犯罪被害者等に関する青少年向け啓発用教材
「私たちに出来ること ―痛みをうけとめるために ともに生きるために―」

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支援体制にはどんなものがあるか

警 察
警察は、事件が発生したときに、真っ先に現場に駆けつけ、被害者の方から直接話を聞いたり、捜査を行って加害者をつかまえたりする以外にも、被害者の方の経済的、精神的な負担を減らすための取り組みを行っており、被害者支援に大事な役割を果たしています。具体的には、被害者や遺族の方にパンフレット「被害者の手引」を配布して刑事手続きの流れなどを説明したり、「被害者連絡制度」により捜査の状況などについて情報を提供しています。また、「被害相談窓口」を設置して、様々な相談に応じています。さらに精神的な被害を回復するためのカウンセリング、被害者や遺族の方の経済的、精神的被害をやわらげるために国が支給する「犯罪被害者等給付金」の申請の受付、再び危害を受けることの防止も警察の仕事です。

●警察庁犯罪被害者支援室 http://www.npa.go.jp/higaisya/home.htm

地方自治体
市民の生活と密着する地方自治体は、被害者支援にとって欠かせない存在です。相談への対応・情報の提供、医療・福祉サービス、居住・雇用の世話など、地域の実情に応じたきめ細かな支援はとても重要になります。
他の機関に比べて支援体制の整備がやや遅れ気味だった地方自治体も「基本計画」の策定後、被害者からの相談や問い合わせに対応する窓口が着実に増えています。
たとえば神奈川県では、専門の相談員が被害者からの様々な相談を受けて対応する体制を整えています。また大阪府では、被害者が府営住宅を一時的に使用する際に寝具等の生活備品も準備するなど、自治体ならではの支援をはじめています。
民間支援団体
民間支援団体は、犯罪被害者やその家族にとっていちばん身近な存在ともいえます。電話や面接で相談を受け付けて被害者の声を受け止め、病院や警察、裁判所への付き添いや住居・経済的な問題など、細やかな配慮をもって被害者を支えます。そのうち、都道府県の公安委員会から「早期援助団体」として認定された支援団体は、警察と連携し、事件が起こった直後から被害者と接することができるので、どんな助けが必要か、被害者自身がわからない時点で支援をスタートすることができます。そしてそれら支援団体を結ぶのが、NPO法人全国被害者支援ネットワークです。2007年現在、45都道府県の46団体が加盟しています。

●NPO法人全国被害者支援ネットワーク http://www.nnvs.org/

法テラス
「法テラス」は、全国どこでも法的トラブルを解決するための情報やサービスを受けられる社会をめざし、2006年に設立されました。
法テラスでは、全国どこからでも電話できるコールセンターのほか、全国50か所の地方事務所において、地方自治体や弁護士会などと連携して問題の解決をサポートしています。犯罪被害者支援もその大きな活動の一つです。コールセンターには、被害者からの相談を受け付ける専用のダイヤルを設け、犯罪被害者支援の経験をもった担当者が、「毎日暴力を受けている」「今後の刑事手続きについて知りたい」「弁護士を紹介してほしい」「加害者に損害賠償請求したいけれど弁護士を頼むお金がない」など、様々な問い合わせに対応しています(相談無料。ただし、通話料はかかります)。

●法テラス(日本司法支援センター) http://www.houterasu.or.jp
●法テラス 犯罪被害者支援ダイヤル 0570-079714 (PHS、IP電話からは、03-6745-5601)

地方検察庁
事件に巻き込まれることがなければあまり身近に感じることのない検察庁ですが、検察庁では警察から送られてきた事件について、さらに捜査し起訴するかどうかを決定します。つまり、被害者になると、事情聴取その他で接することになります。検察庁には「被害者等通知制度」があって、事件が起訴されたかどうか、裁判の日にち、裁判の結果などを、被害者やその家族が希望すれば、その状況に応じて情報を提供してくれます。また全国の検察庁には被害者を様々な側面からサポートする「被害者支援員」が配置され、「被害者ホットライン」でも電話・FAXで相談を受け付けています。

●検察庁 被害者ホットライン各連絡先 http://www.kensatsu.go.jp/higaisha/index.htm#hotline

CASE STUDY
杉並区の試みは人々の意識を変えた

市町村レベルでの取り組みはまだ始まったばかりですが、先進的な取り組みをしている自治体の一つに、東京都杉並区があげられます。杉並区では2006(平成18)年に犯罪被害者等支援条例が施行されました。それまで、地方自治体の取り組みといえば、被害者への見舞金程度であったなかで、具体的な支援策を決めたのは全国初のことでした。

専門の相談員を配した総合支援窓口を設置し、犯罪被害者およびその家族・遺族の相談に応じ、以下のような支援を行っています。

  1. 助言・情報提供・各種手続きの手伝い・付き添い
  2. 自分の家に住むことが困難になったり、安全上問題がある場合などに一時的に住居を提供
  3. 家事や育児が困難になった場合に被害者支援に理解のあるヘルパーを派遣
  4. 応急に資金が必要な場合に無利子での貸し付け等

また、杉並区の「犯罪被害者支援講座」で「犯罪被害者支援員」を養成、ボランティアで広報・啓発活動のほか、付き添いや家庭での話し相手・見守りなどに協力しています。このように、犯罪被害者支援員の養成を通して、多くの区民に犯罪被害者への理解が深まっていることは注目に値します。
講座では犯罪被害者のおかれている深刻な実情を知ることから始まる入門編に続き、実践編が行われたとのことで、さまざまな年代の方が、非常に熱心に参加されていたそうです。実践編では、刑事手続きの流れや犯罪被害者の心理、被害者の声に耳を傾けることの大切さ、ロールプレイングを用いた講義などが行われました。実践編修了者のほとんどが現在、犯罪被害者支援員として活動しています。
講師として招かれた被害者支援都民センターの阿久津照美さんも「地域単位で取り組みを始めることで、人の意識が変わっていくことを実感した」と述べています。

杉並区の試みは人々の意識を変えた

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