-
犯罪被害者等施策
-

-


第2回「犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討会」
議事録

○冨田座長本日は、お忙しいところ、また、台風接近でお足元の悪い中、お集まりいただきましてありがとうございます。ただいまから第2回「犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討会」を開催いたします。
本日は、第2回の検討会ということですけれども、本日の議事につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官)それでは、お手元の資料の議事次第をごらんいただければと思います。
本日、開会の次に、2番目といたしまして、「検討の進め方等」、3番目に、「検討課題等」、4番目に、「犯罪被害給付制度の現状等」。これは犯罪被害給付制度の現状等、警察における犯罪被害者等に対する経済的支援に関する施策等につきまして、警察庁から御説明いただくこととしております。また、犯罪被害者等に対する支援金支給事業につきまして、公益財団法人犯罪被害救援基金、黒澤構成員の方から御説明いただくこととなっております。
5番目といたしまして、「諸外国における犯罪被害者等に対する給付について」で、これまでの調査結果の概要、6番目といたしまして、「海外調査方針」、7番目といたしまして、「自由討議」。犯罪被害者等の経済的状況に関する現状把握の方法、現行制度による犯罪被害者等への給付等の現状把握や我が国の制度と諸外国の制度の比較に資するよう、モデルケースを設定することについて等、
8番目といたしまして、「その他」。次回の検討会の日程となっております。
以上です。
○冨田座長それでは、本日の議事次第につきましては、今、事務局から説明があったとおりでございますけれども、それぞれの議事ごとに検討を行っていきたいと思います。また、一通りの議事の検討が終わった後にも、自由討議を設けております。
まず、検討の進め方等についてが議題となっております。これは前回の第1回合同検討会におきまして御意見をいただきましたので、それを受けての検討ということになろうかと思います。それでは、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官)事務局の方から、検討の進め方と当面の検討スケジュール(案)につきまして説明いたしますとともに、お諮りしたいと思います。
まず、資料1-1「検討の進め方(第1回検討会における意見を踏まえての事務局案)」をごらんください。
1つ目といたしまして、犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討会、略して検討会<1>と申しますが、これと、犯罪被害者等に対する心理療法の費用の公費負担に関する検討会、これは検討会<2>と略しますが、これの関係についてであります。
検討会<1>と検討会<2>は、相互に密接に連携して検討を進める。
検討会<2>は、現行制度で抜け落ちている部分について、余り時間をかけずに対応する必要があるという考え方の下、2年以内に結論を出す。
検討会<1>は、検討会<2>の結論を尊重する。したがいまして、検討会<2>の結論が検討会<1>の議論とも矛盾なく対応できるものであれば、検討会<1>の結論は、検討会<2>の結論を取り込んだものとなります。検討会<2>の結論が検討会<1>の議論と矛盾する可能性が出てきた場合には、検討会<1>において、調整の上結論を出すことになります。
次に、犯罪被害給付制度の拡充に係る検討と新たな補償制度の創設に関する検討の関係についてです。
まず、現行制度の運用状況、問題点等を把握した上、現状において何が不足しているのか、犯罪被害者等の経済的支援として何が必要かについて検討いたします。
次に、現行制度の限界の有無、拡充方法の有無、拡充内容等について検討いたします。
この(1)と(2)の検討結果を踏まえて、新たな補償制度について検討するということであります。
私からは以上です。
○冨田座長ただいま、事務局から第1回検討会における意見を踏まえての検討の進め方について御提案がありました。今後の議論の進め方に影響する重要な事項でもございますので、この検討の進め方について、各構成員の御意見をお伺いしたいと思います。
これにつきましては、黒澤構成員から事前に意見を提出していただいておりますので、まず、黒澤構成員からお願いいたします。
○黒澤構成員資料8の2で書いておきました。
文章上、資料1-1の2本目の矢印で、「検討会<2>の結論が検討会<1>の議論と矛盾する可能性が出てきた場合には、検討会<1>において、調整の上結論を出すこととなる」と書いてあるものですから、全体の趣旨からして、検討会<2>の結論を尊重しなければいけないので、そういうことはないと思いますが、念のため、検討会<1>において検討会<2>との調整を否定する意味ではないのでしょうねという、意見というよりは質問でございます。
○冨田座長了解いたしました。
それでは、ただいまの黒澤構成員の御意見につきまして、事務局はいかがでしょうか。
お願いいたします。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長当然のことながら、検討会<1>と検討会<2>の議論は、可能な限り調整をしながら進めていくということでございますので、黒澤構成員の方の御指摘を踏まえた形で対応させていただくということになろうかと思います。ただ、検討会<2>の方が結論的には先に出てくるという関係事情も入っているということでございます。
○冨田座長それでは、どなたからでも結構ですので、御自由に御発言をお願いしたいと思います。
いかがでしょうか。
番構成員、お願いいたします。
○番構成員今、お話にあったとおり、検討会<2>の結論の方が早く出ますね。それで、それが矛盾しない、あるいはこの検討会で確認して検討会<2>の結論の方の施策を先に実施するという可能性もあるのでしょうか。私はそれがよろしいと思っているのですが、その点について、事務局はどのようにお考えでしょうか。
○冨田座長事務局、お願いいたします。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長先ほどの資料にもありましたけれども、検討会<2>の検討項目というのは、現状の中から抜け落ちている部分があるという意味で、できるだけ早く対応していく必要があろうかと考えておりまして、そういう意味では、番構成員御指摘のようなことは当然あり得ると考えております。
○冨田座長ほかにいかがでしょうか。
松村構成員、お願いいたします。
○松村構成員私の意見として、資料8のところに出していただいたんですけれども、この補償制度を検討するに当たりまして、犯罪被害者の現状を把握することは非常に重要なことであると思います。しかし、犯罪に遭って苦しんでいるというのが、ただ、現在だけではなくて、過去の事例に基づいて、現在も引き続き大変さが続いているということはやはり検討しなければいけないだろうと思います。
また、過去にそういうような犯罪に遭った人が、どのようにして大変な状況を乗り越えてきたのか。これは恐らく、物すごい苦労をして乗り越えてきたんです。そういうようなことを踏まえて、どうしたら平穏な生活に戻れるかということは検討することに価値があるのではないかと思います。
更に、一番重要なことだと思うんですけれども、我々構成員というのは、恐らく中曽根さんと私を除いて、犯罪被害にも遭っていないわけです。しかも、どちらかといいますと、経済的に恵まれている方で、どうしても上から目線ということになりがちだろうと思うんです。ですから、そういうことで、結局、被害者の目線でもって検討していただくということが絶対に必要だと思いますし、そのためには、まず、本当に被害者がどんな状態なのかという生の声を聞くのが絶対に必要だと思います。
これは、たまたま犯罪被害者等基本法ができるときに、上川前衆議院議員が、最初に事務所へいらっしゃって、15人の被害者から全部話を聞きました。そうしましたら、こんなにひどいのかということで、帰りの車の中でも何も口をきかないというぐらいひどいので、これは絶対に何とかしなければならないというのがそもそもの発端で基本法ができたと聞いています。
そういうことも踏まえまして、あくまでも被害者の、本当に生の声、何に困っているのか。ただ、現在のいろんな経済的な補償制度をただ検討して、この辺が足らないのではないか、どうなのかということを我々の、いわゆる、ある程度、恵まれた人が考えるのではなくて、実際に生で困っている人の意見を聞いていただくということが必要だろうと思います。そのために彼らがここへ来るのは大変だろうと思うんですけれども、是非、この席上でもって話をしていただいて、それを踏まえた上で検討を始めていただけたら、いいものができるのではないかと思います。
ありがとうございました。
○冨田座長どうもありがとうございます。
ただいまの御意見は、後でも用意されております自由討議の中で、犯罪被害者等の経済的状況に関する現状把握のところでもまた議論になるかと思いますけれども、その点については、そういうことを配慮しながら進めていくということは大事だと思っています。
ただ、ここでの議論は、今、事務局から説明がなされた、主として検討会<1>と検討会<2>の関係についての進め方についてでございますので、これについてはよろしいでしょうか。
○松村構成員結構でございます。
○冨田座長ほかにいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、基本的には、今、御説明くださった資料1の進め方で進めていきたいと思います。どうもありがとうございます。
次に、「当面(第I期)の検討スケジュール(案)」について事務局から御説明をお願いいたしたいと思います。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官)それでは、資料1-2をごらんいただければと思います。当面(第I期)、これは平成24年の4月までということで前回御説明しておりますが、その検討スケジュール(案)でございます。
次回は、第3回となっております。この検討会、第I期では、現状の把握のためのヒアリング等々、それから、検討課題や論点の抽出ということを同時並行で行っていきたいと考えておりまして、第3回は、検討課題といたしましては、現行の犯罪被害給付制度についての検討ができればと思っております。
また、社会保障制度等につきましても理解をして検討を進めていく必要があるという観点から、学識経験者からレクチャーをいただくということを考えております。具体的には、本検討会構成員の岩村先生から御説明いただくということを考えております。
海外調査につきましては、出張して調査をするわけでございますが、その前に、各国につきまして、これも学識経験者から御説明をいただければと思っておりまして、第3回はアメリカとドイツについて、それぞれ御説明願えればと思っております。
そのほか、海外調査方針の議論とか自由討議を考えております。
第4回の検討会ですが、海外の制度につきまして、イギリス、フランス、韓国について、それぞれ学識経験者からの御説明をいただき、また、海外調査の方針、調査事項等につきまして、更に検討を進めていただいて、確定させていくというような形にしたいと思っております。
社会保障制度や福祉制度につきましても、検討に際しては把握しておく必要があると思いますので、制度を所管しております厚生労働省の方にこの御説明をお願いできればと思っております。
また、自由討議も設けております。
第5回、第6回につきましては、関連する我が国の経済的支援制度ということで、自動車損害賠償保障制度とか、労働者災害補償保険制度につきまして、参考となる部分があるかと思いますので、制度を持っておられる国土交通省や厚生労働省の方に御説明をお願いできればと思っております。
犯罪被害者等の経済的状況に関する現状につきまして、把握の方法をどのようにするかということにつきましては、それ以前の自由討議等で御検討いただき、それに沿った形での現状把握を第5回、第6回の辺りでできればと思っております。
また、モデルケースを設定するという作業を、この第5回、第6回以前の自由討議で御議論いただき、事務局も詰めていき、そのモデルケースによって犯罪被害者等の経済的状況はどうなっているかということを把握するということもやりたいと思っております。
現行制度の問題、さらなる経済的支援の必要性等について、また、論点整理というようなことが作業として出てこようかと思っております。
そして、この時期になりますと、海外調査結果につきまして御報告ができるのではないかと思っております。
なお、今、申し上げましたスケジュールにつきましては、検討の推移とかヒアリングをお願いする方々との日程調整等により変更があり得るものでありますことを御承知おきください。
以上です。
○冨田座長どうもありがとうございます。
ただいま説明のありました当面の検討スケジュールについて、御意見等がありましたら、御自由に御発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
それでは、特に御意見がないようですので、第5回または第6回くらいまでの検討スケジュールにつきましては、検討状況、ヒアリング対象者との日程調整等により変更はあり得ますけれども、このようなスケジュールで基本的には進めていくということで、御了解をいただいたということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○冨田座長御了解いただいたということで、先に進めてまいりたいと思います。
それでは、次に移りますが、「3.検討課題等」でございます。前回の第1回合同検討会でも事務局から説明がありましたが、当面の検討の進め方として、現状把握とともに、検討課題の抽出等もなるべく行っていきたいと考えております。
検討事項の整理を行うに当たり、平成19年に取りまとめられました、経済的支援に関する検討会の最終取りまとめ等を踏まえまして検討課題を抽出していくことが必要であると考えているところでございます。
今回、経済的支援に関する検討会の最終取りまとめと、その後の対応状況、要望、それから、第2次犯罪被害者等基本計画策定時の議論を整理いたしまして、検討すべき課題について検討してまいりたいと思います。
それでは、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官)それでは、事務局の方から御説明いたします。
ただいま、座長からも御説明いただきましたとおり、資料2は、本検討会で検討事項を抽出していくに当たって、経済的支援に関する検討会の最終取りまとめでどのようなことが言われ、それについて関係省庁がどのように対応し、その後の第2次基本計画の策定過程で、犯罪被害者団体や犯罪被害者支援団体からどのような要望が出され、専門委員等会議でどのような議論がなされ、第2次基本計画でどのような施策が盛り込まれたのかということを整理する必要があると考えて作成したものであります。
そして、これらの一連の経過を踏まえまして、本検討会で検討すべきと考える事項については○を、検討の推移により検討すべきと考えるものについては△を、検討を要しないと考えるものについては×を、資料2の一覧表の「対応(案)」の欄に記載しております。
それでは、資料2に沿って、順次、説明をいたします。時間の関係もございますので、詳しくは資料をごらんいただくことといたしまして、ここでは最終取りまとめの内容と、本検討会での対応案を中心に御説明させていただきます。
早速ですが、理念・目的についてです。最終取りまとめでは、理念を「社会の連帯共助の精神に基づき、犯罪被害者等の尊厳ある自立を支援すること」とし、目的を「犯罪被害者等が、その置かれている状況等に応じて、被害を受けたときから再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間、必要な支援を受けられるようにするための施策の一環として、犯罪被害者等が受けた被害による経済的負担の軽減を図るための必要な支援を行うこと」としております。
これを受け、平成20年4月に犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律が改正されたところであります。本検討会でも、この理念・目的を検討すべきであると考えております。
給付水準の引上げについてですが、この点は本日、警察庁から御説明いただくことになっております。当然、本検討会の検討課題とすべきものと考えております。
財源についてです。最終取りまとめでは、自動車損害賠償保障制度のような責任保険制度について、故意の犯罪行為については、性質上、事前に原因者となり得る集団を想定することができず、原因者負担の制度を構築することは困難である。
罰金の特定財源化について、罰金は一般財源として運用されており、犯罪被害者等に関してだけ特定財源化する論拠を見つけ出すのは困難であり、特定財源を可能な限り縮小していくという国の大方針と逆行する感は否めない。
有罪判決を受けた者から一定額を徴収する課徴金制度について、主たる負担者と原因者が一致しない上、徴収コスト面の問題もあり、犯罪被害者等の支援に特化した形で検討することは、困難である。
結局、社会の連帯共助の精神にのっとり、一般財源からの給付を行うことをもって原則とすべきとしております。本検討会でも、財源は検討課題になってくるものと思われます。
基金についてです。最終取りまとめでは、犯罪被害者等に対する経済的支援制度による公的救済の対象とならないものであって、個別の事情に照らし、何らかの救済の手を差し伸べないと基本法の趣旨を全うできないと思われる特別の理由がある者に対しては、社会の連帯共助の精神に基づき、民間の浄財による基金において、一定の指針の下に、給付を行うような仕組みを構築すべきとしております。
これを受け、犯罪被害救援基金による支援金支給事業が開始されたところでありますが、この点については、本日、黒澤構成員から御説明いただくこととなっております。この基金に関しましては、検討の推移によって検討すれば足りると考えております。
次のページに行きまして、医療費(1年を超える医療費の自己負担分)についてです。最終取りまとめでは、1年を超える医療費の自己負担分については、犯罪被害給付制度の重傷病給付金の支給対象期間が3か月から1年に拡大されたばかりであることから、当面、その運用を見るべきであるなどとしております。この点についても、本検討会の検討課題とすべきものと考えております。
カウンセリング費用です。最終取りまとめでは、PTSDに対する長時間曝露療法等の精神的被害に有効とされる療法について、科学的評価を踏まえ、診療報酬改定の際に必要に応じて措置を講ずべき。臨床心理士、犯罪被害相談員等による民間被害者支援団体等における早期支援段階でのカウンセリング・相談について、都道府県における予算措置が着実になされ、更には、早期支援後も継続してカウンセリング・相談が受けられるような予算措置がなされていくよう、国において、啓発・情報提供等の取組みを行うべきとしております。
精神科専門療法に係る診療報酬上の評価につきましては、平成18年度、平成20年度、平成22年度と、所要の措置を講じて、その充実が図られております。また、警察庁において、民間被害者支援団体に対する相談業務の委託、直接支援業務の委託に要する経費につき財政的援助を行っており、これらの予算が措置されるよう都道府県警察を指導されているというところです。
カウンセリング費用の公費負担に関する第2次計画策定の際の議論の経過は、前回御説明したとおりであります。この点については検討会<2>で検討されることとなっており、本検討会の検討課題でもありますが、本検討会は検討会<2>の結論を尊重することとなっております。
次に、経済的支援制度の手続、申請期間、併給調整、遡及適用についてです。
まず、申請期間について、最終取りまとめでは、現行の犯罪被害給付制度の申請期間(2年、7年)を維持しつつ、やむを得ない事情で申請できなかった場合に特例的に申請を認めることができるよう、制度の見直しを検討すべきとしております。
この点につきましては、平成20年4月に、犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律が改正され、一定の場合には、申請期間経過後であっても、申請できなかった理由がやんだ日から6か月以内に限り、例外的に申請できることとなりました。申請期間については、本検討会では検討の推移により検討事項とすれば足りると考えております。
併給調整につきまして、最終取りまとめでは、現行の犯罪被害給付制度と同様に他の公的給付と調整することとし、損害賠償を受けたときは、その額の限度において給付金は支給しないこととするとしております。
遡及適用につきましては、過去の犯罪被害による後遺障害により現在も窮状にあるような特別の事情がある犯罪被害者等に対しては、前記基金において対応する方途を検討すべきであるが、新たな法制度を遡及適用することはしないものとするとしております。
併給調整と遡及適用につきましては、本検討会でも検討課題とすべきものと考えております。
ページをおめくりいただきまして、給付方法で、給付の方式や給付の迅速化についてであります。
給付の方式について、最終取りまとめでは、給付は一時金とするとしております。この点につきまして、本検討会でも検討課題とすべきものと考えております。
給付の迅速化につきまして、最終取りまとめでは、現状よりも迅速に本給付及び仮給付を行うことができるよう運用改善に努めるべきである。また、犯罪被害者等に身近な地方公共団体が当座必要な資金を迅速に貸与・給付することが、犯罪被害者等の被害直後の生活支援にとって効果的であることにかんがみ、そのような制度の導入が地方公共団体によって積極的に行われるよう、国において、啓発・情報提供等の取組みを行うべきであるとしております。
犯罪被害給付制度の運用改善については、警察庁から都道府県警察に指導がなされているところであります。また、地方公共団体に対しては、内閣府から啓発・情報提供がなされております。
給付の迅速化につきましては、第2次基本計画策定時にも議論され、必要な施策が盛り込まれているところでありまして、本検討会では議論の推移を見て検討すれば足りると考えております。
次に、経済的支援制度の管理・運営で、経済的支援に関するアドバイザー制度、認定機関・不服申立機関についてです。
経済的支援に関するアドバイザー制度について、最終取りまとめでは、経済的支援制度を実質的に現状より手厚くするためには、犯罪被害者等に対して、犯罪被害者等に特化した制度だけでなく社会保障・福祉制度の全般に関して、犯罪被害者等の相談に乗り、必要な助言を行うアドバイザーが必要である。この点については、支援のための連携に関する検討会において、経済的支援を円滑にすることも含めた関係機関・団体の連携強化という観点から指摘がされており、そこに対処するための施策の提言が検討されているので、その提言に基づく取組みを着実に実施すべきとされています。
この点につきまして、内閣府において、研修カリキュラム・モデル案を作成し、全国被害者支援ネットワーク加盟団体等に配付したほか、このモデル案に基づく研修教材(DVD)を作成し、これらを団体に配付したり、犯罪被害者支援ハンドブック・モデル案を作成いたしまして、地方公共団体、関係機関・団体等に配付するなどいたしました。
そして、第2次基本計画においても必要な施策が盛り込まれております。経済的支援に関するアドバイザー制度については、検討の推移により検討すれば足りると考えております。
認定機関・不服申立機関について、最終取りまとめは、認定機関・不服申立機関については現行どおりとするが、犯罪被害者等に対してだけでなく、広く一般国民にも、制度に関する積極的な広報に努めるとともに、認定機関・不服申立機関における公平性・中立性の確保に一層努めていくべきとしております。
この点については、警察庁から都道府県警察に犯罪被害給付制度の周知徹底に努めるよう指導がなされているところであります。また、不服申立機関である国家公安委員会には、有識者である専門委員が置かれまして、審査請求があった場合には、当該審査請求に係る専門の事項について専門委員に調査審議させるなど、公平性・中立性の確保に努めているところであります。認定機関・不服申立機関についても、本検討会の検討事項とすべきものと考えております。
次に、経済的支援制度に関する法形式についてです。最終取りまとめでは、給付金の引上げ等については、現行の犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律等の改正によることが適切であると考えられる。なお、今回の抜本的な犯罪被害者等に対する給付の拡充等が的確に反映されるような法律の名称が検討されることを希望するとしております。
この点につきましては、平成20年4月に法律が改正されまして、法律の題名も、犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律に改められました。法形式についても、本検討会の検討事項とすべきものと考えております。
経済的支援の対象についてです。最終取りまとめでは、基本的には現行の犯罪被害給付制度の対象を維持すべきであり、過失犯ないし財産犯の被害者等や日本に住所を有する外国人以外の外国人をその対象とすることは困難である。ただし、過失犯ないし海外で身体犯被害を受けた日本国籍を有する被害者等に関しては、個別の事情に照らし、何らかの救済を行わないと基本法の趣旨を全うできないと思われる特別の理由がある場合、前記基金による対応を考慮すべきであるとしております。
この点については、先ほど申し上げましたが、犯罪被害救援基金による支援金支給事業が行われているところであります。経済的支援の対象について、本検討会でも検討事項とすべきものと考えております。
テロ事件の被害者等に対する特例的措置についてです。最終取りまとめでは、対象となるテロ事件の定義づけは困難である上、テロ事件の態様はさまざまであるから、一般の犯罪被害者等とは別に特別の救済策を取ることをあらかじめ包括的に定めておくことは困難である。ただし、国家または社会に対するテロ行為により無差別大量の死傷者が生じた場合には、国は、迅速に、当該テロ事件を指定して特別措置法を制定するなどにより、当該テロ事件に対する国の対処方針を決定し、その中で、被害者等に対する医療、カウンセリング等の早期支援の実施を定めるとともに、社会の連帯共助の精神に基づく基金を設置するなどにより、事案に即した被害者等の経済的救済を図る措置を明確に示すべきであるとしております。この点についても、本検討会で検討事項とすべきものと考えております。
次に、併せて検討すべきとされていたものについてです。
損害賠償債務の国による立替払い及び求償等の是非につきまして、最終取りまとめでは、そもそも加害者に資力がなく、犯罪被害者等が、事実上損害賠償を受けられず、何らの救済も受けられないでいる実情にかんがみ、社会の連帯共助の精神から、国が給付金を支給する制度が創設されたのであり、実質的な面から見ても、従来の求償実績に照らし、求償権行使については実効性の担保が期待できず、給付制度と異ならないから、結局、この問題については、これまで行った給付制度の検討に帰着するものと考えられるとしております。
この点につきましては、第2次基本計画策定の過程で、国による立替払い制度をつくるべきであるとか、制度的に無理だとしても、損害賠償が得られるような支援を国がするというところまでは考えてもらいたいなどという意見が出たところであります。本検討会でも検討課題になるものと考えております。
公費による弁護士選任、損害賠償費用の補償です。最終取りまとめでは、日本司法支援センターによる民事法律扶助や日本弁護士連合会による犯罪被害者等法律援助事業について十分な周知を図るなど適切に運用され、犯罪被害者等の支援のために更に充実が図られるよう努めるべきであるとされております。
この点につきまして、関係省庁において取組がなされており、第2次基本計画においても必要な施策が盛り込まれているところでありまして、本検討会で検討の推移に応じて検討すれば足りると考えております。
次に、併せて検討すべきとされたものについて、新たな制度導入に伴う公費による弁護士選任です。最終取りまとめでは、被害者参加制度に伴う公費による弁護士選任について、できるだけ早期の制度導入に向けて検討を行うべきとしております。
この点につきましては、被害者参加人のための国選弁護制度が導入されましたので、本検討会で検討事項とする必要はないものと考えております。
参考事項といたしまして、被害者参加人のための国選弁護制度の資力要件緩和等につきまして、法務省において検討することとなっている旨、記載しております。
最後に、併せて検討すべきとされたものについての、被害直後及び中期的な居住場所の確保についてです。最終取りまとめでは、被害直後の居住場所の確保については、既存の取組みのほか、警察庁において平成19年度予算において、被害直後の一時避難場所の借り上げに係る予算措置がなされたところであり、まずはこれらの取組を着実に推進すべきである。中期的な居住場所の確保については、基本計画における国土交通省の取組みを着実に実施するほか、まずは犯罪被害者等に身近な公的機関である地方公共団体において居住場所の確保や被害直後からの生活支援策に対する取組みがなされるよう、国において、啓発・情報提供等の取組を行うべきであるとしております。
この点につきまして、各府省庁、所要の取組みをしており、第2次基本計画においても必要な施策が盛り込まれているところでありまして、本検討会では検討の推移に応じて検討すれば足りると考えております。
少し早口で申し訳ありませんが、資料2の説明は以上です。
○冨田座長どうもありがとうございます。
いかがでしょうか。ただいま説明がありました、平成18年に行われた経済的支援に関する検討会における検討の結果、その後の制度改正等の対応、さらなる要望と専門委員等会議における議論を踏まえた上で、理念や目的等、これらの項目について、改めて本検討会で検討していく、検討課題とすることについて、いかがでしょうか。御意見等がありましたら、お願いいたします。
それでは、事務局案のとおり、検討すべきと考えられる項目については、本検討会における検討課題として取り上げることとし、また、検討の推移により検討すべきと考えられるものにつきましても、今後の検討の状況を見つつ、必要に応じ、検討課題として取り上げることとしたいと思います。どうもありがとうございます。
次に、議題の4でございます。「犯罪被害給付制度の現状等」につきまして、警察庁及び公益財団法人犯罪被害救援基金の専務理事である黒澤構成員から御説明をいただきたいと思います。
第2次基本計画策定時における議論においてもありましたけれども、第1回検討会におきましても、まず現行の犯罪被害者等に対する経済的支援の制度である、犯罪被害給付制度や各種支援の現状、運用状況を把握した上で、何がどのように足りないのかを検討していく必要があるとの御意見がございました。
また、犯罪被害給付制度につきましては、平成18年に行った経済的支援に関する検討会の最終取りまとめを受けまして、拡充のための制度改正を行っているわけでございまして、拡充後の運用状況等については、これを検証する必要があると考えられます。
そういうことで御報告をお願いするわけですが、これから警察庁から御説明いただくわけですけれども、個人名は示されておりませんが、個別事例に基づく説明があるために、警察庁から、個人が特定されるおそれが出てくる可能性があるため、そのような部分については議事録を非公表としてほしいとの要請をいただいております。
これにつきましては、本年3月25日付の犯罪被害者等施策推進会議決定の犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討会及び犯罪被害者等に対する心理療法の費用の公費負担に関する検討会の開催についてという資料の8におきまして、「座長は、検討会の終了後、遅滞なく当該検討会の議事要旨及び議事録を作成しこれを公表する」となっておりますが、ただし書がございまして、「ただし、議事録の公表に際し、当該議事録が、行政機関の保有する情報の公開に関する法律第5条各号に掲げる情報のいずれかを含む場合は、座長が検討会の決定を経て、当該議事録の全部又は一部を非公表とすることができる」、このようになっております。
したがいまして、個人が特定されるおそれが出てくる部分につきましては、議事録から削除する、あるいは概要としてまとめるなどの作業を行った上で公表するという扱いにしたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。

(「異議なし」と声あり)

○冨田座長御了解いただけたということで、どうもありがとうございます。
それでは、まず、警察庁からお願いいたします。
○警察庁長官官房総括審議官警察庁総括審議官の坂口でございます。
お手元に資料3がございますが、こちらの方で御説明申し上げます。
私の方からは、当庁で所管しております犯罪被害給付制度の理念と沿革について御説明申し上げます。その後、運用状況につきましては、実際、この制度を運用しております、犯罪被害者支援室長の杉本の方から、具体的なところも踏まえながら、御説明申し上げたいと思います。
まず、お手元の資料3の1枚目でございますが、「犯罪被害給付制度の理念」でございます。これは既に先生方、御案内のとおりでございますので、復習的になってしまいますが、3つございます。
1つは、不法行為制度の補完であります。これは、故意の犯罪においては加害者側に資力がないなど、事実上損害賠償制度では救済されないような被害者が多いという点にかんがみまして、実質的に国がこれに代わって一定の給付を行うというのが1つにあるわけです。
2つ目の考え方としまして、不慮の被害を受けた際の社会的救済制度の間の不均衡の是正であります。すなわち、労災とか自賠責とか、さまざまな制度が法制化されておりますが、正にこういうような制度では救済されない犯罪被害者が存在しまして、こういった方々が大変悲惨な状況で放置されているという状況もございました。こういった不均衡を是正しようということで、この制度によって救済制度の網からこぼれ落ちてくる犯罪被害者の方々の救済を図ろうというのが2番目の趣旨になります。
3番目は、刑事政策上の不均衡の是正です。加害者につきましては、国による処遇の充実が図られている反面、被害者につきましては国の救済の手は、従来、まだ差し伸べられておらず、その結果、両者の間に不均衡が生じているということから、この不均衡を解消すべきだという趣旨から給付する。
こういうような3つの考え方から、この制度はでき上がっております。
そういうことで、社会連帯共助の精神に基づく被害者の精神的・経済的被害からの回復への支援を行うことによって、法秩序への不信感を除去するというのが今回のこの制度の理念になります。
故意の犯罪によります被害に係る給付につきましては、例えば原因者負担によります責任保険というものがなじまないことから、社会全体で負担するということで、国が一般財源によって支給を行うという形で制度が組まれております。
次に、資料の2枚目の沿革という資料をごらんいただきたいと思います。これも、既に皆様御案内のとおりであります。従来から犯罪被害者の方々、御遺族の方々からいろんな声はございました。
直接の契機になりましたのは、昭和49年8月30日の三菱重工の爆破事件でございます。この事件におきましては、本当に何の罪のない方々が大変大きな被害をこうむりました。それで、実はこの中では、一方で労災等の公的給付を受けられる方と、全くそういった給付を受けられない方の不均衡が強く意識されたわけであります。こういったいろいろな声を受けまして、政府として本格的な検討に入りまして、その結果として、昭和56年の犯罪被害者等給付金支給法という形で結実したわけでございます。
ただ、立法当初は、この給付金の支給範囲は、死亡または死亡と同等の評価をすべき重度の障害を受けた方に限られておりました。しかし、その後、平成7年3月20日に発生しました地下鉄サリン事件を契機としまして、この犯罪被害給付制度の拡充と被害者に対する総合的支援を求める要望は大変大きな高まりになりました。こういった声を踏まえまして、警察庁としましては平成9年に、若干でございましたが、障害給付金の支給制度の拡大を図りましたし、その後、更に検討を加えまして、平成13年7月に犯罪被害者等給付金支給法の大幅な改正を行いました。
この中で、1つは障害給付金の支給対象であります障害等の範囲につきまして、従来は1級から4級でございましたが、これを1級から14級まで大幅に拡大しました。2つ目は、重傷病給付金という制度を新設しました。3つ目には、ここには書いておりませんが、給付基礎額の大幅な引上げで、これはおおむね40%でありますが、これを行っております。これによりまして、例えば遺族給付金でございますが、最高額が1,573万円にまで引き上げられた。それで、障害給付金の最高額が1,849万円にまで引き上げられまして、これは創設当初に比べますと約2倍近い水準になったということでございます。この法律改正のときには、国会でさまざまな議論がございました。その中で、親族間の犯罪に係る支給制限につきましては、深刻化するDV等の現状、世論の動向等を踏まえまして検討を行うといった指摘がございました。
更に、平成17年4月に犯罪被害者等基本法が施行されまして、この12月に基本計画が閣議決定されました。それで、先ほど来、話がありましたように、この基本計画を受けまして、経済的支援に関する検討会で更に詳細な検討が行われまして、平成19年9月に、この最終取りまとめが行われ、この提言を実現すべく、平成20年にこの制度の改正を行いました。
1つは、犯罪被害給付制度の目的につきまして、犯罪被害者等基本法の基本理念にのっとりまして、この犯罪被害者等の早期の負担軽減に加えまして、犯罪被害者等が再び平穏な生活を営むことができるということまで拡大いたしました。また、2つ目に給付水準でございますが、これは政令改正ではありますけれども、重度後遺障害者に対する障害給付金及び生計維持関係遺族に対する遺族給付金の大幅な引上げとなったところでございます。また、法律改正によりましては、休業損害等を考慮しました重傷病給付金の額の加算を規定したところでございます。
以上が、この制度の沿革になります。
続きまして、先ほど申しました杉本の方から、それらにつきまして詳細に説明させていただきます。
○警察庁犯罪被害者支援室長犯罪被害者支援室長の杉本でございます。
引き続きまして、犯罪被害給付制度の詳細と運用の実績につきまして、お手元の資料に沿って、また、後ほど映像を見ていただきながら、御説明したいと思います。既に御案内のことも多いかもしれませんけれども、今後の議論の基礎でもありますので、多少お時間がかかりますけれども、座長からも丁寧にやってほしいというお言葉をいただいておりますので、多少のお時間、辛抱をお願いしたいと思います。
資料の3ページ目ですけれども、「給付金の種類と額」、おおむねの額がまとめてございます。
まず、一番右側の遺族給付金から御説明申し上げますと、これは被害者の方が犯罪によって亡くなる。その御遺族の方に給付されるものでございますけれども、「最高額~最低額」と書いてございますが、最高額は、平成20年の政令改正によりまして2,964万円のところまで持ち上がりました。おおむね、自賠責の最高限度額に近づいてきた。それから、最低額につきましては、これは生計維持をなされている遺族がいらっしゃらない場合ですけれども、その最低額が320万円となってございます。
ここから先、資料の9ページと10ページも適宜御参照いただきながら御説明いたしますが、平成19年9月の経済的支援に関する検討会の最終取りまとめにおきまして、被害者の扶養家族である遺族に対する遺族給付金について、その経済的打撃が大きいことから、特に扶養家族の数など、負担の大きさにも十分な配慮を加えつつ引上げを図るべきであり、引上げの水準については、その最高額について、自動車損害賠償責任保険並みの金額に近づけるよう努め、最低額についても引上げを図るべきであるというふうに御提言がなされました。
これを踏まえて、先ほども総括審議官から御説明申し上げましたけれども、それまでの犯罪被害給付金の目的を拡大することによって、これに対応しよう。その目的の拡大につきましては、犯罪被害者等基本法の理念を受けて、遺族が再び平穏な生活を営むことができるよう支援をする、こういうところまで目的を大きく改正する。それに応じまして、給付水準を決めております遺族給付基礎額、それから、その倍数の引上げを図るというふうにしたところでございます。
行ったり来たりいたしますけれども、9ページをごらんいただきますと、平成20年改正の大まかな全体像をここに記してございます。
一番右側に、遺族給付金の制度がどう変わったかということが書いてございますが、真ん中よりも上の方が改正前、下が改正後になっております。遺族給付金についてごらんいただきますと、最高で1,500万円ほどから最低額で320万円というところでございましたけれども、改正後をごらんいただきますと、2,964.5万円のところまで上がっている。経済的支援に関する検討会の最終取りまとめを反映させ、かつ、休業損害につきましても御提言がございましたので、死亡した前に療養に要した費用、あるいは休業に伴って生じた損害額がございました場合には、これを合算した額を加算して支給するという制度に変わってございます。
また、10ページにつきましては細かいお話でございますので、後ほど御説明いたしますけれども、このように大幅に給付金の額が拡充されたところでございます。
申し訳ありません、説明の都合上、やはり10ページを見ていただきますと、左右半分に分けまして、重度後遺障害の方に対する障害給付金が、どういうふうに基礎額や倍数が変わったか、それから右側に、遺族給付金につきまして、生計維持関係のある遺族の方に対する遺族給付金が、どのように基礎額と倍数が変わったかということもまとめてございます。
これをごらんいただきますと、まず給付基礎額につきましては、その方の勤労収入を基に算定がなされます。遺族の方をごらんいただきますと、各年齢層に応じて給付基礎額を定めてございます。おおむね5歳刻みでまとめてあるんですけれども、それぞれの方々の勤労収入が基になる。ただ、犯罪被害に遭って亡くなる方は、当然、老若男女、いろいろなパターンがございます。仕事をなされていない方もいらっしゃいます。そういうところから、その方の勤労収入だけを基にしますと、大変低くなるということもございます。また、逆に大変高過ぎて国民の理解が得られないということもございます。そういったために、最低額、最高額を5歳刻みで年齢層ごとに定めてございます。これは賃金センサスというものが行われておりますけれども、それを基にして定めた額でございます。
この給付基礎額に対しまして、表の下の方にあります倍数というものがございますが、この倍数を生計維持関係のある遺族の数に応じて、それぞれ倍数が決まっておりますので、この倍数をかける。例えば35~39歳の年齢幅の基礎額を見ていただきますと、最低額が7,600円、最高額が9,900円となっております。例えば9,900円、上限いっぱいの基礎額だといたしますと、その上で奥様と子どもさんお一人という、典型的なといいましょうか、そういう生計維持関係のある遺族の方がいらっしゃるとした場合には、倍数のところを見ていただきますと2,010倍でございますので、これをかけていただく。そうしますと給付額が出る。こういう簡単な計算方法になっております。これらの計算方法につきましては、労災とかそういったものを基本といたしまして、できるだけ社会保障制度並びで考えてつくられているものでございます。
少し細かくなりますけれども、平成20年の政令改正のときに引き上げられたところ、配られたペーパーですと非常に差が見にくいのですが、遺族のところで見ていただきますと、基礎額のところで現行と引上げ後というものが表になってございます。それを見比べていただきますと、最低額のところが大きく変わっておるんですけれども、この辺のところを御説明申し上げますと、基本的に最高額につきましては、平成13年に基礎額について大きく、最低額、最高額、ともに賃金上昇を受けまして、40%以上の引上げを図っております。
それ以後、経済の低迷によりまして、実質的な賃金は実は増えておりません。かえって減っておるというようなところもございますけれども、そのため、最高額のところにつきましては、若年層を除いて改正することができてはおりません。これは賃金が増えていないからというところでございますが、その代わり、最低額の引上げを図るということも御提言いただいております。また、特に若年層について重点的にやるということを御提言いただいておりましたので、そのため、基礎額の最低額のところをごらんいただきますと、現行といいますか、改正前と引上げ後を比べていただきますと、かなりの上げ幅となってございます。
これの基本的な考え方といたしましては、障害の方も同じような考え方を取っておりますが、生計維持関係のない遺族給付の年齢層ごとの上限額、下限額が、最高額、最低額がございます。これをそれぞれの年齢層ごとに、最高額、最低額の平均額を取りまして、これを生計維持関係のある遺族給付の方の給付基礎額の最低額とするという操作を加えてございます。
少し分かりにくいんですけれども、例えば35~39歳のところで、今日お配りしておりませんが、最低額が7,600円になっております。それで、本日お配りしておらないのですけれども、生計維持関係のない遺族の方に対する遺族給付金の給付基礎額もございまして、35歳から40歳未満、39歳までですけれども、これが生計維持関係のない遺族給付の場合ですと、最低額が5,300円、最高額が9,900円となっております。これを足して2で割ると、この7,600円という数字が出てまいります。各年齢層ごと、それぞれ同じように計算いたしまして、最低額を何とか引き上げるということによって全体としての給付水準を引き上げる、そういう改正をしてございます。
なお、24歳までのところですけれども、全年齢平均額をもって最低額とするという計算をいたしますと最高額をも超えてしまいますものですから、24歳までのところは最低と最高を一律に6,600円というふうにしております。30歳未満までの最低額については、同じように全年齢平均額を取って6,600円としてございます。これは自賠責でも若年層に対する措置ということで、同じような全年齢平均というものを取られておるものですから、私どもでもそれにならいまして、このような改正をしてございます。
次に、倍数につきましては、従前、1,300倍というところでございましたが、最終取りまとめの御提言によりまして、生計維持関係のある遺族の数が、その後の生活の苦しさを左右するということを御提言されまして、これを踏まえて給付水準を改めてほしいということでございましたので、ここの一律に1,300倍であったものを1名から4名以上まで分けまして、4名以上ですと2,450倍、1名ですと1,530倍。なお、一番下の「1名」の上に「1名*」というものがございますけれども、これは欄外に注書きしております。55歳以上の妻、あるいは障害等級5級以上の身体障害等の状態にある妻ということで、この辺は稼得能力が非常に低いということを踏まえまして1,750倍となっております。
この倍数の決め方ですけれども、これは労災保険法と公害健康被害補償法にならったといいますか、その計算方法を踏まえたものであります。
まず、労災の遺族補償年金におきまして、生計維持関係のある遺族に対する倍数といいますか、向こうは給付日数でありますけれども、それがそれぞれ、1名の場合は153日、それから、4名以上になって245日というふうに定められております。私どもは一時金であり、また、基本法の理念にあるように、再び平穏な生活を取り戻すという観点から、公害健康被害補償法で定めております給付限度といいますか、おおむね10年間を限度とするという制度を踏まえて、労災の、例えば4名以上ですと245かける10という計算をいたしまして、2,450倍から1人の1,530倍というふうな考え方で改正を加えたところでございます。
このような非常に細かいといいますか、いろんな制度にならいつつ、どういうふうに合理的に組み立てていくかという観点から、一生懸命、御提言に近くなるように、実現できるようにということで行ったものでございます。
それから、9ページに戻っていただきますと、先ほども簡単に御説明申し上げましたが、遺族給付金の改正後のところの遺族給付金支給額という箱の下の方に「+」と書いて、「被害者が死亡前に療養を要した場合には、医療費の被害者負担相当額と休業損害を考慮した額の合算額も併せて支給」とありますけれども、こちらの方は法律改正に係る部分でございまして、死亡前に医療を受ける方も当然いらっしゃいます。また、そうなると休業損害も発生してくるということで、法律改正によって、この休業損害の加算も行ってございます。
次に、もう一度3ページに戻っていただきまして、真ん中の下の方にあります障害給付金ですけれども、これにつきましては後遺障害が残った方に支給されるというものでございまして、創設当時は、死亡プラス後遺障害については1級から3級まででございましたが、総括審議官から御説明申し上げたとおり、順次拡大をしてまいりまして、現在では1級から14級まで、ほかのそういう後遺障害を持っている制度と同じ仕組みになってございます。
それで、そこの箱に書いてございますとおり、これは常時介護を要する障害等級1級の方の最高額3,974.4万円から、14級の方、基礎額が低い方の場合に18万円までという状況になってございます。
この障害につきましても、経済的支援に関する検討会の最終取りまとめを受けまして、生計維持関係のある遺族の方と並んで、特に深刻な状況に置かれた犯罪被害者等に重点を置いて支援を行うという観点からということで、先ほどの生計維持関係のある遺族給付と並びまして、稼得能力の喪失・減退の程度を考慮して、重度後遺障害者を対象とする障害給付金について、重点的な引上げを行うべきであるということが提言なされました。これを受けまして、平成20年の政令改正によりまして、重度後遺障害者に対する給付基礎額の引上げと倍数の引上げを図ったところでございます。
再度、9ページをごらんいただきますと、真ん中の列に障害給付金がずっと書いてございます。同じように、改正前と改正後と分けておりますけれども、改正前は1,849.2万円から18万円だったところを、下の真ん中辺りですが、最高額3,974.4万円までに引き上げたところでございます。
更に、また10ページに行っていただきますと、基本的には先ほどの遺族給付の考え方と似ておるんですけれども、重度後遺障害者に対する障害給付金のところをごらんいただきますと、まず、重度後遺障害について重点的に引き上げる。それから、遺族給付金と同じように、平均収入がどうしても低くなってしまう若年層に配慮するということを踏まえまして、下の表のような改正状況になってございます。
まず、給付基礎額の方でありますけれども、これも最高額につきましては、基本的には平成13年の大幅な引上げの後、賃金上昇が見られていないということから、25歳よりも上の欄は変わっておりません。改正いたしましたのは最低額のところと、それから、24歳までの最高額のところについてでございます。これも、最低額の引上げの考え方につきましては、先ほど遺族給付金の最低額の引上げについて申し上げた考え方と全く同じでございまして、できる限り最低額を引き上げることによって全体としての給付水準を上げていくというものでございます。
次に、倍数でありますけれども、これにつきましては、常時介護1級、普通の1級、随時介護2級、普通の2級、3級と、ここが重点的に引き上げるべきとされた重度後遺障害の部分でありますが、従前、改正前につきましては、ごらんのとおりの倍数でございました。それが、ごらんいただいておりますような、常時介護1級で2,880倍、3級で1,600倍というふうに引上げを図っております。
これの考え方でございますけれども、最終取りまとめの御提言の中でも、自賠責の4,000万円に近づけるということで御指示がなされておりますものですから、これを踏まえまして4,000万円を目指すというところでございます。
最高額は、先ほど来、申し上げているとおり、賃金上昇が見られないものですから、50~54歳の年齢層のところで1万3,800円が最高額となります。この最高額をどうするかというところでありますけれども、障害につきましては、やはり、その後の介護なり何なりということで非常に御苦労が多いわけでございますので、遺族給付金よりも高く設定する。大体、1.3倍からそれぐらいのところになるように考えを持ってきておるということがございます。
そのため、生計維持関係のある遺族からおおむね1.3倍以上に引き上げるということを考えますと、この障害給付金の最高額の1万3,800円と何をかければ4,000万円近くまで行くか、遺族給付金のおおむね1.3倍以上になるかということで導き出されたものが、この2,880倍というものでございます。そこから下に行くにつれて、徐々に下がっていく。ここは自賠責の重度後遺障害に対する給付を定められている、それをおおむねの標準といたしまして2,880倍で、普通の1級が2,160倍、随時介護2級が2,160倍、このように定めているところでございます。
これが、重度後遺障害に対する改正の細かな考え方でございます。
再度、3ページにお戻りいただきまして、残りました重傷病給付金でありますけれども、平成13年に制度が新設されましたものでありますが、これにつきましては、犯罪被害によりまして重傷病を負ったという方、法律上の要件としては1か月以上の加療となってございますけれども、そういった方に給付をするというものでございます。これは、簡単に言いますと、医療費の自己負担相当額を補てんするというものでございまして、これもまた、その上限額につきましては、自賠責の傷害事故に対する支払限度額にならいまして、120万円となってございます。
この重傷病給付金につきましても、先ほど総括審議官から御説明申し上げたとおり、平成13年にできたときには3か月間を限度としておりましたけれども、平成18年、前の経済的支援に関する検討会の御検討がまだ進んでおる最中でありましたが、その最中に、1年を限度として支給するというのが適当であろうということで、1年に延ばしまして、更に重傷病の政令上の要件についても緩和をいたしております。当初は法律上1か月以上、それから、政令で定める要件として14日以上の入院ということで要したわけでありますけれども、この平成18年の改正によりまして、加療は1か月以上、これは変わりないんですが、入院は検査入院というような形態を含まない最短の形ということで、3日以上の入院というふうに要件を緩和しております。また、精神疾患については、基本的には入院はないというのが通常となっておるようでございますので、このときに、精神疾患については入院要件そのものを撤廃する。3日以上労務に服することができない程度の症状というところに改正をいたしております。
また、平成20年の際の法律改正によりまして、これは遺族給付で御説明したときと同じなんですけれども、3ページの重傷病給付金の箱の一番最後に書いておりますが、休業損害を考慮した額を加算するということになってございます。これは平成20年の法律改正によりまして、やはり、けがをされますと休業を余儀なくされてしまう、それによって収入が少なくなってしまうということも当然ございますので、そういったところをきちんと見るべきであろうということで、重傷病給付金に休業損害を考慮して加算を行うという制度に改まってございます。
次に、資料の4ページでありますけれども、支給対象者等についてまとめております。
まず、資料の左側にあります犯罪ですが、「犯罪被害」と大文字で書いてありますけれども、どちらかといえば犯罪という方にまずは重きを置いて御説明いたしますと、これは書いてありますとおり、日本国内または国外にある日本船舶もしくは日本航空機内において行われた人の生命または身体を害する罪に当たる行為、勿論、正しく犯罪構成要件に当たるもの以外にも犯罪と見られるもの、あるいは行為の責任は問えないんだけれども、構成要件には当たるとか、完全な刑法上の犯罪ではない部分まで広く含んでおりますが、中心になる概念としては犯罪ということでありますけれども、そういったものは日本の領域内で行われなければならないということが1つあります。それから、犯罪の種類ですけれども、人の生命または身体を害する罪ということで定められてございます。こういう行為による犯罪による死亡、重傷病または障害が犯罪被害として定義をされております。
真ん中の箱ですけれども、支給が受けられる被害者または遺族の資格ということで、これは法の3条に定めてございますが、日本国籍を有する、または日本国内に住所を有する方である。それで、当該被害の原因となった犯罪行為が行われた当時に、日本国内に住所を有していた外国人も対象者となっております。
更に、右側にもう少し詳しく書いてございますけれども、重傷病給付金と障害給付金、これはそれぞれの被害を受けた御本人でございますので説明は要しないのですが、遺族給付金について御説明申し上げますと、遺族給付金につきましては、亡くなられた被害者の方の第一順位遺族の方に給付がなされるものであります。当然、いろんな遺族の方がいらっしゃいます。御家族、親御さんとかいろいろいらっしゃるわけですけれども、その順位を定めてございまして、「遺族給付金」というところの下にありますとおり、1~3、それぞれ書いてございまして、2と3についてはずっと丸数字が振ってありますが、配偶者から生計維持関係のない兄弟姉妹まで、この11の類型に分けまして、この順位で第一順位遺族が決まっていくことになっております。
したがいまして、配偶者がいなくて、お子さんが複数いるという場合には、複数の第一順位遺族が出てくるわけでありますけれども、そういう場合には給付金をその数で案分をいたしまして、第一順位遺族の一人ひとりに給付するということになってございます。
こういった支給を受けようという方には、4ページの下の方でありますが、それぞれのお住まいになっておる都道府県を管轄する公安委員会に申請をしていただくということになってございます。この申請につきましては、犯罪被害、つまり、死亡、重傷病、障害というものの発生を知った日から2年、あるいはその被害が発生した日から7年が、それぞれ除斥期間として定められております。
この点につきましては、前の検討会の最終取りまとめの御提言を受けまして、平成20年の法律改正によって、ここに「住所地を管轄する都道府県公安委員会に申請」という箱の中の一番下にありますとおり、いろんなやむを得ない事情がたまにございます。そういったやむを得ない事情・理由がやんだ日から6か月以内は申請できるというように、平成20年の法律改正によってなってございます。
例えば、ずっと行方不明になっていたんですけれども、殺されてから10年も経って、初めて御遺体が出て、これは殺されたのだなということが分かるという場合もまれにございます。そういった場合に、7年経ってしまったからもう申請はできませんというのも被害者にとっては酷であろうということから、このような除斥期間の特例が措置をされたものでございます。
それから、この申請がなされますと、そこから矢印が出まして、それぞれの都道府県公安委員会における裁定がございまして、支給の裁定ないしは不支給の裁定がなされるということになります。
この裁定の結果について不服がございます場合には、この資料の中には書き切れておりませんけれども、不服審査請求については国家公安委員会に審査請求をすることができるようになってございます。
次に、5ページでありますけれども、「他法令による給付等との調整」についてでございます。
これにつきましては、冒頭、総括審議官から御説明申し上げましたように、犯罪被害給付制度の趣旨・目的といったものから来るものでありますけれども、やはり不法行為制度の補完、あるいは他に救済手段のない犯罪被害者の方々の救済を国が行う、すなわち、最後の国のセーフティーネットという性格を有しておりますことから、他の公的給付制度を受けることができる場合、あるいは加害者からの損害賠償が行われたような場合には、これらとの調整がなされるということになってございます。
まず、左上の公的給付との調整でありますけれども、遺族給付金と障害給付金については、それぞれ死亡あるいは障害というものを原因として、被害者または遺族に対して、労災保険法あるいはその他の法令による給付等でなされる場合があります。これらについて、政令で調整されるべき法律を定めてございますけれども、後ほど政令を御確認いただければよろしいんですが、全体で27の法律による調整がなされるようになってございます。
その調整の仕方につきましては、見ていただいている箱の一番下の部分に、その給付の限度において、支給しないというふうに書かれておりますけれども、この意味合いといいますのは、他の公的給付の方が犯罪被害給付金を上回る場合には支給はなされない、下回る場合にはその差額が給付をされるということになってございます。
調整対象となる災害給付の種類につきましては、政令で27定められておりますけれども、矢印の右側にその代表的なものを記載しております。基本的には労災関係のもの、自賠責等といったものが政令で定められております。
他方、その右側に、国民年金保険法とか、厚生年金保険法等々、書いてございます。これらの法律による、老齢とか、死亡とか、そういった、いかなる原因かを問わないもの、そういう年金給付というものがございますけれども、これらは本来的に所得補償としての機能を有しているものでございますので、いわゆる調整対象となる災害給付と区分されるようなものとは性質を異にするということで、こういった国民年金保険法による年金とか、そういったものとは調整をされないということになってございます。
次に、その下の重傷病給付金、それから、遺族給付金でありますけれども、ここにつきましては、犯罪行為により生じた負傷または疾病について、被害者に対し法令の規定により療養に関する給付が行われるべき場合には、その給付の限度において、支給しないというふうな調整規定がございます。これにつきましては、遺族給付金とありますのは、死亡される前に療養がなされたような場合のことを言っておりますけれども、こういった場合には、健康保険法とかそういったようなもので、一般的には7割ですが、それが賄われる。それで、3割の自己負担部分について重傷病給付が行われるわけですけれども、そういったような、そこの3割部分につきましても、調整対象となる療養給付というものがさまざまございますので、こういったものから出る場合には、その限度において支給が制限されるということになってございます。
それから、5ページの一番下にありますけれども、「犯罪被害を原因として被害者又は遺族が損害賠償を受けたときは、その価額の限度において、給付金を支給しない」という定めもございます。これにつきましては、損害補てんを行うべき責任があるのは、まず第一義的に加害者でありますけれども、その加害者、あるいは加害者に代わって損害のてん補を行おうという方がたまにいらっしゃるわけですが、こういった損害賠償、損害のてん補として行われる金銭の給付、あるいは示談ということで、もう要らないとおっしゃる場合もあるんですけれども、そういったような損害賠償を受けたというような場合には、その限度において、給付金が支給されないというものでございます。
次に、資料の6ページでありますけれども、大変申し訳ありません、時間が押しておりますが、給付金制度のこれまでの運用実績についてでございます。
ごらんになってお分かりになる、実に簡単なものでありますけれども、これまで昭和56年1月1日から平成22年度末までの被害者数で8,143人、申請者数は1万1,571人ですが、これにつきまして、遺族給付金につきましては、先ほど申し上げましたけれども、複数の第一順位者がいらっしゃる。そういった場合に被害者数よりも多くなるというところが反映しておりますが、被害者数で申し上げますと8,143人です。
支給された被害者数は7,250人。そのほか、不支給になっている方もそれなりにいらっしゃいますし、まだ裁定が行われていない人たちもございますので、このような数になってございます。
支給裁定額については、このとおりでございます。
また、平成22年度中の平均支給額については、生計維持あり、生計維持なし、それから、重度後遺障害等々で区分しておりますが、このような状況になってございます。
資料の7ページ目でありますけれども、これまでの申請と裁定の推移をグラフにしたものでございます。御参考でございます。
それから、8ページの「犯罪被害者給付金の減額・復活事由」であります。
ここにずらずらと書いてございますが、犯罪被害給付金の制度趣旨から踏まえて、やはり支給をしてはならないだろうと言われるもの、それから、3分の2を減額するのが適当であろうというもの、また、3分の1の減額をするのが適当だろうというものがさまざま定められてございます。
しかしながら、この減額を形式的にやりますと、やはり社会通念上、それは適当ではないだろうというものもございますので、それを踏まえて、少し太い線で囲っておりますけれども、一旦、減額はせざるを得ないんですが、これを復活させるという仕組みも同時に仕組んでございます。大変読みにくい書き方にはなっておりますが、不支給事由、減額事由のところの条文と照らし合わせて見ていただきますと、こういう場合に復活がなされるんだなということがお分かりになろうかと思います。
この資料3につきましては、もう少し簡単に、11ページでありますけれども、そちらの方に、当方でやっております支援関連の予算について主要なものを載せております。さまざまな、性犯罪の関係とか、あるいは御遺体の関係、それから、民間支援団体に対する支援の関係、もろもろ、ここに載せてございます。参考にしていただければと思います。
12ページ目でありますけれども、「改正犯罪被害給付制度の運用状況」としまして、平成20年7月1日以降に発生した犯罪に係るものについて、すべてを載せております。
遺族給付については、被害者数75人、平均額は1,095万円、改正前の額で計算いたしますと597万円でございます。
以下、障害給付金、重傷病給付金、それから、各給付区分におけます、この間の最高額、最低額について概要を載せさせていただいております。
それで、これから、我々が実際に裁定いたしました事例に基づきまして、どういう運用になっているか、どういう場合なのかということで御説明をさせていただきます。それぞれ、対面に画面がございますので、それをごらんいただきながら、まだ生々しい案件でございますし、非常にセンシティブな情報でございますので、この場限りのものとしていただきたいと思っております。
○冨田座長済みません、少し時間が押していますので、もし差し支えなければ、この事例についての部分は次回に回した方がよろしいかと思いますが、いかがでしょうか。
○警察庁犯罪被害者支援室長結構でございます。
○冨田座長それでは、本当は、この部分は重要な部分なんですけれども、時間の関係で、次回に回していただいて、また改めて御説明いただくということでお願いしたいと思います。
それでは、多少遅れておりますけれども、犯罪被害給付制度に関連の深い犯罪被害救援基金の業務につきまして、黒澤構成員から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○黒澤構成員資料4でございます。資料4は2枚ございまして、2枚目がカラーで横長の資料になっております。時間がありませんので、簡単に御説明を申し上げます。
この支援金支給事業でございますが、当基金が行っている支援金支給事業は、この資料の1枚目の1に書いてございます。先ほど来、出ておりますように、経済的支援に関する検討会の最終取りまとめで「公的な救済の対象とならない犯罪被害者等であって、個別の事情に照らし、何らかの救済の手を差し伸べないと基本法の趣旨を全うできないと思われる理由のある者に対しては、社会の連帯共助の精神に基づき、民間の浄財による基金において、一定の指針の元に、給付を行うような仕組みを構築すべきである」。この提言を受けまして、平成20年12月から開始したものでございます。
この支給事業の概要でございますけれども、カラーの横長の資料をごらんいただきたいと思います。
まず、支給対象者でございますが、記載のとおりでございますけれども、これはややこしいんですが、「犯罪等」は基本法の「犯罪等」でありますが、それ以外は基本法ではなくて、先ほど説明のありました犯罪被害者等給付金支給法の方にのっとった規定ぶりになっておりまして、それから、基本法では家族が入っておりますけれども、ここには家族ではございませんで、遺族となっております。対象者が「犯罪被害者等」でございますけれども、そういった点が違います。
それから、支給要件でございますが、これもまた記載のとおりでございますし、また、今、最終取りまとめを御紹介申し上げましたけれども、そういうことでやっておりますが、典型的な事例は、あくまでも公的な支援の対象にならない、これが原則でございますけれども、1番目の○に書いてありますように「など」となっておりまして、個別の事情に照らして特別な救済の対象とすべき理由があって、現に著しく困窮していると認められる場合には、公的な救済の対象となった場合での支給をするという運用をいたしておるところでございます。
それから、支給要件の下に、この事業の流れが書いておりますが、番号を振ってございます。
各都道府県警察におきましては、事件がございましたときに被害者等に対しまして事業の教示をいたします。その前に、支給対象事案の把握に警察は努めておりまして、給付の事務の相談とか、一般的な警察の相談業務、あるいは事件・事故の取扱いにおきまして把握に努めておるところでございますけれども、犯罪被害者等につきましては<1>の事業の教示を各警察の方で行います。これが出発点でございます。
そこで、<2>、図の右側の方ですけれども、ここで犯罪被害者等から当基金に申請がございます。この際に、基金が捜査機関等に事案の内容等を照会して回答を得ることについての同意書を収受いたしております。
その上で県警察に、この図における<3>でございますけれども、情報提供依頼を基金からいたします。
その上で、<4>で、同意の確認を警察の方で犯罪被害者等にいたすわけでございます。そこで被害者からの申請書と同意書について確認を求めまして、事件を担当した警察等に県警本部において事案の照会を行います。
その上で、<5>と<5>'に書いてありますが、情報の提供を当基金が受けます。なお、県警本部から警察庁の方にも報告がまいります。
<6>でございますけれども、当基金におきましては、先ほど申し上げましたように、これは民間の浄財を原資としておりまして、特別な事情・理由のある者に限定して支給をいたしておりますので、学識経験者等の第三者機関として支援金支給審査委員会を設置いたしておりまして、支給の適否、支援金の額を審査していただいております。
それで、委員会から答申を受けまして、当基金の理事長が給付を決定する。
こういう流れになってございます。
支援金の額でございますけれども、100万円以上500万円以下の範囲内で、50万円の刻みでもって、被害者または遺族の事情、基金の財政事情等を勘案いたしまして決定いたしておるところでございます。
なお、当基金は、御承知・御案内かと思いますけれども、国の税金等は全く入っておりません。完全に民間の浄財でございます。それから、法律ができました際に、奨学金の給与ということを検討せよとの衆参両院の附帯決議がございまして、当基金は犯罪被害者等の指定の奨学金の給付という事業がメインの事業で、そういった財政事情等もございまして、2,000万円の予算を講じておりますが、1枚目の資料の運用実績等で書いてございますが、実際に運用いたしましたのは、平成21年度に2件2名で、300万円と500万円、平成22年度が2件2名でございまして、それぞれ200万円と300万円でございますが、このうち、全く公的に対象とならなかった、外国で犯罪被害を受けた方の指定、1件1名が含まれております。
以上でございます。
○冨田座長どうもありがとうございました。
それでは、御質問や御意見がありましたら、御自由にお願いいたします。いかがでしょうか。
番構成員、お願いいたします。
○番構成員給付制度について、お伺いしたいと思います。
額が前よりも非常に増えたということや要件が緩和されたということはよく分かるのですけれども、裁定までの、支給までの期間については、まだいろいろ御不満とか、あるいはなかなか出ないという話を聞くのですが、これについてはいかがでしょうか。
○冨田座長お願いいたします。
○警察庁犯罪被害者支援室長お答え申し上げます。
支給期間については、私どももできるだけ早くというふうに考えております。ただ、いろんなところに照会書を出します関係で、多少遅れております。
ただ、近年、どんどん短縮しておりまして、平均的には平成22年度で7.7~7.8か月であったと思います。もう少し言いますと、大体、受け付けて半分は半年以内に終わらせている。ただ、どうしても難しい案件がございまして、2年以上かかっている案件もまれにはございます。
それで、おっしゃいましたとおり、早く出してほしいという御意見、私ども、近年、3か年ほどかけて支給を受けた方にお尋ねしましたけれども、やはり自由意見の中ではそういう御意見が多かったと思っております。努力したいと思っております。
○冨田座長ほかにいかがでしょうか。
川出構成員、お願いします。
○川出構成員給付金額の決定についての基本的な考え方を確認させていただきたいのですが、障害給付金と遺族給付金の支給額が給付基礎額×倍数で決まるということ、そして、給付基礎額の方は勤労収入に応じて、倍数の方はそれぞれの必要性に応じて決まるということはよく分かりました。その上で、具体的な給付基礎額や倍数がどのように決定されるのかという点なのですが、平成20年改正の経緯などをお聞きしていますと、これについては特に基準はなくて、要するに、最終的に、総額としてどの程度の額を給付すべきかというところから決まってくるという理解でよろしいんでしょうか。
○冨田座長お願いします。
○警察庁犯罪被害者支援室長なかなか難しい御質問でございまして、まず、給付基礎額につきましては、私ども、賃金センサスを利用しております。それで、上限、下限とありますけれども、賃金センサスで低い方から高い方までざっと並べて、4分の1下、4分の1上、これを切り取ります。ですから、大体、労災と同じかと思うんですけれども、4分の2のところから4分の3くらいのところまでのところが残りまして、これが下限、上限というものになってございます。
倍数につきましても、ほかの公害健康被害補償法とか、労災とか、労基とか、そういったものをにらみながら、どこの水準に位置するのが一番よろしいのか、社会保障制度全体の中で、最後のセーフティーネットとしてどうあるべきかという観点からやっております。
平成20年につきましては、大変難しい改正でございまして、2倍から、大きいもので4倍ほどのアップになるというものでございましたが、これにつきましても資料の中で、本当に早口で申し訳ございませんでしたけれども、例えば遺族給付ですと、2,450倍が4人以上で、一番下が1,570倍で、これも労災の遺族補償年金であります給付日数から基本的には取っている。245日に対して2,450倍、そこから取っております。
なぜ10倍になるかといいますと、公害健康被害補償法で限度を10年とされているものですから、そこで家計の柱を公害によって失った方に対する10年であれば、こちらの方も10年とするのが適当だろうかということで、2,450倍、労災の遺族補償年金に10をかけた数字ということになってございます。それで、障害の方は遺族年金の方を見越して1.3倍以上になるように仕組んでいるという経緯でございます。
○冨田座長よろしいでしょうか。
ほかにいかがでしょうか。
中曽根構成員、お願いします。
○中曽根構成員私も給付金のことで少しお聞きしたいと思います。その中の重傷病給付金のことについてですが、この中で、精神疾患である場合は、その症状程度が3日以上労務に服することができない程度と書いてあるんですけれども、これは、PTSDとかASD等の診断を受けて、その費用が出るということだと思うんですが、これについては意外と知られていないといいますか、普及していないように思うんです。実際に支援をさせていただいていると被害者の方は意外と分かっていないように感じます。そういうことについては、警察の職員の方といいますか、支援室の方とかが給付金について説明する際の周知徹底がなされているのかどうか、その辺をお聞きかせ願います。
○冨田座長お願いします。
○警察庁犯罪被害者支援室長特に大きな制度改正が平成20年にございましたので、平成18年の改正で労務不能3日以上としたわけですけれども、大きな基本法の制定があって、そこから基本計画の策定、引き続いての検討がございましたものですから、我々、一生懸命、制度を普及せねばいかぬということでやってございます。今も当然、民間支援センターといいますか、早期援助団体の一つの業務として、この給付金の申請の補助を行うことというものがございますし、それに頼らずに、我々も、初期的に、一番最初に当たるわけですから、一生懸命に御説明をするということはやってございます。
ですから、数が少ないねという御印象はあると思います。ただ、一方で、最後に資料で説明いたしました、性犯罪とかそういったものについては、あるいは御遺族についてもそうなんですけれども、民間支援の団体の方にもお願いをしつつ、一生懸命にカウンセリングを我々自身の職員も含めてやってございますので、そのために多少少ないのかなというふうな感じはいたしますけれども、精神疾患について、これは入院要件は要らないんだ、そういう診断書があればそれで十分だということでやってございますので、今後とも、抜けのないようにやっていきたいと思っております。
○中曽根構成員分かりました。ありがとうございます。
○冨田座長よろしいですか。
ほかにいかがでしょうか。
それでは、松村構成員、お願いします。
○松村構成員松村です。
犯罪被害給付金の支給に対して、被害者が今までかなりもらってきていますけれども、非常にありがたかった、大変感謝しているという例を聞いたことは余りないんですが、それについてはいかがですか。ありますか。
○警察庁犯罪被害者支援室長私どもが先ほど申し上げた、3か年度をかけて、犯罪被害給付金の申請をされて、裁定をされた方、幾ばくか不支給の方もいらっしゃるわけですけれども、その方たちを含めて、犯罪被害給付制度、それから、そのほかの我々の支援制度について、アンケート調査を行いました。その中でいろんな自由意見も、ともかく、いろんなことでどうぞということで書いておりますけれども、その自由意見、そのアンケート調査については、基本計画の検討段階で、総括審議官からお配りしてございますので、資料を見ていただくとよろしいんですけれども、その自由意見の中では、助かったという御意見もあります。
その一方で、先ほど番構成員からございましたとおり、遅い、もっと早く支給してほしいという意見も、犯罪被害給付金についての意見の中で3割程度ございましたので、そういった点では反省をしておるところではございます。
○松村構成員私も犯罪被害者と類型別の構成員をやったことはありますけれども、その中で犯罪被害者、殺人とか傷害のものに関して一番問題となっていたのが、要求の大きかったのが、犯罪被害者への経済的補償が少ない、もっと充実してくれということだったものですから、やはり、その辺の声が警察庁の間にも通じていないのではないかということを心配してお伺いしましたわけでして、よろしくお願いしたいと思います。
○冨田座長その辺の評価等の実態把握については、どういう方法が一番適切で実態を把握できるかということは、また検討してまいりたいと思っております。
瀬川構成員、お願いします。
○瀬川構成員確認なんですけれども、今、アンケートを取った際に、期間についてスピードアップしてくれという意見は聞いたけれども、額については不満はなかったという趣旨で説明されましたか。
○警察庁犯罪被害者支援室長はい。私も、個人的にはいろんな方から、給付水準が低いのではないかというお話は聞くものですから、当然、その自由意見のところで気にはして読んでおります。ところが、額については、私どもに対するアンケートですので、御遠慮されたのかもしれないんですけれども、助かったという御意見はあった一方で、遅いという点についてのおしかりは、またございました。ただ、額についての御不満というのは、私、読み込むことがなかなかできなかったという点はございます。これはアンケート調査の仕方も影響があるのかどうか、分からないんです。
○冨田座長よろしいでしょうか。
ほかにいかがでしょうか。
それでは、松村構成員、お願いします。
○松村構成員支援金の支給事業について、黒澤先生に教えていただきたいんですけれども、私の周りにいる被害者から支援金を申請したという人が2人いて、2人とも却下されているということなんです。しかも、却下された理由が明示されない、開示されないということはどうしてなのかという、非常に疑問を持っている被害者がいるものですから、それについて、どうなんでしょうか。
○冨田座長黒澤構成員、もし、ありましたら、お願いいたします。
○黒澤構成員抽象論でしか申し上げられませんけれども、具体的な個々の事案、勿論、それぞれみんな違うわけなんですが、この支給要件に沿って、個別の事情に対して特別な救済の対象とすべき理由がある、こういった点、個別事案に、それぞれ有識者の方々の意見をも踏まえまして最終決定をするということでやっておるところでございまして、また、先ほど申し上げましたように、限られた財政事情の中で、限定された趣旨での運用なものですから、そのような結果に相なっているということと承知をいたしております。
○松村構成員ということは、なぜ、あなたは支給しないんですという開示はしていないんですか。
○黒澤構成員具体的な理由等については、特段、申請者の方に個別具体的にお話はいたしておりません。
○冨田座長瀬川構成員、お願いします。
○瀬川構成員支援金に関連してなんですけれども、給付金が最終的なセーフティーネットだということですが、この支援金の支給というものはそこから抜け落ちた部分なので、すごく重要な制度であると私は考えておりますし、大きな期待があると思うんです。
それで、この運用実績を2件と書いてあるんですけれども、これはどういう趣旨なのかということなんですが、つまり、全部で何件が申請されたのか、何%が認められたことを意味するのか、この点はいかがでしょうか。
○黒澤構成員個別事案については控えさせていただきますけれども、平成22年度が4件5名です。それから、平成21年度が5件6名です。
○冨田座長どうもありがとうございます。
瀬川先生、それでよろしいでしょうか。
○瀬川構成員はい。
○冨田座長それでは、いろいろ実質的な議論もなされたところですけれども、本日は、犯罪被害給付制度の現状等について警察庁から、そして、この支援事業につきまして黒澤構成員から詳細に御説明していただいたところです。まだいろいろ御質問等があるかと思いますけれども、これを踏まえて、次回の第3回検討会では、検討課題といたしまして、現行の犯罪被害給付制度について、現状において何が不足しているのか、問題点は何なのか、更に何が必要なのかについて、論点整理に向けて、現行制度に関する課題抽出という位置づけで、議論したいと思っております。
したがいまして、構成員の皆様におかれましては、有意義な検討を行うためにも、そして、現行の犯罪被害給付制度及びその運用状況についてどう考えるのか、あるいは更にどのような事項について調べる必要があるかなど、可能な限り、これは事前に御意見をいただければ大変ありがたいと思っております。
事前意見の提出期限につきましては、追って事務局から連絡をしてもらいますけれども、おおむね第3回検討会の1週間から10日くらい前には提出していただければよいのではないかと考えております。
また、更に、もっと現状把握が必要で資料の提出やより詳しい説明が必要と考えられる場合には、少し期間が短いんですけれども、7月27日水曜日ごろまでに事務局まで御意見を御提出いただければありがたいと思っております。
お手数をおかけしますけれども、大事な部分ですので、どうぞよろしくお願いします。
それでは、審議官の方からどうぞ。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長座長に補足するような形でのお話で恐縮なのでございますが、本来ならば、今日、警察庁さんの方から、平成20年改正に係る各給付区分における裁定例というものを、具体のケースがこのくらい出ていますという報告をいただくことになっておりますが、どうしても、今日は別の案件で、最後に一言だけ御理解をいただかなければいけない案件がありますので、時間の関係で、次のときにそれは示していただく。それも今回、今、座長からお話がありましたように、意見を出していただきつつ、参考にしていただく。
あと、これは黒澤構成員の方で可能かどうかなんですが、先ほど瀬川構成員から非常に御指摘がありましたけれども、具体のケースとはどういう形で、その4件で、うち1件は全くこの制度の対象外、ですから、ある意味、本来のカバーできない人に対する支援ということですが、逆に言えば、残りの3件については、この犯罪被害給付制度の対象になりつつ、かつ、上乗せした部分だというふうに理解をさせていただいたんですが、そうなると、その3件というのは、一体、どういうふうなものなのか。勿論、プライバシーの問題がありますので、議事録等には、先ほど座長からお話がありましたとおり、控えるという前提の中で、こういうケースに出ていますという御紹介は可能なんでしょうか。
○黒澤構成員抽象化して申し上げることはできるかと思いますが、個別の事案については控えさせていただきたいと思うんです。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長それでは、抽象化したり、こんな感じと言うと変ですけれども、こういうふうなケースでありましたという形で、警察庁さんの具体のケースの発表と併せて、可能な限りにおける御紹介ということはしていただけますか。
○黒澤構成員結局、差し支えない範囲でということになるんでしょうけれども、どこまでが差し支えない範囲かというのが、なかなか微妙な、難しい問題で、それと、ある情報を、具体的な事案について、ある部分について述べたときに、そのこと自体がまたひとり歩きするという部分もございますので、できたら抽象化して、こういう点で、これは公的対象にはなったんだけれども、この事案については、こういうことで出た。
そういう言い方で、まだケースが少ないことでもありますし、やはりいろんな財政事情の中でやるわけですから、先ほど来、申し上げているように、あくまでも民間の浄財で、限られた財源の中で、これがどんどん広げていくというのが現時点では大変困難でございますので、抽象化した項目で、個別の事案がなかなか、これは裁判も一緒ですけれども、この事案についてかくかくしかじか、こうだと全部、個別の事案に即して説明できればいいんでしょうけれども、なかなか、そこは難しいのではないか。
それと、期待感を抱かせてしまうことになっても、限られた財源という性格でございますので、その辺のところをお考えいただいて、こういう条件といいますか、要件といいますか、こういうものについて支給をいたしましたという説明にさせていただければと思います。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長それでは、状況的にはよく理解できますので、それで御検討いただいて、併せて警察庁とということで、よろしくお願いいたします。
○冨田座長いまのやりとりでお分かりかと思いますが、いろいろ難しいことがあるかと思いますけれども、できる範囲で御紹介いただけると大変ありがたいと思います。
私の方の進行の不手際もございまして、定刻がもうすぐに迫っているんですが、10分ほど延長させていただいてよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○冨田座長そういうことで、誠に恐縮でございますが、10分ほど延長させていただくということで、残りの議事につきまして、できる限り処理したいと思っております。
それでは、5番目でございます。「諸外国における犯罪被害者等に対する給付について」です。平成18年の経済的支援に関する検討会においても海外調査が実施されておりますけれども、これまでの調査結果の概要について、事務局から、時間の関係もありますけれども、ごく簡単に御説明をお願いしたいと思います。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官)それでは、事務局から資料5につきまして、ごく簡単に御説明いたします。
資料5は、英、米、独、仏の犯罪被害者等に対する給付につきまして、これまでの調査結果の概要をまとめた表であります。平成18年の経済的支援に関する検討会における有識者からのヒアリング結果、海外調査結果等を基に、その後の改正の有無や内容等について、有識者に御確認いただいたところを反映させて作成しております。なお、この一覧表につきましては、今般の海外調査により確認を要するというような事項も含まれておりますので、その旨、御承知おきいただければと思います。
この一覧表は、これまでの海外調査結果概要として、調査を行った英、米、独、仏について、ごく大づかみに比較できるように、理念・趣旨等、給付対象、給付内容、併給調整、財源というところについてまとめたものであります。詳細につきましては、次回、次々回に予定しております有識者からのヒアリングでの説明をお聞きいただければと思います。
事務局からは以上です。
○冨田座長そういうことで、次回以降、それぞれの国について有識者からのヒアリングも行われることでございますので、そのときに、また必要があれば、それについて説明していただくということで、今日は、この程度にしておきたいと思います。
それでは、これに関連することではございますけれども、議題の6.の海外調査方針に入りたいと思います。前回のスケジュール案にもございましたけれども、本検討会では、来年1月から3月上旬にかけて、海外調査を実施する予定でございます。海外調査につきましては、調査対象国のほか、調査事項や調査対象機関について、検討会で議論した上で調査を実施する必要があると考えております。
それで、今回の第2回検討会では、事務局から海外調査方針の概要の案として、平成18年に行った海外調査をベースとしたものが出ております。これに対しまして構成員の皆様方から御意見、御要望をいただきながら、海外調査の方針を固めていきたいと考えております。
まずは、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官)それでは、資料6をご覧いただければと思います。
調査の目的でありますが、「犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討を行うにあたり、諸外国における犯罪被害者等に対する補償制度、社会保障制度等について、その理念や背景、財源、課題等を含め調査し、犯罪被害者等に対する経済的支援の状況を把握することにより、我が国における上記の検討に活用する」というものであります。
現地へ赴いて調査を実施する時期につきましては、前回説明したときより若干早くなっておりますが、事務的なこともありまして、平成24年1月から2月、遅くとも3月初めごろまでに実施したいと思っております。
調査対象国につきましては、前回のところでも行きました英、米、独、仏に加えまして、韓国も加えたいと思っております。韓国は、罰金を財源として、今年から犯罪被害補償の制度も運用しているということのようですので、そういった新しいところがあるということで加えたものであります。
調査事項でありますが、これは今後、検討会で徐々に詰めていくものでありますけれども、今のところは、理念・趣旨、財源、犯罪被害者等に対する経済的支援の内容、犯罪被害者等にも適用される社会保障・福祉制度の内容、それから、日本における典型的なケース、複数のモデルケースについて、どのような補償や救済がなされているか、そのところを調査する必要があろうかと考えております。
調査対象機関につきましては、前回調査したところを主にピックアップして、そこに記載したように考えております。
それから、調査員につきましては、事務局において有識者と御相談しながら決めていきたいと思っております。
事務局からは以上です。
○冨田座長ありがとうございます。
ただいま事務局から、たたき台として海外調査方針の概要について説明がございました。これにつきましては、黒澤構成員から事前の意見を提出していただいておりますので、黒澤構成員からお願いいたします。
○黒澤構成員資料8をごらんいただきたいと思います。
2枚目の方ですが、まず現状把握の方法、いろいろあろうかと思いますけれども、また、いろんなことが考えられるかと思いますが、警察で、この関係で何かできること、可能なことがあるのかどうか、その辺を確かめてはどうか。それから、資料7-1の実態把握・現状把握の方法の一つとしてヒアリングが可能とは思いますが、このヒアリングする際の抽出の方法、まとめ方には注意をする必要があるかと思います。これはアンケート調査も同様かと思います。「何をもって典型的とするかも重要」と書いてございますけれども、どうしても標準的なケースというのは、当然、想定の前提としてあるわけでして、そこから考えることが多いわけですけれども、先ほども申し上げました、個別の事情に照らしてどうであるのか、そういった事例をどう組み込んでいくのか、あるいはその逆もあり得るのかもしれませんが、そういう意味で書いたものでございます。
それから、モデルについては、一般的にモデルを設定するということを検討する場合に、その目的は何かという、理屈っぽい話なんですけれども、一体、調査の目的といいますか、目指すべきところは何かという観点から、逆にどういうモデルを設定するのかというようなことも考えないと、全然、意とするところとは違ってしまう。それはそれでいいのかもしれないんですけれども、そういった問題提起をした、そういう表現の意味です。
3番も併せてよろしいですか。
○冨田座長3番がメインかと思います。
○黒澤構成員海外調査方針につきましては、もともと、犯罪被害者等に関わる刑事政策とか、治安対策、そういった全体的なものがどうなっているのか、そのことを頭に置かないと、経済的な支援だけを調べて、それを比較してもいけないのではないかという指摘でございます。
それから、私、ここは専門家ではないので分からないんですけれども、おもだった国が出ているんですが、それだけで必要かつ十分なのか。あるいは先ほど目的別にと言いましたけれども、目的的に考えた場合に、あるいはある国でとても進んだ、優れた、こういう具体的な施策があるとか、そういったものがないのかどうか、一遍、専門家に確かめられてはいかがかという意味でございます。
○冨田座長どうもありがとうございます。
ただいま、黒澤構成員から貴重な意見が出たところですが、特に、この海外調査方針につきまして、事務局の方、もし、何か御意見がありましたら、お願いいたします。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官)御意見ありがとうございます。
海外の調査の議事のところですので、その部分についてお話しいたしますと、今、黒澤構成員が御指摘くださった調査事項なども含めて、調査事項については、この検討会で皆様方に御検討いただいて詰めていきたいと思っております。それから、専門家の意見を伺うべきであるということについては、全くそのとおりであると考えております。
海外調査につきましては、犯罪被害者等に対する補償制度のほか、社会保障制度など、検討に必要な制度についても把握いたしまして、また、モデルケースを、今、御指摘のいろいろなところも踏まえて、皆様に御議論いただいた結果を踏まえて幾つか設定して、そのケースについての補償・救済内容を調査したいと考えております。
そして、海外に出向いて調査をするに当たりましては、調査対象機関や具体的調査事項ばかりではなくて、検討に必要な制度の把握やモデルケースの設定等についても、準備の段階で、各国の制度に知見を有する有識者の方々に相談して、御協力いただきながら準備を進めて、調査内容について詰めていく必要があると考えております。
こういう準備を事務局でしていきながら、各回の検討会で構成員の皆様に検討してもらって、徐々に調査内容が固まっていく、そんなようなイメージを持っております。
ここで、次回と次々回に予定しておりますヒアリングで御説明をいただいたり、今、申し上げたような御相談・御協力をお願いしたいと事務局が考えております有識者について御案内させていただきます。事務局といたしましては、今回新たな視点を盛り込むことも必要であるとともに、ある程度、平成18年に行った調査を踏まえた連続性ということも考えておりまして、アメリカにつきましては冨田座長に、イギリスにつきましては同志社大学大学院教授の奥村正雄先生に、フランスにつきましては中央大学法科大学院教授の小木曽綾先生に、ドイツにつきましては専修大学法科大学院准教授の滝沢誠先生にお願いしたいと考えております。また、韓国につきましては検討会<2>の構成員でもあります慶応義塾大学法学部教授の太田達也先生にお願いしたいと考えております。
以上です。
○冨田座長どうもありがとうございます。
海外調査方針につきましては、また次回以降、検討したいと思います。
それでは、瀬川構成員、お願いいたします。
○瀬川構成員調査事項にも関連するんですが、第3回と第4回に学識経験者からアメリカ合衆国以下のいろいろな報告をいただくことになっています。その際に、大ざっぱで結構なんですけれども、単に外国の制度の紹介というよりは、我が国の制度と比較して、その位置づけ、あるいは感想をいただきたいと思うんです。単に表をつくって、それを報告しただけではあまり意味がないと思いますので、今回はもう少しみ込んで、外国の制度と比較して、我が国の状況をどうとらえられたのかという御感想を是非聞きたいということでございます。
○冨田座長どうもありがとうございます。
番構成員、お願いいたします。
○番構成員黒澤構成員の先ほどのお話で、やはり被害者問題だけではなくて、刑事政策とか刑事司法全体の把握が必要ではないかというお話だったんですが、日本は縦社会だからだめなのかもしれませんが、警察庁の刑事局では捜査手法可視化問題と絡めて、それを研究するために各国調査をかなり、しっかりとやったんです。ですから、そういうものは使えないのかという、私はそちらの方の委員をやっているんですけれども、そういう、せっかくあるものはできるだけ、国の調査なので、使えたらいいなと思います。感想です。
○冨田座長どうもありがとうございます。
それでは、この海外の報告につきましては、次回、個人的なことですが、私が報告することになっておりますので、今の瀬川構成員の御意見も踏まえて、できる限り、その期待に応えられるようにしたいと思っております。
本来であれば、7番の「自由討議」がございまして、議事次第にございますように、そこに書いてあるようなことについて御議論いただきたかったところですが、時間の関係もございますので、これは次回以降、議論いただくということにしたいと思います。
そこで、恐縮ですが、8番の「その他」、第3回検討会の日程に飛びたいと思います。事務局の方からよろしくお願いいたします。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官)それでは、第3回の検討会の開催について、御説明いたします。
第3回は、10月4日火曜日13時から15時を予定しております。場所は未定ですので、決まり次第、また御連絡いたします。
先ほどの第2回に行うスケジュールのところでも説明いたしましたが、社会保障制度等の概要について岩村構成員から御説明いただくこととしております。
あと、諸外国における制度につきましては、アメリカについて冨田座長に、ドイツについて滝澤先生から御説明をいただくこととしております。
以上です。
○冨田座長ただいま、第3回検討会について説明がありました。本日の議論を踏まえまして、検討課題や論点整理、現状把握につきまして、さらなる御意見がありましたら、御遠慮なく、事務局の方にお寄せいただければありがたいと思います。
また、先ほども申し上げましたけれども、事前意見の提出についてでございますが、事務局から依頼がなされておりますけれども、検討会当日の限られた時間の中で有意義な議論を行うため、構成員の皆様方には、可能な範囲で、是非、事前意見を出していただければありがたいと思います。それについてお互いに事前に把握した上で、密度の濃い議論をしていきたいと考えております。本日、説明がなされました犯罪被害給付制度の問題点等に関するものも勿論のこと、それ以外につきましても、是非ともよろしくお願いいたします。
もう一点、注文めいたことを申し上げて恐縮ですが、御提出いただきました事前意見は、事務局から事前に構成員に送付するとともに、当日配付する正式な配付資料として公表したいと考えております。
しかしながら、どうしても、正式な配付資料として公表すると支障があるという場合には、その旨を事務局に伝えていただきたいと思います。
また、前回もお願いしておりますけれども、第3回以降の準備のため、事務局から検討課題や現状把握が必要な事項につきまして、有識者及び省庁の構成員の皆様に御依頼をさせていただくこともあろうかと思いますが、その際には、是非とも御協力のほどをお願いいたします。
本当に今日は、私の不手際で、時間を延長して申し訳ございませんでした。特段なければ、これをもちまして、第2回「犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討会」を終わります。
長時間にわたりまして、御協力ありがとうございました。

▲ このページの上へ

-