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第5回「犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討会」
議事録

○ 事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官)それでは、定刻となりましたので、始めさせていただきます。
本日はお忙しいところ、集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから第5回「犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討会」を開催いたします。
本日は、アメリカにおける犯罪被害者等に対する経済的支援制度等につきましてレクチャーをいただくため、前回まで座長をお願いしておりました、冨田教授においでいただいております。
まずは、冨田教授からごあいさつをいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○ 冨田教授冨田でございます。一言ごあいさつを申し上げます。
先般、一身上の都合によりまして専門委員及び座長の辞任を申し出まして、総理からお認めいただいたところでございます。
第3回、第4回の検討会におきましては、私が突然欠席したため、座長の任を果たすことができず、代行していただきました番先生や瀬川先生を始めとして、皆様方には大変御迷惑をおかけいたしました。この場を借りて深くお詫びを申し上げます。
また、第1回及び第2回の検討会におきましては、皆様方の御協力を得まして、何とか検討会を進めることができました。これについて心よりお礼を申し上げます。
私の後任は椎橋先生にお引き受けいただいたと聞いておりますので、本当にほっとしているところでございます。これから大変な作業がまだまだ続くかと思いますけれども、椎橋先生を始めとしまして、皆様方の御尽力により必ずや優れた案がまとまるものと確信しているところでございます。
以上、甚だ簡単ではございますが、皆様方にお詫びとお礼を申し上げて、私からの退任のごあいさつといたします。
また、本日はアメリカ合衆国の制度について報告させていただきますけれども、それについてもよろしくお願いいたします。
お時間を頂戴いたしまして、どうもありがとうございました。
○ 事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官)冨田先生、どうもありがとうございました。
冨田教授にはこれまでも御協力はいただいてきたところなのですが、今後、海外調査に御協力いただく予定でございますので、被害者の方の実情を把握しておいていただく必要がございます関係で、本日は検討会の冒頭から御出席をいただいております。
それでは、昨年12月5日付で「犯罪被害者等施策推進会議」専門委員として任命され、議長にも指名され、当検討会の構成員兼座長として指名されております椎橋座長からごあいさつをいただきたいと思います。
椎橋先生、よろしくお願いいたします。
○ 椎橋座長ただいま御紹介いただきました、椎橋でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
犯罪被害者の地位の向上につきましては、各関係機関、各関係の人々の御努力によるものが大きかったわけですけれども、中でも私の認識としては、犯罪被害者等基本法、それを実施すべく犯罪被害者等基本計画の策定、それに基づく施策の実施ということで非常に総合的、包括的な施策が行われて、それは大変画期的なものであったと受け止めております。
そして、今回、第2次被害者等基本計画のもとに当検討会が発足されたということで、私も今まで外からこの検討会の活動について注視してまいりましたけれども、このたび、先ほど冨田先生が言われた形で図らずも私がこの検討会構成員に任命されることになりまして、私も大変この検討会については大きな意義があるものと考えておりましたので、お引き受けすることになりました。
ただ、座長にということにつきましては、大変躊躇がありまして、私の能力の問題もさることながら、冨田先生が立派におやりになっていたということもあって、とてもその任に堪えるかどうか自信がありませんでしたけれども、お聞きしたところ、委員の皆様方の御協力、事務当局の御協力が得られるということでございましたので、お引き受けすることになりました。大変微力ではありますけれども、一生懸命務めたいと思いますので、どうぞ御協力のほど、よろしくお願い申し上げたいと思います。
まず、議事に入る前に人事異動がありまして、新しく本検討会の構成員となられた小谷渉警察庁長官官房総括審議官及び井上宏法務省大臣官房審議官から一言ごあいさつをお願いしたいと思います。
それでは、小谷渉警察庁長官官房総括審議官からお願いしたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○ 警察庁長官官房総括審議官本年1月5日付で警察庁総括審議官を命ぜられました、小谷でございます。大変重要な御議論をいただいている会議でございますので、構成員の皆様には今後とも御指導、御鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。
○ 椎橋座長ありがとうございました。
続きまして、井上宏審議官からお願いしたいと思います。
○ 法務省大臣官房審議官1月17日付で法務省の大臣官房審議官を仰せつかりました、井上でございます。
犯罪被害者の関係は、第1次の基本計画策定前後ごろは関わっておったのですが、その後、離れておりましたので、またもう一度、勉強し直しまして、しっかりと参加させていただきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
○ 椎橋座長ありがとうございました。
それでは、議事に入りたいと思います。
本日は第5回の検討会でございますけれども、本日の議事について、まず、事務局から御説明をお願いしたいと思います。
○ 事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官)それでは、議事次第をご覧ください。この後、議事次第「3.犯罪被害者等の経済的状況に関するヒアリング」ということで被害者の方からお話を伺うことになっております。
「4.諸外国における犯罪被害者等に対する経済的支援制度等」ということで、本日、冨田教授からアメリカにおける経済的支援制度等についてレクチャーいただくことになっております。
「5.海外調査について」、今の時点での質問事項ですとか調査先、調査予定、質問予定の事項などにつきまして、まとめて事務局から御説明いたします。
「6.自由討議」
「7.その他」
「8.閉会」となっております。
以上です。
○ 椎橋座長ありがとうございました。
それでは、議題3の「犯罪被害者等の経済的状況に関するヒアリング」に入りたいと思います。
第4回検討会に続きまして、本日も犯罪被害者等の経済的状況に関する現状を把握するために、犯罪被害者等からのヒアリングを実施することとしております。
本日は、犯罪被害によって奥様を亡くされた殺人事件被害者遺族である大崎利章様、次いで、犯罪被害によって重篤な障害が残られた傷害事件被害者の御長女であります佐藤様(仮名)、犯罪被害によって御主人を亡くされた殺人事件被害者遺族である田中様(仮名)、田中様(仮名)の実母でおられる渡辺様(仮名)にお越しいただいております。
本日、4人の方からお話いただく内容につきましては、個人に関する情報であり、行政機関の保有する情報の公開に関する法律第5条各号に掲げる情報が含まれる場合には、本年3月25日付の犯罪被害者等施策推進会議決定「『犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討会』及び『犯罪被害者等に対する心理療法の費用の公費負担に関する検討会』の開催について」、これらの決定に基づきまして、議事録から削除する、あるいは概要としてまとめるなどの作業を行った上で公表するという扱いにしたいと思います。
また、本日、犯罪被害者等の経済的情報に関するヒアリングとしてお話しいただく被害者の方々のお名前等を記載した資料を卓上に配付してございますけれども、同推進会議決定に基づきまして、構成員限りの卓上配付とするとともに非公表扱いとし、本検討会終了後に回収させていただきます。
それでは、これよりヒアリングを始めたいと思います。
初めに、大崎様の御紹介をさせていただきます。
大崎利章様は、平成22年2月に発生した殺人事件の御遺族であります。実弟から妻を殺害されるという親族間犯罪であったため、十分な支援を受けられなかった事案であり、妻が殺害されたため、お子様方の世話も肩代わりせざるを得ず、そのため仕事が減り、収入も下がったと伺っております。
更に、事件による精神的なダメージにより、お子様方が外出するときは常にだれかがお子様方を見ていなくてはならないという状態が今でも続いておられるそうでございます。
犯罪被害給付制度について、平成24年1月現在、遺族給付金については申請しておらず、2人の子に対する障害給付金についても症状が固定していないため、申請していないとのことでございます。2人の子に対する重症病給付金についてのみ申請中と伺っております。
それでは、大崎様、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
○ 大崎氏このような話をするのは、なかなか緊張していますが、うまく説明できるかどうか分かりませんけれども、どうぞ御容赦ください。
精神的に記憶が途切れた部分もあり、話が途切れたりすることがあると思いますが、できるだけ思い出してお話したいと思います。
事件の内容の説明ですが、私が被害に遭った内容からお話いたします。犯罪は殺人、殺人未遂(傷害)と放火です。事件は昨年の平成22年2月25日の午後5時半ごろで、場所は私の自宅です。その時間、私は仕事を終えて帰宅していたときでした。被害に遭ったのは、私の妻と長男と次男の3人です。加害者は私の弟です。
当時、私の家族が母屋に住み、両親は離れに住んでいました。弟は離れが狭いので、母屋の2階の一室を使って生活していました。弟はパチンコや競艇といった賭け事が好きで、仕事は1年のうち半分ぐらいしかしておらず、賭け事で負けると両親に暴力をふるっていました。
両親もその暴力に耐え切れず、なぜか私たち夫婦にその暴力を向けさせるために、本当に憎いのは兄夫婦だと母親はしきりに弟に話していました。弟はやがて私たち家族を敵対視するようになり、家の中で騒音を出したり、暴れ、威嚇し、嫌がらせを繰り返すようになりました。それが殺人事件になるとは思ってもいませんでした。
事件が起こったときはまだ帰宅していなかったので分かりませんが、子どもたちから聞いた話で、弟が当然、家の中に入ってきて、母親を何度もナイフで刺していたのを見て、それから、子どもの方に来て、「お前らも殺してやる」と言いながら、ナイフを振り回してきたそうです。そして、子どもたちはそれぞれ20針以上縫う大けがを負わされました。
その後、弟は灯油をまいて家に火をつけました。妻は放火された家の前で次男を何度も呼んで探していました。妻はその後、意識はなくなり、帰宅した私が妻を見たときに目が合ったような気がして、「お父さん」と言っているようでした。その後、出血多量で死亡が確認されました。
子どもたちは命を取り留めましたが、頭や背中に傷が残り、また、目の前で母親をナイフで殺されていることから精神的に苦しめられ、ADHD(注意欠如・多動性障害)とPTSDという精神障害に苦しめられるようになりました。
この事件の精神的な苦痛は、とても表現できません。犯人が弟であるという事実にも苦しめられています。精神的な苦しさはなくなることはないと思っています。
経済的な事情及び経済的補償について。
事件後、精神的な問題に加え、経済的な問題がありました。事件後、手持ちのお金を7,000円ぐらいしか持っていなくて、自宅はラジオのニュースで全焼と聞いていたので、何も残っていないと理解していました。そのため、入院費が払えるか心配になり、病院でこれ以上お金は使えないと思い、付添いのベッドは有料のため借りずに椅子に座って寝ていました。食事は、付添い食はなく、買うこともできないので、子どもたちの残した物を食べていました。銀行のカードは妻が管理していたのと、殺人事件のため銀行口座を凍結され、お金を引き出すこともできませんでした。
そのような状態でお金が使えないことになり、これ以上入院して治療していると、支払いが溜まると思い、病院を早目に退院しました。しかし、子どもの傷口が開き、出血がひどくなったので、また病院で治療する始末でした。
自宅に帰ったものの、ローンが残った家で家財道具も焼けており、できるだけ出費を少なくして生活しなければと考えました。今までは妻と共稼ぎでしたが、妻の収入がなくなり、食事を作る人がいなくなり、食事は作ったことのない私が作るようになり、インスタント食品ばかりで、食べさせる物も満足にできない状態でした。
精神障害の治療は治療費がかさむため断ったりして、満足に治療はしていませんでした。生活が少しずつ落ち着いていったころから、カウンセリングや精神治療を再開したのですが、事件後、本当に困っているときにちゃんとした治療を受けさせてやりたかったと後悔しています。
事件後、治療費の負担がなければ、傷が完全に治るまで治療させてやることができたと思います。精神的な治療も事件後に治療していれば、症状が軽くて済んだのかなと思うと、とてもつらく、子どもたちに申し訳ない気持ちでいっぱいです。
事件後、家財道具を買うことができず、布団は寄附していただいたのですが、この時期、まだ3月は寒く、焼け跡から電気じゅうたんを見つけ洗濯し使えたので、このように使える物を手当たり次第、洗濯しました。そのため休日はずっとこの作業で、家財道具を運ぶのに引越し業者を頼んだのですが、家具が油や煙で真っ黒で運べないと断られ、それからは自分たちで洗ったりふいたりして運び出しました。
休みがあっても自由に使えず、つらい毎日でした。次男は精神的なダメージが大きかったので、学校の送り迎えが必要となり、思うように会社に出社できなくなり、収入が激減しました。また、加害者が弟であったために犯給法による支給も全くありませんでした。加害者や親族も他人状態でだれも助けてくれる人はいませんでした。
この事件で私たちは多くの傷を負いました。その傷はきっと消えることはないでしょう。しかし、生き残った子どもたちのためにも私がしっかりし、殺された妻のためにも子どもをしっかり育てていかなければと思っています。
犯罪被害の内容によっては、個人の力ではどうしようもない場合もあります。犯罪被害に遭って経済的に苦しい状態に陥った場合、自力での回復はかなり難しいと思います。そのような被害者は、犯罪の苦しみと経済的生活の苦しみと二重の苦しみを抱えて、その後の生活を送らなければならないと思います。
そのようなことのないように、カウンセリングや治療に関する費用の心配をなくしてほしいです。犯罪に困って経済的に苦しくなった被害者に対して、せめて衣食住が足りる程度の補償ぐらいは、国に整備してほしいと思っています。
一応、文章に書いてきたものは、このような形ですが、私どもの今の生活のスタイルとしましては、まず、妻がいなくなった分、子ども2人の食事を作って食わしていっている状態ですが、朝は私が大体4時に起きています。まず、洗濯、炊事の準備をして、子どもは5時半に起こす形で生活をしています。子どもたちに御飯を食べさせ、子どもの宿題の確認とかをしまして、朝は次男を学校まで車で送っています。長男は自転車で通学しています。
そのような形で1日の生活が始まりまして、それぞれ学校、私も会社へ行っているのですが、会社はときどき遅刻という形になります。そして、遅刻も限度があるのですけれども、当然、収入もそこで下がる形にはなっております。その後に、会社が終わりまして、また次男をそのまま学校まで迎えに行っています。
学校へ迎えに行って帰ってくると、すぐに食事の用意が待っています。食事の用意が大体夕方の6時から始まります。子どもたちに食事をさせて終わるのが7~8時ぐらいの間で、その後にまた炊事、洗濯の状態が待っています。そのような生活をずっと今でも繰り返している形になっています。
当然、男が子どもたちに食べさせるものですから、ほとんどカップラーメンとかそういった形が多いとは思っているのですけれども、それでも子どもに何とか食べさせていかなくてはいけないと思っております。
そのような感じで生活はずっと、事件後ですが、私が何とか食わしてはいますが、子どもたちに本当にちゃんとした栄養を与えているかどうか、そういうのはまだ私も何とも理解ができないところではあります。
今回、岡山の方から来ましたが、子どもたちをどうしても連れてこなければいけないのは、子どもが1人はADHD(注意欠陥・多動障害)で療育手帳を取得していまして、一応、障害者という扱いにはなっているのですが、要は家にそのまま1人にしておくわけにはいかない。それが長男ですけれども、次男も同じくPTSD、ADHDという病気で精神治療をしています。そのような障害を持った2人が、親が東京でこのようなところで話をするために、1泊家でおとなしく待っていられるかどうかと思うと、当然、待っていられる状態ではないということで、こちらに一緒に連れてくるようにしました。
まして岡山から東京ですと、新幹線で4時間かかります。ADHDが4時間の新幹線の座席に座って耐えられるかどうかということを精神科にも相談しました。精神科の先生は、まず無理ですと。だから、行かない方がいいのでしょうという話から始まったのですけれども、「お父さん、家を空けている間はだれが子どもたちの面倒を見るのですか」ということを言われて、どうしても私が見るしかないなと思いまして、連れて行く方になったのです。
そうしたら、飛行機を使いなさいということを言われました。飛行機ですと30分、1時間も座席に座るぐらいだと思いますよということを言われましたので、そういう形で東京行きを考えてみようかなということで今回、飛行機を選ばせていただきました。
どうしても子どもたちにとっては、なかなか落ち着きが取れない。昨日は私が一緒にいましたもので、投薬なしで飛行機に乗せました。たった1時間でも飛行機に座っているだけなのですけれども、どうしても薬を飲ませていないと。正直、ほかのお客さんにも迷惑を大分かけました。
それから、電車に乗っている間もかなり悲鳴をあげたりとか、本当はタクシーで移動した方がよかったのかなとは思いました。電車内で寝そべってみたりとか、突然、奇声をあげたりとか私もびくびくはしましたけれども、我が子なもので何とかこちらの方までたどり着くことはできたかなとは思ってはいます。そのような状態でこのまま家に置いておけば、もっとどういう状態になるか分からないかなと思って、今回は一応、連れてきてよかったのかなとは思っています。
いろいろな形で行き違いがあったかなと思いますが、そのような形でこちらまで来させていただきました。来たからには、子どもにも、もしヒアリングがあれば。事件当時のことは、本当は子どもたちが一番よく知っています。ただ、子どもにそんな話を、精神障害を持っている状況で聞くというのも、私も親として怖いという状況もあります。聞いてもらっても構わないのですけれども、事件のことを思い出させたくないなというのは親心ではあります。
それと私の思いとして、今回一番感じたことが治療費ですが、けがを負わされた、ナイフで刺された治療費は当然、結局、自己負担で支払いしました。いまだに子どもの精神治療に関してはまだ通院しており、治療費を払っています。私からしますと、何でこんな治療費が発生するのだろう。普通に生活していたのに、どうしてこのような状態に。子どもたちはけがを負わされ、精神的にパニックになった状態になり、何でこんな治療費が発生するのかというのが一番に疑問に思っていることです。
治療費も皆さんから教えてもらった言葉ですけれども、現物支給、その場ですぐに治療費を払わなくても治療だけできるということを考えてほしいなと思っています。というのは、上のお兄ちゃんがナイフで背中を何か所も刺されています。その治療をしているときに治療費が払えないというのが私の頭の中でありましたので、最初に医師に退院させてくださいとお願いをしました。そうしたら、このような状態でどこへ帰るのですかということを言われました。
でも、そのとき私の言葉から治療費が払えないということは、なかなか口に出して言えませんでした。ただ、もう病院を帰らせてほしいということを親心の中で、そういう思いもありまして、現物支給というものがあれば、後々ちゃんと治療ができたのではないか。
入院を10日ほどしましたが、10日後に結局、無理やり退院したような形になりました。その後、背中の刺された傷は開きました。開いたなり、お兄ちゃんが背中を押さえて、シャツが真っ赤になっていました。病院の先生にも、「早目に退院するということは余りよくないことです」と言われました。
でも、親の頭の中には治療費が払えないから、どうしても早目に退院せざるを得なかった。でも、正直に言いますと、子どもにもそういうことは一切言えませんでした。親の恥のようなものですけれども、お金がないから治療ができなかったと子どもにはなかなか言えませんでした。
あと、妻が亡くなって、妻の収入分、私の給料の減額分、実際に年収600万円ぐらいの家庭だったのですが、今では400万ぐらいにはなっていると思います。400万ないかもしれません。そのような状態の中、生活は給料が少なくなったということが一番厳しい思いをしています。給料が少なくなった部分を何とか年金のような制度で、私たちの生活が少しでも助かるようなことを考えてもらえないかと思っています。
犯給法という法律があるということを事件後に初めて知りました。それまでは、そんな法律があるということすら、知りませんでした。でも、犯給法で助かるのだという思いがありました。被害者を助けてくれる法律があるのだなということを。
では、その犯給法でどう助かるのだろうかと考えたときに、まず、親族犯罪であるから出ませんということを真っ先に周りの方から言われました。出ない。では、出ないのだったら、しようがないなという話の中から、子どもさんは3分の2減額ですけれども、3分の1出るかもしれませんという言葉を聞き、一応申請だけはしてみたいなということで今、申請はしています。
私が思うには、犯給法で親族犯罪だったら出ないのかというのが一番の思いです。まず、ここのところをもう少し、だれに殺されるとかだれかから被害を受けることなく、普通に生活していた私たちをもう一回、助けてくださるという思いがあるのでしたら、親族犯罪とかそういうことを言わずに、どうぞ助けてほしいなと思っています。
もう過去の犯罪と言われてしまえば、もうそれまでだと思いますが、どうぞ本当に助けてくださるのでしたら、それは1年前、2年前の犯罪ではないですか。新しく法律ができたから、昔の犯罪はだめですよということのないように、過去の犯罪にまでさかのぼって助けてほしいなというのが私の本当の気持ちです。
私、余りこういうところで話をしたことはありませんので、率直に心の中で思ったままを今、お話したと思っています。それと私も精神治療をいまだに行っています。だから、記憶が途切れた部分が多々あります。本当に言いたいことが伝わっているかどうかということが、まだ正直分からないところがあります。
一応、高橋先生にもおいでいただいていますので、フォローをお願いしたいなと思います。
○ 付添人高橋弁護士補足で説明します。
勿論、お子さんたちが多動性障害になったというのは、事件に遭われた精神的なショックからなわけです。つまり、目の前で自分の母親が殺されて、また、自分自身も殺されかかったわけですから、それで多動性障害になってしまった。
先ほどの1日の生活スケジュールの中で、私が事前に聞いていて一番ショックだったのは、学校に行っているときは、まだ先生たちが子どもたちを見ているからいいのですけれども、問題は学校が終わってからなのです。下の子はお父さんが送り迎えに行くから、まだそれはフォローできるのですが、問題は上の子です。上の子は大体4時とか3時ごろには帰ってくるわけです。でも、お父さんが帰ってくるのは6時ごろなわけです。
その間、どうしているかと言ったら、結局、精神安定剤か何か知らないのですが、薬を飲ませて気持ちを無理やりに落ち着かせる。そういうことをしていないといけない。本当はそんなことしてはいけないのでしょうけれども、そういうことをしないと、見ている人がその間だれもいないわけなのです。
ヘルパーを頼もうにも、当然、ヘルパーのお金がかかる。それはとても払い切れるものではないということで、結局、大崎さんは1日の生活の中で一番安らぐのは、子どもたちが寝た夜9時以降だというわけなのです。そういう生活を毎日送っているということです。
実は、今日も長男と次男がどこにいるかということなのですが、付添いの方の費用が内閣府から出ないということで、彼は友達に頼んで、友達に仕事を休んでもらって見てもらっているのですが、見ているときも要するに、お子さんたち2人に薬を飲ませているそうなのですよ。そうやって落ち着かせて、何か起きないように見てもらっているという状況なわけです。
勿論、今回、大崎さんが来たことについて、大崎さん1人分の交通費しか出ていないわけです。子どもたちの交通費も出ていない、子どもたちの宿泊費も出ていない、付添いなど論外である、そういう扱いでありました。それらも何とかしていただけないかなと私の方からも本当に思っているところであります。
あと、犯給法の申請ですけれども、誤解のないように正確に申し上げておきますと、遺族給付金については第一順位の支給者は大崎さん。大崎さんから見ると、加害者は兄弟姉妹に当たりますから、ゼロということであります。警察からは出ませんとはっきり言われたから、申請していないということであります。
そして、重症病給付金。これについては、お子さんたちが被害者でお子さんたちから加害者を見ると三親等内親族ですから、3分の2減額されて、出るのは3分の1だけ。ということで、これは申請しています。
あと、障害給付金。後遺障害です。これについては、まだ症状が固定していないから、申請していない。今後、申請する予定だけれども、これも減額される見込みであるということであります。
以上です。
○ 椎橋座長ありがとうございました。お子様もお連れになって大変な思いで、しかも、つらい話をしてくださいまして、ありがとうございました。
この機会に委員の方々から御質問させていただきたいと思いますけれども、大丈夫でしょうか。
○ 大崎氏はい。
○ 椎橋座長それでは、この機会に御質問がありましたら、どうぞお願いいたします。
松村構成員、どうぞ。
○ 松村構成員確認のために教えていただきたいのですけれども、事件当時、御長男と次男は幾つでしたか。
○ 大崎氏長男が中学2年生、14歳。次男が小学校1年生、8歳です。
○ 松村構成員どうもありがとうございました。
○ 椎橋座長ほかにございませんか。
岩村構成員、どうぞ。
○ 岩村構成員今日はいろいろ精神的にも大変な中、ありがとうございました。貴重なお話をいただきました。
ちょっとだけ事実の確認をさせていただきたいのですが、お勤めはサラリーマンでいらっしゃいますか。
○ 大崎氏そうです。
○ 岩村構成員そうしますと、健康保険に入っていらっしゃるということですね。
○ 大崎氏はい。
○ 岩村構成員息子さんたちの治療のときに例えば医療費の支払いの問題であるとか、そういったことについてだれかに御相談されるとか、あるいは病院の方で普通、そういう相談窓口があったりするのですが、そういったところで御相談されるとかということはございましたでしょうか。
○ 大崎氏はい。病院の方からもソーシャルワーカーが社会保険に入っているかどうかの確認に来ました。保険証なども当然焼けていますので、ないと申し出ましたら、私どもの会社へ在籍確認と保険の確認を病院からするような形がありました。
当然、保険がきくのだろうという形で治療は進んで行きました。ただ、そのときに病院の全額の金額はまだ教えてくださりませんでした。保険がきくのであろうかなというのは、私の頭の中ではあったのですけれども、請求が幾らだということは申し出てくれませんでした。治療費が一体幾らかかるのだろうかというのがまだ想像がつかない状態。
ただ、2人とも手術しています。救急車で入ってすぐ手術現場に立ち会っていますので、手術費がかなりかさむのではないかなというのは、頭の中で考えていました。当然、病院へ泊れば宿泊費がかかるのだというのも想像がつきましたので、病院代がというのが私の一番の頭の中にありました。幾ら払えばいいのだ。そのときに手持ちで持っていたのは、私の記憶で7,000円ぐらいしかなくて、とても7,000円で足りないのではないかという考えがありまして、それで病院はとりあえず出なくてはいけないなという思いを持っていたような感じなのです。
ソーシャルワーカーとかが今は心配しなくてもいいですよと、いろいろ病院代のことは言ってくださったのですけれども、払わなくてはいけないということは言われたのです。払わなくていいと言ってくださるのであれば、少し気が紛れるのですけれども、そうではなくて病院代の支払いは必要ですよということを言われましたので、その辺がものすごくそのときの心配感があったと思います。
○ 岩村構成員ありがとうございます。
病院からソーシャルワーカーの方が高額療養費の制度があってという御説明はありませんでしたか。
○ 大崎氏高額医療というのは、まだ聞いていなかったです。
○ 岩村構成員それが非常に不可解で、今、伺っている年収であれば、相当減額になるはずなのです。なぜ病院がそれを説明しなかったか理解に苦しみますが、ありがとうございました。
○ 椎橋座長番構成員、どうぞ。
○ 番構成員つらいお話をありがとうございました。
2点ぐらい確認させていただきたいのですが、事件直後に銀行のカードは奥さんが管理していたというのと、殺人事件のため銀行口座を凍結されて、お金を引き出すことができなかったということですけれども、この点についてもう少し詳しく教えていただきたいのと、結局、ローンがついていたお宅は全焼ということになったのでしょうか。火災保険の方はどうだったのかということをお聞かせください。
○ 大崎氏まず、今、言われました火災保険の関係は、家は火災保険に入っていまして、銀行はローンを支払ってくださいという形。
○ 付添人高橋弁護士火災保険金請求権が差し押さえられたということですね。そこからローンを返済するという話。
○ 大崎氏女房がカードを全部持っていまして、事件後に口座の中に入っているお金が下ろせるのだろうかと思って、銀行に電話をしたのです。カードが焼けてない、下ろしたいのですけれどもということを銀行に電話しましたら、お宅は殺人事件で今、口座は凍結させてもらっていますので、下ろすことはできませんというのを電話で聞きました。銀行には行けないのだなと思って、とりあえず、カードもない。銀行に問い合わせをしたら、銀行の方から口座は凍結していますよと。住宅ローンを払っている口座の銀行にまず、問い合わせしたのです。そうしたら、そういう回答が返ってきましたので、これではお金はどこにも頼るところがないのかなと私もそう考えていました。
○ 付添人高橋弁護士先ほど、高額医療についての説明を受けていなかったということなのですが、高額医療について説明を受けないだけならまだましで、健康保険を使えませんと、はっきり言う病院がいまだにありますから。ですから、その辺の説明は非常に不可思議というか疑問に思っていますけれども、彼の場合も高額医療費については一切説明を受けていないということでした。
○ 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長今、経済的支援の研究会なので、立ち入ってお聞きして恐縮ですけれどもいわゆる、一般の保険、傷害保険だとか生命保険だとか、その当時の預貯金の関係で口座が凍結云々ということで、奥さんは亡くなられているわけで凍結されると思うのですけれども、御主人の口座は凍結されないと思うのですが、その点は。
○ 大崎氏私のローンを払っていた口座が凍結されていました。私がそこからだったら、住宅ローンを毎月払っているから、そこには口座の中にお金があるのだと思っていたのです。自分の口座のところへ連絡しました。そうしたら、殺人事件ですので、口座は凍結していますとはっきり、そこの銀行に言われました。私の住宅ローンを組んでいるところです。
○ 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長一般の生活をしている口座は、どうなっていたのですか。
○ 大崎氏事件の概要の中で私どもの実際、生活をしていたのは、裁判の方で申し上げた意見陳述にはもっと詳しく書いているのですけれども、親族が犯した犯罪の前に私たちは支払いがほとんどできない状況の生活に追い込まれていました。子どもがその当時、下の子が小学校1年生でしたけれども、保育園の費用とかも十何万円の滞納がありまして、生活自体が生命保険は既に4~5年前に全部解約していまして、一切貯金は持っていませんでした。
持っているというのは、ほとんど支払いが溜まったような。水道代なども上水道で2万円を超える水道代の請求がありまして、それも3年、4年はもう払っていなかった。だから、役場へ払うお金もなかったような状況です。当然、住宅ローンだけでも払っておかないと、社会的に家も取られてしまうという形で公共料金はかなりの滞納がありました。
○ 付添人高橋弁護士そこのところは誤解を受けるので、補足説明しますけれども、公共料金の滞納があったというのは、実は事件の内容と深く関係しているのです。加害者と同じ敷地内にいて、加害者の建物の公共料金も彼の名義で契約しているものだから、彼が払わざるを得ないわけなのです。
ところが、加害者の方はお金を払わないわけなのです。そういったことも1つの事件の背景にあって、事件が起きてしまったということなので、別に公共料金を滞納するのどうのこうのではなくて、そういった事件の背景があって滞納してしまったという部分もあるということですね。
○ 大崎氏そうです。
○ 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長あと1つだけ。また立ち入った話で恐縮なのですけれども、御両親が同じ敷地にお住まいだということなのですが、お子様の世話だとか、財政的な状況が厳しかったのかもしれませんけれども、そういう支援はなかったのでしょうか。
○ 大崎氏両親から手助けではなく、逆に両親が住んでいることによって電気代がその当時で3万8,000円。水道も上水道だけで2万1,000円を超える請求がありました。当然、両親が助けてくれるのだったら、両親の力を借りて助けてもらっています。両親は一切助けることなく、父親、母親がいまして、今回犯行を犯しました弟がいまして、私ら家族4人いました。当然、全員が使いますと、それぐらいの請求がくると思うのです。私の名義になっていましたので、私が全部払うような形です。ただ、その状況で払えないから、結局、支払いが溜まっていたという形にはなっています。
弟はまして引きこもりのような感じで、ばくちで負けると家にずっと引きこもっている。引きこもって、結局、私ら夫婦に対して敵対心を抱くような。最初、母親とかを殴っていました。ただ、母親も暴力から逃れたいがために、弟に本当に憎いのは親ではない、兄夫婦だと母親が言ったものですから、私らの方に威嚇攻撃がずっと4年数か月ですから、いろいろなことがありました。
ただ、本当にその事件当時にはいろいろな取材とか何かが来て、好き勝手な報道をしました。私は今の生活を壊されたくないからということで、一切報道に関しては口を閉ざしていました。この事件の中身のことは本当に何が真実なのかなというときに、裁判で本当に真実のことをお話すれば、分かってもらえる。だから、意見陳述に関しては、今回説明した内容の中は私が遭ったこととつらかったことだけをお書きしましたけれども、本当はこの事件がどう起きたのかということは、まだ説明が必要だったかなとは思っています。
本当に借金まみれで地獄のような生活をしていて、まして住宅ローンだけはとりあえず払わないと取られてしまう。そんな中で親、弟が協力してくれるのではなく、要は私たち夫婦に支払いを全部押し付けていたという感じなのです。でも、私たちも生活を守るために払えるものは何とか払っていった。だから、預貯金がないというのが皆さん不思議に思われますけれども、最初はその預貯金を全部崩して払っていたのです。預貯金は自然になくなってしまうような形。
だから、あるのではなしに、なくなった経緯までお話する方が分かりやすかったのかなとは思いますけれども、マイナスの生活の中をずっとたどってきた中で、最後には弟がこのような事件を起こす形になりました。
では、何か手助けがないのか。人は死んでしまった。子どもたちは傷つけられて、傷口はふさがりましたけれども、結局、精神的なものは1つも治っていないと思う。だから、精神的な部分も治る治療費とか、そういうものも何とか助けてもらえないかと思って、今回、治療費のお支払いなども助けてくれませんかということを言いたかった感じなのです。本当の中身をもう少しかいつまんで説明しておけばよかったのですけれども、質問してくださったから。
記憶が無数に途絶えています。ただ、その事件のあったことをいっぱい思い出すと、少しずつですけれども、歯車が途切れ途切れですが、思い出して話ができるかなという感じなのです。ばらばらに話をしているのではないかと思われますけれども、正直に話しているからこんな形にはなっています。
○ 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長どうもありがとうございました。
○ 椎橋座長松村構成員、どうぞ。
○ 松村構成員一言だけ。
その事件のときのお葬式は、どうされました。
○ 大崎氏葬式は勿論、最初はお金を払えませんでした。率直に葬儀のお金は、皆さんが来た香典で全部賄いました。テレビの報道や何かで大勢来てくださいました。ただ、一般のような葬儀はしませんでした。というのは、華やかな葬儀は挙げるだけの余裕がなかったです。ただ、棺桶と骨箱と葬儀の花も一切頼みませんでした。だから、葬儀を挙げたというのは私からしてみれば、挙げられたというのが本音なのですけれども、親族の花輪は1つもありませんでした。ただ、会社からの花輪が1つだけ届きました。そういう状況の中で言ってみれば、質素に葬儀を挙げさせてもらいました。
○ 松村構成員ありがとうございました。
○ 椎橋座長よろしいでしょうか。
それでは、大崎様のお話については、これぐらいで終わりたいと思います。どうも、今日は貴重なお話をありがとうございました。高橋弁護士もありがとうございました。

(発表者交代)

○ 椎橋座長続きまして、佐藤様(仮名)に御入室していただきますけれども、御紹介をここであらかじめさせていただきたいと思います。
佐藤様(仮名)は、平成X年に発生した傷害事件被害者の御長女でございます。
佐藤様(仮名)のお父様は、加害者の一方的な思い込みにより、顔面を殴打される等の暴行を受け、常時介護を要する胸部以下の完全麻痺等の障害を残されました。佐藤様(仮名)は、事件翌年お父様が他界するまで介護に当たってこられました。
この事件で事件8ヶ月後に障害給付金支給裁定申請をされ、申請後3ヶ月で、給付金を支給する旨の裁定があったと伺っております。
それでは、佐藤様(仮名)、よろしくお願いいたします。お話をお伺いしたいと思います。まず最初にお話を伺いまして、それから、私たちの方から御質問させていただきたいと思っております。事件のこととか、あるいはそれについてどういう被害を受けられたか、どうお思いになっているか等について、お話をいただけるとありがたいと思います。
○ 佐藤様(仮名)平成X年に事件が発生いたしました。当時、働いていた会社で加害者がいきなり殴ってきました。
お父さんは、殴られてからしばらく意識がなくなったみたいで、気が付いたときには何も覚えていないけれども、とりあえず、救急車を呼んでくれと言いまして、救急車で運ばれたときに、救急隊員には同じ会社の人だからということで、自分で階段から落ちたとうそを言いました。
その後に集中治療室に入り、頸椎損傷と言われました。私が呼ばれたときには、担当のお医者さんから胸から下が動きませんと言われまして、そのけがが一歩ずれていたら即死だとも言われました。でも、とりあえず、お父さんは自分の病状がよく分かっていなかったので、すぐに退院すると思っていたのです。それで、体が動かないとお父さん本人に言ってしまうと、本当にショックを受けると思って私も黙っていて、ずっと看病していたのです。
お父さんは、そのときは大げさにしたくないと、警察に届けるのをためらっていたらしいのです。だけれども、加害者の方が何日経っても何も言ってこなかったのです。謝りにも来ないし、何も音沙汰なく、せっかく気を遣ってやったのに謝りにも来ないとお父さんは腹を立て、私に警察署に被害届を出すよう頼みました。事件から5日後に私が被害届を出しました。
お父さんが病院へ入院したとき、すごくお金がかかりました。病院を3か月ごとに転院という形で回ったのですけれども、病院ごとに使う物とか用意する物が全部変わるのです。それで一つひとつ、使う物が変わったり、介護用だからおむつが必要なのです。おむつは実費で入院する人に対しての準備をしなければいけないのです。あと、病院でクリーニング代というので、洗濯をするときにお金がかかったり、バスタオルとかも1日に2枚必要と言われて、結構何十枚と用意しなければいけないと言われたりしました。
私のお父さんは病院に入院する前に、市の国保ですごい7年ぐらい滞納していて、病院から入院費とか請求されたときに全然払えないというか、経済的に私もお父さんのお金まで出せなかったので、すごく困ったのですけれども、一応入院費とかも本当にかかるというので、お父さんから市役所の方で期限付きだが、何とか生活保護で賄ってもらえないかということで生活保護とかを市役所で申請しました。
それで、お父さんは年金をもらっていました。普通に健全でいたときに仕事もしていて、厚生年金をもらっていたのですけれども、お父さんが年金を担保に100万円借金したのです。それを返済しなければいけないということで、月5万円ずつしか手元にはなかったのです。入院してから、お父さんのお金から、仕事もしていないし、生活もしていないからというので、入院費等を何とか分割にしてもらって、返済していました。
一応、滞っていたお金を全部いただいた給付金によって全部賄えたので、それは助かったと思っています。
何を話したらいいのか本当に分からないのですが。
○ 椎橋座長いろいろ大変だったと思うのですけれども、こういうことをしてほしかったとか、そのときにお感じになったことはありましたか。
○ 佐藤氏(仮名)事件のこととかなのですけれども、裁判があったのです。その裁判のときに結局、被害者のことより加害者の方ばかり守られていたような気がするのです。それを言うのも、私も検察庁とかでいろいろ話とかしたりしていましたけれども、検察庁の担当の人が「人の心は分からないからね」とか言っていたのです。
何のことを言っているのかなと自分ではさっぱり理解していなかったのですけれども、人の心というのは、加害者の心は分からないということだったと思うのですが、加害者は何度か逮捕歴があったり、いろいろあったこと、過去のことは全部聞かないのですよ、その裁判では。過去のことは流されて、今、そのときに起こったことしか見ていなくて、結局、求刑が7年だったのが4年に変わったり、その4年になったというのも一応、相手方の弁護士さんから被害損害金ではないけれども、被害金を支払うという形でお金をよこされたのです。それが2万円だったのです。もらった2万円でお父さんは「子どもの小遣いではあるまいし」と。
結局、その2万円も生活の方に入れなくてはと思って、加害者の人がよこしたお金というのは、その後、もらえる保証がなかったので、私は受け取りました。お父さんは受け取らないと言ったのですけれども、絶対に後からもよこさないと思っていたから、一応もらっておくという感じでもらって、もらったお金のせいで裁判が軽くなったのかなと後で思ったら、もらわなければよかったなと思ったりもしたのですが。
お父さんが民事で裁判を起こすとも言っていたのですけれども、私も裁判所に聞いてみたら、加害者に支払い能力がなければ、裁判を起こしても無駄だという話を言われて、そういう裁判とかも起こせなかったので。とりあえず、裁判制度的にもよくテレビとか見ていても、被害者の人が泣き寝入りすることが多い気がするので、もうちょっと被害者の心的に落ち着けるではないけれども、ほっとできる裁判制度にしてもらいたいなと思っています。
○ 椎橋座長どうもありがとうございました。
あと、構成員から御質問させていただきますので、よろしくお願いします。
それでは、どうぞ構成員の方から御質問がありましたら、お願いいたします。
番構成員、どうぞ。
○ 番構成員大変だったと思いますけれども、お父様は事件当時、お幾つだったのでしょうか。
○ 佐藤氏(仮名)60代前半です。
○ 番構成員それから、今、2万円を加害者側から弁護人を通じてでしょうけれども、渡されたということですが、それが全額という、これしかできないという形で言われたのですか。
○ 佐藤氏(仮名)一部と言われたのです。
○ 番構成員そうすると、まだ支払いますという形にしたのか、それとも幾ら幾ら今後、支払いますという何か決まったものは。
○ 佐藤氏(仮名)そういう約束は何もないです。ただ、とりあえず2万円と言われて。
○ 番構成員そうだとしたら、裁判の結果にそれがそれほど 大きく影響したものではないと思うので、あなたが生活のために受け取ったことを後悔なさることはないと私は思います。
○ 椎橋座長ほかにいかがでしょうか。
松村構成員、どうぞ。
○ 松村構成員損害賠償の裁判をしようと思ったけれども、しても無駄だということをだれに言われましたか。
○ 佐藤氏(仮名)自分の地元の裁判所の、お父さんが民事を起こしたいと言っていて、そういう話。裁判を起こしたときも、それから民事に移行できますという話も聞いたのです。相手方に資産がないと起こしてもあれだと言われたし、その人は住所がちゃんと決まっていなかったのですよ。なので、裁判を起こすのにも請求をするのにも言えないからだめだと言われたのです。
○ 松村構成員確かにその時点だと2,000円で裁判を起こせるのですよ。それなのに、そういうことを2,000円がどうだか分かりませんけれども、大変だということになれば、やらなかったのかなと思ったのですが、そういう説明もなかったとすれば、やはり手続的には抜けていたのかなと思います。
○ 椎橋座長ほかにいかがでしょうか。
岩村構成員、どうぞ。
○ 岩村構成員どうもありがとうございました。
生活保護の申請をされたと先ほどお話になっていましたが、生活保護自体は出たのですか。
○ 佐藤氏(仮名)一応、お父さんは年金をもらっていて、その後に障害年金に変わるという話を聞いたのです。障害年金に変わるという話で、障害年金に変わったら金額が変わるのでという話で、障害年金の申請をして、それを受理されたときには生活保護は打ち切りますという話で、期限付きで何とか言って、生活保護をもらって病院代を負担してもらいました。
○ 岩村構成員お父様が障害年金の前は、老齢年金が出ていたのかな。
○ 佐藤氏(仮名)一応、厚生年金で。
○ 岩村構成員分かりました。
あと、もう一点なのですが、頸椎損傷ということになって寝たきりでいらしたので、そうすると、介護保険の。そうか、65歳になっていないのか。介護保険にいかないのですね。
○ 佐藤氏(仮名)だから、障害者手帳とかも申請して、病院を移るときに福祉タクシーで運んでもらったりとかしてもらいましたけれども、お金が下りないのですよ。
○ 岩村構成員ありがとうございました。
○ 椎橋座長ほかにございますか。
どうぞ。
○ 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長何点か。
1つは、お父様は一般の民間の保険には入られていなかったのですか。
○ 佐藤氏(仮名)生命保険とかは入っていなかったです。
○ 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長災害保険、生命保険には入っておられなかった。
それと、最初に先ほどおむつ代とかクリーニングだとか大変だった。当初の初期的な経済的な負担はあったと思うのですが、最終的な結果として犯給金で大体1,900万円ほどを受け取られておられますけれども、結果として佐藤さん(仮名)御自身が経済的に物すごく負担が残ってしまったということはなかったという理解でよろしいですか。
○ 佐藤氏(仮名)とりあえず、お父さんの借金はかなりあったので、給付金を全部返済に充ててという感じで、全部賄えたので。でも、まだお父さんが長生きすると思っていたから、一応そのお金を生かして介護的にベッドとか使いやすいようにしようと思っていました。
○ 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長分かりました。
すると、犯給金の制度については、どこで教えてもらったのでしょうか。
○ 佐藤氏(仮名)一応、警察署の方でこういう制度がありますよという感じでパンフレットをいただいて、こういうものがあると、警察署の担当の人に言われました。入院の方もあるとは言われたのですけれども、入院のときに一応、分割で払っていたので、領収書みたいなものをもらえなかったのです。入院のかかった費用とか、そういう領収書を一緒に合わせて出さないと給付できないと言われ、それは申請できなかったので、出しませんでした。
○ 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長ありがとうございました。
○ 椎橋座長そのほかには、いかがでしょう。
それでは、このぐらいにしたいと思います。
本日は、本当にありがとうございました。
○ 佐藤氏(仮名)何もしゃべれなくて済みません。
○ 椎橋座長貴重なお話をお伺いできました。ありがとうございました。参考にさせていただきたいと思います。

(発表者交代)

○ 椎橋座長田中様(仮名)、渡辺様(仮名)、どうも本日はいらしていただきまして、ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
それでは、お二人の御紹介をさせていただきたいと思います。
田中様(仮名)は、平成Y年に発生した殺人事件被害者の御遺族、渡辺様(仮名)は田中様(仮名)の実母に当たります。
田中様(仮名)の御主人は、飲食店でのトラブルに巻き込まれ、刃物で刺殺されました。
この事件で事件の4か月後に遺族給付金支給裁定申請をされ、その約1か月後に給付金を支給する旨の裁定があったと伺っております。
それでは、田中様(仮名)、渡辺様(仮名)、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
田中様(仮名)から、よろしくお願いいたします。
○ 田中氏(仮名)田中(仮名)と申します。よろしくお願いします。
私の夫は飲食店でトラブルに巻き込まれ厨房にあった包丁で店員に胸を刺されて亡くなりました。
当時、主人は30代前半。息子が一人。私は妊娠中で事件約4か月後に長女が生まれました。犯人は現場から逃げましたが、その日のうちに捕まりました。
翌年に裁判があり、懲役15年が確定しました。主人がいたころは、夫婦共働きでした。事件の1年8か月前に子どもは3人欲しいし、これからお金がかかるからと以前勤めていた会社を辞め、収入が安定していて今後も安心して働ける環境の会社を探して転職をしてくれたので、私もフルタイムではなく時短勤務で働いていました。
それでも贅沢をしなければ、夫の趣味だったサーフィンをしに週末に出かけたりできるぐらいの生活ができていました。生活は主人の収入分ですべて賄って、私の収入は貯金に回していました。主人の収入が途絶えて、私の給与だけになり、収入は3分の1になってしまいました。
当時、私は長女を妊娠中でしたので、事件1か月半後くらいから出産休暇を取る予定でした。その後、無事長女が生まれ、事件後半年から約10ヶ月間は、育児休業給付金を月に約6万円ハローワークから支給されていました。
育児休業給付金も出なくなりますし、早くに職場復帰をしようと考えていましたが、勤務先の配慮や、私も復帰をしたら子どもたちと触れ合える時間も少なくなると思い、取得できる最長期間まで育児休暇を取ることにしました。なので、育児休業給付金の支給が止まってから職場復帰するまでの約半年間は全くの無給状態でした。
主人が亡くなり、まず最初の支出は葬儀費用でした。今、思えばひっそりとするのがよかったのかもしれないと思いますが、主人の両親にすべて任せていたので、はっきりとは把握していませんが、葬儀に来ていただいた方々からのお香典代の約400万円は、葬儀や法要代でなくなったと聞いています。実際に、私の手元にはそのお香典の残りはありません。
次にかかったのが引越し費用です。さまざまな事情があり、当時住んでいた自宅を出なければならなくなりました。妊娠中でもあり、今後の経済状況を考えて、主人の四十九日法要が終わった後に実家に戻りました。その際の引越し費用は、約10万円でした。
その後、仕事に復帰するまでの間は実家の両親がこれから子どもたちにお金がかかるし、貯金を切り崩す生活はさせたくないと言って、老後のための貯金を一時やめて、両親の年金と父のアルバイトの収入で私たち親子3人の面倒も見てくれました。
私は事件当時、仕事をしていましたので、長男は自宅近くの保育園に通っていました。実家に引っ越してきたので、保育園を辞めさせることも考えましたが、できるだけ今までどおりの生活をさせてあげたいと思っていましたので、実家近くの保育園に入園することになる私の職場復帰時まで両親に協力してもらい、実家から保育園まで1時間以上かけて電車登園することにしました。朝は、長女がまだ小さく授乳しなければならないこともあり、仕事が休みの日には父が、父が仕事の日は母が通勤ラッシュの中、連れていってくれ、お迎えは私や父が行っていました。その間の電車代は、約42万円かかりました。
なお、全国的にある児童扶養手当は遺族年金等の公的年金を受給している場合は、支給されません。児童育成手当は東京都独自の制度で、遺族年金を受給していても支給されて、ひとり親家庭の子ども、1人当たり月1万3,500円が支給されます。実家があるC県にはこの制度がありません。全国的にこの制度があれば、家計が助かるひとり親家庭がもっと増えるのではないかと思います。
現在の生活状況は、私も昨年から職場復帰し、長男も実家近くの保育園へ転園しました。長女も同じ保育園に入園することができました。職場復帰後は家族5人の生活費を半分ずつ両親と私で出し合っています。
事件後は遺族年金を受給し、子どもたちのための貯金も月々少しずつですが、できているので、助かっています。そして、事件のあった半年後に、警察の方がわざわざ実家まで来てくださり、犯罪被害給付金が振り込まれました。まだ子どもも小さく、すぐにお金が必要というわけではありませんでしたが、これから私だけの収入で子どもたちを育てていけるのかと不安に思っているときに、このような早い対応をしていただき、気持ち的に余裕ができて少し安心することができました。
夫が亡くなったことで得たお金は遺族年金を除いて、すべて子どもたちの将来のために通帳を作り貯金をしました。そして、刑事裁判の際、損害賠償請求をしましたが、犯人には支払い能力がないとのことで現在、弁護士さんにお願いして、加害者の職場での事件ですので雇用主に対して民事裁判を起こし、損害賠償請求をしている最中です。
弁護士さんへの費用も250万円かかりました。刑事裁判でも弁護士さんにお世話になったので、150万円かかりました。民事裁判が始まって1年半経った今も、裁判は順調に進んでいません。
これから2人の子どもが成人するまでに、どのぐらいのお金がかかるのか分かりません。そして、現在、両親と暮らし、サポートしてくれているので、とても助かっていますが、母は視力に障害があり、悪くなることがあってもよくなることはないと医師から言われているそうです。
父も一昨年から目の筋肉が機能しなくなる病気にかかり、通院治療しています。そして、2人とも私たちが同居するようになってから、目に見えて年をとったなと感じます。自分の娘やかわいい孫でも、さすがにストレスになることもあるのだと思います。今は元気にしてくれていますが、いつか両親も高齢になり、介護をしなければならなくなるときがきます。そのとき仕事と家事と介護の両立ができるのか、考えると、とても不安です。
そういう状態になったとき、子どもがいるひとり親世帯に生活をともにする介護を要する家族がいる場合に、一時的にではなく月々という形で継続的な支援があったらいいのではと思います。
そして、今回の趣旨とは外れてしまいますが、遺族年金も子どもが18歳になると受給資格がなくなります。私自身が定年退職してから年金を受給できるまでの間、職に就けるのか分かりませんし、生活していくだけの貯金ができているかも分かりません。せめて大学卒業まで遺族年金が支給されるようになると、金銭面での負担が減るので、安心できるのではないかと思います。
以上です。
○ 椎橋座長どうもありがとうございました。
続きまして、実母でおられる渡辺様(仮名)にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○ 渡辺氏(仮名)今、娘が申しましたとおりに、ほとんど重なる部分が多いのですが、外見はこんなに元気にいたしておりますけれども、目の病気を抱えておりまして、失明することはあってもよくなることはないと言われて、今、治療中です。
ほかにも病気を抱えたりなどしていまして、娘の将来を思ったり、孫の将来を思ったりいたしますと、夜中眠れないことも多々ありますし、自分たちが先ほど娘が申しましたとおりに具合悪くなったときはどうなってしまうのだろう。娘に負担をかけたくないと思って、ずっと暮らしてきて、それがそうではなくなったときにはどうなってしまうのだろうと思うと、本当に背中が寒くなりますと、寝られなくなりますし、人と会いたくなくなって口も聞きたくなくなって、お友達と連絡をとりたいと思ってもできなくなる、そういう精神状態になることもあります。
本音で言えば、元の生活を娘たちに取り戻してやりたい、今でもそう思っています。何よりもお腹の中にいた子どもが育ち、かわいくなって、パパに抱かれたこともない、名前も呼ばれたこともない子ども、その子が「私にどうして、パパがいないの。お兄ちゃんとの写真はあるのに私のはないの」と聞かれたときに、どうやって説明してあげよう。そんなことを日ごろ考えると、胸が高鳴って自分自身どうしていいか分からない状態になります。
娘も私たちがいる間はまだあれでしょうけれども、いずれは亡くなります。そのときに娘が子どもたち2人抱えて、こういう御時世の中でどうやって全員幸せに生きていけるか、そんなことばかり考えて日々暮らしております。
でも、娘はまだ恵まれている方だと思うのです。仕事もちゃんと会社が待っていてくれましたし、今も無事に仕事ができていますし、何とか私たちも娘のことをサポートできていますので、恵まれているとは思います。
でも、先々のことを考えて、自分のことも考え、娘のことも考えますと、どうしてほしいかということは当面差し当たって、今のところないのですけれども、何だか分からない不安がいっぱいあって、私がどうして今、こういう思いをしなければならないのかということが、まだ納得いかないというか、分からないのですけれども、とにかく自分たちの将来、子どもの将来、娘の将来が一番心配しているところです。
ただ、犯罪被害者の給付金のことに関しましては、本当に早い対応に感謝しながらお礼を申し上げたいと思います。
○ 椎橋座長どうもありがとうございました。
つらいことを思い出させてしまって申し訳ないと思っておりますが、制度の検討のために貴重なお話ですので、ご理解いただきたいと思います。
これから私達の間で検討するために質問をさせていただきますので、これについてもよろしくお願いいたします。
構成員の方々から御質問がございましたら、お願いいたします。
番構成員、どうぞ。
○ 番構成員お子さんを妊娠中にこういう事件に遭遇されて、本当に痛ましいことだと思っております。
そこで今、給付金の関係なのですが、Y年に事件が発生して、いただいている簡単な書類の中では、約4か月後に申請をなさって、そして、その約1か月後に支給された。このタイムスケジュール、これはこれでよろしいのでしょうか。4ヶ月後に申請というのは、合っていますか。
○ 田中氏(仮名)はい。
○ 番構成員では、申請して、1か月後に支給された。この給付金制度については、警察の方からお聞きになったわけでしょうか。
○ 田中氏(仮名)そうです。
○ 椎橋座長ほかにいかがでしょうか。
どうぞ。
○ 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長犯罪被害によって、経済的にどのような困窮状況等に陥るのかということ、それをどうしていこうかという検討の場ですので、突っ込んだことを聞いて恐縮なのですが、今のお話ですと、現時点において極めて困窮、厳しい状況ではないけれども、将来の子どものことを考えたりすると不安な状況であるというのが状況かと思います。
立ち入って恐縮なのですが、御主人の場合、会社側からの見舞金だとか生命保険だとか、そういうものはかかっておられたのでしょうか。
○ 田中氏(仮名)事故とかの場合の保険をかけていたようで、こういった殺人事件で亡くなるというのは初めてだということだったのですけれども、いただきました。
○ 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長それについても子どもさんの将来のためにという形で置いておられる。
○ 田中氏(仮名)とってあります。
○ 椎橋座長そのほかにございますか。
○ 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長最後に、この1,900万円ぐらいの犯給金なのですが、金額的にどういう印象をお持ちになっておられますか。
○ 田中氏(仮名)多いとか少ないというのも、受給した給付金というのを目の当たりにしたことがないので、よく分からないのですけれども、子どもに対してこれからどれぐらいかかるのかということも分からないのですが、こんなにいただいてしまっていいのかなというのが実際の気持ちですね。
○ 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長将来の子どもさんのことを考えたら、いろいろと変わってくる部分もあると思いますけれども、分かりました。ありがとうございました。
○ 椎橋座長それでは、お二人には大変貴重なお話を伺うことができました。大変ありがとうございました。
○ 田中氏(仮名)ありがとうございました。

(発表者退室)

○ 椎橋座長本日は3つの事案につきまして、4人の方々からお話を拝聴しましたけれども、本日、被害に遭われた方々の経済的状況に関する実情について理解を深めるとともに、今後の検討会における議論に生かしてまいりたいと思います。
今の時点におきまして、本日のヒアリングを踏まえ、今後、検討すべき課題とか事項について何か気付かれた点あるいはヒアリング全体を通しての御意見などがありましたら、御自由に発言をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
今日でヒアリングは終わりということですね。
よろしいでしょうか。
それでは、本日の被害者の方々からのヒアリング内容や議論を踏まえまして、今後、検討課題あるいは論点の整理等へ向けて検討を行ってまいりたいと思います。
どうもありがとうございました。
それでは、ここで大分時間が経ちましたので、5分程度休憩をとりたいと思います。恐縮ですが、5分後にはお戻りいただければと思います。

(休憩)

○ 椎橋座長それでは、検討会を再開したいと思います。
次は、議題4でございます。「諸外国における犯罪被害者等に対する経済的支援制度等」に入ります。
これまでドイツ、イギリス、フランス、韓国についてヒアリングを実施してまいりましたけれども、本日はアメリカにおける犯罪被害者等に対する経済的支援制度について、常磐大学大学院の冨田教授から御説明をいただく予定としております。
それでは、冨田先生、よろしくお願いいたします。
○ 冨田教授冨田でございます。
本来は10月の第3回検討会のときに御報告することになっておりましたけれども、いろいろな事情で本日まで遅れることになってしまいました。そのことをまずお詫びしたいと思います。
それでは、私からアメリカ合衆国における犯罪被害者等に対する経済的支援制度についてごく簡単でありますが、御報告させていただきます。お手元に資料1と記された資料があるかと思いますので、それに従ってお話を進めてまいりたいと思います。
まず、アメリカ合衆国における犯罪被害者支援に対する経済的支援ですけれども、これを説明するのは私の能力の問題も勿論ありますが、かなり難しいと感じております。1つは、給付制度にも関係することですが、連邦と州があってなかなか全体像がとらえにくいということと、後で申し上げますけれども、制度が比較的古くからあり、また州ごとに異なる制度があるということで、これがアメリカの制度だということが言いづらいということがあります。被害者も多様であるということで、制度がアメリカではこうであるということが言いにくいということがあるかと思います。
まず、そういう状況でありますけれども、何とか説明してまいりたいと思います。始まりは1965年、カリフォルニア州で始まりました。御存じのとおり、ニュージーランドの補償制度の開始が、イギリスもそうですけれども、1964年ですので、かなり早い時期から始まっているということが言えるかと思います。その後、各州でこの制度が作られていきまして、1972年ぐらいまでに9つの州で制度が設けられていているということが文献等で記されております。
これは給付制度だけに関係することではありませんけれども、被害者支援制度全体を見てまいりますと、1970年代にはLEAA(法執行制度の改善のための連邦による州に対する補助金)という制度がありまして、連邦の補助金を用いて被害者支援のためのプログラムが各地で始まっています。75年にNOVA(全米被害者支援機構)ができています。70年代では性犯罪被害者やDV被害者などが団体を作って、いろいろ社会に対する働きかけが始まって、1つ大きく被害者支援全体が進展した年代だと考えます。
そして、大きく展開したのが1982年でありまして、当時は、レーガン大統領だったわけですけれども、犯罪被害者に関する大統領特別委員会が設けられまして、本当に短い間に被害者等に対するヒアリング等を行って、同年に報告書を出すわけです。この報告書が刑事司法機関を始めとするいろいろな機関に対して、被害者支援はこうあるべきだという勧告をしておりまして、68の勧告があるわけです。今でもネット上でも入手できますけれども、今、見ても非常に面白いというか参考になるところが多いわけです。これが方向づけをしたと思っています。
83年に司法省の中に内部的な組織ですが、OVC(犯罪被害者支援室)ができました。ただ、正式な発足は1988年です。1984年にVOCAと言われているVictims of Crime Act(犯罪被害者法)が制定されまして、これに基づいてCrime Victims Fund(犯罪被害者基金)ができました。これが各州における給付制度というか、コンペンセーションに対する補助をするということにしたのと、被害者支援プログラムに対する補助をするということをしまして、これでまた大きく発展するということになります。この点については、また後ほど申し上げます。
その後ですが、1980年代から90年代にかけては、刑事手続における犯罪被害者の法的地位に関する立法が多く制定されています。1990年のCrime Control Act(暴力犯罪規制及び法執行法)であるとか、そこに簡単に書いてありますけれども、さまざまな法律ができて、損害賠償命令の拡大をするとか被害者の権利章典的なものができるということで、大きくまた発展するときであります。
2000年代に入ってからは、私の理解ではテロリズム対策として、国際テロリズムの被害者に対する支援が強調されているように思います。
ということで、発展はこのような形になっているのではないかと思います。これは御参考までです。
「II 犯罪被害者補償制度」についてお話しますと、どの国でも類似しているかと思いますけれども、合衆国で被害者等が被った経済的損失を回復する制度としては、大きく分けると、州が給付する被害者補償制度、裁判所が命ずる損害賠償命令、そして、民事の損害賠償制度、この3つが主要であると思います。
今、申し上げたとおり、コンペンセーションは州が被害者等に対して損害について補償する制度です。損害賠償命令は刑事裁判所が犯人に対して被害者等への損害賠償を命ずる制度。民事訴訟は、犯人に対して被害者等が提起するということです。
国による支援は犯罪被害者補償制度ですので、これについて紹介してまいりたいと思います。ただ、これは後にも触れますけれども、合衆国の中に公的な給付制度とか民間の保険制度もありますが、それらが果たしている役割は非常に小さいと言えるかと思います。これは後で触れたいと思います。
次のページですけれども、そもそもアメリカ合衆国の犯罪被害者補償制度の基本理念は何なのかということなのですけれども、結論から申し上げると、私はよく分からないというところです。本当に頼りないのですが。
もう一つ、各州のコンペンセーションに関する法律を見て、このような趣旨でこの制度を設けるという理念規定というか、目的規定みたいなものがないかということで幾つか探してみたのですが、私の勉強不足もあると思いますけれども、明確なものがなかったように思います。ということで、そこで現行の制度から推測して、こういう理念に基づいているのではないかという、まさに推測をしました。
よく被害者補償制度を説明するときに4つのモデルが示されますけれども、1つは国家の安全保障義務を果たせなかったので、損害賠償を国が行うという考え方。2つ目に、被害者が経済的に困窮しているので、それに対する補償をするという、生活保護的というか、社会福祉型モデルというのがあるかと思います。3つ目には、犯罪の発生は避けられないので、みんなでリスクをシェアしましょうという保険的な考え方があります。4つ目が刑事司法制度や国に対する信頼を確保するため、あるいは国民の間の連帯共助という考え方があります。連帯共助と言ってもいいのですが、「協力確保」とここでは名付けましたけれども、そういう4つのモデルに分けられるかと思います。
先ほど申し上げたように、何が理念なのかよく分からないということですが、そこで現行の制度を見ると、1つは、アメリカ合衆国の制度は後で申し上げるとおり「最後の支払手段」です。自分のかけている保険であるとか、あるいはそのほかの医療保険であるとか、そういうものを利用してもカバーし切れない場合に、最後に利用できる制度ということになっています。そうなると、実際に利用している人はほとんどが低所得者層であります。ということで、そういう意味から考えると、社会福祉的な性格が強いということが言えるかと思います。
これは後で御説明いたしますけれども、財源が一般財源はほとんど使っておりません。罰金等を用いて使っているということから見ると、国家が損害賠償をするという考え方だとか、国民がみんなで負担しましょうという保険的な性格は弱いと言えるかと思います。
最後になりますけれども、ただ一方で、かなりどの制度も捜査機関への協力ということが強調されておりますので、刑事司法への協力確保ということによって、効果的な犯罪統制を目指すという趣旨が強いのではないかと言えるかと思います。この辺は推測に基づくものでありますので、これからお話があるかと思いますけれども、現地調査の折にこの辺を確認していただければ、非常にありがたいと思っております。
そこで、現在、アメリカ合衆国においてどこにあるかというと、全部の州にございます。そのほかにワシントンD.C.、そのほかの領土、例えばプエルトリコ、ヴァージンアイランドや、ここに書き漏れましたけれども、グアムにもございます。
内容ですが、州によって異なります。基本的には、その州内で発生した暴力犯罪の被害者及び殺人事件の遺族です。財産犯は除かれます。アメリカの特徴の1つは、後で支給実態をご覧になれば分かると思うのですが、DVとDUI、DWIと言われている飲酒運転の被害者が含まれるということが非常に特徴かと思います。
一部の州、例えばカリフォルニアとかオハイオでは、国外における犯罪であるとかテロリズム被害に対する補償をしています。国外補償もあります。ただし、これは例外です。ただ、国外テロリズムについては連邦の別の制度がありますので、現在は州よりも連邦の制度が中心になっています。これは後で触れます。
支給内容ですけれども、州によって異なるということは何度も申し上げているとおりですけれども、多くの州で対象となっているのが次のようなものです。医療費、カウンセリング費用、逸失利益、殺人事件の場合の被扶養者の生活費、葬儀埋葬費、性犯罪の場合の引越し費用、場合によっては交通費、家事・育児の代行費、犯罪現場の清掃費、リハビリテーション費用、住宅の改造費、弁護士費用等があります。
5ページ、犯罪行為によって損害を受けた物品については、支給の対象とはならないところが多いのですが、ただし、ニューヨークなどによっては眼鏡だとか補聴器などが壊れたりしたときには支給されるという例もあります。
慰謝料は原則ないのですが、認めている州も例外的にではありますけれども、あるという記述がありました。
支払金額ですが、最高額は州によって異なりますけれども、1~5万ドルが多いと言えます。ニューヨーク州では2万5,000ドルだったかと思います。ただ、ニューヨーク州では医療費の上限は認められていないという記述がございました。
支給実績ですが、これはOVCの資料、連邦の犯罪被害者室がまとめておりまして、そこから見ますと、全部で4億3,000万ドルほどです。支払件数が約15万件です。DV関係が多くて約3万件あるということで、その内訳が下の表のとおりでありますが、全部で15万1,000件のうちDV関係が約3万件ということで、これはかなり大きな特徴かと思います。
そして、項目別の支出を見ますと、6ページに書いてありますように、医療費が約半分、経済的逸失利益等の経済的なものが16%ぐらい、葬儀埋葬費が11%ぐらい、精神保健費が8%という内訳になっております。
次に「(5)不支給・減額事由」ですが、親族関係はあっても支給されるということです。例外も幾つかあるようですけれども、DV関係が多いということもそれが関係しています。ただし、その結果、特にDVの場合はそうですけれども、加害者が不当に経済的利益を得るような場合には認められないということも書いてあります。被害者に有責性がある場合は減額支給になります。
その事件に関係のない事件の前科前歴を理由として、支給されないということも書いてある資料があります。
捜査等への協力が強く求められていることを申し上げましたけれども、迅速に通報するということが書いてある州が多いです。72時間以内ということが書いてあります。ただ、例外もあります。検察や警察に協力しなければならないということ等、申請も速やかに行うべしということが書いてあります。
他の給付との関係ですが、これは先ほど申し上げたとおり、コンペンセーションは最後の支払手段です。したがって、そのほかのすべての収入は考慮されて調整されるということです。公的給付制度は、本当に私は勉強不足ですが、幾つかあって、例えばメディケアとかメディケイドという連邦のごく限られた医療保険であるとか、退役軍人向けの健康保険制度であるとか、そういうものから支給されるものや民間の任意の保険であっても、すべて考慮されます。そこからもカバーされないときに、初めてこちらに申請した場合に認められるということであります。
ただ、コンペンセーションとは別に一時的な金銭を支給するプログラムも被害者支援の危機介入サービスの一部として存在しております。現実的には、アメリカではこのような公的な健康保険制度はごくごく限定されたものだと聞いておりますけれども、それですら加入している人が非常に少ないので、そのような本当に低所得者の人にとって被害者補償制度は、逆に最初の支払手段となっているといわれます。ほかに利用するものが何もないので、ここに申請するしかないということもよく言われております。
どこが運営しているかと申しますと、先ほど言いましたように州ですが、州の担当部局はパブリックセーフティー、つまり公安部とかCriminal justiceというところが多いようですけれども、そのほかにいろいろな部門で担当しているようです。
財源ですが、ここがかなり特徴のあるところですが、罰金等の犯人が負担するものだけに依存するというところが大部分です。ただ、一部の州ではそれ以外の一般財源も利用するグループもありますが、これは非常に限られております。犯人が負担するものについては、罰金であるとか、罰金の追加金だとか、そのほか刑務作業の収入であるとか、これは各州によって本当にさまざまであります。
もう一つ大きいのは、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、連邦から州に対する補助金があります。これはCrime Victims Fund(犯罪被害者基金)からの補助ですが、前年度の支出した金額について一定割合で、具体的には、前年度に給付金で使ったお金のある程度が翌年度に支給されるということです。その割合は現在、60%となっております。1億7,200万ドルほどという数字が出ています。補助金の5%は運営費に充てるということも決まっております。
この基金はどこが運営しているかというと、連邦司法省のOVCです。OVCはこの給付、被害者補償だけではなくて、そのほかにも幾つかのところに支出しています。連邦の基金の基は、罰金、没収された保証金、特別賦課金があります。最近では寄附も受け付けるようになりました。これはテロ被害に対する給付をするということになってからであります。
どのぐらい入るかについては、そういう形で入るものですから、年度によって非常にずれが大きいので、Cap(支出上限)といって、基金に組み入れることができる金額の上限を議会で決めることをしています。どのぐらい入るかというと、2007会計年度で10億ドル、2008会計年度で9億ドルぐらいです。私が見た最新の資料、OVCがReport to the Nationという資料を出しているのですが、そこの最新版を見るとこの数字が出ております。
細かいことになりますが、基金の使い道や優先順位についてそこに書いてあるようなことがあって、いろいろ連邦関係のお金が使われた後に、残ったお金の47.5%を上限として州の被害者補償制度に対する補助金に回されるということになっています。
8~9ページにかけてですが、2008会計年度で言うと、8億9,000万ドルぐらいが組み入れられています。基金の総額が17億ドルぐらいです。次に、そこに書いてあるようなところに支出されているということです。被害者補償制度に対しては1億7,000万ドルぐらい使われているということです。
あと、国際テロリズムについての制度がありますが、これは国際テロリズム被害者支弁償還制度と仮に訳しましたけれども、それが2006年から運用されていまして、合衆国の国民や米国の政府職員で国際テロリズムによって被害を受けた者に対して、そこに書いてあるように、医療費等の給付がなされるということであります。
駆け足で申し訳ありません。
最後のページです。私からの若干のコメントですが、合衆国の制度というのは、最後の支払い手段ということもあって、適用範囲はかなり限定されているというのが第一の特徴だと思います。ただ、参考になるところはないのかということを考えると、1つは、国外被害への配慮ということが言えるかと思います。特にテロリズム関係についてはある程度厚い補償がなされているといえます。2番目には、親族関係があっても給付されるということがあります。3番目に実損分について請求して補償されるという制度ですけれども、ただ、その対象となる被害が事細かに決められているということで、カウンセリング費用であるとか、そういうものを個別に申請するのも興味深いと言えるかと思います。財源の多様性については、。これは説明いたしましたけれども、あります。ただ、御存じのとおり、合衆国の連邦法違反の事件のお金というのは、メインが例えば反トラスト法であるとか証券取引法であるとかという、そういう企業犯罪の罰金等です。ですから、支給される犯罪との罪種のずれはかなり大きいということが言えると思います。我が国との今後についてのちょっと余分なことが書いてありますが、今は触れないでおきます。
非常に雑駁ではございますが、一通り御説明させていただきました。
以上でございます。
○ 椎橋座長どうもありがとうございました。
ただいま冨田先生からアメリカにおける犯罪被害者等に対する経済的支援制度について御報告をいただきました。
ただいまの御報告につきまして御質問、御意見がございましたらお願いいたします。
黒澤構成員、どうぞ。
○ 黒澤構成員先生、資料1の5ページ、支給件数の一覧があるのですが、DVがほとんどの罪種の範囲に入っているわけですが、支給は、DVということに着目しているのか、あるいは罪種の暴行・傷害、殺人、性的暴行の結果としてDVだということなのか。要するにDVとしてとらえられたものを対象としているのか、罪種に着目してとらえられているのか、そこを教えていただきたい。
次に、飲酒運転がなぜ入っているのか。故意犯と同視すべきという考えで入っているのか。つまり、逆に言うと、過失は、よその国でも一部支給対象として入っているのですが、その辺のところを教えていただきたい。
最後に、児童虐待がございますが、私はアメリカ法は詳しくないのですが、児童虐待罪という罪名があるのかもしれないのですが、この児童虐待とDVというくくりで合わせて見ると、6万件ぐらいになってしまうのですね。6万件は総数に占める比率からいくとかなりすごい比率だと思うのですが、そもそもDVとか児童虐待が対象となって入っているというのは、深刻さ、数も、ボリュームもすごいし、事態の深刻さに着目されて対象となっているのか。その辺をお伺いいたしたいのですが。
○ 冨田教授御質問どうもありがとうございます。
まず、DV関係ですが、資料が分かりにくいかもしれません。それぞれの罪種ごとに夫婦間であるとか、あるいは親密なパートナー間で起きたというものの件数がそれぞれの暴行・傷害の7万何件のうち2万5,000あったということで、数の出し方、ちょっと質問にお答えしていることにならないかもしれませんが、ということで、非常に多いということです。
2番目の飲酒運転ですが、私の理解不足もあるかもしれませんが、いわゆる日本で言うところの自動車運転過失致死傷みたいなものは余りアメリカでは犯罪として扱われないというか、扱われた場合でも非常に軽微な罪です。 飲酒運転だけはいろいろな立法活動等もあって、故意犯的な扱いがされているということで、ここに含められているのではないかと推測いたします。
3番目の性犯罪に関することですが、性犯罪、DV、児童虐待という分野がアメリカの給付だけではなくて、犯罪被害者施策の中心的な部分で、そこはかなり厚く扱われているということで、御指摘のとおり、問題の深刻さを反映しているものだと理解しております。
ちょっと的確なお答えではありませんが、以上でございます。
○ 黒澤構成員そうすると、特にDVにこだわるわけではないのですが、最後の11ページのまとめで「親族関係のある被害者等への適用」と2番目に書いてございますが、要は、親族関係があっても適用になるという解釈の仕方も勿論できるのでしょうけれども、DVが親族関係、事柄の本質上、どうしてもそういうことになるケースが多いわけですが、事態の深刻さゆえに、そこは親族であるかどうかとは関係なく、施策としてこれを守るのだという理解でよろしいのでしょうか。
○ 冨田教授御指摘のとおりだと思います。初めに、親族関係でも給付するというよりも、むしろ児童虐待であるとか、DVという問題の深刻性があって、そこに対する給付をしないとやはりまずいだろうということでその辺も給付の対象になっているという理解をしております。制度的にそもそも最初から親族間犯罪についても給付するという設計になっているのか、逆にDVや児童虐待の問題があって拡大していったのか立法の過程を見ていかないとよく分からないですが、基本的には先生の御指摘のとおりだと思います。
○ 黒澤構成員ありがとうございました。
○ 椎橋座長ほかにいかがでしょうか。
○ 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長ちょっと確認的ですが、今の話に絡むのですが、DVというより親族間の関係で、親族間でも出すよと。ただ、加害者が不当に経済的利益を得るような場合には認められないと。一方で、最後の手段であるということですから、加害者側から補償をもらえば、被害者は公的な補償は、金額にもよるのでしょうけれども、基本的には受けられないと。となると、DVに限らずですが、親族間で加害者の方が比較的お金を持っていたと。しかし、被害者の方が何らかの理由で加害者に請求をしなかったと。そうなった場合、加害者については、被害者は公的な補償をもらおうとしたというときは、加害者はある意味では、経済的な債権を得たわけですね。それは法的にはどうなるんですか。
○ 冨田教授つまり、請求がなければ負担しないわけですから、結果として加害者は経済的な利益は得ていることになるので、そこがどう扱われているのかちょっと分かりません。申し訳ありません。是非現地調査で調べていただけるとありがたいと思います。
○ 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長アメリカの場合だったら遺族に対しては、1~5万ドルぐらいの支給だと。日本の1,900万円というのはアメリカではちょっと考えられない金額という理解でいいのですか。
○ 冨田教授そのとおりです。支給対象の具体的な項目が決まっているので、例えば葬祭費についてかなりかかったとしても、その費用を請求したところで、別からカバーされていれば出ません。そもそも実損分をカバーするという考えですので、我が国の給付金のように、とりわけ遺族給付金のようにどんな場合であってもというか、一定の額が入るということは全くありません。
○ 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長ありがとうございました。
○ 椎橋座長どうぞ。
○ 黒澤構成員先ほど1点質問し忘れてしまったのですが、6ページの医療費から始まってその他までありますが、この医療費が約半分を占めているのですが、この医療費で、例えばDV関係で医療費のうち何割を占めているとか、そういう数字は分かるのでしょうか。
○ 冨田教授先ほど示した5ページとのクロスみたいなことになるかと思うのですが、あったと思います。今、手持ちですぐ出てまいりませんが。先生の御指摘は、医療費の中でDV関係がどの程度かというような。
○ 黒澤構成員DV、そしてまた児童虐待がどのぐらい医療費で占めているのか。その辺が分かるとDVで何に使われているのかというのが分かるものですから。
○ 冨田教授どこかで見たような気もしますので、あると思います。何かの機会に調べたいと思っております。
○ 黒澤構成員細かくて大変恐縮です。
○ 椎橋座長そのほかにはいかがでしょうか。
どうぞ。
○ 瀬川構成員第4点目ですが、私はやや疑問があると思います。
というのは、罰金を財源とすることが我が国の犯給法の国民の連帯共助の理念から外れるという趣旨で書いておられますが、余り言い切ってしまうのもよくないと私は考えております。財源の問題はこれから出てくると思いますが、確かに国民の連帯共助というところからすると外れる面もあるのか分かりませんけれども、外れないとも言えると思います。
もともとこの理念が出てきたのは、一般財源を前提としていますので、それと連携しているわけです。こういう理念の中で法律が作られたということですので、これを基に財源の議論が何か閉ざされるというのは望ましくない。むしろ財源はこれから大胆に考える余地はあると思いますので、余りここで制限的おっしゃっていただきたくないと考えておりました。
したがって、特別賦課金もそうですけれども、検討の余地を残しておいた方がいいのではないかと私は考えております。
○ 冨田教授御指摘どうもありがとうございます。
私も非常にここは悩んで、書いておりまして、やはり連帯共助で一般財源というか、税金を使っているというのは非常に結構なことだと思っています。そこで、罰金を財源とすることを提案することによって、連帯共助の精神というのが後退するようなことがあっては困るという趣旨で書いたつもりでおります。
○ 瀬川構成員その辺よく分かりました。
○ 松村構成員ちょっと確認ですけれども、4ページにあります殺人事件被害者の被扶養者の生活費は、週600ドルでもって、総額の上限が3万ドルだということで、50週でもっておしまいだということで理解してよろしいですか。
○ 冨田教授括弧内はニューヨーク州の具体的な例です。ニューヨーク州は他の州と比較するとそんなに悪くない州ですので、これは比較的高い額だと言えるかと思います。ほかのもっと小さな州ではこれほどまでいっていないと思います。
○ 松村構成員50週で切ってしまうというのは何か意味があるわけですか。
○ 冨田教授50週はどこでしたか。
○ 松村構成員3万割る600。
○ 冨田教授600の3万ドルということですね。50週で切る理由はよく分かりません。
○ 椎橋座長どうぞ、川出構成員。
○ 川出構成員先ほどの瀬川先生の御質問に関係することですが、アメリカの場合、大多数の州では、加害者側が支払う罰金等の種々の金銭のみを被害者賠償の財源としているのに対し、少数の州では、一般財源も利用しているというご説明がありました。お伺いしたいのは、こうした違いが生じている理由なのですが、先ほどの話との関係でいえば州によって被害者補償に対する考え方に違いがあるということなのでしょうか。
○ 冨田教授最初のうちは、この辺は資料的にきちんととらえなかったのでかなり間違いがあることを承知してお話しますけれども、最初に制度ができたころは比較的一般財源を使っていたところが多いようです。その制度をだんだん拡充していくときに一般財源からの負担額も増えていくと、それに対する批判が生まれて、福祉的な性格がどんどん広がるのは余り好ましくないという主張があり、給付制度というか、補償制度の進展がちょっと滞った時期が70年代の後半にあったように聞いています。そこで先ほど申し上げた連邦のOVCからの補助金の、制度ができて、罰金等からの補助があるということで、これはありがたいということで、これを利用すれば制度を拡充していっても州民からの不満もなくなるだろうということで、そこへ飛び付いたと思います。順序関係はよく分かりませんけれども、その後、州においても一般財源の比率がだんだん少なくなっていって、罰金等の犯人側の負担の割合が増えていったという、大体こういう流れなのではないかという理解はしております。かなり間違いがあるかもしれませんが、読んだ文献などを見るとそんなような趣旨がうかがえるかと思います。もし間違いがあったら御指摘いただければありがたいと思います。
○ 椎橋座長番構成員、どうぞ。
○ 番構成員先生の11ページのコメントの中にも支給の対象となる被害の範囲が非常に広いということが書かれてありますし、4ページのどういうものに支給されるかという具体的なものを見ても、実損部分というか、そうした部分に手厚くて、例えば死亡した方の遺失利益とか、そういうものについてよりも、とりあえずの補償という、実際にお金を払わなければいけない、あるいは医療費とか壊れたものとか、そういうところに手厚くするようなものであると、そう理解して、概括的にはそれでよろしいでしょうか。
○ 冨田教授御指摘のとおりだと思います。私もそのように理解しております。
○ 椎橋座長どうぞ。
○ 瀬川構成員関連の問題ですけれども、アメリカ合衆国での損害賠償命令ですが、運用状況についてはどんな印象を持たれていますか。
○ 冨田教授損害賠償命令については、今回、ほとんど触れておりません。私も勉強不足で、確定的なことは言えませんが、私が読んだ文献では、損害賠償命令を現実的なものにするためのいろいろな手段が講じられているということで、そのためのだれがどうとるとか、その仕組みについては幾つか検討されているということは読んだことがありますので、私が一番関心を持ったところというか、なるほどと思ったところはそんなところです。
それに関連して、Son of Samという法律で、犯人等が得た、例えば犯人が自分の経験等をつづった手記を出したり、それを原作としたテレビドラマが作られたときの印税等を抑えることができるという制度も一種のレスティテューションに似た制度で、その辺のところの工夫というのは、参考になるとまでは言いませんが、興味深く思った次第です。
以上です。
○ 椎橋座長どのぐらいの比率かというのはお分かりになりますか。
アメリカはまず、加害者に払わせるということが原則だということですので、そういう損害賠償命令とか、サムの息子法という形で加害者から不当な利益を得させないために、とってしまい、それを被害者の補償に充てるという考えですね。損害賠償命令の場合は、もし履行しなかったら収監されることになると思うのですが、そうしますと、加害者は収監されないために一生懸命、借りてでも払うということで、でも、現実のお金はどのぐらいなのかなと関心があるのですが。
○ 冨田教授私も関心があります。ちょっと勉強不足で対応できていませんが、また現地調査に振って恐縮ですけれども、現地調査のときに申請をした人でこのような損害があって、こういう額を申請したああいに、どこから損害がカバーされたのかということも併せて申請書等に記されるはずですので、その辺を見ていけば具体的なデータも得られるのではないかと思います。あるいはそういう研究も探せばあるかと思います。
お答えになっていなくて申し訳ありません。
○ 椎橋座長ほかにはいかがでしょうか。
よろしいですか。
それでは、この点についてはこのぐらいにさせていただきたいと思います。
冨田先生、どうもありがとうございました。
冨田先生には、今後もアメリカの制度の専門家として引き続き御協力をいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○ 冨田教授どうもありがとうございました。
○ 椎橋座長それでは、次の議題に移ります。
第6議題は「海外調査について」でございます。
第4回の検討会において検討しました後に各国制度の有識者に御協力をいただきまして、事務局におきまして準備作業を進めております。調査対象機関及び調査項目等につきましては、現在、現地大使館の御協力をいただきながら調査対象国におけるそれぞれの機関との調整が続けられております。また、調査対象国ごとの調査事項につきまして、構成員の方々から御意見を出していただいております。これらを踏まえて、現時点における調査日程、訪問先機関、聴取予定項目につきまして事務局から御説明をお願いしたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○ 事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官)それでは、資料2をご覧いただければと思います。
ただいま座長に御説明いただきましたように、現在、アメリカ、ヨーロッパの3国、イギリス、フランス、ドイツ、韓国に分けて出張するということで、大使館の方と訪問先等について調整をしていただいております。ですので、資料2にあります訪問先の機関ですとか、また各国ごとに付けております質問事項につきましては、相手との調整次第で若干変更もあり得るということで御承知おきいただければと思います。
アメリカにつきましては、早速、1月29日から2月3日までということで、慶應大学の太田教授と当室職員が行ってまいります。連邦の司法省犯罪被害者支援室を含めまして4か所。ニューヨーク州の被害者支援局なども行ってまいります。聴取予定項目は別添1のとおりとなっております。
ヨーロッパ3か国につきましては、2月19日から3月1日までということでございまして、同志社大学の奥村先生、中央大学の小木曽先生、ドイツのみになりますが、専修大学の滝沢先生と当室職員で行ってまいります。訪問先機関につきましては、そこに記載されておりますように、イギリスにつきましては、法務省を含めまして3か所、フランスにつきましては、司法省を含めて4か所、ドイツにつきましては、連邦動労社会福祉省を含めて4か所ということであります。
韓国につきましては、3月に入ってから4日から7日までということで、訪問先機関につきましては、法務省人権局救助課を含めまして8か所ということで、慶應大学の太田先生と当室職員が行ってまいるということでございます。
それぞれにつきまして、民間団体にも訪問先を予定しておるところであります。
今回、この質問項目を決めるに当たりましては、有識者の先生方からいろいろと御知見をお借りして、御指導などもいただいた結果でありますが、それをまとめましたものにつきまして、構成員の皆様に意見を照会いたしまして、こういったものも追加すべきという御意見などもいただきました。それが資料3にございます。
いただきました御意見につきましては、質問事項ということで資料の方に入れ込んでいるものもあります。また、質問事項が大変多くなってしまいまして、かなり絞ったつもりですが、かなり先方には多いという印象を持たれております。
更に言いますと、ちょっと説明が漏れましたけれども、資料2の一番最後にモデルケースを付けておりますが、いろいろと検討しました結果、モデルケースで各国を比較するというのは、たくさんあって、質問自体も多いということで、ここに掲げられている4つのケースに絞りまして、ごくごく単純化して、そしてできる範囲で制度の内容とか、それぞれのケースに入れ込むと幾らぐらいもらえるかというのをお聞きできるようにしようということでやっております。
そういった大部な質問を限られた日程でやるということでありますので、当方といたしましては、順調に進んで時間があれば質問できるものも用意しているというか、そういうランクにした質問もありまして、構成員の皆様からいただいた御質問につきましても、時間があれば質問させていただくということで当方が手控えで持っているものというのがございます。
実は、平成18年の検討会のときにも海外には、韓国以外に行ったわけで、今回、訪問先がダブっているところもございます。そういったところに同じ質問をしたり、あるいは既存の文献資料等で分かることについて質問するということは先方に対しても失礼というのと時間がないということでございまして、そういったものにつきましては、既に改めて質問するということはしないということにしておりまして、いただきました質問に関する御意見につきましては、今のような3つに仕分けて取り扱っておるところでございます。
今後またヨーロッパ3か国と韓国につきましては、調整を進めてまいって、2月、3月に行ってきて、最終的には調査結果をまとめてこの検討会で御報告ということにしたいと思っております。
事務局からは以上です。
○ 椎橋座長ありがとうございました。
ただいま事務局から各調査対象国との調査日程、訪問先機関、聴取予定項目等の説明をいただきました。この海外調査につきまして、御意見等がありましたら御自由にお願いしたいと思います。
どうぞ、黒澤構成員。
○ 黒澤構成員国別に大変詳細に記述されておりまして、質問を受ける方も大変だと思うのですが、漏れはないと思うのですが、こういう考え方でまた見直しといいますか、見てはいかがかという提案ですが、目的的に考えて、事項別に横串を刺すような、横断的に調査を各国について行う必要はないのかどうか。横断的に検討、検証をされてはいかがかなと思ったのです。
例えば損害賠償の立て替えという質問は、私が見た限り各国に入っていたのですが、例えば損害賠償の立て替えはどうか。その項目について聞く。思い付きですが、先ほど被害者の方のお話にもありましたけれども、制度が改善された場合の遡及適用というのは一体どうなっておるのか、そういった観点。あるいは被害者に関連する障害者の年金、遺族年金以外に年金給付というものはあるのかどうか。私は不勉強でよく分からないのですけれども、生活保護、各国に日本の生活保護、最低限度の生活を保障するための保護費という観点から、生活保護費とこうした給付というのはどういう関係になっているのか。あるいはまた被害者に関連する社会保障福祉制度の社会保険方式と租税を財源とする観点から見た場合にどうなっているのか。先ほどちょっと触れましたけれども、過失犯の問題で、韓国にも一部、過失致死があるようですけれども、それ以外はフランスだけなのかもしれませんが、過失犯の被害者対応はどうなっているのか。そういった事項別に横断的に見てみてはどうなのかなと。私は、国別にきちっとすべて詳細に見ていないので、今、私が申し上げたことは全部国別に整理して入っているのかもしれませんが、そんな感想を持ちました。
○ 椎橋座長ただいまのご発言は、御質問と御意見だと思いますけれども、私が調査事項をざっと拝見したところではかなり共通して同じ質問をしているということは、大事なところは入っていると思うのです。聞いていないところについては、恐らく既に分かっているというところについては聞いていないというところもあろうかと思いますが、それ以外のところでただいまの御意見で反映されていないところとかはありますでしょうか。あるいはこれはこの国だけについて聞けばいいので、口頭で聞く方に回しているとか、いろいろ振り分けはあると思うのですが。
○ 事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官)御意見ありがとうございます。
私が今、黒澤構成員の事項をお聞きしたいた限りでは、一応、聞いております。今、座長がおっしゃったように、仮にないとしても、それはある事項について、各国について一覧で見られるぐらいの調べにはしてあるということでございます。社会保障との関係などにつきましても、個別の何とか年金というところまでは踏み込めるかどうか定かではありませんが、社会保障との関係などについても質問として入れておりますので、その辺も聞いてまとめられるのではないかと思っております。
○ 椎橋座長ほかにございますか。
○ 瀬川構成員重ねての意見ですけれども、是非一覧表を見やすく作っていただくとありがたい。これまで余りそういう研究はないと思いますので、重要項目を一覧表にしていただくとありがたい。社会保障との関係も、これまで断片的にはあるのですが、きちっとしたものは実は余りなくて、今回、せっかく本格的な調査をされるので、是非その点も触れていただきたいと思います。要望です。
○ 事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官)見やすく、きちんと横串を刺して、アウトプットとして一覧表にするなど、そういった整理をしていきたいと思っております。ただ、今、調査対象機関等との調整、質問事項などについてやっておりますけれども、各国すべてについて完璧な横串で回答が返ってくるかというと、それはちょっと難しいかもしれないなという印象を持っておりますので、できるだけ、可能な限り、時間が許す限り聞いてきて、できるだけ横串を刺してきちんと見られるものにしたいと思っております。
○ 椎橋座長黒澤構成員、瀬川構成員、共通する部分があったと思うのですが、できるだけ我々として、あるいはこの検討会の成果をご覧になりたい方は、見やすい形で比較できると非常に有益なものですから、そういう努力は必ずしなければいけないと思います。ただ、それぞれの国の制度が違うものですから、それを違うけれども、似たようなところはどういう形で表記するか難しいと思いますが、その辺はかなり工夫をして、なるべく全体としてどういう形になっているのかが分かりやすい形で、必要なことは調べてくるということは必要だと思います。
ほかにいかがでしょうか。
ともかく、ここにあるだけでも相当な分量ですね。私は今まで参加していなくて、今回初めて拝見したのですが、これらの質問にすべて答えてくれるだろうか。全部この日程でこなせるだろうかという率直な感想を持ちましたが。
○ 岩村構成員今の点に関連してですが、通訳が入ると思いますので、現地の大使館の通訳についてはいい人を是非確保してほしいということが1点。インタビューするときは通訳が入ると実際の時間は半分ですので、それを考慮した上で、的を絞って聞かざるを得なくなるのかなと思いますから、その点もまた御考慮いただければと思います。
○ 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長私から付言しますと、実際この質問票についてはもっともっといっぱいあったし、訪問先も候補としてはもっともっとあったのですが、実際に現地に行っていただける先生方と2回にわたり、1回大体数時間かけて、かなりけんけんがくがくと調整をし、また、大使館の方とも、正直言って余りウエルカムではない大使館を一生懸命、御理解をいただく形で、現地アタッシェの方々には警察庁、法務省、厚労省等々のアタッシェの方にかなり御負担をかける形になるのですが、本格的な調査という意味では、一番いいものにしたいなと思っておりますので、今の御意見を十二分に踏まえながら、限られた予算と日程の中で可能な限りの調査をしたいと思います。せっかく行きますので、そこで人的なコネクションができると思うので、その後、メール等でやりとりができる形であれば更に補充することも可能かなと。今、2回やっていて、あと1回、もう一度予定があるらしく、それをやって3月にまとめていくという形になっておりますので、よろしくお願いいたします。
○ 岩村構成員あと1点だけ、これはもう難しいだろうなと思うのですが、もし可能であれば御検討いただければということだけですが、こういう形で調査に行きますとその後、先方さんは非常に不満を持つんです。つまり、こちら側からのフィードバックがないということを非常に向こうさんは不満に思っていまして、何らかの形でこういう調査をした結果、こういうことになって、例えば日本の制度はこうなっていますということの情報提供を何らかの形でお考えいただけると、この後更に今、おっしゃったような人的なつながりの維持という点でもよろしいのかなと思います。
○ 椎橋座長どうぞ。
○ 瀬川構成員こういう研究というのはとかく、特に被害者の支援については、欧米が進んでいて、日本が立ち遅れているという発想がずっとあったと思うのですが、日本の制度の優れているところもあるので、比較検討をしたときに日本のこの点は優れていたということを、その点も指摘していただきたい 。つまり、20、30年遅れていて、日本はずっと後追いしているという印象があるのですが、犯給法自体もいろいろな欠点は確かにあるかも分かりませんけれども、いい面もあるわけですから、その点も是非御指摘いただきたいなと思います。
○ 椎橋座長ただいま大変有益な御意見をいただきましたので、事務当局としてもそうお考えのようですが、今回だけではなくて、今後もこれを1つのきっかけとして情報交換をし合う。それによって、今回行っただけではとてもすべて分かるというわけにいかないと思いますが、その後更にメールでのやりとりの調査を続けて、更に理解を深める。
岩村構成員がおっしゃったように、瀬川構成員も一緒だと思うのですが、こちらのこともちゃんと伝えて、フィードバックは必要ですね。そうしますと、より多くの有益な情報が得られると思いますので、その点も是非御配慮いただきたいと思います。
それでは、海外調査につきましては、引き続き、各国制度の専門家である有識者にも御協力をいただきながら、調査対象国との調整を行うとともに、本日の検討を踏まえまして、可能な範囲で現地における調査等を実施していきたいと考えております。先ほどの日程で調査をいたしますので、その調査の結果につきましては、次あるいはその次の検討会で御報告をさせていただくことになると思います。
それでは、最後に自由討議を若干させていただきたいと思います。全般的なことでも結構ですし、あるいは追加的なことでも結構ですので、何か今までのことでお気付きの点等がございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
それでは、特にないようでございますので、最後になりますけれども、第6回の検討会の開催について事務局から説明をお願いしたと思います。
○ 事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官)それでは、第6回の検討会について御説明いたします。
開催日時ですが、5月14日月曜日、午後3時から午後6時までということにさせていただきたいと思います。内容につきましては、今、座長からもございましたように、海外調査結果の報告をいたしたいと思います。また、犯罪被害給付制度の現状等についての報告が残っているところが警察庁の方と救援基金の方でございましたので、それをしていただくということを予定しております。ということで、有識者の方と関係省庁の構成員の方々には御協力いただきたく思いますので、よろしくお願いいたします。
事務局からは以上です。
○ 椎橋座長ありがとうございました。
ただいま第6回検討会についての御説明がありましたけれども、本日の議論を踏まえまして、さらなる御意見等がございましたら事務局の方へお寄せいただきたいと思います。第6回目以降の準備のため、有識者及び省庁の構成員の皆様には引き続き御協力をいただきますようにお願い申し上げます。
それでは、少々時間が過ぎまして、不手際で申し訳ありませんでしたけれども、これをもちまして第5回「犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討会」を終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。

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