■広島大会:パネルディスカッション

テーマ:「犯罪被害者等を地域で支えるために」
コーディネーター:
 兒玉 憲一(広島大学大学院教育学研究科教授、公益社団法人広島被害者支援センター副理事長)
パネリスト:
 北口 忠(被害者遺族・平成16年廿日市市女子高生殺害事件)
 橋本 英樹(保護司)
 温泉川梅代(ユノ川クリニック 産婦人科)
 藤永 隆司(広島県環境県民局県民活動課長)

兒玉: 司会進行役の兒玉です。本日は、犯罪被害者の方やその御家族の方を地域で支えるというテーマで話し合っていきますが、4人のパネリストからそれぞれの体験や考えを話していただけたらと思います。

その前に、広島被害者支援センターについて御紹介させていただきたいと思います。

本年で活動開始から8年目を迎える当センターは、市民ボランティア50数人による民間団体です。市民の目線で、被害者の方々を支援することに力を注いでいます。犯罪が起きた直後から、また、裁判等が終わりましても、犯罪被害者の方やその御家族が回復していくまでは時間がかかります。回復をするまで何回でもお会いし、何年でもおつき合いするという立場で支援をしています。

もし、犯人が逮捕され、起訴されれば裁判が始まります。一般市民にとっては裁判はなじみがないものです。裁判が始まる前から、警察はもとより検察の担当者、裁判所の担当者、あるいは弁護士などと連携をとりながら裁判の準備をし、公判当日にはボランティアが法廷に付き添い、判決まで一緒に聞いていくということをします。ただ仮に、加害者に対して厳しい判決が下されてもそれで終わりではなく、被害者やその御家族にとってはそこからまた長い闘いが続くわけです。警察はここまで、検察、弁護士はここまで、裁判所もここまでとそれぞれ区切りは来るわけですが、民間団体としての支援は続けていきます。センターは県民、あるいは企業の寄附、自治体からの補助などを受けて活動しています。近年、重大事件の支援が増えており、長く被害者やその御家族に寄り添う活動になっています。今後とも御協力をお願いしたいと思います。

さて、本日のパネルディスカッションの趣旨をお話しします。

今年度の犯罪被害者週間の最優秀作品の標語は「理解する 心がつなぐ 支援の輪」。岡山の方の作品です。基調講演の北口さんのお話で、被害者と御家族の思いを私たちは多少でも理解することができ、理解する手がかりを得たのではないかと感じました。もちろん、7年余りの苦しみのごく一部しか私たちには分かりませんが、「理解する心」が私たちに生まれたならば、今度は「支援の輪」となっていかなければいけない。この点についてパネリストのお話からさらに学んでいきたいと思います。

私たちは家庭、学校、会社・職場、あるいは色々な団体に所属して人の輪の中で暮らし、人の輪の中で支えられています。人の輪とはコミュニティであり、地域であるということもできると思います。北口さんのお話にあったように犯罪被害に遭うと、人の輪、コミュニティとのつながりが途切れてしまうというか、心身ともに傷つき、そして周りの人、社会に対する信頼感も揺らぎ、否応なく孤立してしまうという時期があります。そうした時期を我々コミュニティにいる者としては見過ごさず、再び受け入れ、支え合っていくことがとても重要ではないかと思います。

最初に、北口さんに先ほどの話に加えて発言をお願いします。3人のパネリストのお話をお聞きになった後で、また当事者としての発言をしていただきたいと思います。

北口: 先ほどもお話ししたように、事件後は自分の殻に閉じこもりたいというか、とにかく人に会いたくなかったです。私自身、人と会う時にどんな顔をすればいいのか悩んでしまったからです。笑った顔もおかしいですし、泣いた顔をしているのも変だし、怖い顔でいれば向こうも話しにくいのではないか。どんな顔をすればいいのかを考えるようになり、人との接触を避けていた。同時に、近所の方から何を聞かれるのかという恐れがあって接触を避け、家から出たくない時期がありました。

そうは言いながら、近所の方と会えば、最初のうちは遠くから会釈されるだけ、こちらも会釈する。また少し時間が経てば、こんにちは、おはようございますと向こうから話しかけられ、こちらも話すようになって事件前と変わらず接してくださった。7年も経ちますとそれまで通りの近所付き合いができます。事件前と変わらず、いつも通りに接していただいて、一番助かりました。ですから、もし、皆様の周りで被害に遭われ、被害者となった方には普段どおりに接していただくのが、当事者には一番力強いと感じています。

ただ、7年経っても事件の話は出てきます。相手が涙を流されるのは今でも辛いです。私自身、ぐっと我慢してはいますけれど、目の前で涙を流されますとどう接すればいいのか。普段通りに接していただく、これが一番だと思います。

兒玉: ありがとうございました。

続きまして、橋本さんにお願いをいたします。北口さんとはボランティア活動を通しての出会いもあります。また、保護司として非行を犯した少年たちの相談相手をしています。安全・安心のための防犯活動「おやじの会」の活動もされています。北口さんとの出会いを通して、あるいは地域で子どもたちを見守り、育てるボランティア活動を通して、地域で支えるということについてお話しください。

橋本: 北口さんとの出会いは、事件から1年が過ぎた頃でした。北口さんも1年間、家に閉じこもりがちで悩まれ続け、被害者が出ないための活動をしようと心を変えられて御自分から外に出てこられた。私が防犯パトロール隊「イエローレモン隊」を立ち上げ、その活動が1年目になった頃です。会場にお越しの方、御存知と思いますが、不審者情報の携帯への一斉送信・メールが始まったのが平成17年です。イエローレモン隊が最初に取り入れ、あるNPO法人と一緒に北口さんへの理解を訴える活動を行いました。出会った頃、私は北口さんとどう接していいか困っていたというのが本当の気持ちです。何を聞いていいのか、話していいのか。でも、それから6年お付き合いをいただいて、だんだん自然体になってきている感じです。ただ、犯罪被害者等を地域で支えるとは言っても、地域での具体的な支援活動は行われてないのが実情だろうと思います。

私は主に、犯罪被害者を出さないための活動を進めています。平成10年から始めたおやじの会の活動が一例です。平成13、14年頃、広島では暴走族が社会問題化していました。広島西警察署から、おやじの会で夜のパトロールをしてくれないかという依頼もありました。それがきっかけで平成11年からおやじの会として夜のパトロールを始めています。同時に、子どもたちとの触れ合い、特に小学校1~6年生の間に、地域の大人として子どもたちと接するのがいかに大事であるかを、おやじの会活動を13年続けてきて強く感じ、それなりの成果が出ていると思っています。

私の暮らす地区では、小学校の脇を石内川が流れています。子どもたちには入ってはいけないと言っていたのですが、子どもたちを川に入れてやろうという発想から一緒にごみ拾いをするために川の中に入れて、終わってからは参加者全員でバーベキューを楽しむということを12年間続けています。始めた当時の4~6年生は今では20代半ばになっています。1年生の子どもたちは高校生、大学生になろうとしています。子どもたちは私の顔を覚えてくれています。

最近は少なくなりましたが、コンビニの前などで5人、10人たむろっていることがありました。10人いるとそのうち数人はうちの学区の子だったりしました。僕たちが近づくと、声をかける前にその子たちが他の子に説明するのです。「あれはイエローレモン隊なんじゃ」。子どもが紹介してくれるから声をかけやすい。「何しょうんや」と簡単に入っていける。そういうとき彼らはいつも「おっちゃん、わしらもその黄色いベスト着させてえや。イエローレモン隊入らせてえや」と言っていました。そこでメンバーが「ばかたれ、おまえ、10年早いわ」と応じる。子どもたちを心配している地域の大人を普段から見ていることで、多分、非行を抑止する力の一つになっていると思います。

私は今、保護司をしています。小学校の高学年あたりから非行に向かう芽が出てきます。女の子も男の子も。注意しないといけないなという子は、必ず中学校で期待通りにやんちゃをしてくれます。ですから逆に、そういう子とは小学校のときに多く接触をするように心がけています。

我々は警察でもなければ学校の先生でもありません。悪いことをした子どもでも地域としては受け入れてなくてはなりません。叱るときには叱るけれども、話ができる関係をどれだけ保てるかという点に気をつけながら子どもたちと接しています。保護観察がついたときに、できるだけ次の犯罪を起こさせないための抑止力になるのは大人の見守りだと思うからです。

北口さんの事件の1年後に、広島では木下あいりちゃん事件が起きました。以降、広島市は暴走族取り締まり・防犯から、登下校を中心とした子どもの安全見守りへの取組がガラッと変わりました。子どもたちは家に帰ってから遊びに出たりします。その子たちの見守りを、地域全体でどう取り組むか。地域の人たちの意識を上げる一環になればという思いで、イエローレモン隊の活動を続けています。

イエローレモン隊にはグッズがたくさんあります。帽子、ベスト、Tシャツもあります。車には「防犯パトロール」と書いたマグネットシールを張ります。女性用に10センチぐらいのシールを作りました。缶バッジも作りました。エコバッグは地域の女性が買い物袋に使ってくれています。イエローレモン隊のマークも作っています。万引き防止に役立てようと今使っているグッズのほとんどが女性部隊のアイデアです。

日曜日を利用して、イエローレモン隊決起大会を行います。その会場で毎年、小学4年生が作った安全マップを発表します。レモン隊をすでに6年やっていますから、地域の子どもはほとんど全員がマップ作りを経験して卒業していきます。参加する大人・子ども約150人が2班に分かれて、のぼりを持って石内バイパスを一緒に歩くこともします。

裁判が終わって保護司活動に入り、犯罪者を更生させ、就労支援を行うのが保護司の仕事です。でも、とかく忘れてしまうのが、犯罪被害に遭った方たちの存在です。私は北口さんとの接点があるから意識を持っていますけれども、多くの方が「加害者のために犠牲になった人はどうしているのか」という意識は持てないのが現実だと思います。犯罪被害者支援センターが広島にあって、どういう活動をしているのかを知ってもらうのが一番だと思い「レインボー新聞」を発行しています。

兒玉: どうもありがとうございました。橋本さんが切り盛りされている「おやじの会」は、かつて子育てに奮闘し、子どもが独立した後でも入会できるそうです。橋本さんは地域のボランティア活動にとても熱心ですが、仕事もしていらっしゃいます。環境系の企業で働き、日々奮闘している会社員でもあることを付け加えます。

さて、北口さんは殺人事件で娘さんを亡くされたことを、橋本さんは子どもたちが喫煙、万引き、暴走行為や薬物依存などの非行に走らないようにするために、また、一度罪を犯した子どもたちをどのように支えていくかを話してくださいました。犯罪被害、あるいは犯罪被害者の支援を考える場合に、重要なテーマがもう一つあります。それは性犯罪の被害者の支援です。被害に遭っても警察に被害届を出すことができずに性犯罪として認知されないケース、あるいは夫婦間などのDVに苦しむといった性犯罪被害に遭った人をどう支援するかということです。そこで、ユノ川クリニックの温泉川さんに、産婦人科医としてどのように支援し、また、警察とどのように連携し、さらには医師の仲間とどのように協力し合っているかというお話をお願いしたいと思います。

温泉川: 御紹介いただきました温泉川です。30年、産婦人科医院をしています。医院の立地もあって、県警から依頼を受けて性被害者の診察を行っています。捜査協力が私の仕事であり、性被害を受けた人に対するその後の支援は精神科の医師が担います。

10年くらい前になりますが、産婦人科医会で性被害者協力医の体制を作るために委員会を立ち上げました。そして、主に夜の診察に当たる医師のネットワークを作りました。5月から7月、夜の時間と若い人の性被害が多いという理由から夜間に協力をいただける先生たちを探すのは大変だったのですが、振り返ってみるとよくできたと思います。東京都ではこうした体制はできていないし、鳥取県では一人の先生がずっと診ておられるようです。そういう意味では広島県は進んでいます。

性被害事件は警察の捜査第一課が扱います。これは殺人と同等に性被害者の人間としての尊厳を傷つける犯罪であるという理由から捜査第一課が担当します。警察の関係者とは30年前くらいからのお付き合いです。平成6年頃、警察学校で講義をしてほしいというので、その協力もしています。また、被害に遭った人に女性警官が付き添うことになりました。以前は男性警官でしたので、調書をとること自体がセカンドレイプになるようなことがありました。それから、1回目の診察費用は全額、警察が負担してくれます。レイプを受けて妊娠した場合、中絶には同意書が必要ですが、警察署員がきちんと証明し、一部ですが補助金も出ます。県警の性犯罪の取り扱いは大きく変化しています。

協力医のネットワーク作りは、協力医を今からでも増やしていきたいと思っています。それから、診察の際に検体をとります。私は30年間やってきて、犯罪捜査に必要な検体採取の場所、方法を警察と話し、診察マニュアルも用意ました。協力してくれる多くの産婦人科医は知らないことが多いので、その講習会も開催しています。女性警官にも協力を仰ぐため、警察職員の研修も私の仕事でした。

犯罪防止のために、性教育の必要性を非常に感じています。

夜暗いところを歩く、あるいは露出度が高い服装だと襲われるのではないかと思っている人は多いでしょう。そういう場合もありますが、意外と多いのは身近な人からのレイプです。複数の大学生が一人の女の子を、会社の慰安旅行で一人の女性をといったことが多い。伯父が姪をレイプするといった加害者・被害者が身内の場合もあります。レイプの再被害を出さないために、被害に遭われたら絶対に警察に届け出てほしいと思います。一般の方がモラルをきちっと持っていればそういうことは起きないわけです。性における人権、相手に迷惑をかけない、嫌がることをしない、それだけをきちっと教えておくことが大切だと思います。

ただ、レイプ犯の性癖は変えることはできません。ロリコンが引き金となって性犯罪を起こす人は、ロリコンそのものは治りません。ですが、その性癖の対象となった子どもに将来にわたる精神的な圧迫を加え、フラッシュバックを誘うなどの悪影響を与えているかということを理性的に考え、想像力を持つことができたら犯罪防止になるのではという意味で、人間教育の視点での性教育は必要です。広島県とともに取り組んでいる「未来のパパママ育成プロジェクト」は中学、高校に出向き、性教育を出前する形で産婦人科医会が行っています。

もう一つは緊急避妊法です。被害に遭ったあとの緊急避妊法があることを知っているのと知らないのとでは、その先の人生が変わります。レイプ被害で望まぬ妊娠をすることがないよう、緊急避妊法を普及させるのも産婦人科医としての仕事だと思っています。

人間教育としての性教育。その基本はしつけです。他人に迷惑をかけない、相手が嫌がることをしない。性のみならず人権全てに通じる基本です。そのことを子どものうちから徹底的に教え、理性的で想像力豊かな人間に育てていくのが大切だと思います。

白虎隊、会津藩校日新館「什の掟」には、「弱いものをいじめない、年下をいじめない」などの教えが書かれていて、最後にあるのが「ならぬものはならぬ」という言葉。昔、文芸雑誌が「なぜ、人を殺してはいけないのか」という特集をしました。家族が悲しむから、周りの人が悲しむから、それは犯罪だからなど色々なことが書いてありましたが、やはり「ならぬものはならぬ」でいいと思います。産婦人科医会の大きな事業として、性教育を今後も取り上げていきます。それが被害者支援につながると思います。

兒玉: ありがとうございます。性犯罪の予防には性教育、すなわち人間教育が重要であるというお話でした。

最後は県民活動課課長の藤永さんに、広島県として犯罪被害者支援にどのように取り組んでいるかについての話をお願いいたします。

藤永: 私からはお手元の資料にそって、まずは「刑法犯認知件数の状況」について話をしてみたいと思います。

県内の刑法犯認知件数の状況は、過去9年間のデータがあります。平成22年の広島県の刑法犯認知件数は2万8,335件。刑法犯認知件数が6万件に迫った平成14年の5万9,330件に比べると52.2%の減少となっています。理由として平成14年に「減らそう犯罪」広島県県民総ぐるみ運動が提唱され、翌15年から行政をはじめとして事業者、ボランティアなど関係団体の方、県民の皆様が協働・連携して運動に取り組まれた結果、認知件数が減少してきたと考えています。全体的に刑法犯認知件数は年々減少しており、治安としては改善傾向にあると言えるでしょう。

交通事故の発生件数・死者数、および負傷者数の推移ですが、平成14年から全体的に発生件数、負傷者数とも減少傾向にはあります。しかしながら、平成 22年は交通事故による死者数が127人、負傷者数が2万653人です。北口さんも仰っていましたが、誰にでも凶悪事件、事故に巻き込まれる可能性はあります。他人事ではないことを県民の皆様一人ひとりが受けとめていただければと思います。犯罪、交通事故などの被害は、御本人だけでなく御家族の人生も変えてしまう重大な出来事です。様々な被害を、まずは御自分の身に置きかえて考えていただければと願っています。殺人については平成23年10月末現在で33 件、22年には20件でしたから凶悪な事件、殺人件数も増えている状況です。

次に、犯罪被害者等基本法における地方公共団体、主に県の役割と犯罪被害者支援への取組状況についてお話をします。犯罪被害者等基本法は、犯罪被害者の方や、民間の被害者支援団体の活動による世論の高まりにより平成16年に制定され、翌17年度から施行されました。第3条の基本理念にこの法律の精神が述べられています。

第3条の第1項には、犯罪被害者等の個人の尊厳の尊重と、その尊厳にふさわしい処遇の保障が掲げられています。第2項には、犯罪被害者等が置かれているそれぞれの事情に応じた適切な措置を講ずることが掲げられています。第3項には、犯罪被害者等が被害を受けたときから、再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間の、途切れることのない必要な支援の実施が掲げられています。

この基本理念に基づき、地方公共団体も犯罪被害者の支援を行います。第5条に地方公共団体の責務が載っております。「地方公共団体は基本理念にのっとり、犯罪被害者等の支援等に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する。」と規定されています。

では、実際にどのような施策を講ずるのか、具体的には第11条の相談及び情報の提供等から第23条まで施策が並べられています。

広島県は犯罪者被害者支援を行っていますけれども、平成18~22年までの期間、第2期「減らそう犯罪 広島アクション・プラン」に犯罪被害者支援施策を位置づけています。現在、3期目のアクション・プランになり、引き続き取組を進めています。

県の犯罪被害者等支援施策は、環境県民局県民活動課が担当窓口となり、庁内の福祉、土木、都市局など関係部局との連絡調整を行うとともに、警察本部、広島被害者支援センター、法テラスなどの関係機関・団体と連携して施策を進めることとしています。相談・情報提供では、平成22年度から県民活動課に犯罪被害者等支援総合窓口を設置しました。犯罪被害に遭われた方などからの相談、問い合わせに対し、各種支援制度の案内、関係団体の連絡先などの情報提供を行っています。その他、県民の理解を深めるための広報・啓発として、窓口周知のためのリーフレットなどを作成し、配布しています。

今年度の犯罪被害者週間は本日から12月1日までの間ですが、広島被害者支援センター、県警察本部と共催で広島駅前での街頭キャンペーンを実施しています。

犯罪被害を防ぐ立場から、安全・安心なまちづくりのために「減らそう犯罪」県民総ぐるみ運動を「防犯行動が自然にとれる意識づくり」、「互いに支えあう地域づくり」、「犯罪の起こらない環境づくり」というテーマにそって展開しています。

例を挙げますと、子どもの安全確保のために、保育園、幼稚園、小学校の園児・児童を対象にした地域安全マップ作りを行っています。教職員課程の大学生を対象に、教員になったときのための地域安全教育を通じて犯罪被害防止の意識向上を図っています。また、犯罪被害を防ぐための人材育成では県下の市町などと共催して地域住民、保護者、教師を対象としたセミナーなどを開催しています。

犯罪被害者の支援にしても、安全・安心なまちづくりにしても、一番力になるのは県民の皆様一人ひとりが意識を持って地域への広がりを見せていただくことです。本日お集まりの皆様にも、地域に根差した安全・安心なまちづくりに引き続き御協力をお願いしたいと思います。

兒玉: どうもありがとうございました。

犯罪被害者等基本法及びその基本計画が施行され、県も市町も法律に基づいて本格的に取り組んでおります。様々なキャンペーンも、被害者支援センター単独での取組から行政との共同キャンペーンへと大きく変わってきたのが分かりました。

それでは、最後に北口さんに再び発言をしていただきたいと思います。今、広島県に、こういうこともしてほしいといったお話をいただけるとありがたいです。

北口: 分かりました。パネラーのお話を聞きまして、犯罪のない地域づくり、人格の育成はすばらしいことだと思います。ただ、それを維持、持続するのは大変なことだと思います。頑張ってほしいと言うだけでは無責任になりますが、ずっと続けていっていただきたい。

最近、テレビで広島被害者支援センターのCMが流れるようになりました。犯罪に遭ったときには助けてくれる場所があることを覚えていただくことも大切です。ただ、支援センターはボランティア活動団体のようなもので、資金がなかなか厳しいと聞いております。一般の皆様にそうした実情を知っていただくために、テレビ、新聞など報道関係の方の力がとても大きいと思います。会社のCSR活動の一環でPRしていただきたいという思いが大きいです。

未解決事件の遺族の会である「宙の会」の一員として、中学生に向かって命の大切さを教える授業にも携わっています。会のメンバーは全国各地に散らばっていまして、東京の事務局から発信されるメールを見ると、東京と北海道では被害者が発言する命の授業を通じて中学生に色々話をしているようです。命の大切さを伝えることはとても大切だと思います。広島県でもそうした取組を前向きに検討していただきたい。それを願っています。

兒玉: ありがとうございました。当センターのバックアップとなる心強い言葉をいただきました。犯罪被害者の一人として命の授業に参加し、役割を果たしたいという思いも伝わってきました。

お三方、最後に一言ずつありましたらお願いします。

橋本: では、「安全新聞レインボー」という広報紙の説明をさせていただきます。

創刊は3年前、季刊紙で年に4回発行しています。木下あいりちゃん事件以降、防犯意識が市内で広まりました。以来6年、大きな事件が無いまま来て、逆にテンションが下がってきています。みんなの意識を上げるために何か媒体をという発想で作りました。佐伯区内の18の小学校区ではどんな活動をしているかという記事を3か月に1回、紹介する形の新聞です。中学校の生徒会の活動も取り上げたことがあります。

1回発行するのに100万円かかります。その経費は「地域サポーター」と呼ぶ企業、個人、個人店主さんたちの支えで賄っています。私がその営業部隊をやっておりますが、状況は大変厳しいです。できれば地域の大企業に支えていただいて、いい新聞を作り続けることができたらと思っています。現在は小学校、中学校の全児童生徒に配布し、家庭に持ち帰ってもらっていますが、ゆくゆくは幼稚園、保育所でも配布したいのです。若いお母さん方はきっと困ったときにどこに相談していいか、何をしていいか分からないのではないでしょうか。そうした悩みやお困りに応えるためにも配布先を広めたいというのが私の願いです。

兒玉: どうもありがとうございました。では、温泉川さん、いかがですか。

温泉川: はい。私たちも、命が大切であるという授業は性教育の中で行っています。お父さんとお母さんの愛からあなたたちが誕生した。お互いに命を大切にしよう。それから、大学生たちへの出前授業も行っています。出前授業が必要なときには、ぜひ産婦人科医会へ御相談ください。

兒玉: では、藤永さんも、御自身の取組をPRしてください。

藤永: お配りした資料の中に「犯罪の被害にあったら、ひとりで悩まないで」と題したパンフレットを入れております。行政の施策は右の耳から左の耳に抜けてしまうと思いますが、犯罪被害に遭ったら連絡する先があり、相談に乗ってもらえるということを知っておいていただければという思いから作成しました。御活用のほどお願いします。

兒玉: はい、ありがとうございました。

被害者支援センターでは現在、己斐出身のタレント、風見しんごさんの御協力を得ましてセンターのCMを民放各局で流しています。皆様、ぜひ御覧ください。

それでは、時間となりました。北口さん、橋本さん、温泉川さん、藤永さんから被害者支援について、安全・安心のまちづくりのために、あるいは犯罪、非行を犯さない子育てについてなどのお話をいただきました。本日は御協力ありがとうございました。

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