第12回「基本計画策定・推進専門委員等会議」・第18回「犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討会」合同会議議事録

  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 本日,小西構成員については御欠席との連絡を頂いております。
    本日の検討会は,既に御案内のとおり,第12回「基本計画策定・推進専門委員等会議」との合同会議という形で開催させていただいております。専門委員等会議の議長につきましても椎橋先生にお願いしている関係もございまして,本日の進行につきましても椎橋先生にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  • 椎橋議長 それでは,御指名でございますので,僣越ではございますけれども,議事の進行をさせていただきたいと思います。
    まず,お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございました。ただいまから第18回「犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討会」及び第12回「基本計画策定・推進専門委員等会議」を開催いたします。
    最初に,手続的なことについて何点かお話をさせていただきます。
    まず,犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設につきまして,今まで検討会として議論してまいりました結果を文章に取りまとめてきたところでございますが,前回の検討会で調整し切れなかった部分についても,今日までの間に各構成員の皆様に照会をさせていただきました。御検討の時間をお取りいただきましてありがとうございました。おかげさまで,表現ぶりなどはおおむね整理できていると思われます。本日,取りまとめ文章について最終確認をして,取りまとめ案から「案」を取りたいと考えております。
    それでは,議事に入る前に,検討会の構成員としては法務省で交代があったと伺っております。小野瀬厚大臣官房審議官に御出席いただいております。審議官から一言御挨拶をお願いしたいと思います。
  • 法務省大臣官房審議官 法務省の大臣官房審議官の小野瀬と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
  • 椎橋議長 ありがとうございます。
    それから,専門委員等会議につきましては,本検討会の構成員も推進会議委員又は専門委員を兼務されている方も多いわけですけれども,昨年新しく任命された方について御紹介させていただきます。
    犯罪被害者等施策推進会議の有識者委員として,弁護士の森山博先生に御出席いただいております。
    森山先生からも一言お願いいたします。
  • 森山構成員 森山博です。昨年度,日弁連の犯罪被害者支援委員会の担当副会長ということで,本日出席させていただきました。よろしくお願いします。
  • 椎橋議長 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
    それから,専門委員としましては,犯罪被害者等のお立場からの御意見を頂くために,松村専門委員にかわりまして渡邉保専門委員が新たに選任されております。
    渡邉専門委員,よろしくお願いいたします。
  • 渡邉構成員 渡邉保と申します。現在,あすの会の副代表幹事をやっております。被害者と接するのは皆様方よりも私のほうがはるかに多いということなので,被害者の気持ちを代弁したいと思います。よろしくお願いいたします。
  • 椎橋議長 よろしくお願いいたします。
    それから,中島聡美先生にもおいでいただいております。中島先生は,検討会2の構成員でもありますので,皆さんよく御存じでありますけれども,本日は専門委員の御立場で御出席いただいているということでございます
    一言お願いいたします。
  • 中島構成員 検討会2の構成員を担当しておりました国立精神・神経医療研究センターの中島と申します。よろしくお願いいたします。
  • 椎橋議長 ありがとうございます。
    それでは,改めて,確認で恐縮ですけれども,専門委員等会議は,犯罪被害者等施策推進会議が犯罪被害者等のための施策の実施状況の検証,評価及び監視をするに当たっての補佐を担っている会議体でございますので,基本計画に基づいて設置されました本検討会の取りまとめ状況についても把握しておいていただきたいということで御出席をお願いしております。どうぞよろしくお願いしたいと思います。
    それでは,取りまとめ案に議事を進めさせていただきたいと思いますが,よろしいでしょうか。
    今日の本題になりますけれども,資料1として配付されております取りまとめ案を御覧いただきたいと思います。
    検討会の構成員の皆様方には,ペンディングだった部分の修文について事前に御確認いただいております。その際,新たな修文意見もございませんでしたので,全体を溶け込ませた形でお配りしてございます。御確認という趣旨で,私のほうで論点ごとに記載事項の概要をお諮りするという形で進めさせていただきたいと思います。
    順番に進めてまいります。
    まず「はじめに」でございます。段落番号で言いますと1から3になります。ここでは,2次計画に基づき開催されているということと,本検討会で実施したヒアリング等について言及し,議論のたたき台としては主としてあすの会の要綱を用いたなど,検討会として議論の進め方についての形式的なことについても記載してございます。
    この部分については,前回も御異論のなかった部分ですけれども,この部分はこれでよろしいでしょうか。
  • (「はい」と声あり)
  • 椎橋議長 ありがとうございます。
    それでは「はじめに」の部分についてはただいま御確認をいただきました。
    次に「犯給制度に関する議論」のうち「1 遺族給付金の支給を受けるべき第一順位遺族の認定に関する問題」ということで,第4から第8段落の部分に進ませていただきます。
    ここの部分は,犯給制度上,遺族給付金の受給権者について,第一順位が配偶者,第一順位者がいない場合には第二順位者の子又は親といった形で順位がついていることを踏まえまして,2つの方向から議論があったということに関する記述でございます。
    第5段落,第6段落につきましては,第一順位の配偶者よりも第二順位の子供のほうに遺族給付金を受けさせたいようなときもあるという問題提起を踏まえての記述でございます。
    結論として,現在の運用上も,単に戸籍上の配偶者かどうかというだけではなくて,実質的に婚姻の実態があるかどうかも踏まえて配偶者と言えるかどうか判断されているということでございますので,引き続き適切な運用に委ねることにしてございます。
    それから,第7,第8段落についてでございます。ここでは,配偶者以外の親族関係,親子関係や祖父母,兄弟・姉妹といった関係について,戸籍上は受給権のある親族であったとしても,被害者との生前の関係を踏まえれば,犯給金の形で御遺族としての精神的・経済的打撃の緩和を図るべきかどうか微妙な事案もあるのではないか。こういった親族間についても,戸籍だけではない実態判断が導入できないかという観点での議論でございましたけれども,結論としては,給付金の支給に際して,あるべき親族関係の実態というのを類型づけることも難しかったということがございました。この点については戸籍前提の運用を続けるしかないのではないか,こういう結論としてまとめてございます。
    この部分についてこれでよろしいでしょうか。
  • (「はい」と声あり)
  • 椎橋議長 ありがとうございます。
    続きまして,次の第9から第14段落は「2 親族間犯罪被害者への不支給例外」と振ってありますが,この部分については何か所か修文がございます。論点の前提は第9段落でまとめてありますが,犯給法は親族間犯罪を原則不支給とし,規則で主としてDV事案について例外的に支給できるようになっている,こういう構成になっているわけであります。
    そもそも親族間犯罪の原則不支給をやめるべきではないかということに関連して,第10から第12段落がございますが,やめるべきだという意見が強く主張されていたという部分の表現が第10段落で変わっております。御意見はございましたけれども,立法事実の観点からは本検討会として法律改正の提言には結びついておりません。
    他方,そうは申しましても,例外の部分を若干でも広げたらいかがかという点で,第13段落は議論のありましたところですが,「お気の毒な事例」というような表現は使わない形で,これから例外の拡大を御検討いただく方向性について記載を修正してございます。具体的には長年にわたる性的虐待事案などでございます。
    最後に,第14段落では,親族間犯罪についての原則・例外について,構成員としても,規則を見せていただいて御説明を伺ってもなかなか難しかったものですから,被害者支援の現場でも誤解がある。本来,例外として受給できるような被害者が制度を活用できないことになりますので,支援の現場での周知徹底をお願いする内容となっております。
    ここの部分について,修文の部分も含めてこれでよろしいかどうかということでございますが,いかがでしょうか。
    番構成員,どうぞ。
  • 番構成員 何度も申し上げて申しわけありません。10のところで「強く主張する」と「強く」というのを入れていただいたのかと思います。この修文についてはこれで限界というのは前回の会議で認識しておりますけれども,原則・例外を逆転させるべきであり,本来はこれだけの時間をかけたこの会議でそれが達成できなかったというのは非常に残念だということを最後に申し添えたいと思います。
  • 椎橋議長 渡邉構成員,どうぞ。
  • 渡邉構成員 私も13回から随行としてこの会議をずっと見させていただいたのですが,たまたま最初に来たときに,この親族間犯罪の関係の話し合いがなされていたのですけれども,私も原則支給という形が一番望ましいと思います。やはり,原則不支給ですと不支給ありきという形で,例外をということになってもその例外の幅が非常に狭くなる。その議論の内容についても,先ほど番構成員が言われましたけれども,番構成員も賛成,うちの松村構成員も賛成。その他,こちらとあちら側と分けてはいけませんけれども,こちら側に座っている構成員はおおむね賛成,そちらの関係省庁の構成員の方が反対という形ですので,それではこの検討会の意味がどうなのかなと非常に疑問を感じたということを言わせていただきます。
  • 椎橋議長 ほかにございますか。
    両構成員の御意見につきましては,以前にもこの会でもそういう意見が強く,複数ございました。ただ,検討会としてはまとめるという形にはなりませんでしたので,そのことをそのまま書いております。ただ,議事の中でそういう主張が強くあったことについては,それを何らかの形で生かすべきだということで,ここに「強く主張する意見があった」ということで,番構成員がおっしゃるように,ぎりぎりのところでのまとめの案かなと考えた次第でございます。両構成員の御意見については,そういう原則・例外の逆転という形にならなかったことについて御不満があるということはよく分かっておりますし,今日御発言なさった点については議事録には反映されることになりますので,そういう形で御了承いただければと思います。
    森山構成員,どうぞ。
  • 森山構成員 森山です。
    16回に警察庁から親族間犯罪に関するデータ等を提供してもらっているということで資料を見たのですが,私の地元は宮城県警察なものですから,そういう方とお付き合いなどがあるのですけれども,警察においては,生活安全部というところで,今,家事に関する相談が極めて多くなっている。大まかに言うと,刑事に関する相談が13.何%で1位,家事に関する相談が13.何パーセントで2位ということで,いわゆるDVも含め,警察では家事に関する相談が大きくなっている。宮城県ではそういう感触を聞いておりますけれども,その辺,いわゆる相談事例としてそういう親族間の相談が多くなっているということは,全国的には何かデータがあるのでしょうか。
  • 椎橋議長 警察庁の方,いかがですか。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 先の検討会に提出いたしましたデータにおきましても,配偶者からの暴力事案の認知件数が非常に多くなっているというところはございます。また,これに伴いまして,当然その前段としての相談も増えていると認識しております。
    対応についていろいろ御指摘もあるところでございますけれども,警察といたしましても,DV事案,家族間におけるトラブル等について真摯に対応してきているところでございます。
    なお,犯給制度につきましても,現在,親族間犯罪のうち一定の場合については不支給となっておりますが,DV事案につきましては,事案によっては全額まで給付することもできるという特例の扱いを置いているところでございます。
  • 森山構成員 相談件数がそのように一般的な刑事事件と肩を並べるくらいになっているという事実がもしあるとするならば,やはり原則不支給ということに関する立法事実自体も考え直さなければいけないのではないかという考えでおります。
    以上です。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
    ほかに御意見ございますでしょうか。
    松村構成員,どうぞ。
  • 松村構成員 今まで原則と例外を取りかえるべきだという意見が非常に多かったと思うのです。それだけ議論されても,民法等の建前だとか言われて,それが一応引っ込んだ形になってしまったのです。確かに,民法でも親族間は助け合うべきだというのがあるのですけれども,その助け合うべきことが壊れたから事件になったので,それをまた前提にしてやるというのは,自己矛盾ではないですが,やはりおかしいのではないかということが1つあります。
    それならば,原則と例外をひっくり返すにはどのようにしたらいいか。この会でも多くあってもだめなのだと。そうしたら,誰がひっくり返すのかということを教えていただきたいと思います。
  • 椎橋議長 誰が答えるのが適切なのでしょうか。
    推進室長,どうぞ。
  • 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 この検討会で御議論いただいた結果として,今回はそうした意見が合意できる段階にはなかったということとしか申し上げようがなく,私がこうですと御説明できる立場でもないものですから,そのように申し上げておくぐらいしかできないということでお許しいただきたいと思います。
  • 松村構成員 そうしますと,先ほどの渡邉構成員の話ではないのですけれども,こちらのほうの構成員は変えるべきだと。だけれども,警察のほうでは変えるべきではないという意見が強かったということで変えられなかったというような理解しかできないのですけれども,それでよろしいのですか。
  • 椎橋議長 構成員の属性によって賛成か反対かが決まってしまうというようなことではなくて,全ての構成員の方が個々にこの問題について発言されたというわけでもございません。ただ,議論の中で,かなり多くの構成員が原則・例外を入れかえるべきだということがあったというのは事実でございます。反対の意見も何人かの方から出されたということがございましたので,それで全体の総意として,原則・例外の逆転というところまでは行きませんねということになったのだと思います。それは事実として認めて,こういう会議の場合は,皆さんの意見が一致したところで提言するということにならないと適当ではないと思いますので,そこには至らなかったということで,この時点ではこの結論にならざるを得ないのかということだと思います。
    渡邉構成員,どうぞ。
  • 渡邉構成員 今の議長の説明ではちょっと納得できないのです。もしそういうことであれば,我々が幾ら言っても変わらないという理解をするしかないということなのですね。乱暴かも分かりませんけれども,ここで決をとっていただいたらいかがでしょう。
  • 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 この種の会議におきましては,基本的に多数決といった運用は行わない形で行っておりますので,その点については御理解いただきたいと思います。
  • 渡邉構成員 だったら,その合意があったとか,なかったとかというのはどこで判断するのですか。
  • 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 そういう意味で,総意としてまとまったものだけが通常取りまとめになっているということで御理解いただきたいと思います。
  • 椎橋議長 原則・例外を逆転する場合については反対意見もございまして,これについてまた議論を蒸し返すというのは本日予定されていることではございません。またそれをやると収拾がつかないという状況になりかねません。2年8か月ぐらいですか,今までこの会を続けてきまして,それで合意に至らなかった。エンドレスというわけにはいきませんので,この段階でまとまって,提言できるものは提言しようということでございます。ここは,そういう渡邉構成員の御意見がある,ほかの方にもあるということは承知しておりますけれども,総意でないということも確かですので,強い意見があるからそれを通さなければまずいのだということにはならないのではないかと思います。
    御不満はあるとは思いますけれども,ここまでの議論では,原則・例外を主張する,提言にするというところまではいかなかった。運用の点で,なるべくそういう不都合なところについては拾って救済していくというようなことは現実に行われていて,更にそれを広く見ていきましょう,注意深く見ていきましょうという形にはなっていると思います。また時間がたてばどのようになっていくかということは分かりませんけれども,今の段階では提言には至らなかったということで御承知いただければと考えますが,いかがでしょうか。
    私としましては,両方の意見があるときに,一方の意見が強く主張されたからといって,では,その見解でいきましょうというわけにもまいりませんので,このような形で取りまとめるということで御了解いただけないでしょうか。よろしいですか。
  • (「はい」と声あり)
  • 椎橋議長 ありがとうございます。
    中曽根構成員,どうぞ。
  • 中曽根構成員 もしそうだとすれば,14番についてですが,被害者支援の現場では親族間は出ないというような形で支援がなされていると思うので,14番は,親族間でもケースによっては出るのだということを,警察の職員の方はもちろんですけれども,民間の援助団体とか,弁護士の先生とか,被害者支援の現場のいろいろな機関に周知徹底をしてもらいたいと思います。
  • 椎橋議長 その点については運用上の提言ということで周知徹底を提言として出してお願いしていきたい。運用上,実現できるように検討会としても出していくと考えております。
    それでは,この部分については御了承いただいたということでよろしいでしょうか。
  • (「はい」と声あり)
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
    続きまして,第15から19段落になります。ここは「3 海外での犯罪被害者への適用拡大の適否」について記述しております。
    犯給制度は国内の犯罪被害に限って適用されているわけですけれども,海外での犯罪被害にも広げられないのかということにつきまして,海外事犯は給付についての裁定者である都道府県公安委員会が裁定に必要な様々な事実関係を調査することが困難であるなどの御意見がございました。結論としては,本検討会では犯給制度外の枠組みを提言するということになりました。その点につきましては後のほうで記載しております。そういう形での記述になっております。
    これについては問題ないと思いますが,いかがでしょうか。よろしいですか。
  • (「はい」と声あり)
  • 椎橋議長 ありがとうございます。
    続きまして「4 重傷病給付金」に移ります。20から25段落まででございます。ここは一番大きく修正されているところでございます。
    まず,第20段落で,現状の重傷病給付金の枠組みに至るまでの経緯について紹介してございます。重傷病給付金の対象となる被害者の医療費負担については,1年間という期限と休業補償も加味して120万円という金額の上限,この2種類の枠があるということが議論の前提となっております。
    そして,21から23段落で,この2つの枠が連動しているものとして何らかの拡大ができないかという観点での議論を記載しておりますが,支給対象期間を3か月から1年に延長した際の法改正時と,1年を超える治療を必要とする被害者数の割合という立法事実が変わっていないことから,1年を更に延長するという提言には至っておりません。
    それから,24段落以降は,そうは言っても,1年を超える治療を要する被害者が3割ほどいるようだということでございますので,その3割の方の負担も軽減を図るべきではないかという観点。他方,1年を超えるといっても,枠をどこまでどのように拡大するべきなのかといった議論は,要治療期間だけではなくて,どのような被害についてどのような治療を要しているのかといった負担状況の詳細を踏まえて議論をするべきだという観点から,より詳細な被害者の治療負担状況についての調査を提言しております。
    このような取りまとめでよろしいでしょうか。ここも大分議論したところでございますが,その議論の状況を記載しております。よろしいでしょうか。
  • (「はい」と声あり)
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
    続きまして,26段落から30段落につきましては,犯給金の裁定に時間がかかっているという御指摘を踏まえての議論でございます。結論としましては,現実には調査の結果を伺ったりしておりましたけれども,平均裁定期間が短くなってきているという状況も踏まえて,引き続き迅速な裁定に努めていただくことと,同時に,仮給付制度についての一層の活用を促すことになっております。これは変更のないところでございます。
    これでよろしいでしょうか。
  • (「はい」と声あり)
  • 椎橋議長 ありがとうございます。
    次に,新たな補償制度に関しまして「1 金銭的支給」の中の(1),あすの会の要綱をたたき台としたアからエまで一連の議論が関連しておりますので,31段落から48段落まで順に御確認いただきたいと思います。
    まず,36段落までの「『補償』の意義」につきましては,国が犯罪被害者等へ経済的支援をする根拠についての御議論になると思います。国に補償の責務があるということについての御意見もありましたが,本検討会としましては,国の責務の範囲を定義づけたり,その範囲に照らして,これは支給する,これは支給しないという形での捉え方ではなくて,先にニーズをお伺いして,そのニーズごとに本検討会として負担軽減の相当性等について考えてまいりました。そのことについて記載しております。
    次に,あすの会の要綱につきましては,「一時金」と「年金」という別建てで御提案がございましたので,36段落以降,それから38段落以降に分けて記述してございます。
    まず「一時金」につきましては,現行の犯給制度の一時金の金額が被害者によって違うことから,一律の金額の支給を求めておられる御提案でございました。一時金の御提案だけを見ますと,現行の犯給制度から減額になる方もいらっしゃいますし,増額になる方もいらっしゃると思われますが,後の年金部分と合算すると,どちらかというと,支給の最下限を一律1,200万円にすべきであるという御提案になるのかなと思われます。37段落にありますように,本検討会としては,被害者の個別状況とは別に,一律の支給,それが1,200万円という変更について提言するには至っておりません。
    それから,38段落以降の年金制度の御提案については,39から42段落にありますように,本検討会としては,御提案にあるような年金型支給を検討する上での問題の所在は,年金方式で支給できるかどうかという事務処理上の問題ではなくて,支給総額として見た場合の相当性の問題ではないかとして捉えたわけでございます。
    その上で,43から45段落にありますように,年金なので累積して相当高額になることが予想されるわけですけれども,犯罪被害者にその支給額を補償することを社会全体に説明していくことの難しさとか,財源的な懸念というものを踏まえて,提言という形には至っていないということについて記述しております。
    それから,46,47段落は,過去の犯罪被害者等への経済的支援について,年金型補償制度の御提案と連動していた御要望であったということから,本検討会として提言には至っていないということを記載しております。
    最後に,この部分の最後は48段落ですが,そもそも金銭的支給の増額や枠組みの改変についての御要望の背景にある事情としては,医療費等の御負担について御指摘があったということを紹介しております。
    以上,幾つか検討の状況や結論について,より明確な形に文章を修正した点はございますけれども,内容的には,前回確認させていただいたことを踏まえての修正でございます。この点についてこのような取りまとめでよろしいかどうか,御意見をお伺いしたいと思います。
    松村構成員,どうぞ。
  • 松村構成員 あすの会の提案をということで出したのですけれども,ことごとくだめだということになったので非常に残念なのです。本当に困っている犯罪被害者をどうしたら助けられるのかということをもう少し親身になって考えていただけたらよかったなという感想を持っています。個々にいろいろありますけれども,今後の課題として是非続けていただきたいと思います。
  • 椎橋議長 御意見として受け止めさせていただきたいと思います。
    ほかにございませんでしょうか。
    渡邉構成員,どうぞ。
  • 渡邉構成員 私,この取りまとめ案を読んでいて非常に疑問に思ったのが34番なのです。「犯罪被害者等基本法は」云々とあって「『福祉』の理念のもと,社会正義の実現等を求めているのではないか」と。基本法を読んでいただければこういう考えは出てこないと思うのです。第3条で,いわゆる事件前の平穏な生活が戻るまで支援をする,第4条で,国の責務として国はいろいろな施策をとり,その支援をしなければいけないとちゃんとうたってあるのです。ですから,その辺の意識がちょっと落ちているというか,私は非常に疑問を感じます。
    それと,議論の中で,年金についても,現行の犯給法で支払われた金額で年金保険の購入をしたらどうかとか,そういう意見もありましたけれども,実際に現行の犯給法で幾ら出るのか。自賠責並みになったということで我々も喜んだのですけれども,内容を見てみたら,50代で扶養家族が4人いる人が大体2,900何万。まあ自賠責に近づいてきたということなのです。それで年金保険を買うにしても何年もつのですかということです。ですから,その辺,構成員の方の中にも,私に言わせれば認識が足りないという方がいるのではないか。あるいは,足りないのか,困っている被害者については目をつぶっているのか,その辺は分かりません。ですから,松村構成員も最初に言っていたように,被害者の立場になって物を考えてください,困っている被害者の立場に立って物を考えてください。それが基本なのです。
    ということです。
  • 椎橋議長 その点についても御意見として承っておきたいと思います。
    取りまとめとしてはこのような形でよろしいでしょうか。
  • (「はい」と声あり)
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
    それでは,ここまで御了承いただきました。
    次に進ませていただきたいと思います。
    先ほど19段落のところで先送りいたしました海外での犯罪被害者に対する経済的支援について,49段落と50段落でまとめております。これは,前回からの御意見を踏まえて修正を加えておりますが,何らかの経済的支援をスタートさせること,その支援は被害者に速やかに支給できるようなシンプルな制度を目指すべきであるという提言の方向性については変更ございません。この単純さ,シンプルさの説明の仕方が変わっているという点のみでございます。
    これについてはいかがでしょうか。この変わった部分についてはメールで見え消しで御確認いただいているところでございますが,よろしいですか。
  • (「はい」と声あり)
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
    それでは,次に51から55段落までについてお伺いいたします。ここは現物支給の御提案についてでございますが,前回の御議論を踏まえて大幅に修正をしております。
    まず,前回頂きました御意見を踏まえて,現物支給について,あすの会の要綱の中ではいろいろなサービスが列挙されているわけですが,本検討会では総論的な議論しかしていない。要は,自宅のリフォーム代負担の状況や義足義肢代負担の状況など個別の議論はしていないということについて明記しております。その上で犯罪被害者性の認定等,総論的に頂いた御意見について記述して,何らかの制度を提案するに至らなかったという議論の経緯を第52段落目で記載しております。
    続く53,54段落では,現物給付の御議論の中で御負担が重くなっている要因について,具体的に御指摘いただいたのが医療保険制度に関連する部分くらいでしたので,少なくとも使える保険制度を使えていないことによって負担が重くなっているのであれば,この状況を改善するべきということに関しての提言を記載しております。
    それから,第55段落目は,要綱で列挙されているサービスの中で,もう一つ,カウンセリングについては検討会2での結論を支持するということで同意をしていただいておりますので,その点についての記載でございます。
    以上,今御説明したところも事前に御確認いただいていると思いますけれども,これでよろしいでしょうか。御意見がございましたらお願いいたします。よろしいですか。
  • (「はい」と声あり)
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
    それでは,最後に「第3 その他」を御確認いただきたいと思います。
    まず,56,57段落についてでございます。これらは,現在,犯罪被害者等施策の枠組みでは,犯罪被害者の経済的御負担の軽減は,犯給制度だけではなくて,既存の社会福祉関連の諸制度に該当する場合にはこれらを利用していただくことを前提としておりますので,本検討会としては,社会福祉の窓口となっている地方公共団体,特に市町村レベルにおいて犯罪被害者に適切な支援の枠組みを紹介できる体制をお願いしたいということについて記述してございます。ただ,本検討会としては,地方公共団体に向けて直接提言することができませんので,基本計画同様,内閣府から窓口設置の促進を働きかけていただくということを提言しているわけでございます。
    それから,58段落は,海外での犯罪被害者については経済的支援だけではなくて,国内での被害者支援の枠組みにつなげる連携を提言しております。
    続いて,59段落は,その他一部の地方公共団体の先駆的な取組が全国的なものとなる期待を記載しております。これは,地方公共団体のアクションという形で提言という形にはなっておりませんが,関係省庁におかれましても,所管の枠組みの中でさまざまな地域社会での取組を全国的に情報共有を図っていただくということをお願いしたいと思います。
    以上「第3 その他」でございますが,いかがでしょうか。御確認いただいたということでよろしいでしょうか。
  • (「はい」と声あり)
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
    次は「第4 提言」から1,2とありまして,今まで御確認いただきました取りまとめ文章自体は議論をなぞられるような形になっておりまして,提言部分が埋没しているというような感がございますので,本検討会として前進させる部分を抜粋したものを第4として作ってみたということでございます。今までのところから拾い出したものでございますので,漏れはないと思っておりますけれども,御確認いただきたいと思います。「第4 提言」ということで,1が制度の創設に関する提言ということで「親族間犯罪被害者への支給に関するもの」と「海外での犯罪被害者に対する経済的支援に関するもの」。2が「現行制度の運用等に関する提言」。その中で「(1)犯給制度に関するもの」と「(2)その他のもの」ということです。これを見ると,今回,この検討会で提言する内容が一目瞭然の形でのまとめとなっております。
    森山構成員,どうぞ。
  • 森山構成員 言葉の問題で恐縮ですが,55で,カウンセリング費用について本検討会も取りまとめられた提言を支持するということになっていますが,提言を支持するということは,提言するということと同じことにはならないのですか。提言の中にはこれについては全く触れられていないということになりますか。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 形式的には,このもう一つの方の検討会自体は昨年既に終結しておりまして,その提言自体も,既に推進会議のほうでこれに沿った形で進めるようにという決定もいただいています。この検討会ともう一つの検討会の位置づけというのは,もともとタイムギャップがある中でなかなか難しかったのではございますが,一応,検討会2と呼んでいる,もう一方の検討会が終わる前にこちらの検討会のほうでその方向で結論づけるということで,検討会1としては,そこの議論については矛盾しないような形の結論というか,もう一つの検討会の結論を文字どおり支持するというような形での同意をいただきました。なので,ここの部分は既に1年前に先行してしまっているというところです。
  • 森山構成員 あくまでも検討会1の提言ということですね。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 はい。
  • 椎橋議長 番構成員,どうぞ。
  • 番構成員 この取りまとめ案そのものについては,私は意見はありませんが,最後に近づいてきたと思うので,全体の検討会について意見を言わせてください。
    まだこれからですか。
  • 椎橋議長 いいえ。まず確認させていただいた後,御意見を伺うという形でよろしいですか。
  • 番構成員 内容はこれで結構です。
  • 椎橋議長 全体として確認をさせていただいてからでよろしいですか。
  • 番構成員 分かりました。では,それで。
  • 椎橋議長 一応,最後まで取りまとめ案についてかいつまんで紹介させていただいた上で,部分部分についてそれぞれ確認させていただきましたけれども,最後の部分についてまで全体として御確認いただきたいということでございますが,よろしいでしょうか。
    松村構成員,どうぞ。
  • 松村構成員 「提言」のところで「犯給制度の拡充及び新たな制度の創設に関する提言」ということですけれども,この中に新たな制度の創設は何もないのですね。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 (2)の海外での犯罪被害の部分につきましては犯給制度外のところになります。あすの会の要綱案の部分の新たな制度というのはおっしゃるとおりできていないのですが,犯給制度外の制度の何らかの提言があるかというと,(2)の部分が該当するかと思われます。
  • 松村構成員 そこが創設の部分だということでございますか。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 そうです。
  • 松村構成員 そのように書いたほうがいいのではないですか。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 新たな制度の創設に関する提言であること自体はそのとおりだと思うのですが。
  • 松村構成員 文言の問題かもしれませんけれども,結局,この検討会そのものの名前が「新たな補償制度の創設に関する検討会」なのに,これでは拡充だけで終わっているような感じなので,新たなことをやったということならば,それだけのことをやったらいかがですか。これは別に私どもの会の案が通らないからということで皮肉を言っているわけではないのですけれども。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 繰り返しになりますが,そういう意味で,こちらの検討会で御提言いただいた海外での犯罪被害者への支援というのは,犯給制度の外に作る制度を御提言いただいておりますので,それぞれ該当するものが入っていることになっていると思われます。
  • 松村構成員 一つ言わせていただければ,あすの会の提言の中にもこれは必ず入っているのです。海外犯罪被害者に対しても適用しなさいということ。ですから,その辺のことでいけば,新たな制度であることは間違いないのですけれども,その辺が一部できたのかなというふうには見ていました。
  • 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 同じことの繰り返しになってしまって恐縮でございますけれども,(2)を見ていただきますと,「犯給制度の拡大適用の形ではないとしても」ということで,犯給制度ではないものとして提言させていただいています。最初の文章の犯給制度の拡充の範囲に入りませんので「及び新たな制度の創設に関する提言」と。そういう意味で,文言の説明でしかないものでございまして,犯給制度の拡充ではないものに関する提言なものですから,書くとしたら,こういう書き方を御提案させていただいていたところでございますけれども,何か誤りがあるという御指摘でなければ御了解いただきたいと思います。
  • 椎橋議長 黒澤構成員,どうぞ。
  • 黒澤構成員 松村構成員のおっしゃられる意味は,(1)と(2)を犯給制度の拡充と新たな制度の創設とに分けてそれぞれ書いてくださいというふうに私は受け取ったのですが。
  • 松村構成員 結局,私が言いたいのは,「犯給制度の拡充」はこれで結構ですと。だけれども,「新たな制度の創設に関する提言」と書いてあるのに,新たな提言がないのは寂しいのではないかということを言ったわけです。ですから,それならついでに今の(2)のほうを新たな制度ということにしてもよかったのではないかということです。
  • 椎橋議長 1の中で(1)と(2)で,(2)の部分が新しい制度の創設の提言ということですので,その中身が松村構成員から見ると小さいと。あるいは,松村構成員が思われるようなものではないということはおありだと思うのですけれども,今までにない海外犯罪被害者に対する経済的支援を作るべきだという提言ですので,そういう意味では「新たな制度の創設」としてもおかしくはないのではないかと思います。
    それでは,それを含めて全体にわたって御確認いただいたということでよろしいでしょうか。
  • (「はい」と声あり)
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
    それでは,番構成員,どうぞ。
  • 番構成員 今の件についても「補償制度」ではないような気がするのです。海外での被害者に対して見舞金を一時的に出すということと私は思っていました。まあ,それは結構です。
    この検討会が始まるときに「新たな補償制度の創設に関する」というところに私は非常に注目をして,今から思えば軽率だったとは思うのですけれども,考えていました。この間,海外調査を相当な時間をかけておやりになって,非常に立派な報告書を私たちは頂いております。しかし,検討会2の取りまとめもそうでしたし,検討会1の議論についても,その海外調査の結果というのが有効には使われていなかったと思います。渡邉構成員がおっしゃったように,34番のような書き方をするのであれば,海外調査などは別途内閣府が予算をつけてやっていただければいいことで,この検討会の中では日本の現状について統計などを早くから示していただいてしっかりと議論すべきだったと思っています。
    例えば,前の検討会のときに民間基金を活用するという提言がありましたけれども,それをもっと広げられないかとか,話の論点をもうちょっと違うところに持っていければよかったというのが自分の反省でもありますし,今後,こういう検討会をするときには,海外調査というのは決まったようになさるのではなくて,するならば利用していただきたい。つまり,日本の今の制度はこうだからというのではなくて,海外でこのようにやっていて,こういう考え方を持ってくればこういう制度もつくれますよねというような知恵として使われたらよかったのにと,自分の反省を込めて思います。
    それから,確かにお金の問題となると財政状況の影響があるとは思いますけれども,とにかくこの検討会は犯罪被害者のことを考えて話をしたかった。そういう議論がもう少しできればよかったなというのが私の感想であります。
    以上です。
  • 椎橋議長 ありがとうございます。
    本日,この取りまとめ案を確認していただきましたので,「案」がとれるという形で取りまとめとして報告をすることになります。今までかなり長期間にわたって検討会に御参加いただきまして,御意見,御感想がいろいろあろうかと思います。番構成員から今頂きましたけれども,これから先に向けてそういった御意見が生かされる可能性もありますので,どなたでも結構ですが,更に御意見がありましたらお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。
    松村構成員,どうぞ。
  • 松村構成員 私の意見は,この前の会議のときに取りまとめ案についてこう思うということを言ってありますので,改めてここで言うのもあれですけれども,今の番構成員の話ではないのですが,実際に新しい補償制度を作るのだという意気込みでこの会議に参加したのですね。そういう面で犯罪被害者がどの程度困っているか分かっていただくようにヒアリングもしていただいたし,いろいろ例として挙げてきたわけですけれども,実際に,最終的には何も果実はなかった,空振り三振という残念な結果で終わりまして,この取りまとめについても非常に不満足であるということだけ申し上げておきたいと思います。
  • 椎橋議長 ほかにいかがでしょうか。
    あるいは,一言ずつお伺いできればありがたいと思うのですが,黒澤構成員,いかがでしょうか。何か御感想ございますか。
  • 黒澤構成員 本日のこの検討会の検討内容とは直接的には関係ないのですが,ちょっと私も不勉強だったのですけれども,ノルウェーかどこかに被害者庁。
  • 番構成員 スウェーデンです。
  • 黒澤構成員 スウェーデンですか。
  • 番構成員 ノルウェーもあります。
  • 黒澤構成員 ノルウェーも。外国の調査の中でその国は入っていなかったのですが,私は当初,これらの国以外で特別な対策を講じているというようなことがあれば,そこは事項別に捉えて調査することはどうかと言ったような気もするのです。その役所がどういうことをやっているのか,その辺も勉強してみるに値するのではないかという思いをいたしました。
  • 椎橋議長 番構成員,どうぞ。
  • 番構成員 実は日弁連の犯罪被害者支援委員会では,今,黒澤構成員がおっしゃったようにスウェーデンが被害者庁というものを持っていて,ノルウェーは市民権庁というものがあって,その中で被害者を扱っているということなので,私たちも被害者庁というのを勉強して,参考にして何か提言できないかと思っています。そして今年スウェーデンやノルウェーに視察に行きたいと言っています。今,スウェーデンとノルウェーについて詳しい学者の方からレクチャーを受けたりしています。ノルウェーに詳しい学者の先生は弁護士でもあって,私たちの委員会の委員でもあります。スウェーデンもノルウェーもDV罪というのがありまして,DVの刑務所もある。もちろん,損害賠償は全部出る。スウェーデンなどは,子供さんに対しては,DVを目撃したというだけで損害賠償が出るというような話も聞きました。また日弁連で発表すると思いますので,御参考までに。
  • 椎橋議長 ありがとうございます。
    そのほかに御意見ございますか。
    中島構成員,どうぞ。
  • 中島構成員 私は検討会2なので,検討会1の細かいことは分からないのですが,今回の最後の提言の部分である親族間犯罪被害者の支給及び海外での犯罪被害者に対する経済的支援は非常に重要なことだと理解しております。例えば,親族間犯罪被害者というのは,DV事案については特例というものが今までもあったのですが,実際の臨床の場面,特に精神科関係では,精神障害者における犯罪では家族内での犯罪が多いわけです。その方たちは非常に苦しい思いをされておりますし,実際に家族内で犯罪,例えば夫からDVではなく,お子さんなどに被害が加えられた場合には,結果的には離婚するわけなので,実際には家庭としては成立しておらず,非常な困窮状態に置かれている事例が多々あるものと見受けられるのです。したがって,そのDV以外にというのは非常に重要なことだと思っております。
    また同様に,海外で被害に遭った場合に,被害者支援は受けられる現状はございます。経済的にも非常に困っておられる状況というのは別に国内も海外も何も変わらないと思います。海外での犯罪があった場合には法廷自体は海外で開かれるわけで,多大な出費を強いられるということもあるかと思いますので,今回行われた提言というのが是非実現されるようにと思っているのですが,この提言はどのような形で受け継がれていくのかというのが第1回の検討会で少しあったのならば,教えていただけたらと思います。
  • 椎橋議長 ありがとうございます。
    第1回の会議であったことについては,事務局において知っておられる限りでお答えいただければと思います。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 第1回での議論というのは,済みません,今ちょっと明確な表現の記憶はないのですが,ただ,この提言自体につきましては,今年度中に推進会議という形で,官房長官を会長といたします上の親会議のほうに御報告を申し上げまして,そちらのほうから政府としての推進についての御指示を仰ぐという形になります。
  • 椎橋議長 ほかに御意見ございますか。感想でも希望でも結構です。
    中曽根構成員,どうぞ。
  • 中曽根構成員 「第4 提言」の中の(2)のイ,それから「第3 その他」の57についてですが,被害者支援をするに当たってまだまだ理解が足りないと思うのが市町村です。今すごく感じています。相談窓口ができたり,総合的な対応窓口ができているところはもちろんあるのですけれども,形だけができていても,中身は充実していないというような感想を持っています。多分,各市町村,県によって格差もあるのかもしれません。被害者に対して大変理解のある県・市町村もあるのかもしれませんが,まだまだ少ないように思います。いつ自分や家族・友人・知人が被害に遭うかも知れませんし,国民全員が被害者支援について考えていくのは当然だし,市町村の対応はとても重要だと思います。
    そういう意味では,内閣府としては働きかけるということしかできないのかもしれませんが,被害者の方が行政に行ったら,経済的な支援も行政の手続も含めて,どういうものがその被害者にとって必要なのかということを対応窓口の職員の方が分かっていて,スムーズに被害者に付き添ってあげたり,アドバイスができるということがこれからの課題なのではないかと思っています。特にイについては,今後,そういう職員の教育も含めて必要なのではないかと思います。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
    そのほかの構成員の方,いかがでしょう。御意見,御感想,御希望ございますでしょうか。
    それでは,ないようですので,取りまとめが本日できたということで,この会議も今日で終了になります。
    私は,冨田先生から引き継いで第5回の検討会から参加させていただいたということで,不慣れな形で参加させていただいて,皆様に非常に御迷惑をおかけしたと思います。検討会での議論の中で,被害者の方々からの要望というのは非常に切実なものがたくさんあるということが分かりました。他方で,日本の社会保障制度というのも60余年の積み重ねの中でいろいろな仕組みができてきているということも勉強させていただきました。その中で,被害者のニーズが抜け落ちているところはどこか,それをどう支援するかということについて構成員全員で考えてきたわけでございますけれども,被害者の方々からの要望が必ずしも提言という形に結びつかなかったことも少なからずございました。ですから,松村構成員を初め,そのことについて御不満をお持ちだということも理解しているつもりでございます。現状の中でどこまでできるか,この構成員の全体の総意という中でどこまでできるかということで,本日の第4にまとめられている提言で合意に至ったということです。ですから,全体から見ると,被害者支援について,第1次被害者基本計画のころに比べるとつつましい内容だと思いますけれども,1歩か2歩か3歩か分かりませんが,少なくとも前進した部分はあるということは間違いないと思います。同時に,大きな課題が更にたくさんあるということも見えてきておりますので,それらについてはまたどうするかということが今後,しかるべきところで検討されることになると思います。
    ともかく,本日,このような提言という形でこの検討会が終了いたしますけれども,ひとえに構成員の皆様方の御協力のおかげだと思って感謝しております。本当にどうもありがとうございました。
    それでは,事務局からお願いいたします。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 議長から御案内がありましたように,取りまとめを終了させていただきました。今まで,万が一のためにということで予備日の日程調整をさせていただいておりますが,一応,検討会としてお集まりいただくのは本日で終了ということで御了解ください。
    そして,形式的なことではございますが,御議論の便宜上付していた番号でございますので,段落番号については公表に際しては外させていただきます。今後,ホームページ等に掲載していく予定でございます。この点,御了承ください。
    先ほど申し上げましたように,本日の取りまとめの結論自体は推進会議に御報告させていただきます。推進会議の開催に向けてこれから準備をスタートさせていただきますが,推進会議の有識者委員,本日御出席の中では瀬川構成員,中曽根構成員,森山構成員におかれましては,また改めて御連絡させていただきます。省庁メンバーのほうにも,大臣との調整がございますので,どうぞよろしくお願いいたします。
    2次計画のスタートから3年以内という期限の中,大変広い範囲の論点を抱えておりました。事務局の至らない点につきましておわび申し上げますとともに,熱心な御議論を本当にありがとうございました。
  • 椎橋議長 それでは,これで第12回「基本計画策定推進専門委員等会議」及び第18回「犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討会」を終了いたします。
    最後に,構成員の皆様,それから各省庁の皆様には大変御協力をいただきましてありがとうございました。厚く御礼申し上げます。どうもありがとうございました。
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