大分大会:パネルディスカッション

「犯罪被害者等を地域で支えるために~犯罪被害者支援の現状と課題~」

コーディネーター:
金子 進之助(公益社団法人 大分被害者支援センター理事長、別府大学短期大学部学長、臨床心理士)

パネリスト:
岩城 順子(被害者遺族、京都府犯罪被害者支援コーディネーター、社会福祉士)
宇都宮 妙(大分県弁護士会 犯罪被害者支援センター弁護士)
藤内 教史(大分合同新聞社編集局報道部記者)
生野 敏(大分県警察本部 警務部 広報課 犯罪被害者支援室長)

金子: 皆さん、こんにちは。お疲れのところだと思いますが、よろしくお願いいたします。それぞれのパネリストの御紹介は、ただいまのアナウンスでもって代えさせていただきたいと思います。早速ディスカッションに移りたいと思います。

先ほどの御講演で岩城さんから、被害者の置かれた状況というものの心情あるいは生活上の様々な問題、経済的な問題については触れていただきましたので、それを踏まえてそれぞれのお立場からの御発言をお願いしたいと思います。順序は宇都宮さん、藤内さん、生野さん、そして最後にまた岩城さんにお話をしていただいて、岩城さんには3人の方のお話の感想と、それから先ほどのご自身のお話や、各パネリストの話の中で強調したいことや、新たに御提案なさりたいことについてお話ししていただきたいと思います。

それでは、まず宇都宮さんからお話をしていただきます。よろしくお願いします。

それでは、まず宇都宮さんから早速お話をしていただきたいと思います。よろしくお願いします。

宇都宮: 皆さん、こんにちは。弁護士の宇都宮と申します。午後ののどかな眠たくなる時間ですが、張り切ってがんばりたいと思います。

まず、犯罪被害者支援と弁護士のつながりとはどういうものか、簡単に御紹介させていただきます。皆さんの中でも、弁護士というと「罪を犯した人の弁護をする、守る」というイメージが強いのではないかと思います。確かに、元々弁護士は、加害者の弁護をするのが本業でした。それは拷問とか冤罪などの歴史的背景があって、捜査機関や国家権力による人権侵害や横暴を防ぐ役割が弁護士に求められていたという背景があるからです。ですから、犯罪の被害者の人権保障にはあまり目を向けられていなかったというのが、残念ながら実態だったのではないかと私も感じています。

司法試験に受かったら、司法研修所で弁護士、裁判官、検察官の見習いの期間があるのですが、その中に刑事弁護という科目はありますが、犯罪被害者支援という科目はありません。ですから、弁護士にとって犯罪被害者支援というのは新しい業務分野と捉えられていることが多いです。したがって、対応できる弁護士も少ないのが現状で、同業者として申し訳ないなという気持ちでいつもいます。

被害者にも弁護士がつくことの意味ですが、端的に言うと、被害者や遺族の方の人権保障。具体的には、例えば加害者から示談、被害弁償の申し入れがあったとき。先ほどの岩城さんのお話にもありましたが、被害者、御遺族の立場からすると、それどころじゃない、もう対応する気力も出てこない。あるいは法律知識がないことから、加害者側に不当に有利な内容で交渉に応じてしまうケースもあるのではないかと思います。そういう場合にも、被害者に弁護士がつくことによって冷静な議論ができ、被害者が正当な被害回復を受けられるようにサポートするのが、一番分かりやすい役割かなと思います。

事件があって、捜査が進んで刑事裁判になるとき、岩城さんのお話にもあった通り、後で、「えっ、そういうことがあったんだ」と知らされる。かなりショッキングな出来事だと思います。ですから、被害者側にも弁護士がついて、これから進む刑事裁判手続きの説明や、あるいは裁判の場に証人として出なければいけない、あるいは意見を述べる場合に、弁護士が付き添って支援をするということもしています。また事件の内容によっては、捜査機関が中々動かないというものもあります。そういう場合は告訴や告発のサポートをすることもあります。

弁護士も被害者の立場に立っていろいろすべきことがあるのですが、皆さんにとって一番心配なのは、「弁護士さんに頼むとお金がかかるんじゃないか」というところが大きいのではないかと思います。弁護士費用が高いからといって支援を受けられないという事態は、絶対にあってはならないことだと思っています。実際に支援を受けたいと考える方がお金がなくても、「どうか心配しないでください」と私は強く言いたいのです。

例えば、御手元に「犯罪の被害に遭われた方へ大分県弁護士会による支援のご案内」というものがあります。それから、法テラスのパンフレットも御手元にあるかと思います。後でゆっくり御覧いただきたいのですが、例えば裁判に被害者、御遺族の方が参加する場合に、国選被害者参加弁護士を税金でつけることができます。加害者側に弁護士さんがつくのと同じようなことです。それから、裁判に進む前のいろいろな被害者支援の弁護士費用についてですが、法テラスが扱っている日弁連委託支援事業を利用することによって、ケースによっては無料で弁護士を依頼することができます。

それから、大分県弁護士会独自の制度を御案内したいと思います。このチラシに電話番号が書いてあると思います。大分県弁護士会では、被害者の支援に比較的早期に取り組んでいて、初回の無料法律相談は電話でも構いませんし、弁護士の事務所で面談で対応することもいたします。お金が有ろうが無かろうが、初回は必ず無料で対応いたします。

犯罪の被害に遭って、例えば怪我をした、病院にかかった。それから、心理的に大変になったのでカウンセリングを受けた。ただ、加害者の方からは弁償も何もない。自分ばかり手出しになっている。そういう場合には、弁護士会の方で「被害者支援給付金」というものがあります。通院治療費とかカウンセリング費用。それから犯罪のことがきっかけで、中には引っ越しをしないといけなくなる人もいます。そういった生活支援金について、最高50万円まで支給させていただきます。一定の審査は必要ですが、こういう制度も是非利用していただきたいと思っています。

今後のことですが、一番弁護士の立場で難しいのは性犯罪の被害者支援です。証拠の確保がすごく難しい。密室の犯罪ですし、事件の内容からして話しづらいことがあります。今大きく言われているのが、ワンストップ支援センターの必要性です。捜査機関、ドクター、弁護士の所に被害者があちこち連れ回されるのではなくて、1か所で迅速に対応できるようにする。これが全国各地で設置の動きがあります。大分県での急務だと思います。

そのためには、岩城さんのお話にもあった、被害者支援のための条例を作ったり、あるいはガソリンが無いと車は走らないのと同じように、予算の確保だとか人材の確保、そして私も弁護士としてできる限りの動きを取っていきたいと感じています。以上です。

金子: 弁護士で被害者の対応をする方が少なかったけれども、少しずつ対応する弁護士さんが出てきた。それから、弁護士が被害者の側に立って働くことはどういう利益があるのかというお話。3番目に、費用について様々な説明があり、最後に性犯罪の特にワンストップサービスについての御提言がありました。ありがとうございました。

それでは次に藤内さん、よろしくお願いします。

藤内: 大分合同新聞の藤内と申します。よろしくお願いします。私は記者生活14年目で、現在主に裁判を担当しています。今回こうしたパネルディスカッションに呼んでいただいたきっかけは、今日の資料にも付けていただいていますが、私が8月に担当した「光を求めて犯罪被害者」という連載記事だと思います。この連載は、性犯罪、殺人、飲酒ひき逃げなどの被害者、御遺族、また支援に関わる方々を取材して、その思いや課題をまとめたものです。

最初に、この連載を始めた経緯や取材で感じたことをお話ししたいと思います。連載は丁度今年、大分被害者支援センターの設立10周年というタイミングで掲載したのですが、個人的には実は何年も前から考えていたものでした。記者というのは本当にいろんな人と出会うことができる仕事で、いろんな人とお話をして喜怒哀楽、いろいろな人間ドラマに触れる機会があります。

私は過去に県警を担当していたこともありまして、これまでも事件・事故の取材に関わることが多かったのですが、その経験の中で一番強く印象に残っていて絶対に忘れられないのは、犯罪被害を受けた御本人、御遺族の皆さんが目の前で流された涙です。殺人とか交通事故、労災など形はそれぞれですが、大切な人を突然失った方に取材に応じていただいて、言葉はなくても目の前でこぼれ落ちる涙を目の当たりにしたときに、本当に無念の思いを感じてきました。

でも取材に来た自分はそうした皆さんのためにほとんど何もできないまま、やっとの思いで絞り出してくれた言葉をじっと聞くことしかできませんでした。そうした経験、反省もあり、被害に遭った皆さんの涙に何か応えたい。そうした涙に込められた思いを少しでもすくって伝えていくことはできないかと思ったことがきっかけになりました。

今回の連載では、数人の方に取材に応じていただきました。今回、私がこの記事の中で大事にしたのは、被害に遭ったときの心情とか、憤りを感じたこととか、困っていること、支えになっていること、突然被害者になった当事者としての気持ちを、できるだけそのままストレートに伝えて、読んでいただいた人の心に訴える記事にできないかというふうに思いました。ですので、支援に関する制度面とか、やや硬い話かな、説明になるのかなと思われる部分は極力省いて書きました。

取材を通して、一人ひとりの方に残った傷の深さ、それから決して傷は癒えることはないけれども前を向いて生きていこうという御遺族の強さというものも、改めて感じました。また、被害に遭った人が犯罪そのものの被害だけではなくて、周囲から「被害に遭ったお前の方が悪い」と言われたり、職場の理解が無くて、今の仕事を辞めざるを得ない状況になったり。この見出しにもあるように、二重三重の苦しみを受けているケースが少なくないことも実感しました。月並みな話かもしれませんが、そうした状況を少しでも変えるには、犯罪被害は他人事じゃないという意識をまず多くの人々に持ってもらうことかなと思っています。

岩城さんも先ほどの講演の中で、被害者支援は関心を持つことから始まると言われていましたが、その通りだと思っています。何の落ち度も無くて理不尽な思いをしている被害者が救われないということがあってはならない。自分自身も記事を通して、被害者の視点や生のメッセージを発信していけたらと思っています。

そもそも被害者をなぜ取材するのか。取材の必要性について少しお話ししたいと思います。犯罪被害者とマスコミということで言えば、過熱した取材とか報道による二次被害がよく取り沙汰されます。ときどき明らかに現場で配慮のない取材をする人が見受けられるのも確かですし、そういう意味ではちょっと肩身が狭い思いをするのですが、事件・事故にどんな背景があったのか。また、捜査が適正に行われているのか。捜査機関が事件の概要を公式に発表する中で、都合の悪いことを隠してはいないか。報道機関としては、そういった被害者サイドに話を聞くことで分かることもあって、被害者、周辺の関係者の取材をすることで、より真実に近づくことができるのではないかということを意義としては感じています。事件報道では、逮捕された加害者の供述などが先行して報道されることが多いのですが、捜査機関の発表だけに頼らず多面的な取材をするという意味でも、了解が得られるというのが前提なのですが、被害者の方への取材は必要だと思っています。

ただ、先ほどお話ししたとおり、決して十分とは言えないかもしれませんが、二次被害の点は特に気をつけています。被害者を傷つけないためにはこうすれば良いというようなマニュアルみたいなものは全くあり得ないので、個々のケースで判断しているのですが、こちらの取材意図をちゃんと誠実に伝えて、可能な範囲、タイミングでお話を聞かせていただく、無理強いはしないというのを基本にしています。当たり前のことなのですけれども。

私は、まず周囲の人を通じてアプローチしたり、代理人の弁護士の先生がいらっしゃったら、代理人を通じて意向確認をしたりしています。また、取材ができたとして、どの範囲まで記事にするかというのはなるべく合意の上で、相手方の了承の上で出すようにしています。ちょっと難しいなと思うのは、被害者の元に報道が何社もワッと押し掛けたときの対応です。何社もの人にピンポンピンポンとインターホンを鳴らされるのは、自分の身に置き換えてみても嫌だと思います。

別に報道各社で談合するわけではないのですが、現場レベルでの調整というか、誰かが仕切り役になって過熱しないようにブレーキを踏むとか、申し合わせをするとか、代理人を通じてアプローチするとか。報道だから許されるということではなくて、普通の当たり前の感覚、意識を持って対応することが求められると思います。

最後に、私が思う報道の立場でできることについてお話しします。被害を受けた憤りとかつらさ、社会に対する問題提起について、一人では中々声を上げられない。そうした人の思いを代弁することができるのは、やはり報道の力だろうと思います。広く世に訴えて何かを変えることができるのは、ペンや映像の力なのかなと思います。被害直後の、真っ暗闇で先の見えないトンネルの中にいるのに、そんなにマスコミに話なんてできないよと言う方がほとんどかなと思うのですが、例えば時間が経っても、声を上げたいとき、訴えたいときなどは少しでも力になれると考えています。

金子: ありがとうございました。藤内さんは、まず関心を持ってもらうことが大事なので、そのためには被害者の真実をどう伝えるかということが自分たちの使命だということをお話しいただきました。また、様々な二次被害等を起こさないように気を付けていかなければいけないということで、最終的には被害に遭った人たちの思いを代弁する思いで記事を書いているというようなことをお話しいただきました。ありがとうございました。

それでは生野さん、どうぞお願いします。

生野: 警察本部、広報課犯罪被害者支援室の生野でございます。今日はよろしくお願いいたします。私は今年の春に犯罪被害者支援という職務を命ぜられまして、今日で7か月経過したところです。したがいまして今日この席に座らせていただくのは面はゆい思いでいっぱいでございますが、なにとぞ御容赦願いたいと思います。

現在、日々発生する事件の被害者等に対する支援を中心に仕事をしております。警察の仕事と申しますと、何か事件が起こって、それを捜査して犯人を検挙するというようなイメージがおありかと思いますが、警察の責務として国民の身体・生命の保護が重要な任務となっておりますことから、この被害者支援も警察の重要な任務の一つと考えております。したがいまして、私の方も日々、どのようにしていけばきめ細かい、寄り添うような支援ができるかということを常に心掛けながら仕事を進めているところです。

私からは今日、警察で取り組んでおります被害者支援について少しお話をさせていただきたいと思います。犯罪被害者等が被害直後に生ずる様々な問題や痛手については、先ほどの岩城さんの講演、主催者の挨拶の中でも触れていますので事細かにはここでは申しませんが、様々な痛手に苦しめられているというのが現状です。

ことに警察では、被害に遭われた直後からその被害者、もしくはその御家族と直接接することとなり、被害の届出、被疑者の検挙、被害の回復・軽減、再発防止などを通じて犯罪被害者等と最も密接に関わっている機関です。犯罪被害者等を保護する役割を担う機関であることから、警察では犯罪被害者等の視点に立った各種施策の推進に努めているところです。その主なものとして、4つほど今日は説明をさせいただきたいと思います。

まず1つ目の「捜査過程における被害者への負担の軽減と情報の提供」について説明いたします。

犯罪被害者に対する支援活動は事件発生直後から必要となることから、支援が必要となった事案が発生したときには、予め指定された警察職員が各種被害者支援活動を現在行っています。これを警察では「指定被害者支援要員制度」と呼んでいて、県下15の警察署と高速道路交通警察隊の警察職員、現在約450名がその任務に就いています。そのうち45名は女性の警察官です。

その具体的な任務として、まず1点目は医師の診察が必要な場合の病院への手配や付添い、実況見分の立会いなど、付添いという任務がございます。

2点目は、心配事の相談です。事情聴取などのヒアリングという任務を負っています。

3点目が、刑事手続の説明や、場合によっては家族や会社、学校などに説明をするという、説明という任務も負っています。

4点目、刑事手続や被害者のための制度、被疑者の検挙までの捜査状況の連絡、被疑者の検挙状況や逮捕被疑者の処分情報の連絡という、連絡の義務を負っています。

5点目が引継ぎです。これは、今日コーディネーターを務めています金子理事長の民間被害者支援団体であります大分被害者支援センターへの支援の引継ぎを行ったり、部外のカウンセラー等の紹介なども行っています。

最後に、地域警察官による犯罪被害者等のお宅の訪問や連絡活動もしております。

また、性犯罪被害者が捜査の過程において受ける精神的負担を少しでも緩和するために女性警察官を指定し、被害者からの事情聴取を始め、証拠採取や病院への付添い、捜査状況の連絡なども行っています。それが精神的なケアということになります。

2つ目として「経済的な負担の軽減」という制度があります。

その1つは「公費負担制度」です。これは、被害に遭われた方の経済的負担を少しでも軽減して差し上げるために、傷害事件などで怪我をした場合に病院からの診断書を警察に提出してもらっているのですが、それに掛かる診断書料や、性犯罪被害者の初診料、緊急避妊料、性感染症検査料などの経費、またはDV被害者等のシェルターと言われる一時避難場所の確保に要する経費、もしくはストーカーなどの被害防止のための監視カメラ設置に要する経費などを公費で負担しています。

また、「犯罪被害給付制度」があります。この制度は昭和56年から始まった制度で、通り魔殺人など故意の犯罪行為により亡くなられた犯罪被害者の御遺族や、重傷病を負った、または障害が残った犯罪の被害者に対して、社会の連帯共助の精神に基づいて国が直接犯罪被害者等給付金を支給することによって、被害者の精神的・経済的打撃の緩和を図ろうという趣旨で始まった制度です。

給付金の種類には3種類あります。遺族給付金は最高約3000万円、重傷病給付金は治療費ですが最高120万円、傷害を負ったことによって症状が固定し、障害が残った場合には障害給付金ということで最高約4000万円という給付額になっています。これは、ほぼ自賠責保険の給付の水準と同じとなっています。

3つ目としては、「警察と関係機関・団体とのネットワーク」を現在構築して支援活動を行っています。犯罪被害者の支援に対する要望というのは、生活上の支援を始め医療、公判に関することなど極めて多岐にわたっています。したがって、これらの要望に対して警察においてそのすべての要望に応えることは不可能です。これらに応えるためには、司法や行政、医療など、犯罪被害者支援に関係する機関・団体などが相互に連携していくことが必要だと考えております。

県レベルにおいては、大分県被害者支援等連絡協議会が設立されておりまして、現在連携を図っているところです。しかしながら、多岐にわたる被害者の要望に応えるためには、警察署と犯罪被害者等が居住している地区の関係機関・団体との連携が必要なことから、警察署単位の被害者支援等連絡協議会を設立しておりまして、地域の実情に合った、よりきめ細やかな支援の推進に努めているところです。この協議会で被害者支援の実情等の意見交換をして情報共有を行い、さらに連携を強化することとしています。

また、犯罪被害者等早期援助団体に指定されている大分被害者支援センターと警察との連携について少しお話ししますと、犯罪被害を受けた直後の被害者もしくはその御遺族は、直後はその混乱や精神的ショックによって自ら援助を求めることができない場合がありますので、被害者やその御遺族から警察が同意を得た上で、警察本部から早期援助団体である大分被害者支援センターに、犯罪被害の概要などに関する情報提供を行っています。情報提供を受けた大分被害者支援センターでは、その被害者や御遺族に積極的にアプローチを行って、個々のニーズに即した直接的な支援を行っていただいています。また、被害者や御遺族からの相談に応じて適切な機関や団体への橋渡しを行うコーディネーターとしての役割も行っていただいております。このことによって、被害者や御遺族が再び平穏な生活を回復するまでの途切れることのない支援に欠くことのできない重要な存在となっていただいております。

最後、4つ目です。「社会全体で被害者を支え、被害者も加害者も出さない街作りに向けた気運の醸成への取組」についてお話ししたいと思います。

犯罪被害者が受けた被害の軽減・回復には、周囲の人々の理解や共感、配慮、協力がとても重要であると考えております。地域社会において、犯罪被害者が受けた心や体の痛み、命の大切さ、支援の必要性などに理解が深まっていけば、社会全体で被害者を支え、被害者も加害者も出さない街作りに向けた気運が醸成され、ひいては安心して暮らせる安全な大分の実現にも寄与するものと期待されております。

県警では大分被害者支援センターと連携をしながら、中学生、高校生を対象とした「命の大切さを学ぶ教室」を開催するなど、あらゆる機会を利用して犯罪被害の実態や犯罪被害者支援の重要性などに関する広報または啓発活動を行っております。

以上の4つが警察における被害者支援の主な取組です。

金子: どうもありがとうございました。4つの取組について、お話を頂きました。それでは、最後に岩城さん。御自分のお考えと、それから三人のパネリストのお話に関するコメントがありましたらお願いします。

岩城: 先ほどお話ししましたように、私の事件は1996年に起こっています。犯罪被害者等基本法ができる前の犯罪被害者は、非常に厳しい状況に置かれていました。自分に落ち度がなければ犯罪には遭わないんじゃないかという考えがあったように思います。ですから、今のように制度もなく、全部自分で解決策を探さなくてはなりませんでした。支援センターもできたばかりで充実していませんでしたし、行政の窓口に行っても自分から犯罪被害者ですとは言えませんでした。私は何か助けてもらえる制度がないかなと相談に行ったのに、職員の方に自分の身の上話をされただけで、本当にこちらが腹立たしく思うものでした。

けれども、障害者としての支援が必要でした。夫は単身赴任でしたので、お風呂に入れたり、私が寝込んだときには助けが必要でした。ヘルパー制度もあったのに使えませんでした。いろいろ探し回って、障害者授産施設に交渉してお風呂に入れてもらったり、訪問介護ステーションを見つけることができましたが、長い時間が掛かりました。日常生活支援型のボランティアは、社会福祉協議会で相談すれば良いのだということを後で知りました。

日常生活をしていく中でそういう困り事も出てくるのですが、経済的なこともあります。医療費のことを少しお話しします。身体障害者手帳の1級を持っていると、医療費の自己負担はありません。けれども、怪我をした場合は6か月以上たたないと身体障害者手帳の診断書を書いてもらうことが原則できないことになっています。それまでは、自分の健康保険で払っていくというふうに自己負担になります。手帳を受け取ってからの医療費はもう払わなくてもいいのですが、人工呼吸器を付けると、その当時で月100万円の請求書が書かれていました。実際に私たちが払うのは、個室代とか雑費で、それでも30万円ほどは掛かっていました。そういう経済的な負担がありました。

それから、今はもういろいろな立場の方とお話ししたり、私自身が支援者の立場になったりするので、心にもゆとりがあって、何を話されても一応受け止めることができるのですが、事件から間もない頃に人と話していて感じたことがあります。それは、相手の方の接し方を5段階ぐらいに分けられるんじゃないかということです。

一番ショックを受けて嫌な人だなと思ったのは、事件に対して解説されたり、私の態度に批判的な意見や、こんな考え方をしなければならないというふうに説教する人。次の段階は、言い方によってはときには傷ついてしまう人だなと思ったのは、事件のことをよく知らないのになぐさめたり、元気づけようといろいろ言う人でした。次に癒やされたとは感じないけれども傷つけられたとも思わなかったのは、事件について一言も触れない人や、黙って見守ってくれている人でした。それが大体中間ぐらい。それから、話をして良かったなと思った人は、自分の価値観を押し付けずに話をしっかり聞いてくれる人でした。それで一番気持ちが楽になって癒やされたなと感じた人は、その人の身内が被害に遭ったときのように親身になって、困っていることはないかと積極的に手助けをしようとしてくれる人でした。そういうふうに感じました。

この話し合いの趣旨に沿うと、私は、日常生活を送る中で解決していく問題は、やはり行政が中心に進めるのが一番適切ではないかと経験的に思っています。その市町村の担当者のバックアップを、私たち京都府にいる犯罪被害者支援の担当者がするとスムーズに行くのではないかと今は思っています。

京都府は人口が多いので署員の人数もが多いと思うのですが、犯罪被害者支援室には6名の警察官がいらっしゃって、そのうち3名が女性です。勿論先ほども仰っていたように、各署から女性の支援要員の方の応援はあると思うのですが、被害者にとっては支援室に女性の警察官がおられることは有り難いと思います。

金子: ありがとうございました。被害者がどういう状況にあるかということについて、犯罪被害者の給付金制度ができて10年目にシンポジウムがありまして、そのときに出た話では心の傷つきに対する癒やしのニーズが一番多かったが、その次には情報の提供が欲しいという話だったということです。

我々も別に犯罪に限らないのですが、突然日常的でない出来事に出合ったときには、どうしたら良いんだろうと悩みますよね。犯罪の場合は特に心のショック、苦しみというのがあるから、非日常的な出来事に遭遇したときには困惑するのに、一層困惑したり混乱したりするということがあると思うんです。そのときに支援センターのようないろんな情報を持っていて、情報提供やお話を聞いて差し上げる機関があるんです。しかしそこにアクセスするまでが中々大変です。

今仰ったように、犯罪の被害に遭って怪我をしたり病気をしたりしたときに、普通我々は日常的に生活していると健康保険が使えたりするわけですが、ところが岩城さんのお話にありましたように「第三者から被害受けたときには、その第三者が支払うのが基本的には正しいことですよ、だから保険は使えませんよ」なんて言われることがあったんです。今ではそういうことではなくなりましたというお話がありましたが、今でもよくそれを理解していなくて、「交通事故は、だって交通事故を起こした人が支払うでしょう、だから同じじゃないですか」というふうに理解している方がいるんです。そう言われると、ああそういうものかと思ってしまいますが、でもそうではない、ということが一つ。さらにまた補償が得られたり、国からの援助が得られたりする前にどうしてもお金が要ることがある。そういうときに、自己負担あるいは自己の立替えが必要になることもある。しかし蓄えがある人ならいいかもしれないけど、そうでない場合は大変困るのですというお話がありました。

もう一つは、困り事というのは、今は幸いというか老人福祉や障害者福祉も進んできて、そのためにいろいろ社会的な制度が整ってきました。だけど被害に遭った人がそれを利用できるかどうかというのはよく理解できない。そういうときに、きちんと今ある制度をうまく利用してこういうふうにやってくださいよとコーディネートをしてくれる人がやはり欲しいんですね。ですから犯罪の被害者のお世話をする人というのは、犯罪の被害についてだけではなくて、そういう社会にある諸々の制度について理解していて、そこにうまくつないでいくような、そういう役割も必要なのだろうなと思いました。

4人の方にお話をしていただいたのですが、ここのところを確認したいとか質問したいとか、あるいはそれについて私はこういう意見があるということがありましたら、それぞれのパネリストから御発言をいただきたいと思います。

生野: 岩城さんに質問して良いですか。(京都)府では条例ができて、各市町村ほぼ新条例ができているということですが、具体的にはどういった支援ができる条例なのでしょうか。

生野: 岩城さんに質問して良いですか。京都府では被害者支援条例ができており、各市町村にも被害者支援に関する条例ができているということですが、具体的にはどういった支援ができる条例なのでしょうか。

岩城: 見舞金が多いですが、その市町村が主体になってそれぞれの特色を出すというふうになっています。京都市なら生活資金の給付や、大学生と一緒に連携をしています。障害を持たれた方のためにはヘルパーの派遣があるとか、そういうことを入れているところもあります。公営住宅の一時利用などもあります。それぞれ違いますが、大体似ています。

生野: 被害者の方が各市町村のここに行けば良いという、窓口が1カ所に集約されているような、いわゆるワンストップという状態になっているのですか。

岩城: はい。窓口に行くと、その窓口担当者がその人に必要な係の人、死亡だったら戸籍とかありますよね、その人があっちこっちに行って一回一回説明しなくても良いように、必要な係の方々を一部屋に集められて、コーディネーターをされるようになっています。

金子: 老人福祉の場合はケアマネージャーがいて、相談に行くと、「あなたの程度はこれぐらいですから、これぐらいの保険料の支払いがあります。その範囲であなたの状態で利用できるのはこういうのがありますよ」というふうに説明してくれて、「それをやっている事業所はここですよ」というふうに言ってくれるんです。そのような具体的な状況から、どういうサービスがあるのか、そしてそれはどこに行ったら受けられるのかということを的確に情報提供してくれるようなものがあると良いと思います。支援センターあたりでは、できるだけ知識を持ってそういうことをしたいと思うので、日常的に勉強が欠かせないわけですが、しかしいろんな制度の他の部門については知らないことがあって、どうしても連携ということが必要になります。

それから、先ほど岩城さんが御提案になった、市町村の窓口を強化して、そこに行ったら市町村の制度というのを、犯罪被害者支援の専門ではない人が、「それならこういう制度がありますよ、これを利用したら良いですよ」と言ってくれるような、そういうつなぎができると良いなと思います。

いくつか御提案があったのですが、性犯罪の被害者のワンストップサービスも必要ではないかと、具体的に宇都宮さんに御提案いただいたのですが、どういうふうにそれは持っていったら良いか。良い制度なのですが、小都市で人材が少ない中でそれをどういうふうに作っていくのか。今、私どものセンターでは勉強に取り掛かったところですが、難しいことがいくつかあります。

例えば、お医者さんはどこの病院でそういうことができるのか。お医者さんがいても、そこにケースワーカーなり相談員をどう配置すれば良いか。それから法律に結び付けたり、警察で使うための証拠を保全する必要性の話がありましたが、ある所では証拠の保全というのは中々難しくて、そこがネックになっている所もあるらしいのです。宇都宮さん、何か御存知のことがありましたら教えてください。

宇都宮: 仰ったとおり、全国的な動きではあるのですが、各地方自治体によっていろいろ形態があるようです。ただ、小さいところ、例えば大分では今は顔の見えるつながりでなんとか保っている部分があるのですが、やはり被害者の方があちこち出向いていかなければいけない負担が大きいですし、その負担を念頭に置いて被害者の人が泣き寝入りしてしまう部分も多いかと思います。

ですから、一つは、箱物と言ったら変ですが、センターをきちんと立ち上げて、多分ガソリンを入れればやろうという意欲のある人はたくさんいると思います。そういう人とのつながりを大事に進めていかなければならないのではないかと思っています。

金子: 岩城さん、性犯罪のワンストップサービスについて教えてください。

岩城: 京都でもそれを考えています。他府県では病院の中にあるそうですね。病院と警察とがすごく連携していると良いのかなとは思っています。

金子: 費用の点から言うと、先ほど言われました条例が出来上がって、それに基づいたワンストップサービスの制度ができて、予算措置ができて、人の配置ができるというふうなことです。どうしても必要なので、民間の力だけではできませんので、こういう制度をつくるときには官民協力しながらやらないといけないと思っておりますし、特に予算の面が絡んでくると行政の力添えが必要だろうと思います。

もう一つは、岩城さんから市町村の窓口が大変大事ですよというお話がありました。どこの行政もそうなのですが、人が替わるんですね。その問題が一つある。大体2年から3年すると人が替わっていく。そうすると、専門的な勉強をした人がいなくなって、また別の人が来て、その人になるとせっかく被害者の人に良い対応があったのが、またゼロから始まるというようなことがあります。そういうことをどうしたら良いのか。

それから、市町村の窓口の人に、大体行政の人はかなりゼネラリストが多くて、いろんなことに対応してくださるのですが、やはり特有の問題というのはありますので、そこをしっかり勉強しながら進めていただく必要があります。先ほど、京都府の中では岩城さんみたいな方がおられて、そういうふうにずっと続けておられる方が市町村の研修を請け負ってされるということです。もう少しその辺をお話しいただけますか。

岩城: 平成20年にサポートチームが立ち上がって、事務局に行政の方がいます。警察の犯罪被害者支援室から来られている方が1人いて、私たちのコーディネーターが3名 いて、2名が臨床心理士で、1人はスーパーバイザーをしてもらっているので、1人の臨床心理士さんと社会福祉士の私と、それから警察から来られている方の3名で活動します。大事な話があるときは行政の方の4人で動きます。こちらから働き掛ける活動を続けています。警察の方も2年に1回事務局として替わられるし、行政の方も替わられるのですが、コーディネーターはずっと5年間いるので、引続きやれているのかなと思っています。

金子: 研修をなさるときに一番大切なこと、あるいは苦労なさっていることはどういうことですか。

岩城: 知ってもらうという基礎から話をします。先ほどもありましたように、替わっていかれるということがあるのですが、私たちは「替わられてもいい、知っておられる方が増える」という感覚でいるので、担当者の方が替わられても、また同じ話を何回も何回もさせていただいて、理解者を増やしていくというふうにしています。私自身が被害者の話を京都府全部の人権の研修でもさせていただいています。

金子: 今のお話で大切なことは、やはり、中央にきちんと専門性を持って長期的に滞在する専門家がいるということはどうしても不可欠だということが一つ。もう一つは、そこがしっかりしていると、いろんな職員が替わるということを悲観的に考えるのではなくて、むしろ良い方に考えて、理解者がどんどんいろんなところに広がっていくというふうにプラスに考えていく。悲観的に考えるのではなくて、そういうふうに前向きに考える。しかし、替わった方にはきちんと勉強していただくようなシステムを作っていこう。そういうことが大事だということですね。これは本当に大事な話だと思います。

名目的に専門家を配置したといっても、実際に本当に実践的に習熟した人というのはやはり年期が掛かるので、その人たちを要所にちゃんと配置しておいて、後とはいろんな人の交代があっても、その人たちがきちっと勉強していけるようなシステムを作っておくことが大事だということですね。そうすると、市町村の窓口にいろいろ引き受けていただいても実質的にうまくいくことになる。

それから、さっきお話があったように、市町村に条例を作っていただいて、それぞれ被害者に対する取組をきちっとやっていただくという姿勢も大事だろうと思います。

具体的に2つ。特に、性犯罪のワンストップサービスをこれから考えていかないといけないよということ。それから、市町村窓口をきちんと決めていただいて対応できるようにするということ。そのためには、市町村だけではなくて、やはり県の中枢の所に専門家を配置して、その人たちが教育・啓発ができるようなシステムも要るのではないか。具体的にそういうお話が出ました。

他に、これから大分県で犯罪被害者の支援を進めていくときにどんなことが必要か、各パネリストから一言ずついただきたいと思います。今、制度はいろいろある。それもかなり以前に比べたら動き出してきた。しかし、これから先の展望を考えるときに、こういうふうなことが必要じゃないかということ。あるいは、これまで述べられたことでもいいのですが、ここが大事だというところをお話しいただければと思います。

生野: 繰り返しになるのですが、警察だけではすべての支援はカバーできないという状況は先ほどお話ししたとおりです。したがって、犯罪の被害に遭われた方については、その直後、またはそれ以後の生活の支援が一番重要になってくると考えていますので、システムとして、制度上の問題として、犯罪被害者等基本法の趣旨に沿った途切れのない支援ができるような仕組みができていく必要があると思います。

それと、ネットワークとして他機関・団体との連携を取るために、どういう団体があるのか、どういう機関がこういう支援ができるのかという、どなたにも分かるような形の、いわゆる支援のハンドブック的なものができれば、より大分県ではまた連携が進むのかなと考えております。

金子: ありがとうございました。お話の中に出てきましたが、被害者というと、心身に対する影響については割と皆さん理解ができてきたとは思うのですが、生活支援の大切さというところですね。そこがこれからの課題ではないかというご指摘がありました。それから、様々な窓口はあるけれども、個別的にある程度そのネットワークを組んだり、そのパンフレットを作ったり。最近はインターネットがありますので、そういうので検索すれば、きちっと系統図みたいなものが出て、自分はここに行ったら良いかなとか、そういうことが情報提供できると良いなというお話でした。

藤内: 報道で取材をして感じていることは、まずは犯罪被害は誰にでも起こり得ることで、決して他人事じゃないという当たり前の意識、関心をいかに多くの人に持ってもらうかということだろうと思います。それから、被害者支援センターのような存在をしっかり認識してもらうこと。そこからかなと感じています。

先ほどお話をいろいろお伺いした中で、支援する側の制度とか意識、力量を高めるということも必要なのかなと。犯罪の被害に限ったことではないのですが、窓口に相談に行ったけど適切ではない対応をされたと。極端な話かもしれませんが、もしかしたら、それを機に閉じこもって、もうどこともつながらずに受けられる支援も受けられないままになってしまうかもしれない。

連載の中に金子理事長のインタビューがあって、その中で犯罪被害者を支える条例を設けることが、自治体の姿勢を示すことになって、職員の意識も変わるというようなお話がありました。大分ではまだそういう条例はないのですが、支援する側も意識や技量を高める必要があるのかなと思いました。

あと一点、報道に携わる記者の意識も同様で、事件・事故の担当は新人記者がなることが多いのですが、警察など捜査機関が発表する資料を見て、誰々さんがこんな交通事故で亡くなったとか、誰々さんが刺されて亡くなったとか、そう書くのは簡単で、それで記事は成立するのかもしれませんが、実際に当事者の悲しみとか苦しみとか涙に触れたり、自分の家族に置き換えて捉えたりすると、また意識が変わってくる。記者としてのスタンスとか、記事の中身とか、質が変わっていくのかなと感じています。

金子: ありがとうございます。やはり記事になるということは、ある種素材になるということです。ということは対象化されて、その生きている一人ひとりの人というよりも、報道すべき対象というふうに見てしまうことが起こりやすいと思うんです。やはり対象ということになると「それ」、「it」ですね。「それ」という目で見られる。ところが、隣の人、あるいは自分の身内となると「あなた」です。「あなた大変ですね」ということになる。そうすると、身近な人だとその人に起こっていることをもっと理解しようとする。

だから単なる数字とか、あるいは事件の興味的なものではなくて、その人に起こっている、あるいはその人の周囲で起こっていることを理解し、それを伝える。これはとても大事なことで、そうすることで本当に被害者に対する県民の理解が深まっていくのではないかと思います。ありがとうございます。

宇都宮: 先ほど、市町村窓口の充実・強化ということがありましたが、弁護士も窓口を充実・強化していくこと。特に被害者側の支援弁護士の増加。弁護士なら誰でも刑事弁護ができるのと同じように、被害者支援の業務もどの弁護士もできるようにしていきたいと思っています。それから、警察で女性の警察官を重点的に配置してくださっているように、特に女性の弁護士が被害者支援にきちんと携われるように、私もまだまだ修行中の身ですが、後輩弁護士の指導に積極的に取り組んでいきたいと思っています。

金子: ありがとうございました。私は支援センターをやっている者として、これは他のボランティアの機関もそうなのですが、ボランティアの方を募集しても中々集まらないという実情が出てきました。皆さんと接するこういう機会を増やして、理解を深めて、そして一緒に被害者支援のために自分もやってみようというボランティアの方が、さっき質の問題を藤内さんが仰ってくださったのですが、やはり量的にもある程度人が集まってこないといけない。

それから、仕事を持っているボランティアの方はいつでも出掛けられるというわけにはいかないんですね。そうすると、どうしても事務所に滞在して仕事をしてもらう人を置いとかないといけない。そのためには、そういう人を雇うお金が要るんですね。そういうところもこれからの課題ではないかと思っています。どうぞ志のある方、お集まりください。

それでは丁度時間がまいりました。いろいろまだお伺いしたいことがありますし、フロアからも御意見を言いたい方がいらっしゃるかもしれませんが、時間の関係で今日はお話をしていただくことができませんでした。御了承いただきたいと思います。それでは今日のパネルディスカッションはこれで終わりにしたいと思います。御協力いただいた皆さん、どうもありがとうございました。

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