第17回「犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討会」議事録

挨拶

  • 椎橋座長 それでは始めさせていただきたいと思います。第17回の「犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討会」ということになります。
    結論がまだ記載できてない部分も残ってはおりますけれども,前回の御議論で一応全体として文章化することができました。本日,取りまとめ案ということで,机上配付されております。あらかじめメールにて送付させていただいておりますけれども,この取りまとめ案からできるだけ「案」というものを取っていく作業をさせていただきたいと考えております。
    取りまとめの文章案につきましては,前回配付したものからの変更点を,御参考までに,見え消しをしたものと,それから溶け込ませたものを配付してございますけれども,もちろん中身は同じでございます。どちらにしましても,文章自体を御確認いただくというのは本日が初めてということになります。内容についてはかなり一致しているところもございますが,文章を確認する作業自体は初めてでございますので,全体についての記載ぶりについて順を追って確定していきたいと考えております。このようなやり方で進めていってよろしいでしょうか。
  • (「はい」と声あり)

「はじめに」について

  • 椎橋座長 それでは,早速取りまとめ案を順に見ていきたいと思います。
    まず,「はじめに」というところで,数字が打ってありますけれども,その段落の1から3までのところでございます。ここは本検討会の経緯を記述しているところでございますけれども,特に御意見はございますか。
    経緯を書いてあるところですので,これでよろしいでしょうか。
  • (構成員うなずく)

遺族給付金の支給を受けるべき第一順位の認定に関する問題について

  • よろしければ先に進ませていただきたいと思います。それでは続きまして,遺族給付金の支給を受けるべき第一順位の認定に関する問題でございます。第4から第8段落ということになります。配偶者につきましては,犯給金支給判断の現状においても,事実上の離婚と言えるかどうかという観点で実態判断をされております。ところで,親子,祖父母,兄弟姉妹という関係につきましては,若干犯給金の趣旨にそぐわないのではないかと考えられる事案があるとしても,どういう意味で疎遠と言えるのかと,そういう基準を明確に設けることが難しいということがございます。
    本検討会の結論としては,とりあえず現状の運用を行っていくべきだということとしております。今までそれなりに議論を重ねてまいりましたので,議論の経過だけを記載しておりますけれども,結局,現状を変える提言というものはございませんので,そもそも記載を残すかどうか,記載を残すとして,このような記述で構わないかどうかという御意見を賜るということになると思います。この段落4から8までのところについて御意見をお伺いしたいと思います。
    提言ということではありませんので,このまま記述しておいてよいか,これは削除したほうがいいのかということが中心になると思いますが。
    番構成員,どうぞ。
  • 番構成員 これは残しておいていただいたほうがいいと思います。第一順位が配偶者であるということになりますと,それでは受け取れないという親族について,いろいろ議論したわけで,こういう記載があると運用上何とか救済できるのではないかということも分かりますので,これは残しておいていただきたいと思っております。
  • 椎橋座長 ほかの構成員の方,いかがでしょうか。残すべきだということですね。問題点が指摘されておりますし,それが運用の面においても影響を与えるということでございますので,この記述はこのまま残すということでよろしいでしょうか。
  • (構成員うなずく)

親族間犯罪被害者への不支給例外について

  • ありがとうございます。それでは,ほかにないようであれば次に進ませていただきたいと思います。次は,2の「親族間犯罪被害者への不支給例外」についてでございます。段落で言いますと9から14ということになります。ここは見え消しが相当ございますので,事務局から変更点について言及がございましたらお願いいたします。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 前回との大きな違いは文章の構成になります。当初,前回お示ししておりました案では,最初に,現在警察庁に御検討いただいております親族間犯罪での支給が可能となる特例範囲の拡大,これ自体は本検討会の中でそういう御検討をいただくという部分については合意ができているというところだったので,これを最初に記載しておりました。今回,原則・例外,逆転についての御議論を最初に持ってくるという形に変更しております。
    次に,段落13になりますが,DV事案以外の特例拡大についてのこれは提言として位置付けられるかと思います。
    最後に,段落14で,親族間犯罪でも支給がある場合があるという支援現場への教育,周知徹底等について言及しております。14についても提言と位置付け得るかと思います。
    段落13に戻りますけれども,提言の中でどんな特例を検討していただくかという点で,「具体的には,保護者による長年にわたる性的虐待等」という以降が前回と変わっております。前回は「年少者被害事案」とあったのを,今回は「保護者等による年少時の被害事案」と変えております。この点,現在御検討いただいていることとの整合性をとるために,警察庁にも事前にお諮りさせていただいております。
    まず,「保護者等による」という挿入は,もともとの案文では,被害者は年少者と分かるのですが,誰からの年少者被害か,基本的にお考えいただいているのはどの範囲なのかということで,保護者等を前提としているということでございましたので,これを加えました。
    また,「年少者被害」を「年少時被害」と変えたのは,前回も,事務局のほうから懸念として指摘させていただきましたように,親子間というのは,ほかの親族関係と比べましても,被害者本人,つまり,子供が生きている場合に,被害者にお金を渡してしまったとしても,親と縁を切れてない限り,加害者である親にお金が行ってしまうという関係になりかねない。他方,子供が虐待で亡くなったときには,そもそもその虐待を見過ごしていた同居家族に受給権を認めるべきなのか,といったようになかなか難しい関係性があろうかと思っています。
    その点,例として挙がっている性的虐待であれば,被害者が親と離れることができる年齢になって,親子の縁が切れるような状態になって初めて申請できるというような状況ではないかと思いますので,申請時点で大人になっていても構わない,そういうことでないと特例拡大していただいたとしても意味がないのではないかと御指摘させていただいたところでございます。
    その観点で,「年少者被害」でなくて「年少時被害」という表現で,申請時点で大人になっているケースもあわせて御検討いただける,また,これは特例の拡大として,減額が3分の1にとどまる,あるいは減額なしという類型を作ることの検討となりますので,そもそも加害者を利するようなケースは最初から除かれているというような形で御説明をいただいているところでございます。
  • 椎橋座長 ありがとうございました。このあたりは大分議論したところでございますけれども,警察庁も今の御説明でよろしかったですか。
  • 警察庁長官官房審議官 はい。
  • 椎橋座長 それでは,最初の第9ですけれども,これは親族間犯罪についての犯給制度の現状について述べているだけでございますので,まず,ここはこれでよろしいでしょうかね。一つ一つ潰していきたいと思いますが,ちょっと変な言い方ですけれども,第9段落はこれでよろしいですか。
  • (構成員うなずく)
  • ありがとうございます。それでは,原則・例外,逆転の部分ですけれども,これは10から12の段落ということになります。この点については基本的に出てきた議論を記載しているということになります。御意見がありましたらお願いしたいと思います。
    どうぞ,番構成員。
  • 番構成員 前回のときに両論併記という形になるというお話がありまして,合意に至らなかったということは事実としてあると思います。この10のところですが,最終の,「そもそも」というところですが,こういういろいろな理由づけが出てきたわけですが,「との意見があった」と,そういう意見を言った人がいたというようなことだけではなくて,「意見が多くあった」とかはどうでしょう。確かに多かったはずですね。私が考えているだけでも,そういう意見が4~5人からあったと思っておりますので,「多くあった」ぐらいのことは記載していただいて,次回につなげるというふうにお願いできればと思います。
  • 椎橋座長 いかがでしょうか。今の番構成員の御提案について。
  • 松村構成員 私もそういう意見だったと思います。本当は逆転してもらいたいのですけれども,そういうことであれば,少なくとも原則を改めるべきだという意見が多かったということで書いておいていただきたいと思います。
  • 椎橋座長 原則・例外,逆転するかどうかについて意見が分かれて,合意に至らなかったと。合意に至らなかったという点はそれでいいと。ただ,逆転すべきだという見解が多くあったということは事実だと思いますが。
    推進室長,どうぞ。
  • 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 多いか少ないかという表記については,決をとっているわけでもございませんし,全体として,語尾としてそういう表現を入れると,全てのところ,そういうチェックをしなければいけなくなると思いますし,基本的にはそういう表記は,事務局的には,ちょっと考えるのは難しいなと思っております。という理解でいいですね,事務局も。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 ここの部分については,ほかの部分の流れとの整合性というのも後から確認させていただきたいと思います。「多く」とここだけを入れるか,あるいは,基本的に構成員の皆様の感覚的に,ここは「多く」と入れるべきだというところがほかにも出てくるようなこともあろうかとは思いますし,そこだけ,要は構成員と言った場合に,今回,省庁メンバーも含めての構成員ということでもございますので,多数というのをどこを母数として数えるかというのも若干出てこようかとは思いますので,ここはちょっとほかの表記との全体的な整合性で後からまた確認させていただきたいと思っております。
    他方,「多く」を取り入れたいという構成員の御意見があったことについては記憶にとどめておきたいと思います。
  • 岩村構成員 単なるアイデアですけれども,多分,多い少ないという量的な表現は難しいのではないかと思います。ただ,例えば「強い意見があった」とか,そういう表現の仕方というのもあり得るかなと思いますので,事務局で御検討いただければと思います。
  • 椎橋座長 番構成員,どうぞ。
  • 番構成員 多いということに,決はとってないし,量的に書くのはということであれば,「強い意見があった」とか,「意見も強かった」とか,そのように書いていただいてもいいと思います。少なくともこの問題に関してはかなり議論になって,結局,この全体を見ても,この部分が一番核心に触れる議論であって,ほかに余りないのかなと思いますので,是非ここは何らかのアクセントを付けていただきたいと私は思いますので,よろしく御検討ください。
  • 椎橋座長 ほかに御意見ございますか。
  • 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 今,岩村先生からせっかくのアイデアということでは伺ったのですけれども,強調的な表現を入れるか入れないかということについて,そうすると,またそれは一体どういう形で,どういうものにだけ付けられるのかとかいうことがございますので,この種の案件では余りそういうやり方はしないのではないかなとちょっと思います。番構成員の思いは分かりますけれども,そこは議事録での世界なのかなという感じもいたします。今ここで,ではだめですと私が言うような話でもないのですけれども,なかなか難しさを感じつつ,何かうまい方法はないかなと考えてみたいと思いますけれども,なかなか難しいということも御理解いただきたいと思います。
  • 椎橋座長 松村構成員,どうぞ。
  • 松村構成員 ただ,一般的に「あった」というのでは全然ニュアンスが違うのですね。特に犯罪被害者サイドから見たらこれは非常に大きな問題なものですから,是非,多かったか,強かったか知らないけれども,何らかの格好で残してもらいたいと思います。
  • 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 繰り返しで申し訳ありませんが,仮に反対意見が強い場合には,「反対意見も強かった」という表記まで考えなければいけない議論になると思いますので,まとめの文章でそういう形のものを入れるというのはなかなか難しいのではないかなということでございます。御議論のポイントを強く強調されたというお話はやはり議事録ベースで御確認いただくというところで処理させていただくようになる場合も多いのではないかと思います。
    いずれにしましても,先ほど申し上げましたように,今お話が出ましたので,何か知恵がないかという,岩村構成員からも一つのアイデアも出していただきつつでございますのでいろいろ考えてはみたいと思いますが,難しいという部分もあるということは御理解いただきたいと思います。
  • 椎橋座長 ほかにございますか。
    それでは,両方の御意見ございました,「多く」とか,あるいは「強く」というような文言を入れるべきではないかという御意見と,そういうのは難しいという御意見とありまして,ほかの部分との関係とか整合性とかを考えて,また,こういうときに議事録をどういう形で作るのがいいやり方なのかということについては,私もよく存じ上げないのですけれども,そのあたりのところ,今日御意見を伺いましたので,少し事務局と一緒に考えさせていただいて,それで次回にまた提案させていただくということでいかがでしょうか。よろしいですか。
  • (構成員うなずく)

提言について

  • それでは,そういうことでお願いします。
    次は13,14段落です。これは提言の部分になります。この記載ぶりについていかがでしょうか。御意見がございましたらお願いいたします。
    番構成員,どうぞ。
  • 番構成員 基本的にこれでよろしいと思っています。ただ,表現ですけれども,「特に気の毒な事例と言える」の「気の毒」という言葉,余りよくないと思います。何か高みに構えてかわいそうという感じで,「特に被害が重大」だとかそのような,表現をちょっと検討していただければ。どうですか,松村構成員。「気の毒」というのはちょっと被害者が。
  • 松村構成員 こういう感じですね。(見下ろすようなジェスチャー)
  • 番構成員 ちょっと抵抗を感じるかなと思いますので,そこだけお願いします。
  • 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 例えば「被害が深刻な」とか,そんな表現がよろしいでしょうか。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 被害者を比べる,要はこっちの被害者のほうがこっちの被害者よりも深刻という基準を,ではどこに設けるのだというところで微妙なニュアンスが出てくるのかなあという気がしております。そもそも「特に気の毒な事例と言える」等といった表記,必要があるのかどうかといった部分も含めて,というのも,例示として「等」が入っていますので,どのような形で表現するのが適切かというのをちょっとお時間頂ければと思います。
  • 椎橋座長 どうぞ,中曽根構成員。
  • 中曽根構成員 「特に重大な」とか「深刻な」と言う表現も,本当に被害者に差をつけるような感じだと思います。どの被害が,例えばマスコミに話題になったものが重大で,そうでないものは重大ではないとすると,被害者を比べることになり,個々の被害者からみたら,話題性があろうとなかろうと被害に遭われて,大変な思いをされているわけですから,そういう格差をつけるような表現はやめてもらいたいと思います。
  • 椎橋座長 ほかに御意見ございますか。
    それでは,お三方の御意見がありましたので,この部分については,表現についてもう少し考えさせていただくことにさせていただきたいと思います。ほかの点はいかがでしょうか。
    よろしいでしょうか。
  • (構成員うなずく)

海外での犯罪被害者への適用拡大の適否について

  • それでは,次に移らせていただきます。次は,3の「海外での犯罪被害者への適用拡大の適否」ということで,段落は15から19ということになります。ここでの議論は,犯給制度をそのまま海外の事例に適用するのは難しい,しかし,そういう方々にも経済的支援をする必要性はあるということで,別の枠組で考えるということで終わっているところでございます。15段落から19段落について御意見をお伺いしたいと思います。
    別の枠組ということとの関係では,第2の1の(2)においてもまた出てくるということになります。ここの部分についてはこれでよろしいでしょうか。
  • (構成員うなずく)

重傷病給付金について

  • ありがとうございます。それでは,重傷病給付金に移ります。最初の(1)120万円の上限ということですけれども,これが20から22の段落にございます。これは頂きました御意見を記載しているということでございまして,特に提言に結びついているという御議論ではありませんでした。そこで,これをこのまま残すか,あるいは削除するかということが中心になると思います。いかがでしょうか。
    どうぞ,川出構成員。
  • 川出構成員 この点は,私が申し上げたことだと思いますが,上限額の引き上げができないかというのは,次の(2)の期間の限定の点と結びついた形での問題提起のつもりでした。期間が1年であれば,120万でよいのかもしれないけれども,何年も治療を続けておられて,その医療費の負担が非常に重いという事例の紹介もありましたので,それを踏まえて,支給対象期間を延ばした上で,上限も120万以上にならないかという趣旨で申し上げたものです。ですから,(2)と独立して立てていただく必要はないと思いますので,この部分は削っていただいて結構だと思います。
  • 椎橋座長 今,川出構成員から,削ってもよろしいという御意見が出ました。いかがでしょうか。
  • 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 これは,事務局としては,川出先生からの御意見を記載したということですね。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 議論の結果を記載しておりまして,もともとの問題提起は川出先生から頂いているところです。先ほど先生からもありましたように,そういう御趣旨であれば,(2)のほうの御議論に集約されるかと思いますので,もし差し支えなければ,このまま削除ということでよろしくお願いいたします。
  • 椎橋座長 それでは,削除ということでよろしいでしょうか。
  • (構成員うなずく)
  • 続いて,次の(2)に移りたいと思います。支給対象期間を1年を限度とするということでございますけれども,前回,警察庁から資料を出して御説明いただきました。そして,それが段落26として付け加えてございます。警察庁からの御説明を受けて,前回余り時間がございませんでしたけれども,何か御意見ございますか。23から26段落までの書きぶりもあわせて御意見いただけるとありがたいと思います。
    どうぞ,松村構成員。
  • 松村構成員 前回,この議論のときにも確か,70%は1年以内に治っているとか,終わっているけれども,3割は残っているという話だったと思うのですね。その3割どうするのかということをここで詰める必要あるのではないかと思うのですね。そういう場合には,完治するまでとか,分かりませんけれども,何らか入れて,だから,1年でもう切ってしまうというのではなくて,特定の場合は延長することもあるとかいうふうにある程度改めるべきではないかなと思いますけれども,その辺どうですかね。
  • 椎橋座長 どうぞ,警察庁の方,お願いします。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 御指摘もございますけれども,前回御説明いたしましたとおり,この制度は,順々に拡充してきております。3か月だった給付対象期間を1年に改正した際の検討においても,なかなか全ての方の治療期間をカバーするということではなくて,どこかで切らざるを得ないということで,その治療期間など把握いたしまして,前回御説明した7割前後ぐらいの方が治癒するところで制度を組み立ててきているということでございます。
    御説明したとおりでございますが,平成18年の改正の際と,今回調べました治療期間の統計ということでは大きな差がないことから,なかなか今給付対象期間を変えるというだけの材料にならないと考えているところでございます。
  • 松村構成員 ただ,数字的に,例えば7割の人は変わってないから変えないというのはやはりおかしいですよ。実際,治るときまで面倒見ようというのが基本的な考え方でないと,7割治ったから,あと3割自己負担でやれということで本当にいいのかということなのですね。とすれば,やはり1年たったときに見直して,また更に必要ならば,必要な期間ちゃんと補償するというようなことを考え方なり何なりを改めないと救われないのではないかと思います。
  • 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 今回事務局のお配りしたものでも,「検討会としての評価と結論について議論未了」とありますとおりで,事実関係だけ警察庁のほうで説明をして,それを基に,松村構成員からまさに御意見が1つ出たという形かと思いますので,この御意見の基で何か御議論できるのかどうか,あるいは,更にそちらの方向だという御意見になるのか,あるいはなかなかやはり難しいという状況の現状評価にするのかというあたりをここでちょっと確認をしていただき,それによってここでの表記の仕方が決まってくるということになるのかなと思います。
  • 椎橋座長 この部分については余り議論はしていなかったですね。70%がどうだろうかという感想を何人かの構成員の方々から伺った記憶があるのですけれども,これをもとにこの1年を延ばすというような方向で議論が進んできたということはなかったものですから,審議が未了ということで経過を書いたと,そういうところですね。そして,少しですけれども,議論したときに,18年の改正があったときも数字は変わってない。それを前提にして1年ということを決めたので,その後,基礎となる数字は変わってないので,1年を更に延長することは妥当なのだろうかということについては,余り積極的な御意見として伺ったということはなかったものですから,こういう形になっていると。
  • 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 私も確か,ここはどうなっているのですかと問題提起させていただいたところだったのですが,前回説明があって,改正時点とは余り変わってないということでしたので,そうだとするとなかなか変えるのは難しいですねという感じだったのです。もちろん,3割というのをどう見るかということだと思いますので,そこをもう少しできないのかという御意見は十分あるだろうと思いますし,はっきりおっしゃっていただいたという形になると思うのですが,他方,変化がないときに立法事実がないというのもまた一つの言い方になっていますので,なかなか難しい状況にあるという感じでございます。
    ここでは,これまで「説明があった」しか書いてございませんので,松村構成員からの意見があったように,そういうのは検討すべきではないのかという意見があったということを書くという線もあり得るのかなと。事務局,どうですか。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 最終的にはどのような文章にまとめさせていただけるかというところで落とし込んでいただきたいのですが,具体的には,この問題提起については,前回の平成19年の経済的支援に関する検討会での提言を踏まえて,警察庁に現状の,平成18年以降の運用状況を御説明いただきました。経済的支援に関する検討会のところでも,恐らく,若干微妙な御議論があったので,提言の中では一応,立法事実を再確認してみるべきだというような趣旨の提言となったのだと思います。具体的な文言としてはパラ25の中に記載しているとおりです。
    なので,本検討会として先ほどの松村構成員の御意見というのは,即,やはり1年以上に延長する制度をすぐ考えなさいという御指摘だったかと思いますけれども,前回の検討会のように,また余韻を持たせたというか,引き続きここの部分については注視していくことが考えられるという趣旨の提言,あるいは取りまとめ文言ということもあり得るかと思います。あるいは,ほかの部分と同じように,制度変更についての御提言もいただいたが,それは難しいという御意見もあったという形での両論併記。まだほかにもあるかもしれませんが,今,松村構成員から御意見いただいたのを踏まえて,本検討会としてはどのような形で文章上まとめさせていただけるかという観点で御意見いただけたらと思います。
  • 椎橋座長 どうぞ,岩村構成員。
  • 岩村構成員 私自身は,結論的には,前回の検討会で検討してからそれほど間がたってなくて,かつ,データを見ても,前回検討したときとそれほど変わってないということですと,今回これを変えましょうと結論を持っていくのはちょっと難しいかなあとは思います。
    それともう一つ,この問題が非常に難しいと思うのは,1つは,先ほど川出構成員の議論にもありましたように,額の上限をどうするかというものと結びついているということで,その点についての議論というのは今回余り深まっていないのではないかと思います。その観点からも,ちょっと今回結論を出すのは難しいかなと思います。
    あともう一つは,1年から更に延ばすと,額の問題も含めて検討して先まで延ばすといったときに,制度設計の問題として,ではどこまで延ばすかという,もう一つ非常に難しい問題があります。つまり,ずうっと重傷病給付金を出すという話なのか,どこかで頭打ちにするのか。頭打ちにするといったときに,額と期限の両方でやるのか,それとも,例えば治癒するまでとするのかとか,幾つかの制度設計上の選択肢があるので,それぞれについて利点,難点というか,長所,短所というものを検討した上で制度設計を考えなければいけないだろうと思います。
    それともう一つは,この問題を考える上で,他の制度,とりわけ医療保険の制度との関係で,例えば医療費が高額に上る場合については高額療養費という制度があるとか,今度手直しをする予定になっていますけれども,そういう問題との関係でどこまでこれでカバーするのかということも制度設計上考えなければいけないという,かなりいろいろ考えなければいけない論点があるので,私はやはり,今回確たる結論を出すのは無理かなと思います。
    ただ,もちろん,先ほど松村構成員もおっしゃったように,3割の方についてどうするかという問題は当然あるので,その点については少しデータをやはり今後もある程度きちっと継続して取っていただくと。それから,期間だけでなくて,例えば傷病類型とかそういったものも含めてもう少しデータが取れるようになると,この問題をきちんと検討する上での基礎になるのではないかと思いますので,そういったものをまた見守りつつ,機会が来たときに改めて検討するということもあるのかなとは思います。
  • 椎橋座長 どうぞ,中曽根構成員。
  • 中曽根構成員 私も余りよく理解しないでこんな意見を言っていいのか分からないのですが,たしか障害給付金というのも犯給金の中にはありますよね。ということは,障害給付金については,症状固定になった後に障害給付金が出るか出ないかが決定されていくことになると思うので,ですから,症状固定が1年以上かかっているケースも結構あるというか,その3割の中には多分そういう方たちも入っているのではないかなと思うので,1年以内であろうと以上であろうと,今の法律では120万円が上限な訳ですから,症状固定まで重傷病給付金を払うとか,何かいい方法はないのかなあと思うのですけれども,いかがでしょうか。
  • 椎橋座長 ほかに御意見ございますか。
    どうぞ,松村構成員。
  • 松村構成員 岩村先生は確かに健康ですからそういうことでいいと思うのですけれども,苦しんでいる人が1年で終わってしまって,まだその後続くという状態があったときに,これ,データが出てくるのを待っていていいのかという問題はあると思うのですね。ですから,例えばここで半年延ばしてみるとか,あるいは1年延ばしてみるとかいうことも一つの案で,全体的な枠組なんて大した影響ないと思うので,できればそのようなことで,1年延ばす,あるいは半年延ばすということを決めてくださってもいいのではないかなと。いずれにしても,現在でも本当に困っている被害者を救ってもらいたいということでございます。
  • 椎橋座長 どうぞ,番構成員。
  • 番構成員 立法事実というようなお話がありましたけれども,恐らくこれに関しては,何年たって統計をとってもそれほど大きく変わらないだろうと思います。だから,7割に入らない人たちをどうするのか,そのままにしていいのかという,やはり考え方の問題になるのだろうと思います。確かに,今回慌てて,では延ばすということ,あるいは額をどうするという話も時間切れなのかなあと,冷静に考えるとそう思うのですけれども,2年を超える方とか,とにかく1年を超える方についてどれだけ負担があったのか,その辺りはできれば今後そういう資料を,ただ数のこういう調査ではなくて,それをどこかで調査していただいて,自己負担が非常に多ければ,何らかの形でそれを救済するということが必要でしょうし,人数が少なければ予算的にもそれほど問題になるものではないと思われますので,やはりこの3割の方,少数の方たちの問題というのは今後重要ではないかなと思います。ですから,やはりそういう議論があったこととかは書いておいていただいて,もう少し別の何か資料が欲しいなと私は思います。
  • 椎橋座長 どうぞ,川出構成員。
  • 川出構成員 私も同じ意見なのですが,今の26パラの書き方ですと,結局,今後,治療に1年以上かかっている人の割合がどんどん増えていかないと,およそ制度を変える立法事実は生じないので,変える必要はないということになるように思います。そうではなく,平成18年の改正の際に,7割の方が1年以内で治療が済んでいるので,そこで区切ったという判断についても異論があり,その考え方自体の見直しも検討する必要があるという意見があったことも記載していただいたほうがいいのではないでしょうか。
  • 番構成員 賛成です。
  • 警察庁長官官房審議官 確かに現在の給付金で救えていない方が3割程度おられるというのは憂慮すべき問題だと思いますが,ただ,犯給制度だけでそういった被害全てについて対応するというのはなかなか無理があるのではないかと考えております。既存の社会保障制度の枠の全体や医療費制度全体,全体的な福祉制度との兼ね合いの中でこの犯給制度が設けられておるわけでございまして,全てを犯給制度で対応するというのはなかなか困難な問題があろうかと思います。そういった意味で,不十分だという御指摘をいただいておるわけですけれども,今まで一定の制限のところまでを救うような形で,現在の給付対象期間は1年ということで整理させていただいております。これは前回説明させていただいたとおり,1年以内で治癒する犯罪被害者の方の割合という意味では現在まで変化がないということでございます。
    ただ,十分な資料が積み上がっているのか,その資料の取り方は不十分ではないか,いろんなことももう少し考えなければいけないのではないかという御指摘をいただいておりますので,今後も引き続き,運用状況についての資料を積み上げてまいりたいと考えております。
  • 椎橋座長 それでは,この書きぶりをどうするかが問題なのですが,大体のところまでは確定していきたいと思うのですけれども,例えば今日松村構成員から,1年を更に拡大する必要があるという御意見が出されましたけれども,その1年を超えてどのぐらいにするのかということを提言として出すためには,それに合理的な根拠があって,しかも,ほかの構成員の賛成があるということも必要なので,なかなかそこまで踏み込むことはできない。ただし,そういう御意見があったことは確かなので,同時に,拡大するということを考える場合には,ほかの制度との関係でも,この上限の問題とかいろいろ考えなければいけないと。そのためには,もし拡大の必要があるとしても,それがデータによって裏付けられなければいけないので,そういう意味では,3割の方々の抱えている問題の中身ですね。これがどういうものなのか,負担はどのぐらいなのか,被害の類型はどういうものなのかというようなことについてもやはり調査して,客観的なデータに基づいてでなければ提言はできないだろうと思われますので,そういう意味では,松村構成員から,延長すべきだという御意見はあったと。しかし,同時に,どの程度の延長が合理的なのかということを判断するためにも,その前提となるデータが必要なので,その必要なデータというものを関係の機関で調査していくことを期待するというような書き方もありうると思いますが,事務局としてはいかがですか。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 いただいた御意見の中で,言及したほうがいいと,あるいは言及すべきだという形で御意見いただいた点が幾つかあったかと思います。1つは,そもそも7割だということについての,1年で区切ったという根拠についての疑問が出されたという部分についてのご指摘があったかと思います。
    先ほど削除しましたが,120万円の限度についても,1年を限度としないという点とここであわせて併記するのかなと思います。治癒までなのか,あるいは症状固定なのかというような,基準についての御意見も幾つかあったかと思います。他方,幾つか,どうやって上限を設けるか設けないかとか,あるいは限度をどのように考えるべきなのか,他制度との関係等について若干議論未了の部分があるということと,あと,その意味で言うと,現在の調査の状況では詳細がよく分からないという部分があったので,基本はより詳しいデータを集めていただくという部分と,本検討会の最終的な方向性としては,少なくともより詳細なデータが欲しいという部分と,場合によってはそれについての再検討という御意見があったのかと思います。それをどういう形で文章化するかというのはもうちょっとお時間いただきたいのですが,以上のような御指摘というあたりでよろしかったでしょうか。
  • 椎橋座長 今のような形で文章化していきたいと思いますが,それでよろしいでしょうか。
  • 岩村構成員 1点だけ。余りに技術的なことを言うとあれですが,実は,治癒したのかとか症状固定になったのかというのを誰が判断するかというのも大問題でして,それも制度設計上考えたときには非常に難しい問題になり得るということも,書くか書かないかはお任せしますが,一応そういう問題があるということだけは御指摘させていただきたいと思います。
  • 椎橋座長 ありがとうございます。それでは,そのあたりも念頭に入れて文章化させていただきたいと思います。

裁定(運用)について

  • 続きまして,5の裁定(運用)関係に移らせていただきますが,制度の教示,段落の27と28でございます。これについても,記載を残すかどうかということもあわせて御意見いただければありがたいと思います。いかがでしょうか。結論は,丁寧な制度の教示がなされるべきだという記載になってございます。
    どうぞ,事務局。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 ここの部分は,特に構成員の方から積極的に問題提起が出てきたという論点ではなくて,事務局のほうから議論の中で出ていたものを念のために確認させていただきたいという形で論点として問題提起させていただいたところです。若干長い取りまとめ文章になってきているというのもありますので,残す必要も特にないのではないかなという気もしているところなので,記載ぶりに特に御異論がないという場合には,残すか残さないか,御意見いただければと思います。
  • 椎橋座長 いかがでしょうか。問題は残すか残さないかということですが。
  • 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 今のは,要するに編集上ないし全体管理上は,残す意見が特になければ削りたいということですか。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 はい。失礼しました。そうです。
  • 椎橋座長 よろしいですか。
    この教示の関係で特に問題があったというわけではないですね。それで,特にそのような強い主張があったわけでもありませんので,それでは,これは削るということでお認めいただきたいと思います。よろしいでしょうか。
  • (構成員うなずく)
  • ありがとうございました。それでは続きまして,「迅速な裁定・給付」ということで,29から33段落についてでございます。この記述についてはいかがでしょう。
    申請から給付まで時間が掛かっているのではないかという問題提起があって,しかし,障害が固定するまでに時間が掛かる。それから,いろいろな調査というものが終わるまで,裁定までに時間が掛かるということがございますので,一定の期間が掛かっているという状況です。もっとも,実際のところを見てみると,平成20年度から24年度にかけては,実際にはかなり期間は短縮されております。また,仮給付の場合についても,できれば本給付を早くしたいということがあるということがあり,最終的には,引き続き本給付の迅速な裁定に努めていくべきである。それから,仮給付制度の一層の活用がされるべきだということとなっておりますが,これはこのまま事実として残すとしておりますが,あるいは何か違う文言を入れるべきだ,あるいは削るべきだというご意見もありえますが,これはこのまま残すということでよろしいですか。
  • (構成員うなずく)

新たな補償制度に関する議論について

  • ありがとうございました。それでは続きまして,「新たな補償制度に関する議論」の中の段落の34から38です。これは「補償」の意義ですけれども,これについて御意見をお伺いしたいと思います。基本的には,出てきた議論をそのまま記載しております。松村構成員から直近に御意見を事務局に頂いております。その御意見はここのところに一番関連するのではないかと思いますので,もしそれとの関係もございましたら,ここで御意見を賜ればと思います。
  • 松村構成員 ありがとうございます。このまとめの点に関係するのかもしれませんけれども,これについて私が思っていることを皆様のお手元に配らせていただいたのですが,見ていただきたいと思います。
    この会の名称は「犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討会」ということです。しかし,この議論を通して本当に検討会の名称にふさわしい議論がなされたのかというのは甚だ疑問を感じざるを得ません。本当に困っている犯罪被害者等を救済するために,私ども,犯罪被害者補償制度案要綱というものを提出しました。
    すなわち,一時金の支給,年金の支給,現物給付,遡及適用である。しかも,皆さんの賛同をいただいたように,連帯共助という理念の下ですから,本当に困っている犯罪被害者を救うため提案したものであります。しかし,検討会では,今までの議論のとおり,現行の犯給法の検討に大部分の時間が割かれ,新たな経済補償制度については二次的な扱いがなされたことは残念でありまして,私の力のなさを改めて感じさせられました。更には,困っているのは犯罪被害者だけではないという意見まで飛び出しまして,新たな経済補償制度が真剣に議論されることはありませんでした。
    私どもが発議した犯罪被害者補償制度案要綱は,新しい経済補償制度も一応は検討しましたよというアリバイに使われたような気がしてなりません。私は少なくとも,この検討会は犯罪被害者の立場に立って,どうしたら困っている犯罪被害者を救えるのか考える場であると思って参加してきたのですが,現実はそうではなく,現行の制度はよくできており,いかにしたら現在の制度を変えないで済むのか,支出を増やさなくて済むのかという議論に終始したように思います。
    これでは犯罪被害者等基本法第3条,4条の趣旨からほど遠く,今後も犯罪被害者等は苦しい生活を強いられ,事件前の平穏な生活に戻ることはないことになり,甚だ残念な結果になりました。少なくとも私が遡及適用のときに例として挙げました4人の被害者,話しましたけれども,彼らに対する改善策というものはできたのか,非常に疑問であり,残念であります。
    このような環境下でどうしたら犯罪被害者は事件前の平穏な生活に戻れるのでしょうか。検討会では,犯罪被害者は困窮しているけれども,それは各構成員が自分のこととして考えられず,本当に他人事だったのではないかという感じを持たざるを得ません。
    以上です。
  • 椎橋座長 ありがとうございました。特にこの提言との関係でということになると,どこが一番おっしゃりたいことですか。
  • 松村構成員 これ4つ全部やってくださいというのは無理だと思うのですが,実際には。この中で何とかしてくださいということでいけば,やはり一番早急に迫っているのは現物給付です。現物給付をしていただいて,その上で,年金もやっていただきたいと考えています。ですから,この4つは割に並行的なのですけれども,その中で今差し当たり一番やっていただきたいのは,やはり現物給付が先だろうと思います。
  • 椎橋座長 松村構成員に限らず,構成員の皆様に,まず34から38段落について御意見をお伺いしたいと思います。
  • 松村構成員 補足させていただきますけれども,連帯共助ということで,確かに犯罪被害者の補償というのは,本当に困っている人を救うための制度にしてくださいということで,何も金のある人に更にやってくださいということを言っていませんので,本当に困っている人の立場に立って是非考えていただきたいということでございます。
  • 椎橋座長 分かりました,まず,段落の34から38についてはこれでよろしいですか。
    それでは,一時金の問題ですが,39から41段落ということになります。段落の41,事務局から,この点について何かございますか。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 この41の記載が,ちょっと後から出てくるパラグラフで恐縮ですが,54パラの記載と重複した段落が残ってしまったというところです。これは,54のほうが後から御議論いただいたので追加させていただくことになったというところもありまして,なので,差し支えなければ,41パラについては削除させていただきたいと思っております。
  • 椎橋座長 分かりました。
  • 松村構成員 済みません。一時金についてはそういうことの議論があったということはあるのですけれども,根拠が乏しいのではないかという意見がありましたけれども,出すのか出さないのかということについて何も決まってないわけですね。根拠が乏しいから出さないということだろうと思いますけれども,少なくとも一時金というものがやはり必要なのだということは理解していただけると思いますので,何らかの格好で一時金というのは出す方向で検討するというふうにしていただかないとおかしいのではないかと思いますけれども,どうですかね。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 済みません。そのことで言えば,現在の犯給制度自体が一時金なのではないかと思うのですが,それとの関係でもともと御提案がどういう御趣旨だったのかというのを教えていただきたいのですが。
  • 松村構成員 今いろいろ犯給金ありますけれども,これは全部一律に,どんな人でも,差別なしに1,200万出してくださいというのが本来の趣旨なのですね。ですから,いろいろ個々の事情があるから一律の支給が難しいという事情は理解できます。けれども,最低でも1,200万円にしていただきたいということです。
  • 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 ということで御議論いただいてこういう形になったところをまとめさせていただいていますので,何らかの新たな議論をこの先また追加的にというのはちょっと難しいので,今の時点ではこうならざるを得ないと整理させていただいたところでございます。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 なので,一時金の金額について,特段現行制度の変更という提言には至らなかったというような,その結論の段落が無いから欲しいという御趣旨ですかね。
  • 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 済みません。私が勘違いしたのかもしれませんが,要は,結論としては一律の一時金を出すことにならなかったという段落が必要だという御趣旨ですか。
  • 松村構成員 そうですね。
  • 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 そういう事情なら,それを書くことはいいですね。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 はい。
  • 椎橋座長 それでは,その一時金の部分はその結論部分を書くということでよろしいですかね。
  • (松村構成員うなずく)

年金について

  • 続きまして,年金の部分に移らせていただきたいと思います。支給形式,支給水準についての御議論,これを43から48の段落において記載しておりますけれども,この記述でよろしいかどうかという御意見をお伺いしたいと思います。
    これも大分議論がありまして,年金の形式,これはむしろ総額の問題ではないかという御意見もあって,結局は年金型の給付を行うということについて結論には至らなかったと,議論の状況が記載されているわけでございます。
  • 松村構成員 今,個人で一般的に一番もらえる金額というと,3,000万円が一時金でもらえるのですけれども,それを年金で使うとしても,何年生きられますか。1年間500万とすると6年間でおしまいだということでいいのでしょうか。それで,その間,扶養家族だとかいろんなものがあるとすればなかなか難しいのではないかということで,総額の問題ですけれども,それならそれで総額をものすごく増やしていただきたいと思いますし。だから,その辺どっちをとるかという問題だと思うのです。
  • 椎橋座長 これについては確かにそういう内容を,松村構成員が主張されましたけれども,公平性の問題,それから財源の問題との関係がなかなか問題点を論破するというか,クリアーするところまでには至らなかったということが全体の議論の中ではあったと思うのですね。それで,議論の経過・内容をそのまま記述したということになっておりますけれども,ですから,あとは,更に,ここに出ている表現では足りないので,このような意見があったということをとどめてほしいとか,そういう範囲になるかと思います。
    特になければ,このような記載されている議論状況であったのかと思いますので,この記載自体はこの記載自体としてよろしいでしょうか。
  • 松村構成員 当然,支給総額の問題となると一時金の問題のほうに引っ掛かってきてしまうのです。逆にね。ですから,そういう面から言って,この辺のニュアンスをどう整合性持たせていくかということをやはり考えていただく必要があるのではないかと思います。
  • 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 具体的に,ここに書いてございます記載がこうあるべきだという何か御意見いただけかないと,ちょっと今のお話では対応のしようがないかと。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 御提案の御趣旨がちょっと分かりかねたのですが,おっしゃるとおり,結局,年金といっても結局は支給水準の話なんだよということになりますと,犯給制度との変更を加えるか加えないか。でも,もともと犯給制度とは全く新たな制度ということで,なので,先ほどの一時金のことについてお伺いしたかったのですけれども,一時金という御趣旨であれば,もう既に一時金は出ていることとの関係でどのようにこれを記載させていただいたらよろしいのかとお伺いさせていただいて,要は犯給制度の金額の問題だということであったかと思います。
    年金制度の部分については,おっしゃるとおり,一時金と合体させての,結局,支給水準というのはどうなるのだという形で,議事録上はそういう形で議論を進めさせていただいていたかと思います。ここでは,支給形式の最後の45のところですけれども,結局,年金制度にするのかどうかという議論をする前提としては,年金型の支給かどうかというのではなくて,本質は支給水準の話でしょうと。支給総額の問題として議論すべきであろうということで,次の支給水準の話の中に入っていくという形でまとめております。これでよろしいですか。
  • (松村構成員うなずく)
  • 椎橋座長 それでは,そういうことで御了承いただきたいと思います。
    次に,「過去の犯罪被害者等への支給」,49から51段落ということになります。これは,年金型制度が提言に至らないということで,その効果を過去の被害者にも及ぼし得るか否かについても検討は行っていないということで,こういう記述になりました。
    ただ,松村構成員から御意見がありましたので,51段落のところでそういった御意見を出しております。これも議論の状況を記載したということでございますので,これでよろしゅうございますか。
  • (構成員うなずく)

海外での犯罪被害者に対する経済的支援について

  • ありがとうございます。それでは,続きまして,(2)の「海外での犯罪被害者に対する経済的支援」に移りたいと思います。これにつきましては,前回,見舞金的なものを考えられないかという感じで,警察庁,外務省がメインとなるかと思いますけれども,関係省庁に実現可能性について,それからまた本検討会としての提言の方向性について御検討いただくこととしておりました。段落52と53を今回案として頂戴しましたけれども,基本的には前回の御議論の集約で終わっているところでございます。これを踏まえまして,どのような提言とさせていただければいいかということでございます。警察庁または外務省から,前回以降の検討状況について御報告いただきたいと思います。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 内閣府にも入っていただきまして,外務省,それから私どもということで検討を進めてまいったところでございます。その上でということでございますが,前回の検討会で先生方からいただきました,やはり何らかの経済的支援をスタートさせるべきではないかという御指摘を踏まえて,具体的に考えていかなくてはいけないことがあろうかとは思いますが,53に記載のような形での制度という御意見を頂戴することは可能なのではないかと思っているところでございます。
  • 椎橋座長 ありがとうございます。外務省の方,いかがでしょう。
  • 外務省領事局海外邦人安全課課長補佐 今,警察庁さんから言われたとおりでありまして,一緒に検討しているという状態であります。特にこれについての異議とかそういったものはありません。
  • 椎橋座長 ありがとうございます。構成員の皆様,いかがでしょう。
    黒澤構成員,どうぞ。
  • 黒澤構成員 53番ですが,2行目,3行目のところに「厳密な調査を要さずに」と書いてあるのですけれども,これは国による支給でありますので,やはり一定の事実に基づくということが不可欠だと考えます。4月の検討会で,私,在外公館が資料を迅速に収集できる体制を作ることが大変大事だという趣旨の発言をさせていただきましたけれども,海外で発生した事件に関して見舞金を支給するという国の制度でありますので,海外事件に関する情報というものは,日本国として日本国を代表して収集できるのは在外公館でございますので,やはり在外公館が収集した情報を基に支給事案かどうかということを判断すべきだと考えます。従って情報の出所といいますか,根拠といいますか,在外公館の収集した情報を基に支給判断することを言及,明記しておいたほうがいいのではないかと考えます。「厳密な調査を要さずに」,これは単純な制度を目指すということで,調査の程度の問題だと思うのですが,やはり情報の出所といいますか,これは確度にも繋がってくるわけですけれども,そこははっきり,国の制度である以上,明確にしておいたほうがいいのではないかと考えます。
  • 椎橋座長 ありがとうございました。ただいまの点について,構成員のほかの方,いかがでしょうか。
    趣旨はよろしいわけですね。「厳密な調査を要さずに」ということは,国内の犯給法のような調査ができない場合もあり得るということはお認めなのですね。
  • 黒澤構成員 それはそれで,いいのです。
  • 椎橋座長 ただ,責任を持った主体が調査して,その調査を基にして判断・決定するのだと。そこをより明確に文章化するということですね。より明確に。どこまで明確にできるかが問題ですが。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 警察庁と外務省の御意見も伺いたいとは思うのですが,例えば「必ずしも厳密な調査を要求するものではないが,在外公館等による一定の調査に基づき国が速やかに」うんたらかんたらと繋がっていくような形ではいかがでしょうか。
  • 椎橋座長 御提案がございましたけれども,いかがでしょう。
  • 黒澤構成員 そのような趣旨で申し上げているのですが,いずれにしても,情報源といいますか,国の制度ですから,在外公館が国を代表して収集した,その根拠が具体的に明確になれば,それを基に判断するのですよということであれば,またそれも結果的に公平性にも資するのではないかと考えております。今のような表現で,私が申し上げていることと矛盾するというものではございません。
  • 椎橋座長 ほかにいかがでしょう。
    川出構成員,どうぞ。
  • 川出構成員 53パラの「支給対象を限定する形で」というのは,具体的にはどういうことを考えていらっしゃるのですか。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 前回の先生方の御議論を踏まえれば,例えば,今の犯給制度ですと,重傷病の方も対象ということになっておりますが,お示しのような海外での犯罪被害についての実態の把握の状況などを踏まえて,例えば死亡だけに絞るとか,そういう意味での限定ということでございます。
  • 川出構成員 分かりました。犯給法よりも,支給対象とする犯罪被害を限定するという趣旨ですね。
  • 外務省領事局海外邦人安全課課長補佐 在外公館の調査についてだけちょっと,これは御注意をさせていただきたいということで申し上げます。
    国として調査をするということで,犯給法の認定する公安委員会が求める水準までの証拠を集めることができるかという趣旨で言うと,在外公館にそこまでの調査能力がないということを申し上げねばなりません。
    1つは,同じ国同士であっても,国が違うものですから,我々のほうに必要な情報を全部くれるわけではないということを申し上げたいのです。外国の捜査当局がくれる情報というのは,基本的には被害者の方の御遺族に説明されるものしか我々にも入手ができないということなのです。ですので,現地に事務所を置いて調査して,当然いろんな事情は分かります。そういうことについては非常に詳しく説明はできますけれども,一番肝心な部分について,例えばどういったことで犯罪が起こったかとか,そういったことについては,御家族にお伝えする分しか我々にも入手できないということなのです。ですので,公安委員会が求めるような水準までの調査はできないと。それを是非分かっていただければありがたいです。
    以上です。
  • 黒澤構成員 情報の内容とか,先ほど申し上げた調査の程度ということではなくて,こういう,犯給の枠組を離れた新しい制度を作るに当たって,その判断,どこが判断するようになるのか,この文章からはよく分かりませんけれども,その際に,その判断の基となる情報として,在外公館の情報,その中身が充実しているほどいいと思いますけれども,不十分なものであっても,情報源といいますか,そのソースは何かという場合には,やはり在外公館が国を代表して,国として集めた情報,それが基になるのではないかという趣旨で申し上げました。
  • 椎橋座長 外務省の方と黒澤構成員の御意見とは矛盾しているわけではありませんね。
  • 黒澤構成員 矛盾しているわけではありません。
  • 椎橋座長 推進室長,どうぞ。
  • 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 1つは,「厳密な調査」という言葉が少し危ない表現だなというところですね。もちろん,もともとこれは今の犯給法でやっているような調査は無理だということを前提にしつつ,一定の緩和をしてでも対応できる範囲はどうかという意味では,厳密ではないという意味で使いたかったわけですが,それは国としてやる以上,一定の確度,それをどのような水準するかというところはあるのだけれどもというところなので,表現は,先ほど参事官がちょっと言ったようなアイデアなど考えながら工夫してみたいと思いますし,あともう一つは,調査するところがどういうところなのかを一定程度明らかにしておくべきだという御指摘かと思います。そこは,在外公館が関わること自体は当然のことだということでよろしいのかと思いますし,また,これは行政の,さっき参事官が「等」とちょっと付けていましたけれども,全てが在外公館と限りませんのでというあたりなども含めて,表現は少し工夫させていただければと思います。
    あと,52番で,「概ね一致した」とか「意見に集約された」ということで,ここまで議論のまさに経過を書いた形になっております。けれども,提言という方向にするのであればちょっと表記は変えるべきなのかなと思っております。例えば最初のところは,基本的には皆さんがこういう方向であるのであれば,させるべきなのだということになるということでいいのかなと,次のところも,「意見に集約された」という以上はこういうことであるということになるのかなということで,議論の経過を書くというよりは,提言風に書き直させていただくことなのかなあとも思っているのですが,そのあたりはいかがなものかと。
  • 椎橋座長 いかがでしょうか,今のご意見について何かございますか。
    番構成員,どうぞ。
  • 番構成員 語尾がこれでは日本語的にもはっきりしないですから,できれば提言的にストレートに書いていただいてよろしいのではないかとは思いました。
  • 椎橋座長 ほかの構成員の方,いかがでしょう。この書きぶりの範囲内であれば異論はなかったような気がいたしますね。提言という形にすることについては何か問題はありますか。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 なので,もし差し支えなければ,文末表現を,52パラについては,「何らかの経済的支援をスタートさせるべきである。」53パラについては,「単純な制度を目指すべきである。」という形でとじさせていただくというのでよろしいでしょうか。
  • 椎橋座長 よろしいですか,今のような御提案で。
  • (構成員うなずく)
  • あと,提案ということになるわけですので,「厳密な調査を要さず」という点については,先ほど事務局からも提案があって,大体異論はないように感じました。川出構成員から御提案あった支給対象を限定する形でというのは,この表現ぶりについては,死亡例とかを考えておられるということですので,これももう少し具体的にすべきか,それともこの程度でよろしいかどうか。
    余りこれ以上書くのは難しいということであれば無理は言えませんけれども,より具体的に書ければそれのほうが良いとも思います。
  • 川出構成員 これだと,読んですぐ分からないかなという気がしました。「支給対象である犯罪被害を限定する」とまで書くと,書き過ぎですかね。先程のご説明では,趣旨としてはそういうことのようですが。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 警察庁のほう,限定は犯罪被害だけでよろしかったですか。支給対象の限定の部分。それの部分について若干御検討いただいたほうがいいのかなあと思いますが。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 「支給対象となる犯罪被害を限定する形で」といたしましたときに,これも読んだ方が分かるかどうかちょっと,もう一回考えてみたいと思います。差し支えなければ,例えば「死亡事案に限定するなど,支給対象を限定する形で」などといった言い回しにするか,少し御相談させていただければと思っております。
  • 椎橋座長 それでは,その点については。推進室長,ご意見ですか。どうぞ。
  • 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 そういう意味で言いますと,まさに調査の認定の困難性を克服した中でどのように合理的なものを作るかという意味では,まだ議論は多分,よく詰めてもらわなければいけないところだと思うのです。この検討会というのはその方向性だけを提示して終わるという感じだと思いますが,余り固定的に書くのはいかがなところがあるのではないかと思います。例示をするかしないかちょっと考えてもらいつつ,例えばこの限定する形でと決め込んでいますけれども,若干緩やかに「等」を付けるとか,そんな工夫も少ししておいて,中身に関してはある程度委ねていただくような形にしておいたほうが,検討する側としてもやりやすいのではないかという印象を私は受けますけれども,どうですかね。
  • 警察庁長官官房審議官 そのような形でおまとめいただければ,関係省庁ともども検討してまいりたいと思います。
  • 椎橋座長 瀬川構成員,どうぞ。
  • 瀬川構成員 今の関連なのですけれども,52のところで「スタート」という言葉があるので,とりあえずここから始めたいという趣旨を含んでいると私は思います。抽象的にスタートするのではなくて,明確な形で,死亡事件をまずやってみようという形でスタートするということに繋がるので,死亡事件ということを明記していいのではないかと私は考えます。
  • 椎橋座長 具体例を明示するかどうか,両方御意見ありましたので。
  • 瀬川構成員 その際,「等」をつけてもいいですけれども。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 それでいきますと,例示の具体的な書きぶりは,また警察庁と表記,連絡させていただきたいと思うのですが,「何らかの形での支給対象を限定するなど,必ずしも厳密な調査を要求するものではないが」ということで,単純な制度を目指すべきであるというところに全部引っ掛けるような形の文章にさせていただいたらいかがかと思います。
  • 椎橋座長 どうぞ,岩村構成員。
  • 岩村構成員 単なる表現の問題でちょっと気になるので,別に反対するという趣旨ではないのですが,段落の52のところで「社会の連帯共助」という言葉が出てくるのですね。ざっとさっき見ていたのですが,別にパソコンで検索かけたわけではないので分かりませんが,ここだけしか出てこない表現のような気がします。
    それともう一つ,なぜ気になったかというと,「共助」という言葉は実は社会保障の領域で今いろんなところで使われていて,共助と言うと社会保険になってしまうのですね。ですから,そのところの整理,これは「連帯」と付いているので,「うん?」というところがあるのですが,やや整理をされたほうがいいかもしれないという気はしました。
  • 椎橋座長 それでは,いろいろ御意見出ましたので,文言については皆様の御意見を参考にして,少し警察庁,外務省さんを含めて事務局で検討した上でもう一度出させていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

現物支給について

  • ありがとうございました。それでは,次に移らせていただきたいと思います。2の「現物支給」ということになります。基本的に前回の議論そのままでありますけれども,54が提案内容,55が窓口での犯罪被害者認定の困難性について,それから,56段落が被害者も医療保険が使えるということについての周知徹底をするということでございますが,この段落については提言ということになると思います。現物支給の問題について御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
    どうぞ,小西構成員。
  • 小西構成員 57番のカウンセリング費用のところですけれども,<1>,<2>というふうに報告書が出ているのですが,<1>のほうは現物支給は非常に大事であるということを踏まえた結論であると思うので,現物支給でしかできないことがいろいろあることは間違いないのでといいますか,もう少しそういうことが分かるように,54から57まで全体が現物支給ということに対してどういう態度をとっているのかというのが必ずしも明確でないと思います。少なくともこの報告に関しては,例えば「措置がとられるべきである」として,現物給付の重要性を認識するとか,そういう形で入れていただいたほうがはっきりするのかなあと思いますが,いかがでしょうか。余りにも抽象的なところで終わっていて,どういう態度をとっているかが分かりにくいかなと思います。
  • 椎橋座長 54が現物支給について松村構成員からの御提案で,55はそれに対するいろいろ問題点の指摘があったということで,54,55は,その提案とそれに対する反論という形でその状況を記述しております。そして,56で保険者への周知徹底を図ることを記載しています。まだ現場で周知されてない部分がありますので,それは徹底すべきだと。これは提言ということにしたいということでございます。それから,57は検討会IIの提言を支持するという作りになってございます。ご意見は56の部分についてですか,小西構成員。
  • 小西構成員 いいえ,違います。今のように御紹介いただくと,一応論理的にできているという形だと思いますが,56で提言されていることは,保険診療を断られるというケースが相変わらず後を絶たないということに対する御提言ですね。ここは現物支給に関することであすの会から御提言いただいたのだとすれば,57で,支持すると,それで事務的には終わりだということで言われればそうなのですけれども,57のカウンセリング費用の公費負担に関する検討会では,いろいろ考えた末に,公費負担でできない現物支給についてやはり重視していかざるを得ないなということで<1>が出たと私は考えていたので,何かそのようなことを加えていただかないと何だか意味がよく分からないなあと思ったのですね。ここは非常に事務的に扱って,提言を支持すると言っているので,そういうことなのだと言われればそれはそうですけれども,ちょっとそのように読んだときに考えたということですね。これだけ読むと何だかよく分からないなあということ。せっかく御提言いただいていて,現物支給というのが保険診療を周知させるということだけに終わっているように見えるので,そうではないのではないかと思ったのです。
  • 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 小西構成員のおっしゃっている中身は,基本的には,検討会IIのほうでまとめた提言の中に書かれていることでございまして,そこはあちらで提言させていただいていますし,その趣旨は十分あちらで分かるように,しかも,あちらのほうの提言は,議論の経過も詳細にそうしたことが分かるように作ったというものでございますので,基本的にはそこで御理解いただくことをお願いしたいと思いますし,ここはあくまでこちらの検討会ともう一つの検討会との関係で,この項目があったことについては支持するという結論になったということを書かせていただいていると,誠に事務的な発言で申し訳ありませんけれども,御理解いただきたいと思います。
  • 小西構成員 御説明を聞いて,ここはそのように事務的に考えているのだなというのは分かりましたので,それは了承します。
  • 椎橋座長 どうぞ,川出構成員。
  • 川出構成員 56パラの記述ですが,これは,上の54のところで「医療保険の適用を断られる等」というところを受けているわけですね。ただ,この話というのは,現物支給の話とは直接には関係のないことではないですか。要するに,医療保険の適用が断られるということはよくないという話であって,現物給付の話が出てきた元々の趣旨は,それとは別に,保険が適用されても医療費の負担が重いので現物支給にしてもらいたいということだったように思います。ですから,何かちょっと違うものが入ってきているような感じがしますので,ここは分けたほうがいいのではないでしょうか。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 56パラを,提案としては第3の「その他」の中に1つ持ってくるという形で,要は相談支援体制の整備であるとか,地方公共団体における支援制度の1と2の間になるのかなとは思うのですが。あるいは1の前か。
  • 川出構成員 位置はどこでも結構ですが,これが入っていることで,現物支給の話の核心が分かりにくくなっているような気がします。
  • 岩村構成員 ただ,54のところの今の医療保険の場合の窓口負担の話というのは,この現物給付についての提案に関しての追加説明というコンテクストの中で書かれているので,御提案者の意図としては,こういうことも含めて提案されていると読むしかないのかなという気はしますが,そこを切り離してしまうとかえって御提案者の意図からは離れてしまうような気もしますが。この現物給付についての提案との関係ではですね。
  • 川出構成員 松村構成員にお伺いしたいのですが,この部分は,医療保険が適用されないので「予期せぬ高額な窓口負担となっている」というところに重点があるのか,それとも,保険が適用されても医療費の負担が重いということなのか,どちらなのでしょうか。
  • 椎橋座長 松村構成員,どうぞ。
  • 松村構成員 医療保険そのものがまず最初に適用されるのが絶対必要なのですけれども,額にしても,要は,適用されたとしても,非常に高額であるから,それを全部現物給付にしてくださいよという趣旨です。もちろん,医療保険そのものが,確かに今までは,田舎のほうへ行くと断られたということもありますけれども,それはそれとして解消していただかなければいけないけれども,実際には,医療保険適用されても高額の請求をされることもあるので,その分については現物給付にしてくださいということです。
  • 椎橋座長 ご意見としては両方ですね。
  • 松村構成員 ええ。
  • 岩村構成員 ただ,余り論争になっても仕方ないし,実態の問題なのであれですが,窓口負担が高額になるということ自体が,制度上よく理解できないのですね。というのは,高額療養費の制度があるので,かつ,多数該当とかいろんなメカニズムがあって,今かなり高額療養費で広く拾っているはずなので,窓口負担が高額になるとすると,それはどこかで何かが食い違って起こっているはずかなという気はします。ですから,ちょっと問題が違う側面なのかもという気はするのですが,いずれにしても,そういう問題提起がおありになるということとすると,現物給付の問題と窓口負担の問題というのはちょっと切り離したほうが整合的ではあるかなと,すっきりとはするかなという気はいたします。あと,もちろん,医療保険で負担してない部分についてどうするかとか,そういうまた別の問題はあります。ですから,窓口負担が高額になるといった場合に,医療保険で負担しない部分について,例えば差額ベッドとかそういったものがあった場合には確かに高額になり得るということはあるので,ただ,それはそれでちょっとまた別の話なのかなという気がします。
  • 椎橋座長 松村構成員は,保険がきかない,それから,負担が高額になる,それに加えて,窓口負担という場合には,その手続上の負担も含めて,そういうのは全て現物支給ということで解消しようと,そういう意図がおありですか。
  • 松村構成員 たまたまこれを最初に始めたときには,まだ全国どこでも医療保険が適用されるということがなかったし,それまでものすごい時間も掛かったということもあるので,医療保険が適用されるまで立て替えなければならないということが出てきたわけですね。それについて,やはり最初から現物給付にしてもらえばよかった,助かったなということが1つと,確かに,今ありましたけれども,バリアフリーにするとかいろんな金かかるのですけれども,それについての医療保険でカバーできないものについてはやはり現物給付で支給していただきたいということです。
  • 椎橋座長 どこまでやるか,また蒸し返すわけにはいかないものですから,川出構成員が言われたことについては,確かに54と56というのは厳密に言えば結び付かないのですけれども,事実上,関連がある問題だということで,ここに入れてあります。またこの56の提言は構成員の方々が支持されていたことなので,保険者への周知徹底ということは提言として出せるのではないかと考えました。また,どこで出すかということで,この流れの中で一番関連があるところで,ここでということを考えた訳ですが,確かに,医療保険の適用が断られることと現物支給の話とは,厳密に言うと結び付くわけではないのですね。ではどこでこの提言を出すかというと,「その他」のところで提言するのが果たしてよいのか分かりにくくなるとのご意見もございました。分かりにくくもなりますかね。
  • 川出構成員 現物給付が求められている背景の一つとして,今でも保険診療を断られるケースがあり,それによって多額の請求がなされるということがあるので,それは改めるべきだ,そうすれば,問題の一部は解消できるというような趣旨で,ここに書くというならそれはそれで結構ですけれども,唐突に,この56のみが出てきているので,上との繋がりがよく分からないなということです。
  • 椎橋座長 54で,こういう要請があるのですよと。だけれども,55で,なかなか難しい面がありますねと。ただ,周知徹底をするということは提言としてできますねと。そのような組み立てでないかと思うのですね。
  • 川出構成員 そうだとしますと,54パラの部分で,松村構成員が先ほどおっしゃったように,どういう理由からこの現物給付を求めておられるかということについて,もう少し詳しく書いたほうがよいのではないでしょうか。例えば,保険が適用されても医療費が高額で負担が重いとか,あるいは,そもそも保険でカバーできないような部分について負担が求められているとか,様々な理由があるわけですね。保険診療が断られるというのは一つの背景でしかないので,それだけが明記されてしまうと,問題の背景がよく分からなくなるように思います。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 ここで言っている医療関係費というのが医療の範囲にとどまるのかというのがありまして,治療,医療費用,諸雑費,入院の付添看護費,自宅改造費,義足義肢,ハウスキーパー費で,カウンセリング費用が入って,退院後のリハビリ費用,介護費用,通院交通費という形,これもさらに「等」という形で列挙されておりますので,そもそも医療保険ではなくて,例えばほかの障害関係の制度等の適用がある部分とない部分というようなところがあります。
    実際問題,松村構成員からも最初御指摘ありましたように,ここについては,個々の制度,これがどこまでカバーされていて,どこまでが御負担で,どこまで現物支給という概念をそれぞれ,そもそも現物支給という言葉の使い方がカウンセリングのときに言っていた現物支給というのと微妙に違うのですね。なので,それを検討会では個々に整理して議論したわけではないということもありまして,54のところではこの医療保険の窓口負担のところが出てきた例示としては特出しできる唯一のものであったというような印象を,私としては今までの議事の関係で持っております。
    実際問題,ハウスキーパー費用をどう考えていくかとか,通院交通費はどういうときに制度上出されているのかということは,大まかに厚生労働省さんのほうからのヒアリングでいろんな各種制度についてはうかがっていたのですが,それを踏まえて,この現物支給の御提案との絡みでどのように考えるかというまでの議論には至ってはおりません。なので,むしろ54,55の後で,あるいは54の間かもしれないですが,本検討会として,個々の医療であったり,障害関係の諸制度との関係において,個々の制度について詳細な議論をしてこなかったという事実の摘示を入れさせていただいたほうがむしろ実態には即するのかなと思います。
  • 椎橋座長 いかがでしょうか。
    確かに,今から考えると,川出構成員の言われるようなことですけれども,実際にはそういう経過をたどってこなかったということがあるものですから,必ずしも現物支給の問題について一つ一つ整理されて議論されてきたわけではないということがあったですね。ですから,このようなまとめになったと。そのことをはっきりするために,事務局の言ったようなことをつけ加えるというのも一つの手かなと思います。これをまた全部書きかえるとなると難しいですね。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 全部書きかえる必要もないかとは思うのですが。
  • 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 御疑念を除く方法を選ぶのであれば,56を別のところへ移してしまえば,基本的には問題は多分解決して,ただ,54との関連性があったことは,例えば「54との関連も含め」と書いておくというやり方もあるかと思いますし,現状でも実は「本論点に限らず」と書いてありますので,繋がってはいるので,そこは分かりやすさでどっちなのだろうというので,私としては,どっちもありだなと思うので,ちょっとこうでしょうとは言いにくいのですけれども,いかがいたしましょうか。
    承った御意見を基に座長預かりにさせていただいてという方法もあるかもしれませんし,やはりここは強く川出構成員としては言っておきたいということであれば,そのように承った上でちょっと検討させていただきますという感じになるかなというところで,編集上どっちが優越かというのはなかなか難しいと思っているのですが,どういたしましょう。
    一応御意見をいただきましたので,それを踏まえてちょっと検討させていただいて,場合によってはちょっと個別にやりとりさせていただいてという感じで,このままこの議論を続けても余り,どちらにも行きそうもないなという感じがいたしますので,よろしくお願いいたします。
  • 椎橋座長 今日いただいたご意見を可能な限り反映させる努力をするという形で,こちらのほうで整理させていただいてということでよろしいでしょうか。
    ありがとうございました。厚労省の方,どうぞ。
  • 厚生労働省社会保障担当参事官室室長補佐 ちょっと念のために事務的に確認させていただきたいのですけれども,この56の保険者への周知の改めての徹底というところでございますが,これにつきましては,第2次の犯罪被害者等基本計画に基づきまして,平成23年の8月に,保険者と,あとは医師会,歯科医師会等の関係団体と,あと厚生局に対して徹底をお願いしますということで通知を2年と少し前に出させていただいたということであるわけですけれども,その後の経過も踏まえて改めて周知徹底をすべきだという御意見を賜っているという理解をしてよろしいでしょうか。
  • 椎橋座長 それでよろしいですね。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 これ全体的な問題だと思います。厚生労働省さんにも改めて,関係機関,あるいは関係組織に周知を図っていただきたいという部分はあろうかと思いますが,恐らく支援の現場でまだ混乱が続いているというところもあるので,被害者が適切にアドバイスを受けられてないというところもあろうかと思いますので,内閣府としても,適切な場で医療保険は実は使えるのですよと,それは支援者の側からも被害者にリマインドかけておいてあげてくださいねというような形で研修等の機会を通じて発信していきたいと思っております。
  • 椎橋座長 厚生労働省の方,よろしいでしょうか。
  • 厚生労働省社会保障担当参事官室室長補佐 分かりました。

相談支援体制について

  • 椎橋座長 ありがとうございました。それでは,最後に「その他」の部分をお願いしたいと思います。58段落からでございます。最初の相談支援体制というところでは,58で問題提起をし,59で市町村窓口の設置促進について書かれております。59のところは提言と言えると思います。あと60は海外の被害者と国内の支援体制との連携について書いてございます。書きぶりなどについて何か御意見がありましたらお願いいたします。
    いかがでしょうか。これでよろしいでしょうか。
    どうぞ,番構成員。
  • 番構成員 この部分については,私はこれでよろしいのではないかと思います。
  • 椎橋座長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょう。
    それでは,この部分はこれでよろしいですか。

地方公共団体への要望について

  • ありがとうございます。それでは,最後の最後ですが,61です。地方公共団体への要望ということで,前回,番構成員から御指摘のあった無料法律相談についてもここで言及させていただいております。ここの書きぶり等について御意見ございましたらお願いいたします。
    どうぞ,番構成員。
  • 番構成員 ありがとうございます。異存ございません。
  • 椎橋座長 ほかにございませんか。
    それでは,本日いろいろ御意見をいただきましたが,それらにつきましては次回までに反映して,また事前に御意見を募るという形にしたいと思っております。
    それでは,事務局のほうから今後の予定をお願いしたいと思います。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 次回は,もう年が明けますが,1月30日,更に30分遅れになりますが,午後5時からの2時間となります。この次回で取りまとめ文章という形でもうセットさせていただいて,次は推進会議にかけなければいけないということになります。なので,次回につきましては,まだ若干,文章上御意見いただかなければいけないところもあるのですが,専門委員の方にも入っていただいての合同会議という形でさせていただくことになります。今年中,どうも御議論ありがとうございました。引き続き,まだ若干残っております。どうぞよろしくお願いいたします。
  • 椎橋座長 それでは,これで第17回「犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討会」を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
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