北海道大会 in 旭川:報告

 
旭川市市民生活部市民協働室市民生活課交通防犯対策担当課長 佐久間彦明

 旭川市役所で交通と防犯を担当しております、佐久間と申します。よろしくお願いします。

 本年4月1日に制定・施行いたしました「旭川市犯罪及び交通事故のない安全で安心なまちづくり条例」について、その制定経緯と内容について説明させていただきます。

 まずその前にですが、この北海道大会を旭川で開催していただきましたこと、それからこの条例の説明をする機会を与えていただきましたことにつきまして、大会事務局、関係者の皆様にまずお礼申し上げたいと思います。

 さて、皆様、当会場入口で資料を配布いたしました。袋の中に、この水色の1枚ものの資料が入っておりますので、それを見ていただきたいと思います。水色のA4版の資料です。

 経緯でございますが、平成14年9月旭川中央防犯協会、他5団体の連名で、旭川市と、それから旭川市議会に対しまして、いわゆる生活安全条例の制定を求める陳情が提出されました。その翌年3月、平成15年第1回定例会におきまして、この陳情が採択されたわけでございます。その後、所管課におきまして、担当課におきまして、この生活安全条例につきまして調査・研究と言いますか、検討を続けておりましたけれども、なかなか上のほうからゴーサインが出ません。そういう中で、平成18年の10月に新しい市長、旭川市の市長選がございまして、今の西川市長になったわけでございます。西川市長にとって最初の予算議会であります、19年の第1回定例会におきまして、この生活安全条例を早急に策定するようにという市長からの指示がございまして、それで、19年の4月からこの策定作業に入ったわけでございます。

 策定に当たりましては、大学生などの一般市民、いわゆる公募委員といいますけど、公募委員を含め、10名の委員さんによりまして懇話会を設けまして、条例制定の趣旨、理念、対象範囲など、広範囲にご検討いただきました。またその間、同条例をはじめ、他都市の生活安全条例の勉強をしていただきまして、ほぼ1年間をかけて原案を取りまとめました。なお、この懇話会は5回開かれましたが、基本的に全面公開を原則といたしました。またその時の公開だけじゃなくて、その議事録・会議録、すべて公開となっております。

 この1年間ですが、懇話会をやってる間ですね、その間に約300を超える関係機関・団体に対しまして、意見聴取を行いました。最終的に、11月に原案が大体まとまりましたので、11月に40日間、12月の20日ぐらいまでかかりましたが、いわゆる意見提出手続き、最近の言葉でいいますとパブリックコメントと言います。このパブリックコメントを40日間実施いたしまして、平成20年の第1回定例会に議案として提案いたしました。そして議決されたわけでございます。

 その内容を簡単にご紹介させていただきます。本条例は、そこに書いてありますように、中段に書いてありますが、<1>のところ、「基本理念」と書いてあるところです。そこにいわゆる理念条例とありまして、市民の権利を制限したり、義務を課したりするというものではございません。条例の内容を一口でいいますと、中段の<1>のところに書いてありますように、身の回りの安全は自ら守り、地域の安全は地域で守りましょうという、非常にシンプルなものでございます。

 安全・安心の範囲につきまして、懇話会で随分話題になりました。この範囲につきまして、これからの安心・安全条例なんだから、食の安全や環境の安全、災害からの安全等々を含めるべきではないかという意見がございまして、このことについて何度も話し合いを続けたわけでございますが、ただ、この条例の主体は市民でありまして、子供からお年寄りまで、誰でもが無理なく、日常的に継続して取り組むことのできる内容でなければならない。ちょっとした心掛けで被害を未然に防げるものでなければならない。そういうことを考えると、対象は犯罪と交通安全になるのではないかなということで、この条例の対象範囲を犯罪と交通事故に絞らさせていただいたわけであります。

 本条例には3つの特徴がございます。その1つは、住民組織の役割を規定したということです。今までは市民とか町内会という言葉は、いろんな条例に載ってきたわけですけども、初めてこの市民委員会を含めた、地縁団体という意味での住民組織という言葉を条例の中で使ったこと。これは画期的なことだなと考えております。2つめは、先ほどご紹介にございましたように、旭川市民だけではなくて、観光客、当の旭川市の来訪者も対象範囲にしたんだよと、これが2つめの特徴です。そして3つめの特徴でございますが、今日のテーマでございます犯罪被害者に対する支援であります。

 この条例の目的は、元々は犯罪や交通事故を未然に防いで、その対策に取り組もうというのがこの条例の制定趣旨でございますが、不幸にして市民が交通事故や犯罪に巻き込まれた場合、そして被害に苦しむような事態になった場合に、そのために被害者支援の規定を盛り込んだことでございます。この3つが基本的な特徴かなと。この3つを盛り込んでいるのは旭川市の条例だけかなというふうに自負しているところでございます。

 以上、条例制定の経緯と特徴について、大ざっぱに説明をさせていただきました。

 条例につきましては大変よく整理されたなというふうに自負しておりますけれども、大切なことは実効性でございます。具体的な取り組みでございますので、地域安全活動が全市的な運動として定着していくように、推進体制をますます整備を図っていきたいなと考えているところであります。

 以上、報告とさせていただきました。ありがとうございました。



 
日本司法支援センター旭川地方事務所(法テラス旭川)所長 辻本純成

 皆さん、こんにちは。日本司法支援センター旭川地方事務所、略称で法テラス旭川の所長をしております、弁護士の辻本と申します。

 法テラスは平成18年の4月に開設され、18年の10月から事業を始めた団体です。国立大学や国立病院のように、運営経費は全額国から支出されてます。本部は東京にありまして、全国の地方裁判所のある町に地方事務所というのを設けております。北海道には、札幌、函館、釧路、それからこの旭川に地方事務所がございます。法テラスは、法律や法制度に対する情報提供、相談窓口のご案内、弁護士や司法書士を依頼する費用の立替え、刑事事件の国選弁護人の指名など、様々な事業を行なっていますけれども、犯罪被害者支援というのも1つの事業の柱でございます。

 法テラスの行っている犯罪被害者支援の事業の詳細は、お配りしました封筒の中に入っております法テラスのパンフレット、これを後で是非ご覧いただきたいというふうに思いますが、私のほうで皆様にお願いさせていただきたい、大事なことが2つございます。

 まず1つ目は、とにかく気楽にお電話くださいということでございます。電話番号はですね、この被害者支援というパンフレットの1枚開いていただいた左側に出ております。0570-079714という電話番号、「泣くことないよ」というふうに覚えていただくという電話番号になっていますが、この電話は平日の午前9時から夜の9時まで受付けています。それから土曜日も、午前9時から午後の5時まで受付けをしています。電話料金というのは、全国一律で3分間8円50銭という値段になっております。犯罪被害に関係ありそうなことでしたら、何でも結構です。具体的に犯罪に遭われた方はもちろん、そういうことに関心のあるという方の、何らかのお問い合わせでもかまいません。とにかく遠慮なさらずに、お電話をしてみてください。それが第1点です。

 第2点、2つ目は、できたら早めにお電話くださいということです。仮に弁護士の援助が必要なケースで、法テラスからご紹介をさせていただくような場合、刑事事件の手続きというのは、予め決められた予定でどんどん進んでいきます。で、ある一定の時期を逃がしてしまいますと、もう今では受け付けられません、ということになってしまいかねません。それから弁護士という商売は、皆さん大体1か月程度のスケジュールを入れて仕事をしておられます。ですから、専門家に十分な対応をしてもらうためには、早めに相談をしていただく必要がございます。先ほど1つ目に申し上げました、「とにかくお気軽に」ということと、この「できたら早めに」ということは、是非とも心に留めておいていただきたいというふうに思います。

 最後に、新しい法制度について、先ほど被害者の会の方のお話にもありましたけれども、一言ご紹介をさせていただきます。それは被害者参加人の制度と、損害賠償命令の制度でございます。

 12月1日、もう1週間後に迫っておりますが、12月1日以降に裁判所に起訴された刑事事件の、全部ではないんです、一部の事件なんですけども、その被害者の方が刑事裁判に参加して、質問・意見を述べられるという機会が保障されることになりました。この制度に参加されようという方は、まず裁判所に、被害者参加人として刑事裁判に参加したいということで申し出をしていただき、裁判所の許可を得ていただく必要がございます。それから、弁護士を頼みたいけれども、弁護士を頼むのにはちょっと資力が足らないという方のためには、その被害者参加の許可を得ていただいたうえで、法テラスに、国選被害者参加弁護士を選任して欲しいという申し込みをすることになっています。法テラスを通じて申し出をしていただくことになっていますので、是非その点もお忘れないようにお願いいたします。

 もう一つ、損害賠償命令の制度というのも同じく12月1日から施行されます。これはやはり一部の犯罪被害者の方に、一部というのは犯罪の種類が限られているということです、その方々が、現時点でも加害者に損害賠償を求めようとすれば、民事裁判を起こせばいいわけですが、民事裁判は、ご承知のように、時間も手間暇もかかる。それだけ、きちっとした手続きで責任を認定するということの裏返しなんですが、時間と手間暇かかります。ですので、せっかく刑事裁判の制度で証拠がたくさん裁判所に出されているならば、それを基に、損害賠償の金額を裁判所に確定してもらうというような手続きでございます。

 この手続きは、刑事裁判に引き続いて行われる手続きではありますけれども、民事裁判と同様の制度です。ですので、法テラスの行っている民事裁判の援助、これを民事法律扶助と呼んでいますが、その援助が使えます。

 詳しいことは、パンフレットをお読みいただき、それだけではよく分からないということであれば、先ほど申し上げました電話、犯罪被害者の支援の電話でも、それから法テラスの一般的な情報提供の電話、このプラスティックのケースに書いてあります0570-078374という電話番号、こちらも同じ時間で受け付けております。どうぞお気軽にお問い合わせいただいて、是非活用していただきたいというふうに思います。

 それでは、私のご報告はこれで終わりにさせていただきます。どうもありがとうございました。
 

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