広島大会:主催者挨拶

内閣府犯罪被害者等施策推進室長 安田 貴彦

 ただいま御紹介をいただきました内閣府犯罪被者等施策推進室長の安田でございます。本日は、御多用中にもかかわらず、多くの方々に御参加をいただきまして、誠にありがとうございます。犯罪被害者週間広島大会の開催に当たり、主催者として一言御挨拶を申し上げます。

 皆様御案内のとおり、平成16年の12月に犯罪被害者等基本法が成立し、今年で11年になります。この間、政府は第1次、第2次の犯罪被害者等基本計画に基づき、犯罪被害に遭われた方々のための施策を総合的、計画的に推進してまいりました。目下、来年度からスタートする第3次の基本計画の策定に向けての検討を進めているところでございます。その骨子案につきましては、既に公表させていただき、12月10日までの間、パブリックコメントとして国民の皆様からの意見を求めているところでございます。

 この11年で、各方面の御努力により、我が国の犯罪被害者支援は犯罪被害給付制度の拡充、刑事手続における被害者参加制度の確立など年々拡充をしてまいりました。また、各地方公共団体におきましても、犯罪被害者等のための支援体制の整備などが進んでいるところでございます。

 ここ広島県におきましても、すべての市町に総合的対応相談窓口が設置されるなど行政機関、警察、犯罪被害者支援団体等が相互に緊密に連携して被害者等の支援に取り組んでいただいております。これまでの皆様の支援活動に対しまして、心からの敬意を申し述べさせていただきます。

 しかしながら、このような各種施策が実効性を持って、犯罪被害に遭われた方々が被害から回復し、再び平穏な生活を営むことができるようになるためには、国及び地方公共団体による施策の推進だけでは足りず、国民の皆様の御理解と御配慮、そしてそれに基づく御協力が不可欠であります。そのため、政府では毎年11月25日から12月1日までを犯罪被害者週間として、国民の皆様に被害者の置かれている状況や支援の必要性について考えていただく機会として呼び掛け、このようなシンポジウム等を各地で開催させていただいております。

 本日の広島大会におきましては、犯罪被害者及びその御家族に対する途切れのない支援について考えるプログラム構成とさせていただいております。

 本日、私からは是非皆様に三つの点について御理解をいただければと思っております。その一つは、「被害者の問題は私自身の問題である」ということでございます。先進国の中では最も安全と言われ、犯罪や交通事故も減少傾向にある我が国におきましても、一生、皆さんや皆さんの御家族が犯罪等と無縁で過ごすということは実は難しいというのが、残念ながら現実でございます。本日も犯罪被害者御遺族であります清水様から御講演をいただきますが、まさに清水様の事件がそうであるように、被害者やその御家族のこれまでの生活や生きざまとは無関係に、ある日突然降りかかってくることがあるというのが犯罪被害であります。私自身や私の家族、または近しい人が犯罪被害に遭ってしまったら、と想像されながら、犯罪被害者等の置かれている状況を御自身の問題として御理解をしていただければと思います。

 二つ目は、ここでお聞きになったお話を、是非1人でも多くの方にお伝えいただきたいということでございます。御来場の皆様は、被害者支援に対して既に深い御理解をされている方ばかりと存じ上げますが、日本社会全体から見れば、まだまだ被害者問題についての理解は十分とは申し上げられません。それどころか、いまだに誤解や偏見もあり、そのために声を上げたくても被害を訴えられない被害者も大勢いらっしゃいます。一人でも多くの被害者に支援の手を差し伸べ、社会全体で被害者を支え、被害者にとって生きるに値する社会を築くため、どうか皆様が家庭や職場、学校、地域において、今日のこの会を話題にしていただき、被害者に対する理解を広めていただきたいのであります。

 そして、最後に三つ目、本日の大会を小さな一歩につなげましょう、ということをお願いしたいと思います。社会全体で被害者を支えると言われますが、社会とは我々一人一人でできているわけでございます。一人一人がたとえ小さくてもできることを実践するというのが、社会全体で被害者を支えるということであろうと思います。先ほど申し上げました周りの方々にお話をいただくというのもその実践の一つかもしれません。あるいは、今日も御登壇いただく民間のボランティア団体でございます広島被害者支援センターに少しでも御寄附をいただくということも大切な支援であろうかと思います。

 また、インターネットで「内閣府 犯罪被害者」と検索をしていただくと、私どものFacebookも出てまいります。それに「いいね!」とクリックしていただくだけでも、皆様方のお友達に我が国の犯罪被害者の現状が伝わりますし、私どももまた励みをいただき、元気をいただいて更に仕事に邁進できると思います。また、学生さんであれば、先ほど申し上げた被害者支援センターにお問合せなどいただければ、こうしたイベントのお手伝いなどもしていただけるのではないかと思います。

 さらには、自治体や警察などでお仕事として被害者に関わる方々であれば、大変な力をお持ちであります。そうした方々が、「もし自分が被害者の立場だったら、私に何をしてほしいと考えるだろうか」という、思いを持ってお仕事をしていただければ、きっと大きな支えになっていただけるものと思っております。「私の問題である」ということ、「伝える」ということ、そして「小さな実践をする」こと、どうかこの三つをよろしくお願い申し上げたいと思います。

 最後になりますが、基調講演やパネルディスカッションで御登壇いただく方々、更に和太鼓コンサートを行っていただく山陽高校の皆様を始め多くの方々に御協力をいただいてこの会が開催できますことを心より感謝を申し上げて、私の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました 。

広島県環境県民局長 森永 智絵

 皆様こんにちは。ただ今御紹介を頂きました広島県環境県民局長の森永でございます。本来ですと湯崎広島県知事が御挨拶を申し上げるべきところでございますが、本日、公務の都合で出席がかないませんでしたので、私が代理として一言御挨拶をさせていただきます。

 本日はお忙しい中、犯罪被害者週間広島大会に御参加いただき、本当にありがとうございます。本大会は、内閣府、広島県、広島県警察本部、公益社団法人広島被害者支援センターの共催により開催するものでございます。御尽力を頂きました内閣府を始めとする関係の皆様方に心から感謝を申し上げます。

 さて、本県では、今年度、県内の全市町に犯罪被害者等支援の総合的対応窓口がそろったところでございます。犯罪被害者週間に先立ちまして、「生命のメッセージ」のリレー展を実施いたしました。この場をお借りしまして、市町及びいのちのミュージアムの皆様方に多大な御協力を頂きましたことを厚く御礼申し上げます。

 不幸にして犯罪の被害に遭われた御本人やその御家族、御遺族の方々は、犯罪による直接的な被害にとどまらず、収入の途絶や医療費の負担などの経済的困窮、捜査や裁判に伴う精神的、時間的な負担、周囲の人の無理解から来る配慮に欠けた対応など、様々な問題に直面されておられます。こうした被害者の方々に再び平穏な生活を営んでいただくためには、県や関係機関の支援はもとより、県民全体で支えていくことが必要であり、広く県民の皆様に犯罪被害者の方々が置かれている状況や、犯罪被害から平穏な生活を取り戻していく上で必要な配慮や支援の重要性について理解を深めていただくことが、何よりも大切だと考えております。

 本日の大会では、御遺族である清水誠一郎様から基調講演を頂きますとともに、日頃から犯罪被害者等支援に深く関わっておられる関係者によるパネルディスカッションが行われることとなっております。また、山陽高等学校和太鼓部の皆さんに和太鼓の演奏を御披露いただくこととしております。この大会を通じて、御参加の皆様方はもとより、広く県民の皆様の間に犯罪被害者の方々への理解と支援の輪がより一層広がりますことを祈念いたしまして、私の御挨拶とさせていただきます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

広島県警察本部警務部長 山本 真吾

 ただ今御紹介いただきました広島県警察警務部長の山本でございます。犯罪被害者週間広島大会の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。皆様方には、平素から犯罪被害者支援を始めとする警察活動に深い御理解と御協力を賜っていることに対しまして、この場をお借りしまして厚く御礼申し上げます。

 さて、広島県の犯罪の発生状況は、県民の皆様の御協力のもと取り組んでおります「なくそう犯罪」ひろしま新アクション・プランの進展により、刑法犯の認知件数は年々減少を続けるなど着実な成果を上げているところであります。しかしながら、高齢者を対象とした特殊詐欺はより悪質、巧妙化しておりますし、子供や女性に対する声かけ事案や性犯罪等、県民が不安に感じる犯罪は後を絶たない状況にあります。また、交通事故につきましても、交通事故死者数に占める高齢者の割合は依然として高く、飲酒運転による交通事故も根絶に至ってはおりません。これらの犯罪や交通事故により心身ともに深い傷を負い、あるいは大切な家族を奪われるなど多くの方々が苦しんでおられるということを忘れてはなりません。

 警察は、こうした被害者の方々と最も密接にかかわり、被害者を保護する役割を担う機関でありますので、日頃から被害者の視点に立って、さまざまな支援活動を行っているところであります。

 具体的には、被害者やその御家族の精神的負担を軽減するために、事件発生直後から支援要員を派遣し、被害者からの相談に応じたり、また付添い支援やカウンセリングを行うなどきめ細かな支援を行っているところであります。また、被害者の経済的負担の軽減を図るため、犯罪被害者等給付金の支給手続の実施を始め性犯罪被害者にかかる初診料や診断書料等の負担なども行っております。

 しかしながら、犯罪被害者等からの幅広いニーズに応えるためには、警察だけではそのすべてに対応することは困難であります。そのため警察では、広島被害者支援センターや医師会、弁護士会、行政機関など関係機関・団体と連携しながら、お互いに共通の認識を持って、切れ目のないきめ細かな支援に取り組んでいるところであります。

 県警察としましては、今後ともこれらの関係機関等とも連携を強化しつつ、被害者支援に積極的に取り組んでまいりたいと考えておりますので、なお一層の御理解と御協力を賜りますようよろしくお願いいたします。

 終わりに、本大会を契機として社会全体で被害者も加害者も出さない街づくりに向けた気運が一層高まりますことを祈念しまして、私の挨拶といたします。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

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