第15回「犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討会」
議事録

○椎橋座長 それでは,定刻より少し前ですけれども,お揃いですので始めさせていただきたいと思います。
今回は,第15回「犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討会」ということになります。
本日は,本検討会の今までの議論を振り返りながら,これからどのような結論を本検討会として出せるのかということを考えていきたいと思います。
まだ検討中の論点も含まれておりますので,早速,議事を進めてまいりたいと思います。
まず,事務局のほうから配付資料についての説明をお願いしたいと思います。
○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 今回,6点の資料,いろいろございますので,説明させていただきます。
逆順で申し訳ないのですが,資料6から説明させていただきます。
資料6は,前回,危険地に自ら赴いているような被害者については,特に外務省のほうで出されているような危険情報を目安として,要保護性を考えたらいいのではないかとの御議論も若干ありましたので,御参考までにということで,外務省のほうから危険情報の種類などについての資料を頂戴いたしました。
これは,外務省のホームページ上のものでございますが,情報の4つのカテゴリーでありますとか,いずれにしても強制力のない,個々の旅行者にとって,安全対策上の目安ですといったような情報の性質などが記載されております。
今回,これ以上,特段御質問がなければ,御説明の時間はお願いしていないところでございます。
資料5につきましては,第2次基本計画で,厚生労働省に生活保護制度における犯給金の収入認定除外についての検討をいただいた結果,発出していただいた通知,それと2次計画前から生活保護制度上,収入認定除外されていた範囲に関する通知,その2つを御提出いただきました。これも前回,議事の中で資料提出をお願いしたものでございます。
これ自体も,特に厚生労働省に御説明いただくほどでもないかなとは思って,特に時間を予定しているわけではありませんが,必要に応じ,御議論の中で指摘していただければと思っております。
資料4ですが,前回,椎橋座長にも御示唆いただき,海外調査の結果も踏まえて経済的支援の支給水準の比較を行ってみました。
若干,説明させていただきます。以前,経済的支援に関する検討会の中で,弁護士の白井構成員の方から,その時,韓国はなかったわけですが,英米仏独との人口1人当たりの支給額という比較表を出していただきました。これについては,本日の表の中にも含まれておりまして,縦で行くと中ほど「支給額」といった幾つかの項目がまとめられているのですが,その一番下に「人口1人当たり(注4)」という形でつけさせていただいております。
これは平成23年度海外調査に基づいた数値にアップデートいたしております。白井先生に作っていただいた当時と,為替レートも若干変動がありますので,これは単純比較はできないのですが,ただ欧米諸国とは人口1人当たりの支給額では9倍から38~39倍ぐらいまでといった差があるというところでは変わりはございませんでした。
他方,支給額の1人当たり数値は,支給対象の事件数との関係もありますので,今回「人口1人当たり」の支給額の上の欄のところになりますが,「1件当たり」の支給額はどうなっているのだという支給額を比較してみました。
ドイツは年金の経年部分の計算ができませんでしたので,あくまで参考数値として見ていただけたらと思います。
また,支給額の下の欄,これは「支給内容」の比較で御覧いただければ分かりますように,アメリカとかドイツは医療費,治療費というものが含まれております。
他方,日本の支給額の中では,医療保険負担というようなところは計算に入ってございません。あくまで日本の支給額は犯給制度としての国の支給の数値であるということをお踏まえください。
資料3でございますが,これも御参考までに作らせていただいたものでございますが,基本法第13条関係,基本計画の中で行きますと,「給付金の支給に係る制度の充実等」といった中で,いろいろな施策が挙げられているわけですが,こういった施策のこれまでの進展状況について,1枚にまとめてみました。
とりあえず1枚にまとめるぞという目的で作ったものですから,小さく記載する上で各制度をお持ちの省庁におかれましては,ちょっと違和感がある省略表現とかもあるかもしれませんけれども,俯瞰図としてお許しいただければと思います。
間違いについては,また御教示いただければと思います。
資料2は本検討会の各回でどのようなことを御議論いただいたかというものを振り返ってみたものでございます。
似たような形で過去の「経済的支援に関する検討会」などでも,最終の取りまとめの公表に当たって,開催状況の要約を付けていたようですので,本検討会の最終のまとめのときにも開催状況の要約があったほうがよろしければと思いまして,現段階までのものを参考までに作成させていただきました。
最後に,資料1でございます。
これは前回の最後にお話しさせていただいたように,これからこの検討会としての御議論を取りまとめていただく上で,どのような御指摘,御意見が出てきているのか,またどのような論点が挙げられてきたのかということを簡単にまとめさせていただいたものでございます。
実際は,特に松村構成員から御提示いただきました要綱案を前提に御議論いただいた際は,犯給制度のお話と要綱案での御議論というので,行ったり来たりしていた面もあるのですけれども,まとめの観点からは,犯給制度の部分,それ以外という形で分けております。
また,個々の論点では,まとめ的な御発言を拾っているだけでございまして,一部両論併記的なまとめにならざるを得ないところもあるのではないかなと思いますが,とりあえず御発言を拾っている中で,1点だけ,今回の中では重傷病給付の論点のうち,1年以上の医療費負担の問題については,事務局のほうから本検討会の中での御議論や,本検討会の外であった御提案状況などを踏まえて記載させていただきましたものでございます。
最初に事前配付をさせていただいたときには,まだまとめとしての御発言がないように見えました部分について,まだ要は継続中の論点といいますか,そういう部分については青い矢印を付けておりましたが,本日はとりあえず御確認の意味でも,全部の論点について御覧いただいて,位置付けであるとか,もっと違う論点として扱ったほうがいいとか,いや,別にほかのこういう論点も書き加えておいたほうがいいのではないかとか,様々な御意見を頂戴いただければよろしいかなと思っています。
とりあえずは,取りまとめ文章上,何をどう記述していくのかというのを最初に文章化してしまいますと,後で変更していくのが大変なものですから,こういう形で論点を並べたという形で提示させていただきました。
御議論未了の論点については,どのように検討して集約していったらいいものか,御意見を頂戴していきたいと思っております。本日,見え消しの形になっております。これは先に事前配付した後,出てきた修正意見を踏まえております。一番大きな変更点としては「オ 海外での犯罪被害者」についての御議論,一部,犯給制度外の御議論として位置付けし直しているという点でございます。
どちらにいたしましても,資料1の形式,この表みたいな形で取りまとめるぞというつもりではなくて,あくまで取りまとめの文章に含めるべき論点,御指摘などを確認していただく。これをもとに書き下していきたいと思っておりますので,目次的な形で御覧いただきまして,盛り込むべき事項についての加除訂正を御意見いただければと存じます。
あと,基本的には議事録で御発言いただいているような形で抽出しているつもりではあるのですが,表現ぶりなどにつきましても,御指摘をいただけましたら,そのことを踏まえて文章を考えていきたいと思っています。本日,今,見え消しとなっている修正に特に御意見がなければ,文章で書き下ろす際にもそのように留意した形で文章化していく予定でございます。
以上でございます。
○ 椎橋座長 ありがとうございました。
ただいま,事務局から資料1から6までの資料について,説明をいただきました。
まず,資料1につきまして,追って詳細に検討していただきたいと思っておりますけれども,それ以外の資料で何か御質問がありますでしょうか。
資料を一つずつ議論・検討していくといった,そういう形で今日は進めていきたいと思いますが,それ以外の資料について,何かまず御質問がありましたら,お願いしたいと思います。
ございませんか。
ないようですので,一つだけ確認ということで,厚生労働省にお尋ねしたいと思います。前回,生活保護と犯給金との関係について,議論がありましたけれども,そのときに,生活保護を受給している人が犯給金をもらったときの収入除外認定の問題と,それから犯給金をもらった人がこれから生活保護を受けようかというときの収入除外認定という意味で,どちらの制度適用が先になっているのか,前後関係で何か差が出てくるのだろうかということについて,若干,私などは分かりにくいところがあったものですから,その点について,収入除外認定の問題としては差がないということでよろしいのでしょうか。
御確認ということでお願いいたします。
○ 厚生労働省社会保障担当参事官室室長補佐 厚生労働省でございます。
生活保護制度につきましては,生活に困窮された方が持っていらっしゃる資産,能力,その他のあらゆるものをその最低限度の生活の維持のために活用するということを要件として行うものでございます。
そのため,預貯金ですとか,そういう資産につきましては,原則として処分していただいて,生活費に充てていただくことによりまして,保護を受給される前にということになりますので,保護を受給される前に,犯罪被害者の給付金を受給された場合,これは加害者の方から損害賠償を受けられた場合と同じ扱いになるわけですけれども,そうした場合につきましても,利用し得る資産としてまずは生活の維持のために活用していただくということになります。
一方で,生活保護を受給中の方が犯罪被害者等給付金を受給された場合には,本日お配りしております通知に基づきまして,当該世帯の自立更生のために充てられる額につきましては,収入として認定をせず,その超える額を収入として認定するという制度の建て付けになっております。
○ 椎橋座長 ありがとうございました。
何か。どうぞ,松村構成員。
○ 松村構成員 ちょっとついでなのですけれども,こういうケースはどうなのかとお聞きしたいのですけれども,犯罪被害者で,現在,生活保護と障害年金で月8万円ぐらいで生活している一人が,全身90%の火傷を負った犯罪被害者であることのために,実際,健常者と同じようには働けない。前回,これは遡及のときの例として挙げましたけれども,そういう人が,例えば,働けないけれども,犯罪被害者のためだと講演を頼まれて講演に行った場合,通常ならば,講演料と交通費を一応支給されますね。そういった場合にそれも生活保護の認定の収入とみなすと変わったのでしょうか。それだけちょっとお聞きしたいと思います。
○ 椎橋座長 いかがでしょうか。
○ 厚生労働省社会保障担当参事官室室長補佐 交通費につきましては,その部分は必要経費ということになりますので,その部分については収入から除外をするという形になろうかと思います。
謝礼等,実際に収入が発生した場合には,その部分につきましては,収入として認定をするという形になると思います。
○ 松村構成員 そうすると,もう一ついいですか。
○ 椎橋座長 松村構成員,どうぞ。
○ 松村構成員 そうすると,その被害者は,はっきり言って生活保護レベル以上の生活はしてはいけない。しかも,実際に私のところで,年金制度ということを言っていますけれども,実際に事件前の生活のレベルとかなり違う生活レベルをせざるを得ない。自分でも働きたいのだけれども,働けない。そういう人にとっても,それで本当に公平なのでしょうか。私は疑問ですけれども,どう思いますか。
○ 厚生労働省社会保障担当参事官室室長補佐 生活保護制度につきましては,御本人にとってみれば,生活保護から脱却していただくということが最も望ましいことでありますので,その方がどういう形であれ,就労等によって自立をしていただくということは大事なことでありますので,そうした支援というのは,当然,福祉事務所等で行っておるわけですけれども,一方で,生活保護の支給水準というものにつきましては,あくまで最低限度の生活を保障するという観点からでございますので,その収入の認定の考え方につきましては,先ほど申し上げたとおり,自立更生のために要するものであるとか,必要経費については除外するという考え方をとっているという状況でございます。
○ 松村構成員 もちろんまだ納得できないのですけれども,実際に例えばその人が働ける状態なのに働いていないのと,働きたいのに働けない。そのために前の生活レベルよりかなり落とさざるを得ないというものに耐えなければならないということが果たして日本で我々が基本法で言う平穏な生活,以前の事件前の生活レベルに戻すという精神に反しているのではないかと思います。
○ 厚生労働省社会保障担当参事官室室長補佐 一般論になるかもしれませんけれども,働けなくなって,生活保護の受給をされる方というのは,様々な理由の方がいらっしゃいます。御病気になられる方もいらっしゃれば,事故になられる方もいらっしゃれば,事件に巻き込まれる方もいらっしゃるということなわけですけれども,そうした方に対して,一律に基準を当てはめて,最低限度の生活を保障するというのが生活保護制度の趣旨でございますので,犯罪被害者等給付金の趣旨というものにつきましては,その自立更生に要する経費という面では先ほど申し上げたとおりですけれども,その収入の認定に当たっての考え方というのは,基本的に御病気で受けられた方,事故で受けられた方というものについて,区別を設けるということについては考えていないという状況でございます。
○ 椎橋座長 どうぞ,黒澤構成員。
○ 黒澤構成員 ちょっと確認をさせていただきたいのですが,私,公益財団法人犯罪被害救援基金の専務理事をいたしておりますが,事業の中で,今日の資料3の真ん中辺に「民間浄財による基金による救済」ということで,犯給が法律上支給されない,あるいは支給されても,特に気の毒な状況にあって,生活に大変困っているというような方に対しまして,基金から私どものほうで支援金を支給する事業をやっておりますが,これも犯給金と同じように考えればよろしいのでしょうか。
○ 椎橋座長 厚生労働省の方,いかがでしょうか。
○ 厚生労働省社会保障担当参事官室室長補佐 基本的に同じ考え方で考えていただいていいかと思います。犯給金自体が損害賠償なりが加害者から得られた場合には,その分ということですけれども,損害賠償のお金自体が生活保護上は自立更生に要する経費については除外するという,この通知の考え方も同じでございますので,民間浄財による基金につきましても,基本的には同じ考え方で結構かと思います。
○ 椎橋座長 それでは,今の生活保護の中では,講演とか民間事業団体の救援基金についても,収入ということになる。交通費,先ほどの講演会のときなどは,必要経費というのは交通費だけなのですか。
○ 厚生労働省社会保障担当参事官室室長補佐 必要経費と認定するか,収入と認定するか,どちらかということになろうかと思いますが,それはその都度判断されるというか,交通費,宿泊がどうしても必要であればその宿泊費なども含まれたりという,個別の判断になろうかと思います。
○ 椎橋座長 分かりました。では,松村構成員のお考えをご意見として承っておくということにさせていただきたいと思います。
それでは,資料1に入りたいと思います。
最初に,全体の構成的なことになろうかと思いますけれども,そもそも取りまとめの形式としまして,今までの御議論の中で,提言の形になるようなものがないものですから,現状では提言は説明していくような形での取りまとめを予定するということができません。
まだ幾つかの議論未了の部分がありますので,引き続き検討会として何らかのプラスアルファの結果が出せることを期待しておりますけれども,2年以上議論を重ねてきまして,これから後,何回かの中で出てきた部分だけの取りまとめ文章というものも議論の過程を正しく反映しないのではないかと思われます。
また,提言に至れなかった論点としても,本検討会としても犯罪被害者等の置かれている状況や,その他の社会のいろいろな枠組みも,ヒアリングをしたり,御議論を重ねていただきましたけれども,具体的には何かを提言するのが難しいと,こういうこと自体も一つの結論であろうと思われます。
したがいまして,今回,事務局には,資料1のような形で,今までの御議論を簡単に整理してもらっておりますけれども,資料1を順に見て,今までの議論を振り返りながら取りまとめ文章で言及するか,あるいはするとして,含めるべき御意見や視点としてはどのようなものかというような形で,本検討会としてまとめの表し方を確認しまして,議論未了の部分は,更に御議論いただくということで考えております。
いかがでしょうか。
なかなか,いろいろ御議論いただいておりますけれども,これというような形で提言するということに至ってはおりません。
今のような形で進めて議論していくというような形でいかがでしょうか。総論的な問題として,お尋ねしております。
ということで,一つ一つの問題に入っていきたいと思います。よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○ 椎橋座長 それでは,まず,いろいろ各論点としてはかなりたくさんございますので,一つずつ進めていきたいと思いますが,最初は犯給金は見舞金かという部分の議論がございました。
これにつきましては,取りまとめの中では,不要ではないかという削除意見も出ておりますが,これでよろしいでしょうか。まずお尋ねしたいと思います。
よろしいですかね。この点については。
よろしいですか。
(「異議なし」と声あり)
○ 椎橋座長 それでは,次に進ませていただきたいと思います。
次は,支給対象者の範囲についてでございます。
これにつきましては,婚姻については,戸籍ベースではなくて,できるだけ実態判断を行っていく。そのほかの親族関係については,現状から変える基準が見出しがたいというような結論であったかと思います。
要は,犯罪被害でお亡くなりになったことを警察から言われて初めて気が付くというような親族の方に犯給金を出すのが相当かという御議論のときの判断基準の問題でございます。
資料1の上では,特にそこの部分まで取りまとめに書かなくてもというような御趣旨なのかとも思われますが,削除意見というのもございます。この部分で何か御意見がありましたら,お伺いしたいと思います。
いかがでしょうか。
どうぞ,番構成員。
○ 番構成員 この表の見方がよく分からないのですけれども,私自身は,基本的に,今回,ずっと議論をしてきて,給付金の支給水準などについてはなかなか難しいのかなと思います。実際に改正後,こういう点について少ないとか,差し障りがあるというような,具体的なお話がなかなか聞けなかったということもありますので,確かに給付水準が上がってきたという実態がありますから,そこについては,なかなか難しいかなと思っているのですが,そうすると,支給の対象を広げるとか,そちらの方向をやはり模索すべきだろうと思って,不支給の問題とか,支給対象の問題について,発言してきたつもりですが「イ」と「ウ」の関係,これがよく分からないのです。
「イ」というのは,結局,現状に関しての,あるいは現状の犯給法の規定,これを枠組みとして考えた場合に,こういうようなことは言えるのだろうと思いますが,もっとドラスティックに原則・例外の逆転というお話を私はしたつもりです。
原則・例外の逆転はできませんというような話の流れで,では実態はという話になったのですが「イ」と「ウ」の関係というのは,どういうまとめと考えればいいのでしょうか。
○ 椎橋座長 事務局,いかがでしょうか。
○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 おっしゃるとおり,原則・例外の逆転があったほうがいいという御意見があって「ウ」のほうを先に書いたらいいのかということなのかもしれないのですけれども,おっしゃるとおり認定部分の問題,親族関係のことを一般論としてそもそも特例とかの問題ではなくて,原則・例外を排除したほうがいいのではないかというのを先に記載するというのは,その際の順番はできるかと思います。
○ 椎橋座長 被害者支援室長,どうぞ。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 失礼いたします。
私ども,これを拝見いたしましたときに理解をしておりましたのは、「イ」というのは恐らく第1順位遺族,どなたにまず渡すべきかという議論についてお話しするときに,番構成員が例示でおっしゃっていたような夫婦の実態はもうないのだけれども,戸籍が残っているときに配偶者が第1順位遺族であるべきなのかどうかというのが「イ」のところの議論になろうかと思っております。
一方で「ウ」のほうの議論は,現在の犯給法の規則において、親族の一部の部分は原則的に不支給又は減額になりまして,その上でいろいろ特例を設けておるのですけれども,こういうものについて,先生がおっしゃったように原則・例外を変えるべきではないかという議論について語るのが「ウ」のほうなのかなと今のところ理解をしておったところでございます。
○ 椎橋座長 番構成員,どうぞ。
○ 番構成員 そうすると,カテゴリーが違うというところで理解はできます。
ただ,ちょっとこの書き方ではそれが分かりにくいなと思いましたけれども,了解しました。
○ 椎橋座長 それでは「イ」の部分については,このような形で第1順位の支給対象者は誰か,その範囲については,形式的ではなくて,できるだけ実態判断を行っていくという形にしたい。これはこれでよろしいですね。
(「異議なし」と声あり)
○ 椎橋座長 では,ここについてはお認めいただきまして,次に「ウ 親族間犯罪被害者への不支給例外に関連する議論」ついて入りたいと思います。
この「原則・例外の逆転」のところについて,何か付け加えるべき部分などがございましたら,お願いしたいと思います。
ここに修正意見もございましたけれども,御意見がありましたらお願いしたいと思います。
番構成員,いかがでしょうか。
○ 番構成員 私は逆転すべきだと思います。そうすると簡単になるのではないかと思っていますし,「特例の拡大」というところも,児童虐待とか高齢者虐待とかという問題もいろいろ入ってくることもできるのではないか。
実質もっと運用上広げますよ,不支給の例外を広げますよというところを言うのでは余りにもちょっと寂しいなというか,もう少しやはり突っ込んだ形で進めたいと,私はそう思っています。
○ 椎橋座長 今の御意見との関係で,特例範囲の拡大の部分について,警察庁に御検討をお願いしていたと思いますけれども,御発言いただけますでしょうか。
○ 警察庁長官官房審議官 私どもは,原則・例外の考え方は従来どおりの考え方で,ただ,親族間犯罪に係る特例の拡大について,御指摘も頂戴しておったところでございますので,当庁としての考え方を整理してまいりましたので,説明させていただきたいと思います。
前回,親族間犯罪のうち,年少者被害について,全額支給又は減額割合が3分の1までとなる特例が認められないと不公平ではないかという御指摘をいただきました。
親族間犯罪における年少者被害事案についてでございますが,若干件数が少ないという前提ではございますが,特例の対象となるような事例を切りだして,類型化するという点で検討いたしました。検討結果でございますが,年少者被害事案の中でも,保護者による長年にわたる性的虐待など,特にお気の毒な事例について全額支給又は減額割合を3分の1までとする特例を認めることができるかどうかということで検討してまいりたいと考えております。
一方,高齢者虐待についても,前回御指摘がございましたが,こちらのほうは,件数が非常に少なく,特例の対象として切り出せるようなものが近年の裁定例の中には見受けられませんでした。
そういったことから,引き続き,運用状況や情勢等も踏まえつつ,勉強させていただきたいと考えております。
○ 椎橋座長 ありがとうございました。
ただいま警察庁のほうから原則・例外を変えないで,特例範囲を拡大して検討したい。年少者被害については,特例の対象を切り出して類型化していきたい。高齢者については件数が少ないので,引き続き勉強していきたいということでございました。
この点について,番構成員とは違う立場ですけれども,構成員の皆様方,いかがでしょうか。
川出構成員,どうぞ。
○ 川出構成員 「特例の拡大」の部分は,DV以外にも特例相当な親族間犯罪被害があるのではないかという形になっているのですが,それを考えるにあたっては,前回の会議でも出ていましたように,そもそもDVの場合を特別に扱っている根拠は一体何であるのかという点を考えてみる必要があると思います。もう少し言いますと,そもそも親族間犯罪被害の場合には原則不支給としている根拠は何であり,例外として3分の1が支給される根拠は何なのか,さらに,DVの場合は,さらに支給割合が増える根拠は何なのかということを,それぞれについて改めて考えてみた上で,他の親族間犯罪被害の場合も,DVと同様に扱えるのかを検討するという手順を踏んだほうが説得的な議論ができるのではないかと思います。
といいますのも,親族間犯罪被害であっても,例外的に3分の2の減額にとどまる場合というものは,この資料1にあるように,運用上,親族間の実態がない場合とか,親族間のしがらみなどが犯罪の要因となっていない事案があてはまるとされているわけですが,そのような状況がある場合であれば,もとに戻って全額支給にする制度も,考え方としてはありうると思います。そうした点まで含めて考えると,特例の拡大についても,ここに掲げられているのとは異なる視点からの拡大ということもあり得るようにと思いますので,そこも少し検討していただけないかなと思います。
○ 椎橋座長 そのあたりのところまでは警察庁のほうでは検討されていますでしょうか。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 失礼いたします。現在,親族が不支給になっているというのは,法の制定当初からでございますが,親族がお互いに助け合うべきことが民法上も規定されている中で,その間で起きた犯罪というものに,果たして支払うべきことが相当かということ。また,支払いによって,加害者側にお金が行ってしまうのではないかという懸念などから,こういった規定振りになっているということでございます。
その場合にも,なお,やはりある程度支払うことが相当なケースがあるのではないかということで,現在,国家公安委員会規則第10条で整理がなされているところでございます。
もともとはDVのみを切り出すような規定がございませんでして,特別な場合には一定程度支給するというだけの規定があったところでございますけれども,やはり,それは親族間という背景にした事情がありながらも,社会的に見ると,全く支払わないということは不当であるということから,そういった規定がつくられたと考えております。そこに平成18年等にDVについての規定の改正をしてきておりますけれども,これにつきまして,DV事案も基本的には規則第10条第1項に該当する場合は、3分の1支給までは戻るわけでございますけれども,そこに加えまして,更に公的機関に保護などを求めながら,それでもなお被害に遭ってしまった方というのは,特にお気の毒であって,法的保護の必要性が高いことから,これについては更に支給すべき場合があるだろうということで,3分の2支給まで戻る形の規定ぶりになっていると承知をしております。
さらに,現在は第3項が設けられまして,同様の事情の中でも,特に支払うべき場合には,全額まで支給することができるということとなっているところでございます。
この考え方をどのようにするのかというところがございますけれども,親族間の犯罪でも、その背景に全くしがらみがないということがあるのかどうかというところも,もちろん考えていかなくてはいけないと思います。個々の類型で見ますと,親族間犯罪で、その背景に全くしがらみがないというのは,なかなかないのではないかと思っております。それについて,親族間については,助け合う間柄でもあり,かつ様々な事情を飲み込む間柄でもあることから,減額あるいは不支給にしているというところを全く否定してしまうのではなければ,やはりこの特例については,こういった形になるのではないか。その上で3分の1支給ではまだお気の毒で,更に支給をしていく場合というものを切り出していくとすれば,現在,私どものほうに裁定事案で来ているもので考えますと,特に判断能力もまだまだ乏しいような小さい子供の被害のようなものというのは,恐らく社会的な理解も非常に得られるのではないかと思っておりますが,DVについて拡大していくときと同様の説明ができるというわけではない可能性もございますので,この点については更に検討をさせていただきたいと考えているところでございます。
○ 椎橋座長 川出構成員,どうぞ。
○ 川出構成員 そうしますと,親族間犯罪被害で,運用上,例外的に支給をする場合というのも,もともと親族間で不支給にしている根拠となる事情はやはり存在するのだという前提で考えておられるわけでしょうか。
例えば,犯罪被害にあった時点においては,親族間の実態がないような事案であっても,そういう状況のもとでの犯罪に至る過程で,何か親族間ならではの事情があったのだろう,そこは通り魔事件の場合とは違うのだという考え方をしておられるのでしょうか。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 事案にもよるわけでございますけれども,例えば別れ別れになって何十年もたっていまして,たまたま通りかかった人を通り魔として殺害をしたような場合で,気がつくとそれが実は配偶者であったというようなケースについては,支給するのではないかと理屈上は考えているところでございます。
○ 椎橋座長 川出構成員,どうぞ。
○ 川出構成員 分かりました。それからもう一点ですが,例えば,DVの事案で,公的機関に保護を求めたけれども被害に遭った場合にはお気の毒だから,特別に扱われているというご説明でした。感覚としては分かるのですけれども,そこでは,そもそも親族間犯罪被害については不支給が原則だけれども,一定の場合には例外的に支給するという場合に挙げられている事情とは異質な要素が入ってきているので,整合的な説明ができているのだろうかという疑問を持ちました。そもそも,DVの場合の支給割合の拡大は別の理屈なのだということなのかもしれませんが,他の事案への拡大を考える際には,その点についても考えていただく必要があるかと思います。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 DVについて,現在,切り出して特別に扱っておりますのは,公的機関に保護を求めてお気の毒であり,かつ法的な保護,つまり支給をする必要性というものがそうでない場合よりも一層高まるという理屈で更にその支給分を上乗せをするという考え方になっております。全然違う理屈でやっているとも思ってはいないのですけれども,この考え方でほかのものも全部説明ができるかどうかと申しますと,まだ検討が必要なのかなと考えております。
○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 済みません。ちょっと確認をさせていただきたいのですが。
○ 椎橋座長 どうぞ。
○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 そうすると,DVが切り出されたというのは,DVの規制法があって,公的保護,DVだと保護命令みたいな形の制度があって,類型化しやすかったということになるのでしょうか。子供については,先ほど件数が少ないので類型化が難しいとおっしゃったので,DVというものが一つ事例として多いので類型化しやすかった。プラス法的保護という段階的な段階が付けやすい,要保護性に関して既存の制度があったというところなのでしょうか。もう一度済みません。なぜDVだけが先に取り出されたのかというところを御説明いただければと思います。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 なぜDVだけなのかというところまでちょっと調べ切れないという実態でございますけれども,やはり件数の面もございますし,社会的関心が非常に高いというところも踏まえて,こういった形になってきたのではないかと個人的には考えているところでございます。
ただ,やはりやりやすいからやっているということではございませんので,今回,先生方から御指摘を受けたことも踏まえまして,同様に特例として拡大をしていくものについては検討してまいりたいと考えているところでございます。
○ 椎橋座長 ほかにはいかがでしょう。
番構成員,どうぞ。
○ 番構成員 警察庁のおっしゃることもよく分かります。犯給法ができた経緯が通り魔殺人ということで始まっていますから,ただ,それは1980年のことですよね。そのときほかにどうしようもないから見舞金という形で,そのときには見舞金の要素というものは本当に強かったわけなのです。それがどんどん改正になって広がってきたときに,「ア」を削除しましょうというのもそういう意味合いだと思いますけれども,ちょっと性格が変わってきた。親族が助け合うからとおっしゃるのだけれども,確かに民法上は扶助義務だとか,保持義務だとかございますけれども,これは通常の場合であって,刑事事件が発生して犯給法の申請まで考えなければいけないような重大被害が発生しているというときには,通常の形ではないと私は思うのです。
それをいつまでも親族間だということによって,DVでこういう場合は特例でとかということは逆に迂遠だと思うし,一番被害のひどい人は,公的機関に相談も行けないような場合も実際にあるわけです。高齢者虐待などはそれで表に出てこないのかなと思うのですけれども,ちょっと発想を変えていただいたほうがやりやすいのではないか。運用,運用で広げていったときに,なかなか類型化できないとなると,やはりそこは問題なのではないかと思います。
やはり,相当時間がたって変わってきたのではないのかという感想を持ちます。
○ 椎橋座長 ほかにいかがでしょうか。
どうぞ,岩村構成員。
○ 岩村構成員 今の議論を聞いていて,ちょっと簡単なコメントですけれども,その前提として、基本的にこの親族間犯罪の場合について,不支給の例外に該当するかどうかということについては職権で調べるという理解でよろしいのでしょうか。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 はい。
○ 岩村構成員 そうしますと,多分,例外をどう認めるか,原則とするか,例外とするかというのは,余り重要ではなくて,つまり最終的に自分は支給事由に当たるのだということを請求者の側で立証しなければいけないということになると,原則か例外かというのは,非常に大きいのですが,職権で調べるということになると,多分,原則か例外かというのは,それほど大きな問題ではないだろう。そうすると,基本的に要するにどう考えるか,親族については,不支給というものがあくまでも基本であるということで考えるのか,それともむしろ親族であっても積極的に給付するという方向にかじを切るのかという,そこのいわば理念の問題なのかなという気がします。
そうすると,従来のいわば犯給法を支えてきた理念というものを,今,根本的にひっくり返して逆転させるというだけの,社会的事実なり立法事実というものがあるかというところがポイントで,そこがどうなのかということについて、警察庁の見解はそこまでは行っていないという御見解だと思いますし,一部の構成員の方がおっしゃったのは,いやその立法事実そのものが変わったのではないのかという御議論だと思います。
ですから,もしそこのところを何かの一定の方向につけようとすると,もうちょっと議論なりデータを集めないならないように思います。例えばこういう事由について例えば親族間で支給したときに,例えば一般の人からこういうリアクションがあるのかとか,ないのかどうかとか,そういったものも含めて議論をしないと方向性が出ないかなという気がしてました。
○ 椎橋座長 どうぞ。川出構成員。
○ 川出構成員 今のことに関連するのですが,先ほどの警察庁からのご説明の中で,親族間犯罪被害が原則不支給である理由として,親族というのは本来助け合うべきものだからという点が挙げられていました。そこでいわれている「助け合うべきものだから」ということが,原則不支給という結論にどうつながるのかですが,資料1の「原則・例外の逆転」の最後のところで「親族間の相互扶養義務など,親族間の犯罪被害に対して支給が相当ではないとされた価値観自体は,現状も維持されていると考えられる」ということが書いてあります。この記載の部分は,相互扶養義務などがあるので,給付金が還流して,加害者に有利になるというような意味合いでなされた発言からとられたものだと思うのですが,先ほどのご説明は,それとは違って,犯給制度というのは,もともと,本来助け合うべき家族の中で起こったことについて,社会が救済の手を差し伸べるというような性格のものではないのだというような意味合いであると理解してよろしいでしょうか。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 さようでございます。単に扶助義務だと,先生おっしゃられましたとおりに,被害者に行くものと思って渡したお金がそのまま加害者側に行ってしまうということが、扶養の義務,お金のやりとり義務というところから出てくることでございますけれども,互いに助け合うべきというところを申し上げておりますのは,やはり犯給制度のもともとの考え方といたしまして,社会の相互の助け合いということで特にお気の毒なものに支給する制度だということでございます。そうすると,当然,親族間でもお気の毒なものはあるのですけれども,本来,親族間の間というのは,殺し合うべきではないという規範性まで入れてしまっていいものかどうかという気もいたしますけれども,そういう中で起きたものというのは,原則は不支給だと。ただ,もちろんお気の毒なものについては対応をさせていただくという考え方で成り立っているものだと考えております。
○ 椎橋座長 川出構成員,どうぞ。
○ 川出構成員 分かりました。そうしますと,そのような価値観に基づく制度の枠組みを今後も維持すべきか否かということが問題になるわけですが,犯給制度が,最初にお気の毒な被害者の見舞金というような形で出発したときは,その価値観にうまくはまるかなという感じがするのですが,次第に給付額が上がって,被害者の方の生活保障的な機能も営むような形に犯給制度というものが変わってくると,先ほどご指摘があったように立法事実であるとか制度趣旨が変わってきている部分もあるのではないかなという気がいたします。
○ 椎橋座長 黒澤構成員,どうぞ。
○ 黒澤構成員 理論的に考えた場合に,扶養の義務だとか,民法の問題というのは大変大きい,また加害者を利してしまう結果になってしまうことも重要なのですけれども,やはりこの制度の趣旨というものは,社会連帯の共助というような観点から,さらに正義といいますか,要は国家に対する不信感といいますか,国家を頼ろうとしたのに,そういう結果には相ならなかった。趣旨から考えると,民法だけではなくて,今,話題になっているDVも,DV法ができて,保護の対象ということで,法律上明確にされてその人が被害に遭ってしまった。それは社会秩序,法秩序に対する不信の表れということも言えるわけでして,社会連帯の共助という観点から考えたときに,民法の世界だけではなくて,社会連帯の共助,一般財源,そういったことからもこの問題については考えるべきなのではないかなという気がいたします。
○ 椎橋座長 大分,この問題については,御意見が分かれております。
どうぞ,中曽根構成員。
○ 中曽根構成員 済みません。そもそも犯罪被害給付制度は,どなたももらえるというわけではなくて,最後のとりでというか,ほかの加害者からの損害賠償とか,そういうものがないときに払うというものですね。
ですから,親族間でも払える加害者という,ちょっと表現は変なのですけれども,そういうケースもたくさんありますでしょうし,全部の親族間の人たちがこれをもらうというわけではないということと,それから,例えば犯罪被害給付制度の中には,被害者の方にも少し,要因があった場合は,また減額とかという決まりがあるわけですので,そう考えていくと,親族間の方だとか何とかということよりは,犯罪に遭われた被害者と加害者という形で考えていくということはできないものなのかなと思います。
○ 椎橋座長 ほかにございますか。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 先生,よろしいでしょうか。
○ 椎橋座長 支援室長,どうぞ。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 るる御指摘いただいているとおりではございますけれども,先ほど規範性みたいなお話も少しさせていただきましたけれども,もちろん親族間で大変お気の毒な事例があるというのは,重々承知をしておるつもりでございまして,それに応じた運用もしてきているつもりでございますし,また,規則改正なども考えてまいりたいと思ってはおりますが,果たして,親族間の殺し合いであったとしても,国としては補償するのですよということを高らかに原則の変更ということで申し上げるべきなのかどうなのか。ここが御議論になるところなのではないのかなと思っております。
先ほど,社会の連帯共助というお話がございましたけれども,それはつまり,社会がそういう方にお金を払ってしかるべきだと考えるかどうかということになろうかと思っております。
そして,もちろんそういうケースもあるわけでございますが,通常,一般の方は親族間の事件でもいろいろなケースが当然ございますので,本当にしがらみがこじれて起きているようなケースや,親族間での金銭関係がこじれているようなケースなども非常にたくさんある中で,果たしてどちらを原則とするのか。
先ほど,岩村構成員からお話がございましたように,結局は考え方としてはありますけれども,つまりはどの部分をどのぐらい払うべきかということとしては,何かしら適切なものを切り出してやれるようにしてまいりたいと思っておりますが,ここで親族間についても,普通の他人同士の事件あるいは殺し合いみたいなものとほぼ同じだと社会的に言ってしまっていいものかどうか,これを御議論いただくところなのかなと思っております。先生方の御意見に刃向かうようで非常に恐縮でございますが,そのように考えているところでございます。
○ 椎橋座長 今の警察庁の御意見に対して,御意見はございますか。
○ 松村構成員 親族間の犯罪というのは,殺人事件の場合,大体半分が親族間が現状だと思います。それの場合に半分は原則不支給だというのはやはりおかしい。実際に犯給はいろいろありますけれども,原則,そういう支給制限を一応外して,社会通念上,社会的に見てお金を払ったらやはりおかしいよという場合は例外だというように改めたほうが分かりやすいと思うのですけれども,そういうことを検討いただけませんでしょうか。
○ 椎橋座長 施策推進室長,どうぞ。
○ 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 先ほど,岩村構成員からお話があった部分と私も重なるのですけれども,議論の前提としてちょっと確認の意味も込めて申し上げておきたいのは,今回,見舞金か否かの議論は,削除意見があったわけですが,これにつきましては,基本的には犯給制度は先ほど犯罪被害者支援室長が触れている観点から支給をするという制度なので,もともと制度上,見舞金という整理ではなかったということは既に警察庁から説明されているところでありますし,社会一般の連帯共助というところにかなり重きを置かれた制度として,作られている中で,支給水準の拡大とか,それぞれ個別の事情の中で制度は変わってきているわけですが,理念的には制定当初から変わっていない制度でございますので,仮に理念を変えていなければ,変更できないような部分のお話となれば,やはり理念自体を変えたものにするべきなのかどうかという議論になるのだろうと思います。
これはここに限らず,松村構成員からの御提案の部分はまさにそういう議論であったと思いますので,そういう意味で,そこのあたりの議論をした上で,また別に構成するという議論を再度するのであればとは思いつつ,一方で,ここは,今。こうなのだから,ならないのだろうかと,警察庁に投げても,理念的なところについて,今,変えられるだけの材料が少なくとも警察庁としては,これまでの議論から出ているとは多分認識していないと思いますので,その中で,それを前提にしたことを考えるというものはなかなか難しいのではないか。今,これまでの理念の前提の中でも,御指摘いただいたいろいろな事実の中で工夫ができそうなところはここまでですよというのが,多分,今日,出ていることという状況の中で,警察庁にそれ以上言っても,今の段階で警察庁からそこを深掘りするというのは,難しいというのが,これまでの議論から考えてきた警察庁の立場だと思いますので,御意見を頂いて,警察庁が最終的にどう判断するかというところはあるのだとは思いますけれども,お時間の関係もありますので,どうかなと感じた次第でございます。
○ 椎橋座長 番構成員,どうぞ。
○ 番構成員 今のお話,非常に不本意です。2年間も議論をしてきて,最初のときにそういう理念が変わらない以上,広がらないのであれば,新しい補償法を考えたいという意見が一方であったわけですね。警察庁のほうがいかにおっしゃられても金額がこれだけ大きくなって,当初のときより性格が変わっているのは事実です。
私たちは,当初,見舞金だと思っていました。これはかわいそうな被害者に御見舞金として国が出すものだと。今,いろいろなことをそれに付け加えられても,当初はみんなそう思っていましたから。
ところが,犯給法をもっと,給付金をもっと有効に,あるいは被害者のためになるようにどんどん広げようという努力でここまで来たのだと思います。
それから,職権と職権審査ということだと,原則・例外は関係ないではないかというお話もありましたが,これは全く違うと思います。
原則と例外が逆転するということは,運用においても全く変わると思う。私が提案した事例,無理心中で表向きDVとかの問題がなくて,1人残った娘さん。これはどうやったって今の犯給法では給付金は出ません。彼女は大学も恐らく続けていけなくて,1人でアルバイトをしながら暮らしているようです。
ですから,それをおっしゃられると,もうこれ以上お話できません。今まで何を話してきたのかなと私は思います。
もうこれ以上できないのですと言ったら,警察庁のほうに運用をよろしくお願いしますと。私たちそれしか言えないではないですか。全くそれでは進まないではないですか。
非常に失望しました。
○ 椎橋座長 今の御議論につきましては,親族間の犯罪について,親族間の犯罪の被害者が親族関係にあるときは,原則不支給である。これに対して,いろいろな例外という形でDVなどについては,類型的に一部支給するというような形で処理されてきているわけですけれども,そもそも原則と例外を逆転するべきではないかという議論がありまして,この議論はかなり強く,数多くの方々から出されております。
したがいまして,もう一方では,原則と例外はそのまま維持するとして,特例の範囲を拡大するという議論もあったわけですけれども,原則と例外を逆転させるかどうかというのは,その前提の問題になりますので,特例範囲を拡大するということだけを先行させるということになると,今までの議論の経緯からいくと,どうも私もフェアには思えませんので,それをそのままにして,特例範囲の拡大だけを進めるというのも難しい状況かなと思います。
とはいえ,原則・例外の逆転についてはそれは難しいというご意見も多くありましたところ,時間的な制約ということを考えますと,原則・例外の逆転の問題については今,ここで結論を出すことはできません。
他方で,もし仮に原則・例外の逆転というものはしないままで進めるというような結論になった場合に,しかし,その場合には,特例の範囲というのは拡大するべきだ。この点については議論に御異論はないものと思いますので,その中で児童虐待については,ある程度類型化して考えてみることができる。警察庁のほうでもさらに具体的に検討していただけるというようなことがありますので,私の今の考え方としては,原則・例外の逆転をするかどうかについては,引き続き議論する。両方の見解があるわけですから,立法事実があるかないかということについての評価も分かれているわけですから,仮に,そういう変化を求める立法事実はないのだということで,もしまとまった場合に備えて警察庁のほうでは特例範囲の拡大については,それはそれで詰めておいていただくというような形に,この点についてはするしかないなと現時点では思いますけれども,いかがでしょうか。
今,ここでどちらかに結論を出すというのは難しいという私の判断ですが,いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○ 椎橋座長 それでは,次の論点に移りたいと思います。
次の論点でございますけれども,過去の被害者についてです。
本検討会では,松村構成員から提出していただきましたあすの会の要綱案に沿って,年金制度の創設が先行しての議論を進めておりましたので,過去の被害者にも犯給制度を拡充するかどうかということについては,議論しておりません。
確か,過去にあった遡及効の議論を確認したのに,とどまっているのではないかと思います。
特に,遡及効についての提言にも結び付いておりませんので,取りまとめ文章上も,犯給外の制度の年金制度の議論に帰結するということとしてよろしいかどうかということでございます。
この点については,いかがでしょうか。
松村構成員の御提案もあったわけでございますけれども,全体の大きな流れとしては,犯給制度として遡及適用は難しいのだというような流れになっていたと思いますけれども,そういう形での確認をしたという形でまとめる方向でこの点についてはよろしいでしょうか。
松村構成員,どうぞ。
○ 松村構成員 これは,現在の犯給制度をそのまま適用するということは難しいということでございますか。
○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 少なくとも,議論上,いただいた要綱案は犯給を遡及しろというご提案ではございませんでしたので,その点についての議論はそもそもなかったと思います。
そういう意味では,過去の被害者にこの犯給制度を適用するかどうかという御議論自体はなかったということで,取りまとめる論点としては触れる必要がないのではないかと思っております。
もしそれでも一応言及するとしたら,過去の検討会などの議論を踏まえて,法律上,遡及適用というのは難しいのだという確認はありましたので,その確認は行ったという議論の経緯をそのまま記載するということになるのかと思うのですが,端的に犯給制度の中での過去の被害者という部分についての御議論をあえて取りまとめの中で触れるほどの議論はなかったのではないかと私としては考えております。
○ 松村構成員 ということは,新たな補償制度のもとで一応触れると理解しておいてよろしいわけですか。
○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 御議論があったのは,そこの点であろうと理解しております。
○ 椎橋座長 そのあたりは書いておいたほうがいいというお考えですか。
○ 松村構成員 確かに現在の犯給法でそれを適用することは難しいということは確認しました。しかし,新たな補償制度でもって考えるということを検討するということならば,結構だと思います。
○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 御議論の流れとして,そういう形で出てきたという形で記載するのが相当かと思います。
○ 椎橋座長 それでよろしいでしょうか。
○ 松村構成員 はい。
○ 椎橋座長 ありがとうございました。
次に進みます。
次は,海外での犯罪被害者の問題です。資料1におきましては,事務局から御説明がありましたように,一部項目の記載を犯給制度外の議論として記載するような修正が提案されております。確かに犯給制度は,現状では海外での被害者に適用されておりませんので,仮に適用するとした場合の問題点として議論しました事実調査の困難性,公平性の観点からの問題点,こういった御議論については,ここでは両論併記的な形の論点になっておりますけれども,ほかに何か付け加えることがありましたらお願いしたいと思いますが,いかがでしょうか。
それでは,御意見がないようですので,そのほかの海外部分につきましては,何か海外部分で作るとしたらという前提の議論として,後送りにして確認するということでよろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○ 椎橋座長 ありがとうございました。
続きまして,犯給制度としての支給水準の問題点でございます。
本検討会では,要綱案として,一時金や年金を総額支給として捉えた場合の支給水準の話としての御議論がありましたけれども,現行の犯給制度についての遺族給付・障害給付自体のお話は,特にはなかったと認識しております。
それはそのような理解でよろしいでしょうか。この点はよろしいですか。
(「はい」と声あり)
○ 椎橋座長 それでは,先に進ませていただきたいと思います。
次は,重傷病給付の観点で2点ございます。
第1点は,120万円を上げられないかという点。これは川出構成員からの御発言を受けてのやり取りであったと思いますけれども,資料を御覧になっていただきますと,削除意見もございました。
この点について,警察庁の方に120万円から更に拡大するということについての御意見,特に本検討会としてのまとめの観点ではどのようにお考えになるのか,お話をお聞かせいただきたいと思いますが,いかがでしょうか。
○ 警察庁長官官房審議官 重傷病給付金の額につきましては,前回,経済的支援に関する検討会の最終取りまとめにおいて,自動車損害賠償保障法の傷害事故に係る支払額の上限を参考として,医療費と合わせて新たに休業損害を考慮した一定の支給を行うことを検討すべきであるとされていることを踏まえまして,自動車損害賠償保障法において傷害事故に係る支払限度額が120万円とされていることとの均衡を考慮し,平成20年に休業損害を考慮した額を加算するとともに,上限を120万円とする改正を行ったところでございます。
現時点でこうした平成20年当時の考え方を変更すべき事情はないものと認識しておりますことから,今後,運用状況を見て,検討させていただきたいと考えております。
○ 椎橋座長 今,警察庁の方からのお話がございましたけれども,ほかに御意見ございませんでしょうか。
それでは,今の点につきましてはこのぐらいにさせていただきまして,次に移ります。
次は,1年間医療費がかかる場合の負担軽減についての問題に入りたいと思います。この点につきましては,前回,松村構成員からも,過去の被害者でいまだに経済的困窮状況に置かれている方が20人いらっしゃるということで,その例を挙げていただきましたけれども,その中で医療費について言及されておりました。
それから,資料2にもありましたように,過去の検討会でも1年間以上医療費が掛かる場合の問題については取り上げておられ,これは犯給制度を拡大したばかりということで,運用を見てみないといけないという結論で終わっていたということでございます。
ですので,まずこの点について,警察庁から御意見を頂戴してもよろしいでしょうか。
○ 警察庁長官官房審議官 重傷病給付金は,負傷又は疾病にかかった日から1年間における保険診療における医療費の自己負担相当額と休業損害を考慮した額を合算した額を上限120万円まで犯罪被害者御本人に支給するものであります。
この重傷病給付金の1年間という給付対象期間でございますが,御承知のとおり,平成18年にそれまでの3か月という給付対象期間を1年間に延長する政令改正を行ったものでございます。当時の議論では,調査の結果,給付対象期間を1年に延長することにより,重傷病給付金の支給対象者のうち,多数の被害者について,治癒又は症状が固定するまでの期間に掛かった医療費を給付できると整理し,政令改正に当たって,法制面や財政面での御理解を得るに至ったという経緯がございます。
また前回,今ほど座長から言及がございました平成19年の経済的支援に関する検討会の最終取りまとめでは,1年を超える医療費の自己負担分については,犯罪被害給付金制度の重傷病給付金の支給対象期間が3か月から1年に拡大されたばかりであることから,当面,その運用を見るべきであり、ただし,運用状況から1年を更に拡大する必要がある立法事実が出てくれば,更なる期間の拡充を検討する必要がある旨が指摘されているところでございます。
この点につきまして,現在の運用状況を見ますと,多くの方が1年以内で治療を終えておりまして,平成18年と比較して,治療期間を更に拡大する立法事実が出てくるには至っていないものと認識しております。
重傷病給付金の給付対象期間の延長につきましては,今後,運用状況を見て,検討させていただきたいと考えております。
○ 椎橋座長 ありがとうございました。
今,警察庁から御説明がございましたけれども,いかがでしょうか。御質問,御意見がございましたらお願いいたします。
前回の改正で,3か月から1年にした。その後の運用を見てみると,1年の間に回復したり,あるいは症状が固定した方が多いということで,その後について,更にそれを変えるような立法事実はないと認識しているというお話でございました。
松村構成員,どうぞ。
○ 松村構成員 これは1年間ということで,確かに大体治癒なり健康状態になることは間違いないのですけれども,たまたまその中には例外として,うちの会員の中にも15年間治っていない方が結構おりますので,そういう場合に,平成18年に改定される前に事件に遭ってしまって,結局,その間は全部自己負担でやってきたという被害者もいるわけです。そういうこともできれば補償してもらえればありがたいということも聞いています。
それはそれとして,現在の1年間で切らないで,治るまで。確かに今は,健康保険制度なりいろいろありますから助かるし,労災保険もあるし,ほかの保険の給付とうまくやればいけるのかもしれませんけれども,たまたまそれに当てはまらない被害者がいる場合には,例外として考えるということもぜひ検討していただきたいと思います。
○ 椎橋座長 ただいまの御意見についてはいかがですか。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 今ほど審議官から御説明申し上げましたように,当然,大多数の方が治るとしても,松村構成員がおっしゃるとおり治らない方がいらっしゃるというのは事実でございます。
ただ,やはり制度でございまして,犯罪被害給付制度は,これまでのところ,少なくとも完全に御負担しているところを補填するという組み立てにもなっていないということもございまして,どこかの区切りをということで,大多数の方が入ってくる1年ということで,平成18年に改正をしたという経緯がございます。
同じ話の繰り返しにはなってしまうのでございますが,平成18年当時と現在と比べて,それほど治療にかかる期間などの変更がないので,この制度として変えるというのは,今のところなかなか難しいと思っているところでございます。
○ 椎橋座長 結局のところは,何をもって立法事実とするかということだと思うのですけれども,改正後の運用を見てみると,今の運用によって立法事実が変わったと言えるほどの状況ではない。
松村構成員も,あくまでも例外の場合をどう救済するかということですね。
ですから,そういう意味では,1年を更に拡大するという法改正をするというところまではお考えになってはいないということですね。
施策推進室長,どうぞ。
○ 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 若干素朴な疑問なのですけれども,どこかで線引きをするというのは,何か線引きをしないといろいろな負担が大き過ぎるからということから出てきそうな感じがするのです。そうすると大多数は収まっているのでという場合に,期間を余りに無限定にできないことは分かりますけれども,逆に少しこぼれた方を少しの期間面倒を見ることについてどういう問題があるのかというのがちょっと分かりにくいのです。
言いかえれば,長期にわたってお苦しみの方がいた場合に,そこはどうしてできないのかというのは,逆にたくさんの方が漏れてしまいますけれども,さすがに財政負担も考えて,どこかで切らざるを得ませんという理屈なら理解するのですが,どうしてそうなっているのか。もう既に政令としてできてきている話で,理屈はついているのだろうと思いつつ,ちょっとそんなふうには思うのです。
要は,残られている方を例外としては事務的に切らざるを得ないのですという理由が何かあるという理解になるのでしょうか。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 事務的に切らざるを得ないというか,もともとこの医療費の負担について,重傷病給付金がどういう考え方で出ているかというところもございますし,どの程度の方が期間内におおむね治療を終えられるのかというところも踏まえて,平成18年の改正なり,あるいはもともと平成13年に重傷病給付金制度が設けられたときというのは,制度の組み立てがなされているところでございます。
こうでなくてはならないのかと言われると,それは様々な考えようはあるのかもしれないのですけれども,しかし,当初3か月であったものを1年に延ばし,その際の考え方といたしましては,大多数の方がその範囲内に入るということで区分けを設けたと承知をしているところでございます。
○ 椎橋座長 よろしいですか。
○ 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 はい。
○ 椎橋座長 岩村構成員,どうぞ。
○ 岩村構成員 1点だけ。
警察庁の御説明は,立法事実との関係では了解するのですけれども,できればデータを出していただきたいと思います。前回の改正以来,どういう推移が実績としてあるのかということぐらいは見せていただいて,それで確認するということは,データは容易に出るだろうと思いますし,そこの手順は必要かと思いますので,それはよろしくお願いします。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 これはどういうやり方で調べておるかと申しますと,犯給金をお受けになった方が,その後,おおむね病院の治療を終えられるまでどれぐらいかかったのかということを追跡調査してお伺いすることになりますので,それほど簡単に出ませんで,お一人お一人聞いていかなくてはいけないということがございます。
ただ,やはり平成18年の改正の際には,そういう調査をいたしまして,大体7割ぐらいの方は1年以内で治療を終えられるということになっております。
今回,平成22年度中に重傷病給付金を受けた方について追跡調査をいたしたのでございますが,これも大体おおむね7割の方は1年以内ということでございまして,若干7割前後のところはあるのですが,そうしたことで大きな違いにはなっていないものと認識をしております。
○ 岩村構成員 ありがとうございます。
手持ちのデータでもちろん結構なのですが,ただ,今ちょっと気になったのは,先ほどおっしゃったことと関係するのですけれども,3割の人が外れているというのはそもそもどうなのかという問題はあるような気がするのです。ですから,やはりデータを見せていただいて,それで確認したほうがいいかと思います。
○ 椎橋座長 瀬川構成員,どうぞ。
○ 瀬川構成員 私も同様の意見です。
大多数と言われたわけですが,大多数というのは,9割前後ぐらいに感じていたのですけれども,今までも7割で,今回も7割であったとすれば,もう少し考える余地があるのではないかという気はいたします。
○ 松村構成員 ついでに済みません。
残りの3割の人は今どうなっているのですか。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 そうは申しましても,1年何か月か程度で治療を終えられる方が多いかと思いますけれども,そういう方は,その部分については自己負担で治療を受けていらっしゃるということになると思います。
○ 椎橋座長 岩村構成員がおっしゃったように,データがあると容易に判断しやすいと思いますので,次回にはそれを提供していただけますでしょうか。お願いしたいと思います。
それでは,この問題については,例えば1年2か月ぐらいで8割,9割になるとかというと,そこら辺の立法事実の判断にあるいは関わってくるかもしれませんけれども,まずデータをお願いできればと思います。
瀬川構成員,どうぞ。
○ 瀬川構成員 残りの3割の方がどれぐらい関わっているかというのは,調査できますか。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 それもあわせまして,検討してまいります。
○ 瀬川構成員 お願いします。
○ 椎橋座長 それでは,できる範囲でデータを提供していただくことを警察庁にはお願いしたいと思います。
続きまして,裁定に係る議論に入らせていただきたいと思います。
制度の教示の問題につきましては,問題意識として,申請期間を徒過しないように丁寧な教示に努めるという確認があった。そういう趣旨の簡単な言及でよろしいでしょうかということですが,この点については,この程度の言及でよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○ 椎橋座長 ありがとうございます。
次は,迅速な裁定・給付についてでございます。
これにつきましては,仮給付の有効活用の議論と犯給金の裁定とは直接関連しないのだけれどもということで,地方自治体の見舞金の制度のことについてお話があったかと思います。資料上の修正意見もありますが,特に書き加えるべき事項,その他御意見がありましたらお伺いしたいと思います。
番構成員,どうぞ。
○ 番構成員 地方自治体に関しては,条例に基づいて見舞金制度を設けるところが増えてまいりました。25年度の犯罪被害者白書にも随分資料が載っていて,私も見せていただいて,弁護士会としても各地に条例を作ってほしいということを働きかけようと思いますが,書きぶりは気を付けないと。仮給付はこのシステムではできませんといって,では地方公共団体に見舞金を出すように働きかけましょうということではないと思います。条例制定という形で基本法などを制定しているところ,その中に盛り込んでいるところ,早く制定,条例ができているところは,お見舞金の記載のみがあるところとか,本当にまちまちで,これを当てにするというのはちょっと違うのではないかと感じています。地方自治体も被害者支援に熱くなってほしいというのは,そう思いますし,そういう広がりというのはとても期待はしていますが,ここの書きぶりは気を付けて書いていただきたいと思います。
○ 椎橋座長 ありがとうございました。
瀬川構成員,どうぞ。
○ 瀬川構成員 私,実情がよく分からないところもありますけれども,実際,犯給法が被害者の方にとって有効なというか,いわゆる満足のいく制度にならない一つのネックになっているのは,地方自治体でのケースワーカーとかソーシャルワーカー,そういう人たちの端的に言うと力不足というか,非常に複雑な面がありますので,いわゆる適切な時期に相談に乗って,適切な判断をして,適切なアドバイスをするという仕組みが本当はなされているのかと非常に疑問があると常々思っています。
この程度の書きぶりでは,これまでどおりということになるのではないでしょうか。実際,犯給法というものは知っていても,適切なアドバイスができない難しい現行制度ですので,何か各都道府県の自治体にそういう細かい相談に乗れる犯給法の係の人のようなものができないか感想として持っているということです。
○ 椎橋座長 警察庁の方,お願いします。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 今,先生がおっしゃられたのは,犯給金をどういうふうに申請したらいいかとか,どういう場合に受けられるのかというところの警察側からの説明が足りないという御指摘ですか。
○ 瀬川構成員 それと同時に,ほかの社会保障制度とかの関連もあるので,その判断というのは警察だけではできないところがあるので,それの助言者というか,チームというか,そういうものが自治体の窓口にできないのかと思っております。
○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 おっしゃるとおりだと思います。
その意味もありまして,少なくとも市町村レベルでないと,やはり県レベルで今ようやく窓口とかというのは進んでいるのですけれども,実際に諸制度の申請は市町村レベルになりますので,市町村のところで犯罪被害者にどうやって市役所内のサービス提供ができるかということについての窓口を設置していだたくよう要請しているところでございます。
これはまた白書の中で数値を出させていただいておりますが,これがまだ100%にいっていないというところと,窓口を名乗っているのだけれども,実質は,例えば都民センターみたいなところに丸投げしているというところもございまして,いかにそういった窓口の人たちが,自分のところが持っている制度を理解して,被害者にテーラーメードで提供できていくかというところで,自治体と一緒に考えていきたいとは思っております。
○ 椎橋座長 中曽根構成員,どうぞ。
○ 中曽根構成員 公安委員会指定の民間の援助団体ですと,犯罪被害者等給付金申請補助員というのがいて,申請に対する補助的な発言というか,被害者の方にお話しをするということはあるのです。
ただ,確かに地方公共団体の行政の中では,それを説明するというところまでは,多分まだなかなかいかないのではないかと思います。
○ 椎橋座長 ありがとうございました。
ほかに何か書き加えるべき事項はございますでしょうか。
確かに番構成員がおっしゃるように,書きぶりというのは注意しないと,国ではこれ以上余り積極的にやりませんよ,ですから地方自治体でお願いしますととられるような書きぶりでは困るので,こちらでもできる限りのことは最大限やる,地方自治体もお願いしますという形の書きぶりにはしないといけないと思いますね。
ほかにございますか。
事務局,どうぞ。
○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 御指摘のとおりだと思います。
また,瀬川構成員から御指摘があった点もございますので,地方自治体に期待するところという部分については,犯給制度うんたらかんたらというのとは別のところで,取りまとめの一番最後のようなところで,事実上,被害者に役立つ制度の運用上の話としてまとめて書くような形にしたいと思います。
○ 椎橋座長 今まで資料1の「1 犯給制度に関する議論」のところを,1つの項目ごとに御意見をお伺いしてまいりましたけれども,全体を通じて,何か言い残したこととか,御発言,御質問がありましたら伺いたいと思いますが,いかがでしょうか。
施策推進室長,どうぞ。
○ 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 確認の意味でございます。
先ほど,議論がまだある前提の部分もあるわけですが,犯給制度ですので,警察庁としてこれまでの議論を踏まえて,一定の検討を引き続きしていこうと考えている部分としては,一つは,親族間犯罪被害者の関係の不支給の場合の特例の拡大についてという部分と,あとは,ここは検討というよりは,データをまず示してほしいということでの重傷病給付の1年間の期限の関係。具体的な検討を何かしていこうという形で,この検討会として方向性がそれ以前の問題が解消した場合に限るのだろうと思うのですけれども,そういう理解でよろしいでしょうか。
○ 椎橋座長 警察庁の方,どうぞお願いします。
○ 警察庁長官官房審議官 今ほどおまとめいただいたとおり,私どもが具体的に検討したいと申し上げているのは,DV以外の児童虐待とか,年少者虐待の関係については,特例の拡大という形で整理できるのではないかということで検討を進めたいと考えているということでございます。
要請のあった必要な資料については整理したいと考えております。
○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 次回,とりあえず犯給制度に関する議論の部分については,少なくともある程度文章化した上で,こんな感じの取りまとめになりますかという形でお示ししたいと思っております。
そういう意味で,ペンディングの親族間犯罪の部分と,重傷病給付のところというのは,書き方が難しいところではあるのですが,少なくとも警察庁の方で特例拡大を取りまとめ上,どういう形で表現できるか,できないかという部分については,警察庁と相談させていただいて,次回,提示させていただくということで御了承いただきたいと思います。
本日頂きました,そもそも例外の拡大ではなくて,原則をひっくり返すのだという点でいろいろ御指摘いただいた点についても盛り込んだ部分を記載したいと思っております。その上で,次回,本検討会としては,どういう形で最終的な結論という形でまとめさせていただくかということについて,御意見を賜れればと思っております。
○ 椎橋座長 岩村構成員,どうぞ。
○ 岩村構成員 ちょっと発言するかを迷っていたのですが,警察庁のほうで親族間犯罪の要因についての何かデータなり,それを分析したものというのはあるのでしょうか。
立法事実との関係で言うと,実はそこがポイントなのですが,それがないままで議論すると,今日の議論もそうなのですが,結局空中戦なのですね。そう思って,迷っていたのですが,お尋ねした次第です。
○ 椎橋座長 瀬川構成員,どうぞ。
○ 瀬川構成員 先ほど警察庁の御説明で「しがらみ」という言葉を使われて,何度か言われたのですが,想像できないわけではないのですけれども,具体的な事実は恐らく警察が持っておられるはずなので,どんな実態なのかということを,ぜひ教えてもらいたい。それが理解を広めるような気がしますので,お願いしたいと思います。
○ 椎橋座長 警察庁の方,どうぞ。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 私が申し上げているのは,しがらみとなるような例というものは,恐らく御説明できるだろうと思っております。こういったものは,やはり支払うべきではない,社会としてはそのように認めていない例というのは御説明できるかと思っております。
もう一点ございまして,親族間犯罪全体の要因の区分けでございますけれども,統計担当のところなどに確認をしてみたいとは思います。あるいは実感などで御説明できるところがあるかどうか,調べさせていただければと存じます。
○ 椎橋座長 番構成員,どうぞ。
○ 番構成員 DVの警察への相談件数というものについては,確実にありますね。
それから,DV事件だと,親族間犯罪だと思われる事件の統計は分かりますか。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 親族間犯罪というものの統計は分かっております。
DVの御相談件数ですとか,DV法違反ということで検挙した件数とか,そういったものも分かるはずでございますけれども,それが果たして殺人事件とか暴行事件とかということになっているかどうかというところまでつなげられるかどうか,確認をしてまいりたいと思います。
○ 椎橋座長 番構成員,どうぞ。
○ 番構成員 恐らくそれは,1件ごとがよく分かっていなければ,なかなかつながらないと思います。でも,相談件数が高くなっているとか,たしか警察への相談は高くなっているのですね。そういうことがあれば,相当社会的な問題意識とかが変わってきているとか,夫婦の実態がこういう形で警察に持ち込まれるようになったとか。そういう統計だけでも見せていただければいいかと思っています。
○ 椎橋座長 親族間の犯罪について不支給とか減額して支給した事例というのは,かなりあると思うのですけれども,その後の事例分析のような,そんなものがあるといいのですが,恐らくそういうものはまだないのかと思います。
ですから,警察庁のほうで番構成員が指摘された資料の提供が,少ない時間の中でできるかどうかは分かりませんが,そのような件数とか統計とか,そういうものが分かると今後の議論の参考になると思いますが,どの程度まで御用意できますか。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 調べてみないと分からないところもございますが,様々な相談件数とかで承知しているものもいろいろございますので,その点も含めましてと思っております。
なお,犯給制度の運用状況では,それほど不支給裁定が多いわけではございません。これはもともと申請もされない場合が結構多いからだろうと思っておりまして,犯給の裁定事案だけを検討いたしましても,なかなか全体像というわけにはいかないかと思っておりますので,どういうお示しの仕方ができるものか考えてみたいと思います。
○ 椎橋座長 それでは,その件については,よろしくお願いいたします。
ほかにございますか。
それでは,次に,新たな補償制度に関連する議論でございます。いろいろ後でまた考えないといけない問題がありますので,進められるところまで進めたいと思います。あと10分ぐらいお時間を頂ければありがたいと思います。
順番として,最初に「補償」の意義のあたりから入りたいと思います。
この点について,事務局から若干説明をお願いできますか。
○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 新たな補償制度に関連する御議論というのは,頂いた要綱案をベースに議論を進めていただいた部分が多うございます。
一番最初に,そもそも補償とは何ぞやということで,年金制度の御提案があったことが前提ではございますが,一通り補償の意味ということについて振り返った御議論をいただいた。その中で,これもまた両論併記的な部分になるのかと思うのですが,出てきていたかなという議論をここに記載させていただいたものでございまして,もう少し突っ込んだ取りまとめをしたほうがいいのではないかという方向性などがございましたら,御指摘いただければと思っております。
○ 椎橋座長 補償の意義については,出ました御意見をまとめてあるということですので,何か更に付け加えるべきことがあれば,それをおっしゃっていただければということでございます。
これは非常に理念的な問題でもありますので,また何かございましたら,メールでも結構ですので,お寄せいただければと思います。
次は,金銭的支給の提案にかかわることです。これも論点が書かれてございますけれども,事務局から説明はございますか。
○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 一時金と年金型支給の部分をどのようにまとめさせていただくかというのが,正直難しい部分でございます。というのは,御記憶のとおり,年金型支給については,結局総額幾らなのだ,一時金に引き戻したらどうなるのだということで,一時金と合体させて,結局幾らになるのだろうという議論にならざるを得ないのではないかということが,この検討会での方向性だったのではないかと思っております。
一時金そのものとしての御提案が要綱案の中であって,そのままでは1,200万円一律とかは難しいのではないかということもあったかと思いますし,年金型支給とは別に一時金のご提案について御議論があったのはこんな御意見でございました。年金型支給の部分で御議論があったのは,少なくとも支給形式という問題としては,一時金に引き直したときにどうなるのかという形で終わったということになるのかと思っております。
ひいては,一時金に引き戻した後で支給水準の考え方という御議論に入っていったという流れになるかと理解しております。
また,まとめ方の部分については,御意見をいただければありがたいと思います。
○ 椎橋座長 今までの説明につきまして,何か御提案はございますでしょうか。
松村構成員,どうぞ。
○ 松村構成員 今の御発言の中で,支給総額という考え方がありましたけれども,私どもが言っている年金制度の中で,この前も遡及が必要なのだということがありましたように,結局,先ほどの傷病金の治療期間の問題ではないのですが,実際に彼が死ぬまで払ってやるのだという年金制度ができた場合に,総額幾らかというのは難しいのです。できないわけです。ですから,それはそれとして別途考えていただく。
あくまでも一時金と年金というのは別に考えていただくということが必要なのだろうと思います。そうしないと,総額が幾らということではなくて,総額を割り戻したときにこうだからというのではなくて,そうすると莫大な額が出てきてしまうし,莫大な支払いを避けるために年金にしているのだということを考えていただいたほうがいいのだろうと思います。
○ 椎橋座長 岩村構成員,どうぞ。
○ 岩村構成員 普通,こういう年金の議論でするのは,平均余命まで生きたときにという仮定でもって,年金額として一体幾ら受給するのか。それを結局現在価格に引き戻したときに,一時金ではどのぐらいに評価されるのかという議論になっていると思います。ですから,個人的に幾らもらうかという話ではなくて,総体として幾ら原資が必要なのかという話です。
もちろん公的な制度でやる場合には,別に最初の積立金を作ってとか,そういう話ではございませんですが,ポイントは,要するに平均余命まで御存命されるという前提に立ったときに,現在価格で引き直したときの年金の受給総額は一体どのぐらいの水準なのですかということが分からないと,なかなか全体としてどういう水準が適当なのかということが議論できないのではないですかという意味での議論だと理解していただければと思います。
○ 松村構成員 それは平均余命だけではなくて,実際にそのときは我々の年金案が通るとすれば,結局,事件前の収入との差額ということで,確かにマックスは平均収入になっていますから,それを計算すればいいのかもしれませんけれども,そのようなことで本当にいいのかなという感覚は一応残っています。
○ 椎橋座長 施策推進室長,どうぞ。
○ 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 なかなか実際の事例から御説明いただく部分と,一方で制度のあり方として御説明とか,いろいろな形でここの部分は出ておりまして,事務局としては,なかなかまとまった形の議論にならなかったなというところは,どういう形でやっていこうかと思っているところでございます。
いずれにしましても,出されました御意見は,どういう形であったかをここでは確認をさせていただいておいて,あとどういう形で,当初,座長からお話がありましたとおり,今回の検討会は,なかなか方向性が出せる形に議論が進んでいるものは,今のところ余りないのでございますけれども,ここの問題は特に非常に難しい議論があったと認識しております。そういう中で,御指摘は御指摘として整理をしていきたいと考えております。
○ 椎橋座長 続きまして,過去の被害者への支給です。これは非常に難しいということが大勢だったと思います。
厚生労働省の方,どうぞ。
○ 厚生労働省社会保障担当参事官室室長補佐 今の年金のところで,1点。
(イ)の年金の支給形式のところで,年金の事務量の増加に係る御議論というものが記載されてございますけれども,これは先ほどの年金をそもそもやるのかということが前提になる御議論だとは思っております。現行の労災年金なり,遺族年金というのも,それぞれ労働基準監督署なり,年金事務所など,別々の法令の体系に基づきまして,支給の申請の受付から,その認定,実際の支払い,あとは年金を支払い続ける限りは,その方が要件を満たしているのかということを継続的にそれぞれの機関で管理をしているということでございますので,単純に委嘱をすれば事務量が減るのではないかというものではないということで,問題意識だけ共有させていただければと思います。
○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 続いて済みません,戻るような形になって,過去の被害者への支給というところまで行ってしまったのですが,支給水準の部分のところで,さきの補償の意義のところとも若干ダブってくるのかもしれないのですが,結局,支給水準の部分で,どの程度までの基準になるのだということで,先ほど松村構成員からもありましたように,現状の提案を前提に計算していくと,平均収入相当のもので,先ほど岩村先生からもおっしゃっていただいたように,平均余命まで平均収入を支給したと仮定するならばという形で考えていくと,結構,累積総支給額が高額になるねという部分で,財源の問題が発生するのではないかという御意見はあったかと思っております。
それと違う観点なのですが,上に書いてある自立のための相談支援体制は,先ほど瀬川先生からも出てきた御意見とかぶるところで,これ自体は地方公共団体の話として,後で全部まとめて指摘するような形として移動させていただきたいと思っております。
○ 椎橋座長 続いて,過去の被害者への支給についても説明をいただけますか。
○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 過去の被害者への支給は,年金制度がスタートするという前提として,その年金を将来的に,「将来効」という書き方が不適切かもしれないのですけれども,過去の被害者にもこの年金制度については該当するという形での御提案をいただいていたというところでございます。
これ自体は,要は年金制度そのものをスタートさせるかどうかというところでの御提言までいかない点で,両論併記的な形にならざるを得ないのではないかと,整理をさせていただいております。
他方,なぜ過去の被害者という問題点が出てきているのかということで20人の例という形で表を出していただいたわけですが,そこで経済的な困窮を抱える要因というのが,この検討会では一部明らかになった。それが医療費の自己負担分であるとか,リハビリ費用であるとか,そういったことで記載されているような事項かと理解しております。
○ 椎橋座長 こういう形で論点整理をしていただいておりますけれども,あるいはこれ以外の論点があるのではないかということを含めて,この時点で何か御意見はございますか。
番構成員,どうぞ。
○ 番構成員 細かいところですけれども,これを書くときの順番なのですが,医療費負担,リハビリ費用で,民事裁判費用というのはここに来ないと思うのです。もっと後でいいのかと思うので,これは自分から積極的に裁判を起こす費用になるわけで,これはほかのところと違うのかなと思います。書き順とかそこは検討していただければと思います。
○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 これは,表から適当に上から順番に引っ張ってしまったので,おっしゃるとおり,書き下したときに,またいろいろ御意見をいただければと思います。
○ 椎橋座長 この後は,海外での犯罪被害者等々の問題があります。
またこれらについては,いろいろ議論すべきことがありますので,今日はこのぐらいにさせていただいて,今日御議論いただきました最初の犯給制度に関する議論は,今日御議論いただきましたものを更に整理した上で,次回に出させていただきたいと思います。
2の新たな補償制度に関連する議論は,今日若干御議論をいただきましたし,御議論いただいていない部分については,次回御議論をいただくということで,そういう形にさせていただきたいと思います。
1については,確認していただいたことは,書きぶりとか,方向性について確認をいただいたところと,まだそうでないところがあるということですね。それらについては,また次回ということでお願いしたいと思います。
それでは,事務局のほうから,今後の予定をお願いしたいと思います。
○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 次回の予定は,10月23日,今日より30分遅れで午後4時半からとなります。よろしくお願いいたします。
座長からも御案内がありましたが,積み残し部分の取りまとめの方向性の確認をしていただくとともに,今日御確認いただいた部分については文章化して,御意見を頂けるようにしておきたいと思っております。
2月ごろお示しした予定みたいなところでいきますと,パブコメを秋に予定するということだったのですが,御覧いただいているように,パブコメにかけるような内容がないという状況でございます。なので,とりあえず本検討会としての議論をまとめるということを優先させていただきたいと思っております。
次々回の検討会の日程調整も近日にさせていただきますので,またよろしくお願いいたします。
○ 椎橋座長 それでは,これにて第15回「犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討会」を終了したいと思います。
どうもありがとうございました。

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