滋賀大会:主催者あいさつ

 
内閣府犯罪被害者等施策推進室長 殿川一郎

 皆さん、こんにちは。内閣府の殿川と申します。本日は、平成20年度犯罪被害者週間国民のつどい滋賀大会の開催に当たり、一言ごあいさつを申し上げます。

 まず始めに、本日、基調講演あるいはパネリストとしてご出席いただく有識者の皆様を始め、多くの皆様方にご列席をいただきました。誠にありがとうございます。

 さて、国民が安心して暮らせる社会を実現するためには、犯罪を予防したり、あるいは犯人を検挙したりということとは別に、不幸にして犯罪被害に遭われた方が被害から立ち直り、そして、再び平穏な生活を営むことができるようになるまで、途切れのない支援を受けられるようにするということが非常に重要であります。政府におきましては、犯罪被害者等基本法に基づきまして、犯罪被害者等の権利・利益の保護が図られる社会の実現のため、平成17年12月に犯罪被害者等基本計画を閣議決定し、いろいろな施策を総合的に進めております。

 この計画は5か年の基本計画でありまして、現在、ちょうど3年が経過したところです。この計画に盛り込まれました施策が258ございますけれども、その全てが、何らかの形で検討から実施の段階に移されております。そして、本年、この12月からは、刑事裁判への被害者参加制度が実現をするという運びになっておりますし、また既に、経済的支援の大きな柱である犯罪被害給付制度についても、大幅な拡充が本年なされたところでございます。

 また、この基本計画におきましては、基本方針として、国民の総意を形成しながら展開されること。そして、国民の理解の増進と配慮、協力の確保への取り組みというのが、重点課題として掲げられております。こういった取り組みの一環として、いろいろな啓発事業等、私どもも取り組んでおりますけれども、この基本法が成立しました12月1日に因んで、毎年この時期に各地で集中的にいろいろな取り組みがなされておりまして、この期間を「犯罪被害者週間」としているところでございます。こういった取り組み、今年は3回目になりますけれども、「乗り越える 勇気をくれる みんなの支援」をスローガンにして、現在、様々な活動が取り組まれております。

 本日のこの滋賀大会は、この犯罪被害者週間の中核的な行事としての中央大会、地方大会がございまして、その地方大会、四つのうちの一つということで、今回、私ども内閣府と滋賀県、滋賀県警察の皆さんとの共催により開催をさせていただいております。ここ滋賀県におきましては、基本法の成立以前に、「『なくそう犯罪』滋賀安全なまちづくり条例」を施行され、施策の取り組み指針等を独自に策定されるなど、大変積極的に犯罪被害者施策を推進してこられたところでございます。こういった地で国民のつどいを開催できたことを、大変嬉しく思っているところでございます。

 本日は、犯罪被害者の皆さんの置かれている状況や、それを踏まえた施策の重要性。あるいは、民間の支援団体などによる被害者支援の意義。そして、そういったことへの国民の皆様の理解の増進といったことをテーマに、基調講演やパネルディスカッションが行われるほか、関係機関・団体によるパネル展示も用意されております。これらを通じて、ご来場の皆様には、犯罪被害者等の置かれている状況や犯罪被害者等の支援への重要性ということについて、理解と関心を深めていただければ幸いであります。

 最後に、犯罪被害者等の権利・利益の保護が図られる社会が一日も早く実現できるよう、今後とも、私ども内閣府、政府といたしましても全力で取り組んでまいることをお約束申し上げ、私のあいさつといたします。

 本日は、大変どうもありがとうございます。


 
滋賀県知事 嘉田由紀子

 皆さん、こんにちは。ここに、平成20年度犯罪被害者週間国民のつどい滋賀大会の開催に当たりまして、一言ごあいさつ申し上げます。本日は、ここ滋賀県で、内閣府との共催により本大会を開催させていただきましたところ、県内各地や近隣府県からこのように多くの方々にご参加いただき、ありがとうございます。

 先ほど、びわ湖ホールアンサンブルの皆さんによります「千の風になって」を伺いながら、皆さん、どなたのことを思い浮かべたでしょうか。私は、十数年前に亡くなった母。また、昨年亡くなった、水俣病で苦しんだ親友でありました杉本栄子さんの姿などを思い浮かべながら、千の風になって、私が生きているこの目の前に皆の思いが生きているということを、歌を聴きながら感じておりました。

 今日、まさに犯罪被害者の皆さんの、岩城さんはじめ、皆さんのお話をお伺いする時に、私たちは、なぜ自分の愛する人が亡くなったのか、目の前からいなくなったのかというときに、「なぜ」ということを考え、病気だったからとか、自分に納得をいかせて今を生きております。そんな中で、不可解な、あるいは納得いかない犯罪に巻き込まれた皆さんの思いは、どんなに辛いことでしょう。そういうことを今日は教えていただきながら、何よりも、これ以上犯罪の被害者を増やさない。そしてまた、加害者は加害者で、それぞれの苦しみを持ちながらある事件を起こしてしまう。両方の立場から、いかに犯罪を無くしていくかということを考える、そういう場にしていただきたいと思っております。

 滋賀県では平成14年に、犯罪被害の数、3万2,000件を超えました。それ以来、先ほど内閣府の殿川様からご紹介いただきましたように、「なくそう犯罪」滋賀県民会議を作りまして、自分たちの手で、自助・共助の力で犯罪を減らそうということで力を合わせ、全国で最も被害の数、減少率が高い、ほぼ50%の減少を達成いたしました。数の上では、そのようにしてみんなの力で被害を減らしてきたわけですけれども、しかし、今、質的に見ますと、また後から本部長のほうからのお話もあると思いますが、オレオレ詐欺のようなもの、あるいはより凶悪な犯罪が増えております。そういう中で、まさに行政、警察、地域の皆さんが一体となって犯罪を防ぎ、心休まる社会作りのために、さらに推進をしていきたいと思っております。

 県といたしましても、県の行政全体で犯罪被害者支援に取り組んでいくため、滋賀県犯罪被害者支援施策の取り組み指針を昨年10月に策定いたしました。この指針を基にして、民間支援団体、市町、国や関係機関と連携し、犯罪被害者の平穏な日常生活への復帰の支援と、犯罪被害者を支える社会作りの両面から、具体的施策を推進していくこととしております。

 本日の大会は、そのような動きの中で、それぞれの皆さんの取り組みをご紹介していただくわけでございますけれども、京都府犯罪被害者支援コーディネーターの岩城さんから、ご自身のご経験に基づいて基調講演をいただきます。大変お苦しい、苦しい中を、ご自分で経験なさってこられた話ゆえに、私たち、大いに感動と共感を受けさせていただくことと思っております。また、パネルディスカッションでは、それぞれの分野からの皆さんのお話をお伺いいたします。せっかくこうやって集まった大会でございます。今日の大会を一つの契機といたしまして、それぞれの立場で、また場面で、より一層、地域全体で共に支え合い、安心して暮らせる社会作りへ次の一歩を踏み出していきたいと考え、また、お祈りいたしまして、私のあいさつとさせていただきます。

 本日はどうもありがとうございます。どうかよろしくお願いいたします。


 
滋賀県警察本部長 安森智司

 警察本部長の安森でございます。本日、国民のつどい滋賀大会を開催しましたところ、このように大勢の方に参加いただき、誠にありがとうございます。また、平素から警察活動にご理解、ご協力を賜り、誠にありがとうございます。

 さて、滋賀県警察といたしましては、県民の皆様が安全で安心して暮らせる滋賀県というものを目指して、懸命に防犯、そして検挙に努めております。しかしながら、どういたしましても、突然の事件や事故に巻き込まれて怪我を負う、また、貴い命を奪われる方がいらっしゃいます。そして、その被害者の方やご遺族がいらっしゃるわけであります。こうした被害者の方々をいかに支援するか。特に警察の場合は、一番最初に被害者の方、遺族の方に接するわけでありますから、警察としては事件発生直後から被害者の方々に対する支援活動を実施しているところであります。

 具体的にご説明しますと、最初に接した直後から被害者の方々に対する支援活動としまして、病院の手配、また付き添い、自宅への送り迎え、事情聴取や実況検分の立ち会い、各種相談の対応を行っております。それは、極力、警察的立場というよりは被害者の方の視線に立って、その気持ちを共有しながら支援をできるように頑張っているわけでございます。そのほか、細かいことを言いますと、刑事手続きに関して公判でどうなっていくのかなど、警察官は常識のように分かっていることですけれども、恐らくそれは、被害者の方はなかなか分からないことです。また、先ほど審議官のご説明にもありましたけれども、経済的被害の軽減を図るための、犯罪被害者等給付金の支給手続きをはじめ、また、カウンセラーによるカウンセリング。女性が被害に遭われた場合はできるだけ女性警察官を充てるようなど、配意しているところであります。

 しかしながら、先ほど申し上げましたように警察というのは、いちばん最初に被害者の方と接する機関ですが、その後もずっと警察だけで支援をしていくわけにはいかなくて、検挙もしなければならない。また、新しい事件も発生するわけでございます。そこをどうするかということがこの大会の目的でございまして、いろんな方々、いろんなボランティアも含めまして、県も市町も、そしてまた警察も、そうした団体のところが、きっちりした連携の下に、そして途切れることがないよう、いかにサポートできるかというのが勝負なんだと思っております。

 そのため、本県では、平成10年に犯罪被害者支援連絡協議会が設立されました。また、昨年の10月には、「滋賀県犯罪被害者施策の取組指針」が策定されたところでございます。そこのところでいったん振り返ってみて、本当に被害者の皆さんのために具体的な活動ができているかと自問すると、「本当にそうなんでしょうか?」というのが感想であり、私どもではまだまだ疑問なわけでございます。そういった意味におきまして、今回のこの大会を契機に、参加されている皆さんもそうですし、我々もそうですし、もう一度原点に立ち返って、今、本当に必要なのは何なのか。何を明日やらないといけないのかというのをもう一度確認して、実行していただきたいと思っています。

 例えば、本当に緊急な話といえば、おうみ犯罪被害者支援センターが県庁前に引っ越してきました。これはありがたい話で、形も外形的には整ったわけでございます。しかし、来年度、運営する資金が足りません。「これ、どうするんですか。」、本当に今から動かないといけないわけであります。そうした意味で、今日、大勢のご参加をいただいておりますが、参加された方は帰って組織に必ず今、どういうことが起こっているのかというのを報告していただきたいのであります。審議官からお話がありましたように、活動のポイントは、県民の総意、県民の理解と協力です。その意味で、この会議を機会にもう一度考え直していただきたいというのが、私の切なるお願いであります。

 最後になりましたが、本大会が、県内全体の犯罪等の被害に遭われた方々への支援の重要性が更に深まって、被害者の方を支える機運がより一層醸成されること。そして、県民の誰もが安心して暮らせる安全な滋賀が実現されることを祈念いたしまして、私のごあいさつとさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 

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