が重傷病給付金の中から出ているという人数はお分かりでしょうか。どれぐらいの人数が使っているのか。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長持ってまいりませんでしたけれども、精神的疾患についても重傷病給付金については対象とするということは、平成20年改正よりも前から取り組んではいるのですけれども、重傷病給付金の例えば23年度の263人の中の方にも結構いらっしゃいます。精神科医等にかかられまして、精神疾患ということで治療を受けられた方という方はこの重傷病給付金の申請の数の中には含まれております。
○ 中曽根構成員カウンセリング費用が出るということがなかなか周知されていないのではないかなと思うんですけれども。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長今、もう一つの検討会の方でも御議論いただいているところでございますけれども、いわゆるカウンセリング全てに重傷病給付金が出るという扱いにはなっておりませんでして、医療保険が適用になるような精神科医の方がされるものについて対象とするということになっております。その範囲のものにいては、例えば性犯罪の方でそういうところに通っていらっしゃる方などについては、重傷病給付金を申請していただきまして、給付をさせていただいているということでございます。
○ 中曽根構成員分かりました。ありがとうございます。
○ 椎橋座長ほかにいかがでしょうか。それでは、この件についてはこのぐらいでよろしいでしょうか。警察庁、御説明、ありがとうございました。
それでは、予定した議題はこのぐらいになります。最後になりますが、第9回の検討会の開催について、事務局より御説明をお願いしたいと思います。
○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官次回第9回は10月24日10時から12時半、次々回の第10回が12月18日1時から3時半、それぞれの回は30分程度長引く可能性をお含みいただくよう既に御案内のとおりでございます。また、日程調整上、いずれの回につきましても御無理を申し上げた構成員の先生には改めてお詫び申し上げます。
以前申し上げましたように、次回は検討会2との合同という形で、検討会2での中間とりまとめをご覧いただく予定でございます。したがいまして、検討会1としては御議論を1回休止の形となります。その分、第10回開催まで時間がございますので、本日の厚生労働省から伺いました各種制度への御質問、あるいは中間取りまとめ、検討会2での状況を踏まえての検討会1の今後の進め方など、合間合間でメールでの御意見照会をさせていただきたいと存じますので、御回答のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
あと、前回も少し話題に乗っておりまして、岩村先生からも先ほどフォローをいただいたのですけれども、こういう厚生労働省さんがお持ちのいろいろな制度が実際の被害者にどういうふうに適用できるのかという当てはめの問題の話ですけれども、やはり犯罪被害者に利用を限った制度ではありませんので、個々にどのように使われているかというのを、少なくとも厚生労働省さんの方で把握されていることでもございませんし、一応制度上の要件というのを本日お伺いいたしましたので、制度の建前といたしましては要件が該当する被害者は本来使えるはずだという前提になると思われます。そこで、現場で実際に使えていないとすれば、これは運用上の問題であろうということになるのだろうと思われます。
どのような形となりますか、当方もやってみないと分からないんですけれども、この検討会で行った被害者のヒアリングですとか、海外調査で用いましたモデルケースに今回お伺いした諸制度を当てはめるかどうか、この人は使えたね、使えなかったねというような形を対比表といいますか、表のような形で当室の方で準備して提示させていただきたいと思います。これにつきましても、次々回で御議論いただけるように事前配付してお見せしたいと思います。
それから、松村構成員の方から、前回提出いただきました「あすの会」御提案の年金制度につきまして、差し替えの御連絡を頂戴しました。ただ、前回の資料自体は既にその時点での御提案という形で公表もしておりますし、議事録上もそういう形で記載しておりございますので、差し替えというよりは、御説明いただくときの改訂版の提出という形で整理させていただきたいと存じます。恐らく第10回での公表資料ということを予定させていただきたいと思います。次々回に改訂版をいただいた時点で事前配付はいたします。
私の方からは以上です。
○ 椎橋座長ありがとうございました。どうぞ。
○ 黒澤構成員資料3が配られているのですけれども、制度自体を縦割りに議論するということではなくて、岩村先生が先ほどおっしゃられたことと関連するのですけれども、私は実例が一番分かりやすいのではないかなと思います。実例で、それから被害者の立場からものを見たとき、つまり制度それぞれに美しいといいますか、それぞれ趣旨、目的があって各制度ができているわけですが、ここはこういう場でありますので、そこはちょっと置いておいて、被害者の立場に立って一体どんなものが理論的に利用できるのだろうか、そしてまた現実に皆さん方は利用できるのに利用していない、あるいはそもそも保険に入っていないので利用できない、そういった被害者の立場で実例でやると分かりやすいのではないかなというようなことで、このような意見を出したわけでございます。岩村先生のおっしゃられた問題点も頭にございましたが、あえて被害者の立場で、一体そもそもどういったことが活用できるのか、そこを実例に沿ってやってみようという趣旨で書かせていただいたつもりです。子どもも対象に取り上げていただきまして、ありがとうございました。それもそういう趣旨でございます。
○ 椎橋座長ありがとうございました。先ほど、事務局の方で表にしていただけるということですので、当然、黒澤構成員の今発言なさったことも考慮に入れた上でつくっていただけると思いますので、それを見れば頭が整理されると思いますので、さらにそれに対して御意見があればということで次回はお諮りしたいと思います。
それでは、本日、いろいろたくさんのこと、私なんかは知らないことが多かったものですから大変勉強になったのですけれども、もう一度自分の中で整理してみたら、どこが足りないかというようなことも出てくるかもしれません。構成員の皆様方にもそういうことがおありになるかと思いますので、そういうことがありましたら、どうぞ事務局の方へ御質問なり、御意見という形でお出しいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
それから、第10回目以降の準備のためにも、皆様方には、あるいは関係省庁の方にも引き続き御協力いただきますようにお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、これをもちまして、第8回の「犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討会」を終わりたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

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