広島大会:パネルディスカッション

「犯罪被害者と地域社会の在り方」~途切れることのない支援のために、地域社会ができること~

コーディネーター:
山本 一隆(公益社団法人広島被害者支援センター理事長)

パネリスト:
兒玉 憲一(比治山大学現代文化学部教授、公益社団法人広島被害者支援センター副理事長)
原田 修治(広島県警察本部警務部警察安全相談課長兼被害者支援室長)
倉迫 昭宏(広島県環境県民局県民活動課長)
清水 誠一郎(基調講演者)
 

山本:  それでは、ただ今基調講演、本当に皆様方、最後まで熱心にお聞きいただきましてありがとうございました。今のお話の中で恐らく、私ども11年前に広島被害者支援センターを立ち上げましたけれど、そのときの気持ちというか原点に立ち返らされたというような気持ちになりました。非常にいろんな要素を含んでいたと思っております。

 その基調講演を受けて、これから4名の方にお話をいただくということでありますけれど、今日の大きなテーマは、私たち被害者支援センター、先ほどの講師のお話にもありましたように、我々は地域で何ができるのか。本当に無関係と思っていることが、すぐそばに被害が、何が起こるか分からないという状況がある中で、もしそういう状況になった場合に何ができるかということを、何らかの1つの方向性が探れればと思っております。

 では、そういうことで、皆様方のお手元にもレジュメが入っているのですね。大体そういう流れの中で進めさせていただきたいと思います。

 一番最初は、ただ今御紹介がありましたけれど、パネリストの方々、お1人ずつ、まず自己紹介を含めて、御自分のお仕事、役割の内容、お仕事の内容、犯罪被害者支援にかかわる話を含めて自己紹介をしていただきたい。更にその中で、ただ今の清水さんの基調講演を受けて、特に何をお感じになったかということも含めてお話を頂ければと思います。

 それでは、こちらから、兒玉先生からよろしくお願いします。

兒玉: 広島被害者支援センターの兒玉と申します。どうぞよろしくお願いします。

 広島被害者支援センターは平成16年に発足いたしまして、今年が11年目で、来年2月で12年といいますか、本当に長い時間がたちました。その間に県民の皆様の温かい御支援を受けまして、御支援というのは具体的には寄附であったり様々な活動への御協力であったりということでありますが、おかげさまで、全国で48犯罪被害者支援センターがございますが、その中でも、わずか11年ですけれども、最も活発に活動しているセンターの一つになったのではないかと自負しておりますし、皆さんに感謝しているところでございます。

 私はセンターの発足当時から、市民ボランティアの方が、私たちは支援活動員と呼んでおりますが、約50名の支援活動員の方々とともに被害者、御家族、御遺族の方の支援を行う、直接支援と申しますけれど、そういう直接支援の活動を共に行ってまいりました。本日はそういう市民ボランティアの民間団体の立場から、犯罪被害者のために地域社会が何ができるかということについて、後ほど私の経験してきたことなどをお話ししていければと思っています。

 まず、今御提案がありましたように、今日の清水さんのお話の感想でございますけれども、何だか胸がいっぱいで、今の気持ちは言えません。あらかじめ考えてきたことをちょっと述べさせていただきたいと思います。

 私たちのこの社会、清水さんもお話になったように、加害者のみが優遇されて、被害者が本当につらい思いをするという時代が長く続きました。しかし、先ほど御挨拶にありましたように犯罪被害者等基本法が成立してから、急ピッチで被害者に対する支援のための法律とか制度が整えられてまいりました。

 しかも、そこで忘れてならないのは、我が国の犯罪被害者の支援制度を大きく変えてきたのは、何と言っても当事者の方々です。当事者の中で、今日の清水さんのようにつらい苦しい思いを皆さんの大勢の人の前に立ってお話しなさってこられた被害者御家族、御遺族の方々、いわゆる当事者と呼びますけれど、当事者の方々の力によって今、日本の社会は大きく変わってきているということを御承知いただきたいと思います。

 そして、今日のお話もそうでありますが、当事者の方のお話を通して、私たちは犯罪というものが、犯罪被害に遭うというものがどのようなことであるか、犯罪の被害に遭った人間がどのような体験をするのかということを初めてつぶさに知ることができます。犯罪被害に遭えば誰しも、今日のお話にありましたように、周りあるいは世間、あるいは社会に対して決定的な不信感を抱くものです。そして、不安や恐怖を抱きます。したがって、我が身を、我が家族を守るためには当然皆さん閉じこもってしまうわけですね。心も閉ざしてしまう。その中で、長い苦しみの後でこういうふうに私たちにお話をいただくことで、私たちはその実態ということを初めて知ることができます。

 そして、今日のお話はそれだけにとどまらず、清水さんや清水さんの御一家がどのように周りから、不信感に満ちた周りからでも支えられて、今日お話のように、驚くべきお話ですけれども、周りに感謝して、その感謝の気持ちを伝えて回るという、そういうお気持ちになられたということを知ることができるわけです。これはまた人間の回復力のすごさだと思います。

 そしてもう一つ、非常にありがたかったのは、こういう当事者の方でなければ分からない、今日私たち並んでいますけれども、警察や行政や私たち民間団体が人知れず、被害者御家族、御遺族を支援しているのでありますが、その支援の実態もお話しいただきました。そういう話を通して私たちも学び、これからまた被害者の方々を御支援するときにどのようなことに注意しなければいけないかということも多く教えていただいたと思います。そういう意味で本当に勇気を出してお話しいただいたことに心から感謝しております。ありがとうございました。

山本: ありがとうございました。それでは原田さん、お願いします。

原田: 警察本部警務部警察安全相談課長兼被害者支援室長を務めております原田といいます。どうかよろしくお願いします。この3月から現在の仕事に携わっておりますけれども、まだ期間が短いのでこの席に座らせていただくのも非常におこがましい気持ちなのですが、どうか御容赦をお願いしたいと思います。

 先ほど清水さんのお話を拝聴いたしまして、事件から4年以上たっておりますけれども、まだ様々なつらい気持ちを、大変な思いをされておられる。また、そのような思いをされながら広島までお越しいただいて、貴重なお話をしていただいたことに本当に感謝申し上げます。ありがとうございます。

 ところで、皆様の警察に対するイメージでありますけれども、事件や事故が起きたときに警察が捜査をして犯人を検挙するというのが非常に強いイメージだろうと思います。確かにそれも重要な任務の1つでございますけれども、警察の責務としまして国民の生命、身体の保護も重要な任務の1つです。その中で、当然被害者支援も重要な責務の1つです。そのため、現在は被害者支援につきまして組織を挙げて取り組んでいるところでございます。

 その体制でございますけれども、広島県警では私が勤務する警察安全相談課に被害者支援室を置いて、警察官4名と臨床心理士の資格を持つカウンセラー、女性ですけれども、この2名で勤務しております。わずか6人ですので県内全部の被害者支援を行えるはずがありませんので、28警察署があるのですけれども、その中に被害者支援に関する専門の研修を受けて被害者支援員に指定された警察官が約500人おります。そのため、県内どこで被害に遭われても、その直後からそれらの警察官から支援を受けられるような制度になっております。

 さらに、捜査員などにも被害者支援に関する知識を身につけさせて、捜査に御協力いただいている被害者に与える二次的被害を最小限にするよう努力しているところであります。

 先ほどお話をしていただいた清水さんの事件のような重大事件が発生した場合におきましても、すぐに被害者支援にかかります。特に配慮をして二次的被害を与えないようなところを非常に注意をしながら取り組んでおります。そうは言っても捜査員は被害者の安全を考えると同時に、一刻も早く犯人を捕まえたいという意識がどうしても働いてしまいます。そこら辺も全力を尽くしますので、どうしても気が急いて、被害者やその御家族が大変な思いをしながら御協力をいただいておるにもかわわらず、説明不足になり、余計にしんどい思いをさせてしまうということもあるようです。

 それを防ぐために被害直後から捜査にかかわらない警察職員が被害者支援員として付き添って、不安なことがあれば相談に乗り、被害者のお役に立ちそうな制度を御紹介し、犯罪被害者等早期援助団体、当県であれば公益社団法人広島被害者支援センターへの情報提供制度を活用して、被害者の方々に御負担をかけずに、円滑に長期的支援が受けられるよう手配するなどの支援を行っております。

 先ほど清水さんのお話にもありましたが、今後とも警察が対応する中で、その言動等でつらい思いを被害者やその御家族の方々に抱かせることのないように努力していくことを強く感じたところであります。そうすることで清水さんの今日のお話にありました思いに応えていこうと考えております。

 以上でございます。

山本: ありがとうございました。それでは、広島県の倉迫さん、お願いします。

倉迫: 広島県県民活動課長の倉迫と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 私が犯罪被害者等支援の業務に関係するようになりましたのが、この県民活動課に参りました昨年の4月からで、今年は2年目になっております。先ほど御講演いただきました清水様を始めといたしまして、被害者の方、その御遺族の方とお会いする機会も増えまして、そのたびに胸が詰まる思いをしております。そして、このままではいけないという思いがどんどん強くなっていっております。

 私が学生のころ、近所の方が飲酒で車検切れの車にはねられて亡くなられたことがありました。事故を起こした側には賠償能力もないようだったのですけれども、示談の話などを進めていかれる中で、被害者の御遺族の方とは私、とても優しい方なのでよく知っていたのですけれども、そういうことを捉えまして、「被害者の遺族がいい人でよかった」とかいうような発言があったというようなこともあったことを聞きました。

 30年以上も前の出来事なのですけれども、世の中ではようやく犯罪被害給付制度というのができたころでございます。被害者支援に対する世間の認識というのはまだまだ薄かったころだと思っています。当時のこの事件で、具体的に御遺族の方はこの制度が活用できたかどうか、給付がされたかどうかは分からないのですけれども、当時学生だったころから私は「何かおかしいんじゃないかな」というようなことをずっと思い続けておりました。

 御遺族の方が何年にもわたってすごく落ち込まれておられまして、小さい頃から親しくして優しかった御遺族の方が、どんどん覇気がなくなっていくのを目の当たりにしたことがございます。声を掛けることもだんだんできなくなってきたというような苦い思い出もございます。こんなこともあって被害者の方々の支援ということに対しては、以前から強く感じていたものがございます。それがこうやって県民活動課というところに参りまして被害者支援の担当になりまして、ますます何とかしなきゃという思いは強くなるのですけれども、先ほど清水様の御講演にあったように、まだまだ力が全然足りていないなということも痛感しております。

 私たちは日頃、仕事場においてはまず被害者の方々の支援の必要性というのを周知して、皆様方に広く知っていただくということを考えています。それはとても必要であり大事なことだと思って取り組んでいます。そして本日、このように多くの方々に現実をしっかりと受け止めていただくことが重要であることを改めて認識しております。清水様の御講演にもございましたように、この事実以上に必要性を訴えることというのはできないというふうにも思います。

 今日は専門家の皆様方にお越しいただいておりますので、1人でも多くの皆様方に被害者支援の重要性、必要性というものをお届けできればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

山本: ありがとうございました。清水さんには先ほどのお話の中で、何か言い残したこととか、このパネルディスカッションで言っておきたいということ、残ったことがありましたらまずお願いいたします。

清水: 先ほどは講演を最後までお聞きいただきましてありがとうございました。広島県と、私は熊本県ですので、支援のあり方がどう違うかは少し分かりませんが、実際のところを言いますと、支援員の方と、また今警察官の方も6名でやられているということだったのですが、私の場合は殺人事件という形で支援をいただきましたが、犯罪に大きい小さいはないと私は思っておりまして、熊本の場合は性犯罪が今増えておりまして、性犯罪された女性の方が、なかなか人にも言えない、また家族にも言えない、そういう悩みを持っていらっしゃると聞いておりますので、被害に遭った者からすれば、もう少し支援をしていただける人員を増やしていただいて、殺人事件だけじゃなく幅を広げて支援をしていただけるような体制をとっていただければと思うところがあります。

 私のほうは以上です。

山本: ありがとうございました。皆さんのお手元には本日の広島大会のパネルディスカッションというレジュメが1部あると思います。ただ、今のお話の中で2番と3番とかなり関連をしておりますので、今日はテーマの「犯罪被害者と地域社会の在り方」ということをいろいろ議論していきたいと思います。これからは時間の関係もありますので、今後の犯罪被害者と地域社会の在り方についてということを深く議論をしていきたいと思います。

 それで、まずそれぞれのお立場で、まず地域で犯罪被害者支援のために、地域社会で何ができるか、それぞれのお立場で何ができるかということをまず御提案いただきまして、それからその課題について議論していきたいと思います。それでは、兒玉さんからよろしくお願いします。

兒玉: 頂いたテーマについて、私はまず当センターがどのような役割を果たすことができるかということを少しお話しさせていただこうと思います。その後、少し地域社会への提案ということもできればと思っていますが、それは後のほうに回したいと思います。

 当センターが発足いたしまして、特に平成19年から広島県の公安委員会指定早期援助団体に指定されました。そのことで当センターの役割は大きく変わりました。それはどういうことかというと、事件直後から被害者が御希望されれば、広島県警から当センターへ情報提供がありまして、速やかにその方と連絡を取り合って、被害者の方々の支援が始まったということであります。

 それまではそういう事件に遭われても、御本人が当センターにアプローチしていただかなければ支援は始まらない。でも、通常はそういう民間団体で、どういう素性の人がやっているか分からないところに自分から電話されるなどということはほぼあり得ないことだったわけで、私たちは待っていましたが、なかなか連絡がなかった。ところが、事件直後に警察の、特に支援室の方々が駆けつけて、その場で「私たちも支援しますけれども、被害者支援センターという団体があって、そこが今からでもすぐ支援してくれます」と言われると、かなり多くの方が、「では、何だか分からないけれども、警察の方がそういうふうに言われるんだったら大丈夫だろう」ということで、「お願いします」ということになってきました。

 そのようになりまして、私たち当センターの役割というのは、とにかく直接そういう被害者の方々とお会いして、今その方々が求めていらっしゃるニーズを酌み取って支援していくということで、大変な状況になりました。

 そこで一番強調しておかなければいけないのは、いみじくも今日清水さんからお話しいただきましたが、被害者が犯罪被害に遭うということによって、もうそれまでの被害者の方々の周りの人々、あるいは職場や学校や地域社会への信頼感というのが粉々に砕け散っているということですね。逆に信頼感どころか、周りに対して大変な不信感が芽生え、そしてまた今日お話になりましたように、ほかの家族も同様の被害に遭うのではないかという不安や恐怖感にさいなまれる。そして「どうしてこういうことになったのか」という、誰に向けていいか分からないような怒りがふつふつと湧いてくるという状態になるわけですね。

 このような事件直後の被害者の方々の、被害者の方といっても御家族、御遺族も含めますけれども、置かれた社会的・心理的状況といいますか、そういったことに思いを馳せないと支援はないと思うのですね。これは私たちもそうですけれども、御近所の方も学校の先生も職場の同僚、上司もよほどそこのところをしっかり理解しないと、自分たちがよかれと思って言うことが全て裏目に出てしまうといいますかね。そういう意味で被害者支援というのは、まず被害者がどんな状況に陥っているのかということを知るということから始まると思います。

 ただこれは、今日のような非常に貴重な機会に恵まれればその一部でも理解することができるのですが、私たち市民ボランティアでこういう活動に関わっている者も、年間60時間以上の講義を受けたり演習を受けたりしても、やはり実際に活動を通す中で体験しないと分からないことがあります。しかし、そういう活動を通す中で非常に不信感や怒りをぶつけられながら、自分たちがやはり関わることが、そういう非常に信頼感がなくなってしまった方々に、いずれは信頼感を取り戻していただける一助となるということを経験を通して実感しています。

 ですから、簡単に言いますと、結論的に私たちの市民ボランティアの団体がやっていることは、一旦失われた社会に対する信頼感を、あるいはそこから芽生えた不信感を被害者の方々が乗り越えていかれるための一つのお手伝いだと思っています。そしてまた、遠ざかっていた周囲の人々、あるいは自分から遠ざかっていった周辺の人々や社会にまた復帰していくといいますか、あるいは自分からまた関係を取り戻していくという営みに少しでもお役に立てればという、そういう活動だと思っています。

 具体的には、じゃあどういうふうにしているかというと、私たちは市民感覚といいますか、専門家ではなくて、私も仕事は別にあるのですが、この支援センターでは一ボランティア、一市民という感覚をとても大切にしていて、決して専門的なことを持ち込まないで関わろうとしていますが、そこで一番大切にしているのは、もし自分がこの被害者の方、御家族の方、御遺族だったらと、一市民として「だったら」という思いを常に忘れないで接しています。

 その中で考えてみると、事件が起きますと、今日のお話にもありましたが、警察官に会います。そして警察官からいろいろ事情を聞かれる。それから、検察官、検事さんに会ってまたいろいろ事情を聞かれる。そして被害者参加という、裁判に参加するようになれば、弁護士さんがついてくれますが、弁護士さんと話をする。いずれにしましてもこういう事件に遭わなければ話すことのない人たちですよね。できれば、ちょっとここに並んでいらっしゃるので悪いのですけれど、できれば生涯の中でお世話にならなくて済めばいい職業の方々と被害者の方は否応なく会わざるを得ないわけですね。

 そこで何に一番困るかというと、先ほどのお話にもありましたが、警察官の方は警察官なりに誠実にお話しになるのですが、その言葉の意味が分からないのですね。それは業務上そういうふうに言うというふうに決まっている言葉を発せられるんだと思うのですが、初めて聞く言葉なので、その意味するところが分からない。それから、検事さんにしてもそうです。検事さんは法律に基づいて社会を代表して被害者に接してくるわけですが、その立場なり言葉が分からない。それから、自分たちを支援するために立ち上がられた弁護士さんも、非常に熱心にかかわってくれるんだけれど、弁護士さんの言葉が分からない。裁判官になりますともっと分からないのですね。

 そういう司法関係者の方々、日常的に被害者に、あるいは加害者に会っている司法関係者たちの用いる言葉は、被害者になったばかりの市民には分からないのですね。それで、当センターの仕事は、まず一市民としてそういう専門職の方々が話している言葉をかみ砕いて、分かりやすく、繰り返し繰り返し被害者の方々にお伝えする。まるで外国語のような言葉を翻訳してお伝えすることであります。

 次に、犯人が捕まりまして、起訴されて、裁判の準備が始まる。今日もありましたように1年以上、1年から2年、被害者の方は裁判が始まるのを待たされるわけであります。ただ、その待っている間にもいろいろな準備がございます。弁護士さんや検事さんや検察庁の書記官とかいろんな方々と会って裁判の準備をしていくわけですが、でも、裁判というものは初めてでありますので、しかも自分は被害者として裁判にかかわるわけですから、これからどうなるのか分からない。そのことも、それは本を読んだら専門家は分かるのかもしれませんが、本を読んでも文字が分かりません。

 そこで、当センターの市民ボランティアが、大体いつごろにこういうことがあって、そのうち、こういうことがあって、裁判が始まって、裁判の中でこういうことが起きてとかいうようなことを、まとめて言うよりも折々に触れてお伝えしてまいります。そういう1つの道しるべみたいな役割を当センターが果たしています。

 実際、裁判が始まりますと、その被害者や御家族や御遺族の方の希望に応じて裁判に付き添います。広島の場合は、先ほど報道被害の話がありましたが、広島の報道関係者はかなり協力的で、しかも大抵は被害者担当の弁護士さんが報道関係者と対応されて、極力被害者への、特に裁判をめぐるあたりの報道被害が少なくなるようにしておりますが、それでもいろいろ足りないところがありますので、そこらの司法関係者等への不満とか注文とかいったものを当センターの方で聞いて、当センターが今度は当の司法関係者の方々にお伝えして改善を図っていただくということをいたします。

 それで、最後に判決が出るわけでありますが、清水さんもそうであったように、被害者の方が望むような判決はほとんど出ません。検察官が求刑する求刑どおりの判決というのが、清水さんの場合もそうなったようであるわけですが、一審、二審ともに無期懲役という判決になったようですが、それは検事が求刑したものであって、被害者が求刑したものとは異なるわけですね。ですから、判決が出ても全く納得できないというのが被害者の方々の心情です。

 そこのところはさすがに弁護士さんたちも「いや、これが大体、そんなものです。どちらかというと、ほかの判例からすると重たいのです」とか説得されますが、そういう説得でも納得できないのが被害者の方々のお気持ちですよね。それをしっかり受け止めるのが市民ボランティアの役割であります。とにかくその心情というのは、その被害者の方、その御家族の方のものでありますから、誰が何と言って慰めるものでもないわけでありますね。それをしっかり受け止めていくということも大きな仕事になります。

 それから、これが私のお話では最後になりますけれども、司法関係者は判決が出ますと大きな役割、自分の職務が果たせたということで、被害者の方との関わりはかなり減っていきます。しかし、被害者の方にとりましては、清水様もそうでありますように、何年たちましても苦しい毎日が続くわけであります。

 そこで当センターは、そういった方を何とか支えようと思うのですが、多くはやはり精神科医であるとか臨床心理士であるとか、専門家の力を借りなければなかなか日々の苦しみに耐えていけない被害者の方が大変多うございます。しかし中には、これはすばらしいなと思うのですけれど、事件直後から会っている市民ボランティアと非常に親密な関係ができまして、被害者の方々にしたら、最初はどこの者か、素性の分からない、いぶかしげなという感じであったものが、「この人と出会って本当によかった」、「この人がずうっと付き添ってくれてよかった」というような人になっていきます。そうしますと、判決が出て2年たち3年たちしましても、たびたび当センターの方にそういう方が訪ねてこられて、そういう市民ボランティアが、そういった方々の何年たっても和らがない自分の中の恨みとか自責感とか、そういったものに長時間耳を傾けます。そういう場所として、とてもかけがえのない場所を提供しているのではないかなと思います。

 ということで、なぜ私たちはこの活動に市民ボランティアとして関わるようになったのだろうというのは、当初分かりませんでしたが、今はやはりこれは業務として職務としてなさっている司法関係者の方々だけでは被害者の方々を支えるには不十分であるということを見抜いた方々がいらっしゃって、わけの分からない私たちを集めて市民ボランティア団体を組織されたんだなと。やはり市民ボランティアが被害者の方々を支える上でかけがえのない役割を果たしているというのを、経験を積めば積むほど思っておりまして、それだけに役割も大きいので、今後とも市民ボランティアの方々とともにお役に立つことを模索していきたいと思います。

山本: ありがとうございました。私たち広島被害者支援センターが行っている、この11年間で行ってきた仕事の流れと、役割も増えてまいりました早期援助団体その他ということで、詳しく御説明いただきましてありがとうございました。また、地域社会でこれから我々は次に何をするかについては、後ほどまたお話をいただきたいと思います。

 それでは原田さん、現状の問題と課題がありましたらよろしくお願いします。

原田: それでは、私の方からは警察で何ができるか、どんなことに取り組んでいるのかというのをもう少し詳しくお話ししたいと思います。

 その前に、まず広島県の事件・事故の発生状況について少し御説明をさせていただきます。広島県では平成14年に窃盗や傷害などの刑法犯認知件数、これが戦後最悪となる約6万件に達しました。この数字は日本の高度経済成長期の昭和40年代の約2倍に当たるものです。特に誰もが被害者になり得る自転車盗であるとかひったくりなどの、県民に最も身近な犯罪が約7割を占めるなど危機的な状況にあったわけです。

 そのため、県警としましては「『減らそう犯罪』広島県民総ぐるみ運動」と銘打って、これを全県的に展開して、行政を始め事業者、ボランティア、これらの関係機関の団体の皆様方と犯罪抑止に向けて連携して取り組んでまいりました結果、昨年平成26年の刑法犯認知件数は約2万1,000件と、ピーク時の65%まで減少させることができました。これはひとえに皆様方の御協力の賜だと感謝しているところでございます。

 交通事故に関しても年々減少傾向にありますけれども、強盗などの凶悪事件につきましては約130件前後、交通死亡事故も100人前後で推移しており、特にここ最近では特殊詐欺の被害が県内でもかなり急増しまして、既に今年に入って被害額は10億円を超えております。そのため広島県警では「アンダー100作戦」と銘打って、特殊詐欺や交通死亡事故を少しでも減らすべく、強力に推進しているところでございます。

 それでは、警察に求められる支援ということですけれども、これは地域格差がなくて全国どこでも同じ支援が受けられるものではなくてはなりません。例えば東京の警視庁ではこんな支援をしてくれるのですけれども、広島ではこんな支援はしてくれなかったということではだめなわけです。特に警察は被害に遭われた直後から、その被害者や御家族、またはその御遺族と直接接することになって、一番身近な、犯罪被害者を積極的に保護していく役割を担う機関でございます。そのために全国どこでも、広島県でも犯罪被害者の視点に立った各種施策を進めているところでございます。そこで当県警が行っている支援、これを4点紹介させていただきます。

 まず1点目ですけれども、被害者や被害者御家族への支援について御説明します。先ほども少しお話しさせていただきましたけれども、重要な事件、交通事故の被害者やその御家族を支援する者として警察官や少年補導員、当県では少年育成官と呼んでいますけれども、これらの中から被害者支援員を指定しております。

 その任務は、まず自己紹介の後に犯罪被害者等への情報提供として、「被害者の手引」を配付いたします。実際にこれなのですけれども、これを配付して、この一番後ろには担当者の名前や連絡先などを記入して、被害者の方々にお渡しするものでございます。

 その中身ですけれども、刑事手続の概要とか捜査への協力のお願い、被害者等に対する支援要員制度、安全確保に関する制度、これらが盛り込まれております。これをもとに説明をさせていただいて理解をしていただくようにしております。

 その後、捜査員の連絡調整をしたり、実況見分の立ち会いや病院への診察の付添い、要望の聴取なども行います。その他、適時、捜査の状況とか、加害者がどのような処分を受けたかなどに関する情報提供、交番や駐在所に勤務する地域警察官による犯罪被害者訪問、連絡活動などを行っております。広島県警ではこのような支援員が、先ほども言いましたが、28警察署に約500名おります。

 次に、当県警では、臨床心理士の資格を持つ女性被害者支援カウンセラー2名を本部の被害者支援室に配置しております。被害者支援員が犯罪被害者等の支援を行った際に、大きな精神的被害を受け、そのためカウンセリングの希望があった場合にはその精神的被害を軽減するため、臨床心理士によるカウンセリングを行っております。

 この2名のカウンセラーは警察職員です。そのため、カウンセリングを受ける際に一から被害者の方々に事件のことを話していただく必要もなく、その事件内容は他の捜査員からもおおむね聞いて理解しております。ですから、被害者側の方々にとっては精神的負担が軽減するばかりでなく、捜査手続についても精通していますので、警察の捜査側と支援側の橋渡しをすることができ、より一層、被害者に沿った支援ができるものと考えております。

 その他、捜査過程による犯罪被害者の負担を軽減するために、被害届の受理の際は、言動には最善の注意を払うとともに、安心できる施設を準備して選定をしております。希望により女性警察官による対応にも配慮しています。自宅に伺うときには私服の警察官が目立たない車両で赴いたり、性犯罪の被害の場合は窓にカーテンを施した被害者支援車両も導入して対応しております。

 2点目は、経済的な側面からの支援の話でございます。これは被害に遭われた方の経済的負担が少しでも軽減するために、様々な公費負担制度を行っております。1つは司法解剖に係る検案書料とか御遺体の搬送費、性犯罪被害者の初診料、緊急避妊料、性感染症検査料などの経費、DV被害者が一時的にホテルに避難する際に要する経費などを公費で負担をしております。

 また、犯罪被害給付制度があります。故意の犯罪行為により死亡又は重傷若しくは障害を負った犯罪被害者等に対して、国が給付金を支給し、経済的負担の軽減を図ろうとする趣旨で始まった制度です。給付金は遺族給付金、重傷病給付金、障害給付金の3種類です。遺族給付金は殺人事件などの御遺族、重傷病給付金は入院を要する重傷を負われた方、障害給付金は後遺障害を負われた方を対象として支給されます。

 次に、県警の取組の3点目ですけれども、命の大切さを学ぶ教室の開催です。命の大切さを学ぶ教室は全国的に行われている施策の1つで、当県においても教育委員会や学校と連携して、平成23年度から開催しております。年々開催していただける学校が増えて、昨年度は95回開催しております。具体的には警察職員が県内の中学校、高校に出向き、犯罪被害者等による講演内容や手記から、被害者が受けた様々な痛み、子供を亡くされた親の思い、家族のきずなや命の大切さについて伝え、自ら警察職員として支援を行った体験談も交えて講話を行います。その後、生徒同士のディスカッションや感想文などを通じ、被害者の現状と支援の必要性への理解を深めて、市民の積極的な参加を促すとともに、犯罪加害者や被害者にならないという意識を持ってもらうというものです。この教室を受けた生徒さんたちからは感想文を頂くのですけれども、「命について考えさせられた」、「周りで被害に遭った人があったら助けてあげたい」ということなどの感想を頂いております。

 最後の4点目ですけれども、関係機関、団体との連携です。被害者支援は当然警察だけで行えるものではなく、多くの機関、団体の支援がなければ、被害者の多岐にわたる要望に応えることはできません。ですから、司法や行政、医療など被害者支援に関する機関・団体などが相互に連携していくことが非常に重要であると考えています。

 広島県では平成8年に県警の方から呼び掛けて、全国に先駆けて広島県被害者支援連絡協議会を設立しており、県や広島市、広島地検、広島保護観察所、第六管区海上保安本部、県医師会、弁護士会、法テラス、被害者支援センターなど、現在は33機関、団体で構成しております。この協議会を通じて、有事の際は各機関で連携をとり、被害者や御家族への御要望に応じて適切な機関への橋渡しを行っているところでございます。途切れのない支援を長期にわたって行っていくために、さらに連携を深めてまいりたいと考えております。

 私の方からは以上でございます。

山本: ありがとうございました。それでは、広島県の体制についてお願いします。

倉迫: 広島県では、犯罪被害者等基本法に定めますその基本理念でございます、犯罪被害者等の方々の個人の尊厳を重んじ、事情に応じた必要な支援、それを行うということを念頭に、地方公共団体の地域の状況に応じた施策を策定し実施する責務を有する、こういうことが書かれておるのですけれども、この理念の下に事業を行うということで考えております。

 今できていることといたしましては、まず行政として始めるべきこととして体制づくりであるとか、本日のようなことを含めた周知徹底といいますか、知っていただくということが非常に重要だと考えています。

 県内の市町に働き掛けをさせていただきまして、個別にも説明に回らせてもらって、今年度、23市町全てに犯罪被害者等に対する総合的対応窓口というものを設置いただきました。県では22年度に設置をしておるわけですけれども、これは被害に遭われた方々やその御遺族の方々にとって、事件や事故後の手続を可能な限り、負担のかからないように支援するためのいわば入口といいますか、その対応窓口がそろったというものでございます。

 今年度、県内のある具体的な市なのですけれども、この窓口にお越しになった御遺族の方々に担当の方が親身になって対応いただきまして、何度も何度も違う場所に行って説明するということなく、1カ所で対応いただきまして、被害者の方の負担を本当に軽減していただいたというような事例も生じてきております。

 そして、このような窓口におきます対応をどのようにやっていったらいいのかということがございますので、支援のためのハンドブックというものも作成しております。ここではまず、被害者の方や御遺族の方の心情を理解するところから示してあります。日頃の生活の中ではとても分からない、ちょっとした言葉遣いであるとか、先ほどの御講演にもありました二次被害など、そういったことの起きないような言葉遣いであるとか丁寧な対応の必要性というものも示させていただいております。こういったものを利用いただいて、御理解をいただくとともに、市町や県、警察、それから関係機関、被害者支援センターのお力も借りまして研修会というものも開催しています。

 まずは、市町の担当者の方や警察署の方々、それから保健所等の関係の方々が、お互いの役割を知ってスムーズな連携ができるように、顔合わせというところから始めて、さらには具体的な事例によるケース検討などを行うことによって、こういう場合にはどのように対応したらいいのか、どこにつないだらいいのかというようなことを勉強して、被害者の方々の負担をできるだけ減らすようにした支援につなげるためのものを行っております。

 もう一つは、やはりとても大きな役割がございますのは、犯罪被害者等の方々の支援、それの重要性、必要性を1人でも多くの県民の皆様方に知っていただくということでございます。今日もお配りしております、このような小さなものですけれど、パンフレットでありますとかホームページの紹介という広報はもちろんなのですけれども、11月25日からの犯罪被害者週間に合わせまして、本日お越しの被害者支援センター、警察本部、広島市関係団体の皆様とともに街頭キャンペーンを行って周知を図らせていただいたり、今年は内閣府と共催させていただいておりますけれども、このような講演会、シンポジウム、これも何年も続けておりますけれども、開催をさせていただいております。

 さらに今年度は、先ほど申しました全市町に総合的対応窓口が設置されたことと合わせまして、内閣府と共催し、全市町をリレーでつなぐ「生命(いのち)のメッセージ展」というものを開催させていただき、多くの方々に知っていただくという取組を行ってまいりました。この「生命(いのち)のメッセージ展」というのは、被害に遭われた方々の御遺族の御協力のもとに、3カ月にわたって開催したものでございますけれども、県内をリレーして展示してまいったところです。本日もロビーで展示させていただいておりますけれども、是非ご覧になっていただき、御遺族の方々の思いや御苦労を御理解いただいて、本日参加の皆様一人一人から支援の重要性を広げていっていただければと思っております。

 行政の役割として、制度、体制というところと、まず本当に知っていただいて、御理解を頂いて御協力いただくこと。先ほども先生からお話がありましたとおり、私たちがこうやって研修を行ったりとか、そういう窓口を作ったといいましても、その後につないで、更なる支援を頂いているのは被害者支援センターの皆様方にすごく多大な御協力と御支援を頂いております。そういったところに適切におつなぎするというところも行政としてできるところだと思っております。今現状としてはそういったところに取り組んでいるところでございます。

山本: ありがとうございました。それぞれの団体、機関から、今までの過程とか現在やっておられることをお話しいただきました。私ども被害者支援の活動をやっているわけですけれど、まだまだ県民の方、市民の方は御存じない方が多いので。

 先ほど倉迫さんから御連絡がありましたように、25日の犯罪被害者週間の初日に出られた方がいらっしゃると思うのですけれど、広島駅で私ども街頭キャンペーンをさせていただきました。そのとき実は、従来はチラシとちょっとした粗品を入れて配るわけなのですけれど、なかなか関心のない方も多いわけですが、今年は広島カープの選手に2人ほど来ていただきました。そうすると全然反応が違うのですね。周りに集まっていただいて一緒に写真を撮ったり,握手するなどして相当募金が集まりました。やはりいろんなやり方もあるんだなということですけれど、例えばそういうことも含めながら啓蒙を図っていきたいと思います。これまで毎年この時期に行うのですけれども、やはりそういう活動をした後にはやはり電話相談その他の反応が出てきます。やはり動かないと市民の方、県民の方はなかなか理解いただけないなということをいつも感じております。

 それで、今まで3つの団体にお話をいただきましたけれど、清水さんには、先ほどお話にもいろいろありましたけれど、例えば行政や、あるいは支援団体、そういうところに対して、あるいは警察も含めて、何か御要望がありましたら、非常に深い経験の中で話がありましたらよろしくお願いします。

清水: 私の方からは裁判のことになりますが、私の場合は犯人が20歳でしたので、刑事裁判の方は本人に責任があるということで、無期懲役という形を頂きました。ただ、遺族として、刑務所に入った後に、出てきたときに何か重いものをと思いまして、賠償請求しかあと方法がございませんで、それを行おうと思いましたが、犯人に対して賠償請求を民事裁判で行っても、結局弁護士の先生から言われたことは、「何億円でもそれはできます。ただ、そのお金を支払う能力は誰にあるのですか。犯人にそのお金を払う能力はありません。そうなると民事裁判の費用、また弁護士の費用、そして入ってくることのない民事訴訟の分の賠償のお金というのは、家族には一切入らないという状況が実際の状況です。ただ、そのかわりに本人には無期懲役という重い刑が科せられます」ということだったのですが、遺族としては実際死刑になろうともどうなろうとも、本人が、亡くなったものが返ってくるのが一番なのですが、将来刑を終えてこの世に出てきたときに、何もなければ普通に生活ができるというのが犯人の現状じゃないかと思っております。民事訴訟をする際に何かそういう刑がちゃんとした形で実行されるような法律が後にできればと思っております。

 それと、犯人、私たちもそうですが、家族に対してのショックは、これは消えることはありません。これは何を求めるといっても、私たちを癒してくれるというものはないと思います。ただ家族が、残された者が向かう矛先が何もないというのが現状です。それは私みたいに犯罪被害、殺人に遭った者だけじゃなくて、例えば交通事故だったり家族の命を取られた者の行く場が最終的にはないというのが、今のこの日本の現状になっているのではないかと私は思います。それを後の世に、どうにか変えるようなことができればと思っております。

 すみません、ちょっと話がそれましたが。

山本: ありがとうございました。

 今いろんな支援センターあるいは犯罪被害者支援の現状について、あるいは課題についてお話をいただきました。それでは残り時間で、今日の本題でありますが、私たち組織がこういう体制で、いろんなことをやろうとしているわけですけれど、皆さんも含めて我々が一市民としてあるいは県民として考えたときに、地域で何ができるのかということも含めて、それぞれのお立場で具体的に、あるいは希望も含めてお話をいただければと思います。それでは、兒玉さんからお願いします。

兒玉: まず、被害者支援センターのお話をする前に、本日このパネルディスカッションの打ち合わせをしているときに清水さんに、清水さんから矢野西小の10年前に殺されたあいりちゃんの話が出まして、あいりちゃんのお父さんは熊本の出身の方ですよね。前にもあいりちゃんのお父さんのお話を聞かれた方がいらっしゃると思うのですけれども、私の方から、私は報道でしか知らないのですけれども、テレビで矢野西小学校の子供たちが「あいりちゃんのことを忘れない」という意味で、ひまわりを今でも育てているということが、子供たちがそういうふうに、命を大切にしたいとかいう、そういうインタビューを受けているのを私は聞きましたことを清水さんにお話ししましたところ、清水さんからとても大切なお話が出たのです。被害者支援、被害を受けた方と地域との関係を考える上で大切なお話だと思うのですけれど、ちょっとお話しいただけますかね。

山本: 清水さん、先ほどの記念碑とかの話、お願いします。

清水: すみません、今先生の方からお話があったのを、私は熊本なのですが、広島の方のあいりちゃんの話をしましたところ、そうやって小学校の方でまだずうっと受け継いでいかれておりますということで話をいただいたのですが、ほかに、広島県では献花台があったりとか、そういうのを設置できる場所がありますという話があったのですけれど、これは熊本の地域性か分からないのですが、うちの場合は献花台を熊本市の市道に設置しておりまして、それを設置していただいたのは地域の自治会長さんだったのですが、結局自治会の御近所の方から「市道に献花台があると危険だし、通行の妨げになる」と。そして、そこは公園が近くにありまして、熊本では湧き水がすごく湧いておりまして、その湧き水が湧く公園の近くで、ちょっと景観的にも損ねるという話も出て、「撤去してくれないか」ということが自治会長さんにお話がいっていたみたいですが、自治会長さんが困って熊本市のほうに連絡をされて、熊本市のほうから「3年もたちましたので撤去をしてください」というお話が出ました。

 そこで私は、熊本市の公園管理課という課と、あと熊本県庁の方にお電話をしまして「どうか子供たちに、生涯忘れないというその場所を、温かい場所を提供できませんか」と言ったところ、県の方は「そういう場所は、できればもう作らないでください。熊本市の方も地域の方のこともありますので、景観を損ねるという話が出ていますから、そういうのを設置されたりするのは御勘弁願います」ということで、2つとも断られたようなことがありました。

 それを先ほど先生の方にお話ししたところ、広島の方ではそうやって、「あいりちゃんの方はずっと受け継がれていますよ」ということだったので、「ああ、それはいいことですね」という話をして、それが県と市のほうで無理ということであれば、別の何か方法があればと思いまして、先ほど先生の方にちょっとお話をした次第です。

兒玉: どうもありがとうございました。これは被害者の御遺族の支援だけではなくて、私たちが人として生き、そして人として死んでいくときに最も大切なことは、やはり自分が大切にしていた人のことを忘れないということをお互いに努めていくということだと思うのですね。その人がこのように生きて、このように死んだということを、生きている者が生きている限り思い続けるということが、その亡くなった方への思いでもあり、生きている者が生き続ける力になると私は信じて仕事をしているのでありますが、そういう意味であいりちゃんの学校はいいことをされているなと思いましたし、広島は被爆の様々な悲しい思い出の品や物を大切にする文化があります。

 だんだん広島でもそういう遺跡、遺物を「もう70年たったんだからいいだろう」というようなことで片付けようという意見も出ておりますが、やはり私どもの立場では、それは経済的にはいろいろ大変かもしれませんが、今生きている人が命を大切にできるために大切なことではないかなと、残す文化と消す文化ということでいうと、やはり広島はこれまで残してきたのだから、例えば犯罪被害で命を落とされた方の思い出も残していってほしいなと思っているわけであります。

 さて、今日はそういうことで清水さんとともに深く考える機会を与えていただいてよかったと思うのですが、もう一つ私の立場で申し上げたいのは、先ほど清水さんもおっしゃいましたが、広島は先ほど申しました早期援助団体に指定されてから、広島県警との連携の中で、県内で起きている殺人事件の御遺族の支援というのはほとんど担当させていただいているのですね。広島県警の方が上手に御遺族の方にお話しいただくのだと思うのです。ですから、その御遺族の方が「じゃあ支援センターの人に会ってもいいよ」と言っていただいて、裁判の支援をして、裁判が終わってもずっとお付き合いをさせていただいております。ということで、殺人事件の御遺族の支援につきましてはかなりのレベルの支援が今できるようになっていると思います。

 まだまだ足りないところも多々あるとは思うのですけれども、一方、先ほどおっしゃったように、今日どうしようかなと思ったことを清水さんがおっしゃっていただいたので言いやすくなったのですが、性犯罪の被害者への支援ですね。性犯罪というのは犯罪であっても、被害を受けた方が告訴しなければ犯罪にならないわけですよね。これは今、法改正をしようとして、告訴しなくても捕まえるという、そういう方向も出てきているようでありますが、現状では告訴しなければ犯罪にならない。犯罪にならなければ私たちのところにも早期援助として依頼が来ないということです。警察も告訴がなければ動きようがないと。しかも、告訴された方の支援をしているのですけれども、その人たちの周りには同じ被害を受けても泣き寝入りしている方がいっぱいいると、そういう性犯罪被害者の支援につきましては当センターは本当に非力でございます。

 その最大の理由は、性犯罪の被害者の支援につきましては、幼児ですね、保育園、幼稚園から高齢者の被害に至るまで、その方々が所属している組織との連携が必要なわけですね。それで、親御さん、例えば思春期以降になりますと被害を親に言わないで支援を求めてくる娘さんたちも少なくない。そういった場合に娘さんと当センターだけで支援していけるわけではなくて、やはりどうしても学校の先生や様々な関連している機関との連携が必要になるわけですが、当センターの50名足らずのスタッフでは、日々起きている膨大な数の性被害、性犯罪、それで生涯苦しみを抱えている多くの方々に対して支援の手が差し伸べられないわけであります。

 これは非力であるし、当センターの弱点でもあるのですが、だからといって、しないでいいと思っているのではなくて、やはりこれは地域全体で相当に強力な取組をしなければできることではないと。そこを当センターのような一民間団体が音頭を取るということはとてもできることではないということで、今まで忸怩たる思いをしていたのでありますが、このことにつきましては相当、県民ぐるみの大きな運動を起こしていかなければいけないのではないかなと思いますが、じゃあ、私がそういう運動を起こすかというと、こういう老体ではなかなか難しくございまして、これは本当に関係省庁、関係各部局の方々の協力を得て取り組まなければいけないと思いますが。

 本当に残念ながら、広島は子供たちに対する性被害が多いですね。残念ながら教師による性犯罪というのが少なくないという嘆かわしい県でございますので、これに対して何とかならないかということを、当センターも含めた関係者の課題として挙げさせていただきたいと思います。

 以上でございます。

山本: ありがとうございました。それでは原田さん、お願いします。

原田: 先ほど県警における取組を申し上げました。警察は犯罪被害者やその御家族と最も密接にかかわっている機関でございます。そのため途切れのない支援を適時、適切に行わなければなりません。

 しかしながら、先ほども申しましたが、警察官からの心ない言葉や捜査に熱心なあまり被害者の方々に二次的被害を与える、こういうこともまだあるようでございます。そのため、いろんな教養の場で、被害者支援の重要性と具体的支援内容を警察職員に対して教示しているところでありますが、引き続き部内教養を充実したものにしてまいりたいと考えております。

 また、犯罪の発生を抑止する運動、先ほども言いましたが、「『減らそう犯罪』広島県民総ぐるみ運動」、これらの運動によって犯罪を抑止して犯罪被害者を少しでも減らし、なくしていくことを関係機関、団体と連携して取り組んでいきたいと考えております。

 それ以外にも、先ほども若干申しましたけれど、広島県の被害者支援連絡協議会、今年から幹事会というのを設けて実際の事務局レベルの会議を設けております。これによって各関係機関、団体が顔の見える関係をつくって、何かあればさっと集まって、さっと対策がとれる、いろんなことが連携して取り組んでいけるということを進めております。これもまだまだ、来年度以降も引き続き積極的に進めてまいりたいと考えております。

 いずれにいたしましても県民の皆様方の御理解と御協力があって初めて実現するものでございます。引き続きどうか御協力をよろしくお願いします。

 以上ございます。

山本: ありがとうございました。それでは、県の立場でお願いします。

倉迫: 何度も繰り返しになるようでございますけれども、まずは本日のような場を含めまして、多くの皆様方に被害者支援の必要性を知ってもらうという取組はずっと続けなくてはならないと思っております。地域ということでございますが、市町の総合的対応窓口に対しての研修であるとかというのは引き続き行ってまいりまして、少しでも負担が軽減されるような取組を続けていかなくてはならないと思います。

 それと、第3次基本計画が、内閣府の方からもお話がありましたけれども、準備をされているようでございます。その中で地方公共団体の支援の充実ということもあります。それから気運の醸成もございます。これはずっと続けていかなくてはならないことでございます。

 さらには、先ほど先生からもございましたように、潜在化しやすい性犯罪被害者支援の充実ということも若干上がっていたかと思います。まさに性暴力被害についてでございますけれども、こちらにつきましても県の方でも少し検討させていただいておりますので、県民総ぐるみといいますか、そういった盛り上がりでもって対応を是非考えていきたいなと思っております。

 それから、この第3次の計画の中には、加害者の賠償制度という言葉も入っていたかと思うのですけれども、そういったことも今後、また支援されていくように取り組まなくてはならないと思っております。

 本日は内閣府と共催させていただいておりますけれども、国の支援、協力というのは欠かせませんので、是非とも連携を密にさせていただいて、連携を強化する必要がございますので、よろしくお願いしたいと思います。

山本: ありがとうございました。それでは、これまでのところで清水さんにはまだ言い残したこととか、あるいはまた皆さんを含めて訴えたいということがありましたら、どうぞよろしくお願いします。

清水: 被害者の立場からお願いが、最後にあります。

 被害者になるつもりは初めから毛頭ありませんでした。ただ、誰かが言いましたけれど、宝くじに当たるよりも難しいというぐらいの確率で、うちは犯罪被害に遭いました。今お話もあったように、うちは女の子でした。まさに性犯罪の延長で、最終的には殺すしかなかったということで、犯人は殺している状況です。

 女性の性犯罪被害は、先ほども言われましたように、どんどん増えております。そしてまたその盲点は、犯人が告知できないということです。特に年ごろのお嬢様になると、結婚されるときにそういう犯罪をされた歴があったりすると、結婚ができないとか、そういう相談事もあるそうです。うちの娘も3歳でしたので、もしも性犯罪、性的虐待だけ受けていれば、今も生きていたかもしれません。ただ、心の中にはずっとそのショックなり傷が残っていたと思います。何の支援が一番そこで大事なのかと考えますと、起こってからの支援は、実際していただいた私たちもそうですが、それはすごく感謝しております。

 ただ、一番原点に戻れば、ないのが一番なのです。生まれてからすぐ、赤ちゃんのときから犯罪者は1人もおりません。大きくなるにつれてレールを間違って犯罪の道に走っていきます。それを止めてあげるのは私たち大人であると私は思います。

 そして今、警察の方でも防犯に関しましてすごく力を入れていらっしゃると思います。被害者の方から言いますと大変ですが、本当、私たちは警察の捜査のおかげで、娘はきれいな体で、傷がなく帰ってきました。それはもう本当に日本の警察に大変感謝いたしております。そういった事件がないように、公務の方はすごく過酷だと思いますが、警察官の方には鋭い目で周りを見渡していただいて、ちょっとした事件でも力強く日本を守るために頑張っていただきたいと思います。

 そして国の方には、私たち犯罪を受けた者に少しでも普通の生活ができるように。といいますのは、私も2年間仕事を休んでおりまして、会社がたまたまそういうのに関しまして保障をしてくれる会社でしたので、今まだ在籍しておりますが、本来であるなら恐らく退職を余儀なくされたと思います。そういうのに関しましても実際自治体また国の方からの、そういう犯罪を受けた者に対しての御支援を何か形の見えるものでしていただければと思っております。

 以上です。

山本: ありがとうございました。

 それでは、一通り皆様方のお話をお伺いしました。もし何か一言、言い足りないこと、忘れたことがあったということがありましたら、よろしくお願いします。兒玉先生、何かありますか。特によろしいですか。

 それでは、時間もまだ多少あるのですけれど、もし会場の方で「こういうことをお聞きしたい」という方がいらっしゃいましたら挙手をして、ちょっと所属を言っていただいて、どなたに質問と。よろしくお願いします。お1人。ちょっと声を上げてください。すみません。どうぞ。

会場発言: 本日は貴重な話をどうもありがとうございます。特に清水様におかれましては、いまだに悲しみを抱かれて、常に御自分を責め続けられていることで、私も悲しく思い、聞いておりました。

 どなたかにというふうな形ではないのですが、まさしく心(ここ)様の事件について立正大の方が研究されてお考えを述べておられたのが、不審者に注意して防犯をするというのは限界に来ているのではなかろうかと。注目すべきは環境の方であると。清水様の場合はたまたまお子様がトイレに行かれるのが、目が及び切らずに残念なことになったと。これがもし多目的トイレがフロアから、レジから見える位置で、多目的トイレ、女子トイレ、男子トイレが、入り口が完全に別々で離れていて、それぞれがレジから見える場所であったら、どんなに清水様がちょっと目が届かなかったなあとなっても、お子様は無事に戻ってこられただろうというふうなことでございました。

 例えば火事が起きたら、不幸な火事が起きたら、そういうことがもう二度と起きないように建築基準法がどんとん変わっていく。

 犯罪の方、例えばちょっと話が変わってしまいますが、ある市役所では防犯は生活安全課が担当しております。事件が起きている最中は防災危機管理課が担当しておりまして、被害者の支援の方は社会福祉課が担当するというふうに、見事に縦割りが成立しておりまして、そこに情報連携がない。

 いろいろお話を聞いておりまして感じたのは、こういうふうに支援させていただく中で得られた情報というのが、防犯の方につながっていけばいいなというふうなことを思いましたということでございます。

 すみません、取りとめのない話になりました。ありがとうございます。

山本: 貴重な感想ですね。ありがとうございました。特に答えということは、もし原田さん、何か。

原田: 防犯の関係につきましては、警察としても環境の問題にも非常に関心を持って、例えば公園なんかで犯罪が増えるということであれば、公園の木を切ってもらうとか、生け垣なんかもちょっと刈り込んで見通しをよくしようというようなことも地域の団体なんかにはお願いをしたり、町内会にもお願いしたり、そういう活動を防犯教室で行っております。非常に環境問題は大切だろうと思いますので、今言われたのは大事なことかなと思います。以上でございます。

山本: 貴重な御意見ありがとうございました。ぼちぼち時間が参りますので、私の方で最後のまとめにさせていただきたいと思います。

 本日は、皆様方には最後まで非常に熱心にお聞きいただきまして、本当にありがとうございました。ただいまいろんな立場でお話をお伺いしました。それで私たちが、先ほど言いましたように、大きなテーマの中で、地域で、あるいはこれから我々が被害者支援のため何ができるか、それぞれの組織で頑張ってはおりますけれど、やはり皆さんの御理解がないとなかなか達成しない。広島県が本当に安全な、あるいは日本が安全な国になるということにはならないと思います。そのために今出ました意見をまとめますと、大きく2つあると思います。

 1つは我々の組織、いろんな団体、組織がありますけれど、その連携をさらに密にいかにできるかということだろうと思います。私どもが被害者支援センターを立ち上げた11年前から言いますと、先ほど出ましたように広島県の方も、あるいは県警の方も本当に体制が整ってきたと思います。特に広島県で、23市町全てに担当窓口ができるというふうなことも、これは大きな時代の流れの中で体制を整えていただいて、専門員を置いていただけるということだろうと思います。

 県警の方は、先ほど出ましたように各関係機関が集まった協議団体、さらにその幹事会も開いていろんな連携をしているということも、やっと緒についたところだと思います。私たち支援センターも、県や県警とは連絡を密にして、早期援助団体ということもありますのでやっておりますけれど、ますますこの連携をさらに密にして、今後ともお互いの情報交換の中で、組織として何ができるかということを考えていきたいと、これからも更に深めていきたいと思っております。これが1点であります。

 もう1点は、我々が市民として、あるいは県民として何ができるかということでありますけれど、多分今日は本当に意識の高い皆さん方にお聞きいただいたのだと思いますが、本当は、先ほどちょっと言いましたように、かなりの方というかほとんどの方が無関心ということもあるのです。地域、あるいは隣近所で、あるいは家族も含めて今日のお話の一部、清水さんからもお話がありましたように、あるいは皆さんからお話がありましたように、今日のお話、あるいはこういう議論を、「こんなことがあったよ」ということをお友達とか家族でお話をいただいて、一人一人がまずこういう実態を認識するということが第一だろうと思うのですね。

 こんな現状があるんだと。本当、自分には全く関係ない、よその世界、先ほどありましたように宝くじよりもっと確率が低いかもしれない。しかし、あるということも現実ですね。皆さんも考えられて、近くで事件がありうると思います。交通事故を目にされる方もあると思います。全く他人事ではないので、そういうことに対して常に意識をしておくということと、起こったときにどうするかという意識を常に持っておきたいと思います。

 それから、そういうことに対して我々がまず理解をするということと、地域で何ができるかということも本当は少し考えていただければと思います。それは各職場なり友人なりで、「こんなことを聞いたんだけど、我々がもしこうなったらどうなるかな。我々は何ができるかな。どういう支援ができるかな」ということも、またいろいろ議論していただければと思います。

 せっかくの機会で、コーディネーターを受けさせていただいて、勝手にしゃべらせていただくのですけれど、広島被害者支援センターの役割として、大きな活動でもし皆様方にお願いするとしたら、一つは皆さん方に御協力いただいて、あるいは寄附をいただきながら運営をしているわけで、全部ボランティアで運営しております。そういう御協力をいただくというのが一つ。

 それから、先ほど言いましたように、兒玉先生からも出ましたように、裁判員とか裁判所とか検察庁とか、そういう直接支援をするときに支援活動員という仲間がついていくわけなのですね。先ほど支援すると、被害者の方も言っておられましたけれど、その活動員というのは毎年毎年、活動員の養成講座というのを開いているのです。これは新聞なり広報なりで、また来年もやるつもりでありますけれど、是非とも御関心のある方は活動員へのトライをしていただいて、1人でも2人でも、今はどちらかというとOB関係、仕事を終えた方が多いのですけれど、それもずっと10何年たってかなり高齢化しているのですね。ですから、もちろん若い方が仕事を持ちながらというのは非常に難しいのですけれど、そういう活動員に興味がおありという方は、是非その講習を受けていただいて、1年、一つ初級編があって、それからアドバンス編というか上級編があるのですけれど、それを超えていただければそういう被害者支援のための活動員として活動いただく場があります。是非ともそういう場に挑戦いただきたいということをお願いいたしまして終わりたいと思います。

 また、今日は清水さんですが、本当に私は何度もこういう仕事をしながらいろんな方の話をお聞きしていますが、今日は皆様、本当に大変心に響くお話だったと思います。最後の献花台の話も、本当に何かいい方法はないかなと。物理的に県や市、熊本市、熊本県がどうという批判をするつもりは全くありません。ただし、何らかの形で心の中に残る、何かそういう方法がないかなと、そういう方法をまた考えていきたいなというふうなことも思いましたけれど、本当にこれだけ勇気を振り絞ってお話をいただいた清水さんに、今後とも元気で御活躍いただくことを祈念いたしたいと思います。もう一度清水さんに拍手をお願いいたします。

 今日は本当に皆様、限られた時間でありましたけれど、最後まで聞いていただきましてありがとうございました。これで終わります。

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