長崎大会:人形劇

人形劇「悲しみの果てに」

 糸あやつり人形劇団「クライシス」犯罪被害者とその応援団
 代表 林良平

―上演後―

【林(友)】 本日はたくさんの方にお越し頂き、本当に有難う御座います。私、東大阪市から参りました林友平と申します。私の娘は今から14年前の平成10年2月19日、当時19歳と4カ月でした。同市内のカラオケボックスでアルバイトしておりました。一人での勤務時間でした。事件が起きたのは午後4時過ぎ頃、当時43歳の無職の男性は、刃物で胸など数ヶ所を刺し、受付のレジの中から4万円余りを奪って逃走。事件発生から36日目、容疑者(犯人)は別の事件で逮捕されて、取り調べ中に私の娘を刺した事を自供し、再逮捕されました。罪名強盗殺人で無期懲役服役中です。

犯人が逮捕された後の裁判の事ですが、一言短く言わせて下さい。今日この会場に来られている皆様の中で、会社を経営されている方、零細企業の方、いろいろとお店を出されている方のご家族、又従業員の方が犯罪で命を奪われた時、雇い主の皆さんは利益優先を考えずに、被害者遺族の心情を考えて頂き、裁判傍聴の日には温かい支援をして頂き、二次被害のない様にして頂きたいと願います。私は会社で二次被害にあった一人です。宜しくお願い致します。

【草刈】 兵庫県の草刈です。18歳の孫娘が殺され、10年が過ぎました。事件から3年半後に犯人が逮捕され、それから1年3カ月後に裁判が始まりました。公判前整理手続が私の裁判には使われました。裁判官、検事、被告人の弁護士、この三者で協議がされる公判前整理手続きの中に被害者が入れない制度に違和感を持ち続けてきました。公判前整理手続に被害者が参加できるようにして欲しいと思います。

【坂口】 兵庫県神戸市から来ました坂口です。私の弟は2000年2月に18歳の少年に殺害されました。今朝、中学2年の娘から届いたメールに、「うちも弟もお母さんと一緒にいられる時間が少なくなってしまった。あいつがあんなことせんかったら、従兄弟と会えなくなることもなかった。お母さんから大切な1番信頼できる存在を奪うこともなかった。週末、みんなで集まって笑うこともできた。お母さんが泣くことも、心から笑えなくなることもなかった。今年の命日、あいつに電話したろ、と思った。あいつが忘れんように、傷つけたろ、と思った」というように書かれたメールが届きました。娘も叔父を亡くした被害者の、遺族の1人です。皆さんが接することのある被害者はごく僅かで、苦しんでいる被害者はもっともっとこの日本にいます。その被害者が藁をもつかむ思いで、支援者にたどり着いたとき、また、その支援者に傷つけ、苦しめられている方の声もよく耳にします。どうか被害者と関わる全ての方にお願いします。自己満足の支援ではなく、被害者の心に寄り添う支援、本当に役に立つ支援、例えて言うと、事件当事者の子どもに対しての支援、心のケアなどはありますが、遺族、また被害者の家族という立場の子どもたちに支援というものは今まだ届いていません。そういった本当に被害者に役に立つ支援をお願いします。そして被害者を、支援者が傷つけることだけはしないようにお願いいたします。
よろしくお願いします。

【坂井】 大阪市からまいりました坂井と申します。私は12年前に起きた事件の遺族になります。私ども、「あすの会」では現在、自治体において被害者支援条例の制定を目指しております。まだ長崎県下では条例が制定された所はないと伺っております。長崎県民のためにも今後、是非積極的に取り組んでいただきたいと思います。ありがとうございました。

【一井】 大阪堺市から来ました一井と申します。私は1995年の8月に15歳の長男を少年4人による集団暴行で殺されました。逮捕された少年らのうち3人は少年院に1年ほど入り、主犯は逆送され、3~5年の不定期刑で、少年刑務所に送られました。しかし当時の少年法では、加害者が誰なのか、原因が何なのか、そして少年審判がいつ行われ、処分がどうなったかなど、全く知らされませんでした。全て少年法という法律が加害少年らを守っていたのです。少年事件では、逆送されない限り、刑事裁判は行われません。人の命を奪った犯人が、少年か大人かという理由だけで、刑事裁判の在り方が変わるのは、私は絶対におかしいと思います。少年法というのは、今見ていただいた人形劇以上に被害者をやっかい者扱いしてきているということを忘れないで欲しいと思います。ありがとうございました。

【川渕】 大阪市から来ました川渕と申します。僕は被害者でもなく、被害者遺族でもありません。刑事裁判を最後まで見る機会がありまして、今、劇でもありましたが、それを見て理不尽だなと。腹が立つことが多かったです。4年前から被害者が参加する制度が出来ましたが、出来て終わりではなくて、今後もより良い法律、支援になっていくようにしてもらいたいと思います。そして微力ながらでも、僕も応援したいなと思います。

【佐藤】 大阪市からまいりました佐藤と申します。私は犯罪被害者ではないのですが、母が交通事故で瀕死の重症を負いまして、一命は取り留めたのですけど、体は駄目になりました。不幸中の幸いで、自賠責とか任意保険で最低限の補償はありましたけど、この人たちと一緒に活動していると、犯罪被害者の補償制度はあってないようなものだなとつくづく思い知らされます。よろしくお願いします。

【林(良)】 大阪からまいりました林良平と申します。看護師であった妻が1995年に医師の身代わりに出刃包丁を腰に突き刺され、重症を負いました。今、約20年近くなっておりますけれども、1種2級という重い障害を負って、痛みに耐えかねている状況です。

今日は、犯罪被害者週間の始まりの日です。私は今現在「あすの会」の代表幹事をさせていただいております。「あすの会」はこういう被害者の権利を考える週間を作ってくださいとお願いしまして、この1週間が、毎年行われるようになりました。ここでは支援の在り方ではなくて、どうすれば良いのかという被害者の権利について考えて欲しいというのがまず第一義です。私個人の思いからしますと、基本法が国の法律として出来て、ものすごく進歩しました。しかし都道府県レベル、市町村レベルでは中々これが進んでおりません。長崎県民のためにも、この長崎県で条例が県でも市町村でも、出来ますことを強くお願いいたしたいと思っております。

この人形劇もどこかで終わることもあるのでしょうけれども、エポックメイキングになり得たのだろうと思っております。今日はこういう機会を与えていただき、本当にありがとうございました。

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