中央イベント:閉会挨拶

内閣府犯罪被害者等施策推進室長 安田 貴彦

 ただいま御紹介にあずかりました内閣府犯罪被害者等施策推進室長の安田でございます。本日は、本当に長時間にわたりまして、最後までお忙しい中、犯罪被害者週間中央イベントに御参加いただき、誠にありがとうございます。

 本日は、「犯罪被害者等の安全と安心の確保」をテーマとし、福井裕輝先生には「男女間における繰り返される被害の現状と対策」について御講演をいただきました。

 そして、続いてパネルディスカッションでは、「ストーカー行為等における被害者保護の課題と支援について」、被害者御遺族を始め、支援の現場、そしてまた行政法学の立場等から、幅広い知見を有する方々により御議論をいただきました。御参加いただきました皆様は、どのような感想をお持ちになられたでしょうか。

 本日、このテーマを選定するに当たり、我々犯罪被害者等施策推進室の中でもいろんな議論をいたしました。先ほど来、何回も御指摘をいただいているように、本年9月に関連法が成立し、犯罪被害者等施策に関する総合調整等の業務が、来年の4月から国家公安委員会及び警察庁に移管されることになりました。私ども内閣府として犯罪被害者週間のイベントを主催するのは最後ということになります。そこで「この節目に何を考えるべきか」ということで、「安全と安心の確保」というテーマを選定したわけでございます。

 言うまでもございませんが、犯罪被害に遭われた方々は、同じ加害者から再び危害を加えられるのではないかという不安や恐れを抱いていらっしゃいます。そして、実際に再被害を受けて、命を落とされるという事件も少なからず発生しています。こういった事件が起きるたびに、何よりもまず「安全で安心な暮らし」が確保されることなしには、犯罪被害者が被害から回復することや再び平穏な生活を営むということはかなわないということを痛感するわけでございます。

 そこで、内閣府として主催する最後のイベントにおいて、被害者にとって最も基本的な要請であり、かつ今後も一層の強化が求められる「安全・安心の確保」について、是非皆さんと一緒に考えられればとの思いを込めまして、このテーマを選ばせていただきました。

 基調講演とパネルディスカッションにおきましては、時間に限りのある中ではございましたけれども、大変に実りのあるお話をいただきましてありがとうございました。被害者が怯え逃げ隠れすることなく、平穏な生活を取り戻し、そしてまた加害者にとっても立ち直る契機となるような施策の在り方として、刑事司法的なアプローチだけではなく、行政的な手法の導入、あるいはGPSなどの新しい技術の活用、そして最新の心理療法の導入、更にはこれが一番重要なのかもしれませんが、実質的な多機関連携の確立、こういった幅広い御提言をいただきました。今後の犯罪被害者等施策の推進におきまして大きな示唆をいただいた御登壇者の皆様には、改めて感謝申し上げます。

 犯罪被害者等基本法の成立から11年が経過し、かつては欧米に比べて10年、20年後れていると言われておりました我が国の犯罪被害者施策は、第1次、第2次の犯罪被害者等基本計画の下で大きな進展が図られ、諸外国と比較しても遜色のない程度に充実をしてきているのではないかと思います。しかしながらその中でも、ストーカー対策については、まだまだ後れている面があるのではないかという御指摘もいただいているところでございますが、この問題に関しても被害者の視点から真摯に考え、いろんな関係の皆様方が力を合わせていけば、また大きな進展が見られることだろうと思います。

 今回の業務移管は、これまでの成果を踏まえつつ、最も多くの犯罪被害者に最も早い段階から接する警察を所管する国家公安委員会、警察庁が総合調整の業務を担うことにより、更にきめ細やかで充実した被害者等施策を推進していけるであろうと確信しております。これまで同様、政府全体で犯罪被害者等施策の推進をしていくことには変わりはありません。引き続き政府の犯罪被害者等施策への御理解と御協力を賜りますよう、高い席からで恐縮でございますけれども、是非ともよろしくお願いを申し上げます。

 また、犯罪被害に遭われた方々の回復というのは、政府あるいは地方公共団体の施策の推進だけでは到底なし得るものではございません。地域社会の皆様に、犯罪被害に遭われた方々に寄り添う、支え合うというお気持ちを持っていただくということが何より重要でございます。

 本日の犯罪被害者週間中央イベントを一つの契機といたしまして、皆様に社会全体で犯罪被害に遭われた方々を支える気運を高めていく、また、必要な制度の在り方についても前向きに考えていく、必要であれば変えていく、皆様にその一端を担っていただきますよう心からお願いを申し上げまして、閉会の挨拶とさせていただきます。本日は本当にありがとうございました。

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