■兵庫大会:主催者あいさつ

内閣府犯罪被害者等施策推進室室長 太田 裕之

どうも皆さん、こんにちは。ただいまご紹介いただきました内閣府犯罪被害者等施策推進室長をしております太田でございます。よろしくお願いいたします。

平成22年度「犯罪被害者週間」国民のつどい兵庫大会の開催に当たりまして、主催者の一人といたしましてごあいさつをさせていただきます。

本日は、基調講演をいただく伊藤様ほかパネルディスカッションを行っていただく方々など、多方面からご協力をいただき、また多くの皆様にご列席をいただきまして、まことにありがとうございます。

現在、政府では犯罪被害者等基本法に基づきまして、平成17年に策定された犯罪被害者等基本計画により、犯罪被害者のための各種施策を推進しているところであります。この基本計画は、犯罪被害者が尊厳にふさわしい処遇を権利として保護されることなどの4つの基本方針のもと、損害回復、経済的支援等への取り組みなど5つの重点課題に係る258もの施策からなっております。この基本計画の期間が平成22年度末までの約5カ年とされておりますことから、現在、内閣府において第2次基本計画の策定に向けた作業を推進しています。具体的には、昨年、全国7カ所で犯罪被害者団体、犯罪被害者支援団体を対象とした要望聴取会を開催し、その要望のもと、犯罪被害者、支援者、弁護士、学者、精神科医、マスコミ関係者等からなります基本計画策定・推進専門委員等会議で議論を重ねているところであります。

先般、計画案の骨子につきまして、国民の皆様からのパブリックコメントも実施したところであり、来年3月までにはさらなる施策の充実をするための第2次基本計画が策定される予定になっております。

さて、国民のだれもが安心して暮らせる社会を実現するためには、犯罪被害に遭われた方々が被害から立ち直り、再び平穏な生活を営むことができるよう、途切れることなく適切な支援が受けられるということが極めて大切であります。そのためには、国や地方公共団体による取り組みのほか、地域のすべての人々の理解と、それに基づく支援が不可欠であります。そのような観点から、集中的な啓発事業などの実施を通じて、犯罪被害者の方々が置かれている状況などについて国民の皆様方の理解を深めていくことを目的に、犯罪被害者等基本法の成立日である12月1日を最終日として、毎年11月25日からの1週間を犯罪被害者週間としているところであります。

ことしの犯罪被害者週間は「被害者の悲痛な気持ちに時効なし」をスローガンとして、さまざまな広報啓発活動を実施しております。本日の国民のつどいは犯罪被害者週間の中核的な行事として開催するものであり、この兵庫大会は4つの地方大会のうちの1つとして、内閣府が兵庫県、兵庫県警察本部、NPO法人ひょうご被害者支援センターとの共催により開催させていただきました。兵庫県におかれましては、井戸知事のリーダーシップのもと、県内全市町において犯罪被害者等に関する適切な情報提供等を行う総合的な対応窓口の設置に努めていただいております。また、兵庫県警察におかれても、坂本部長のもとさまざまな支援の充実を図られるなど、ここ兵庫県においては関係機関、団体が連携しながら意欲的に犯罪被害者等施策を推進してこられたところであり、このような地で国民のつどいを開催できましたことは喜びにたえません。

ことしは、国、地方公共団体、犯罪被害者団体、犯罪被害者支援団体などの活動を象徴するため、犯罪被害者等支援シンボルマークを広く国民から公募し、優秀作の中から岡崎内閣府特命担当大臣が、お手元のプログラムの後ろに載っておりますけれども、そのようなシンボルマークを決定いたしたところであります。このシンボルマークにつきましては、優しさと思いやりのハートを抱くいやしのキャラクターで、犯罪被害者等支援を象徴的に表現したものであり、今後さまざまな広報啓発の場で使用していくこととしております。

本日は犯罪被害者等手記の朗読、犯罪被害者の方の基調講演やパネルディスカッションを行うほか、関係機関、団体によるパネル展示も行っております。これらを通じて、ご来場の皆様方には犯罪被害者の方々が置かれています状況や、またその名誉を守り、生活の平穏を確保することへの配慮の重要性などについて理解を深めていただければ幸いです。犯罪被害者の方々へ社会がどのような取り組みをしているのか、それはその社会の文明度や成熟度の指標でもあると思います。犯罪被害者の方々の権利利益の保護が一層図られる社会の実現に向けて、政府としても今後とも精力的に取り組んでまいりますので、皆様のご理解、ご協力をよろしくお願いいたします。

最後になりましたが、兵庫県初め共催、後援いただきました各種団体の皆様に感謝申し上げ、私のごあいさつとさせていただきます。どうもありがとうございました。


兵庫県副知事 金澤 和夫

皆様、こんにちは。兵庫県副知事の金澤でございます。

今日は秋空の土曜日にもかかわらず、「犯罪被害者週間」国民のつどいに、このように大勢の皆様にご参加をいただきました。皆様のお気持ち、大変ありがたいものと受けとめております。

また、日ごろから地域の安全安心の確保に向けて、今日お集まりの皆様方にはいろいろな形でご支援、ご協力をいただいていることに、改めて厚く御礼を申し上げたいと存じます。

犯罪の被害に遭われた方の支援、あるいは権利利益の保護につきまして、これを目的とする基本法が制定されたのは平成16年のこと、決して古いことではございません。犯罪被害者の方々に対して適切な配慮や支援がなされる、そうした社会的な仕組みというのは、必ずしもまだ社会に十分定着している、根差しているとは言い難い状況にあるのではないかと思っております。

こうしたことも踏まえて、本日のつどいも犯罪等による被害について国民の皆さんの理解を深めることを目的として、この11月25日から12月1日までの犯罪被害者週間の期間中、ここ兵庫も含め全国5カ所で開催されるというものでございます。

ご承知かと思いますが、昨今の犯罪の情勢を見ますと、刑法犯の認知件数は、平成14年をピークに年々減ってきておりますが、他方で殺人や強盗などの凶悪事件が同じように減っているかというと、必ずしもそうではありません。逆に事件が凶悪化しているということもあり、これまでにも増して被害に遭われた方々を理解し、これを支える社会づくりを進めていく必要性が高まってきている状況でございます。

県といたしましても、犯罪のない安全で安心なまちづくりを目指して平成18年に「地域安全まちづくり条例」を制定いたしました。この条例をもとに「第2期地域安全まちづくり推進計画」を策定し、この中で「犯罪被害者等を支える地域づくりの推進」という項目を掲げて、市町、あるいは関係団体とも連携しながら、相談窓口の開設、情報提供、心のケア、資金援助等さまざまな犯罪被害者支援に関する取組を進めているところでございます。

こうした行政の取組が重要なのはもとより、その一方で、これと併せて大切になるのが周囲の方々による温かい目、支援であろうかと思っております。犯罪被害者の方々にとって、知人や友人の方から差し伸べられる温かい理解、協力といったものが大きな支えになるのはいうまでもなく、私たちとしてはこうした支援の輪が少しでも県民の皆さんの間に大きく広がっていくことを期待しているところでございます。

本日は、犯罪被害者の立場からのご講演、あるいは被害者の支援をテーマとしてのパネルディスカッション等々を予定させていただいております。お集まりいただいた皆様方の中には、防犯グループの活動などに積極的にご参画いただいている方も多いと伺っておりますが、どうか本日のつどいをまた一つのきっかけとして、犯罪被害者に対するより一層のご理解、あるいはご支援をいただくように改めてお願いを申し上げたいと存じます。

最後、本日のつどいがご参加の皆様にとって有益になりますこと、また犯罪被害者の方々への一層の支援につながる一つの助けとなりますことを心から願いまして、主催者の一人を代表してのあいさつとさせていただきます。本日はありがとうございました。


兵庫県警察本部長 坂 明

兵庫県警察本部長の坂でございます。

本日は多くの皆様とともに、被害者の方々のためのつどいを開催できますこと、まことに意義深く存じます。

本県におきましても、本当に多くの方々が犯罪や事故の被害に遭われ、最近でも神戸市北区における少年殺人事件を初め、傷ましい事件が連続して発生しており、被害者やご遺族の方々への理解と支援の重要性が一層高まっていることを実感しているところでございます。

警察といたしましても、多くの場合に被害者が一番初めに接する公的機関として、被害者やご遺族の方々のお気持ちを理解し、その立場に立つべく、組織を挙げて努力し、さまざまな被害者支援活動に取り組んでおります。

近時では、犯罪被害者等基本計画を受けまして、被害直後から支援に当たる被害者支援担当者の増強や、性犯罪被害者の方々に対する診察料等の公費負担制度をはじめ、被害者の方々の精神的、経済的負担の軽減を図るための支援制度の拡充に努力をしているところでございます。

また、被害者の方々がお持ちの問題は、医療、福祉、裁判などの司法関係など広範多岐に及びますし、長期的な支援も必要であります。このような状況から、民間の方々を含む多くの機関、団体、そして有志の方々との連携が不可欠であることは、本日お集まりの皆様も実感されておられることと存じます。

警察におきましても、NPO法人ひょうご被害者支援センターが昨年9月に兵庫県公安委員会から「犯罪被害者等早期援助団体」に指定されたことを受け、被害者の方々へのできる限り早い段階での支援のための情報共有を進めるとともに、さらに協働するための事業委託も本年4月より行っているところでございます。

また、広く県民の皆様に被害者の方々への支援の重要性を理解していただくための広報啓発活動も多くの方々のご協力をいただきながら取り組んでいるところでございます。

現在、NPO法人ひょうご被害者支援センターと連携して、中・高校生を主な対象とした「命の大切さを学ぶ授業」を行っておりますが、この授業は、本日基調講演をいただく伊藤裕美様、パネリストとしてご出演いただく曽我部とし子様をはじめとするご遺族や、手記を朗読される「チームSIEN結」の支援員の皆様のご協力を得て、若い皆さんにご遺族の本当の気持ちや真実の状況を直接お伝えしているものでございます。中・高校生の皆さんからも強い反響をいただいているところですが、このような活動が、他人や自らの命の存在を大切にし、社会のきずなや連帯感を深めるものとなれば、本当にありがたいことと考えております。

今後、警察といたしましても、多くの方々とともに被害者の方々のよき生活、よき日々のために支援をはじめ、さまざまな活動の充実強化に取り組んでまいりたいと考えております。

本大会が多くの方々、社会全体による被害者の方々への理解と支援の一層の広がりと高まりにつながりますことを心からお祈りさせていただきまして、私のあいさつとさせていただきます。

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