犯罪被害者団体等からの意見聴取会 概要
内閣府は、犯罪被害者等の意見の施策への適切な反映を図るため、関係省庁からの参加を得て、様々な犯罪被害者団体等から定期的に意見を聴取することとされています(犯罪被害者等基本計画IV 推進体制(4))。
これを受けて、昨年1月には、首都圏を中心に活動している犯罪被害者団体等を対象とした意見聴取会を実施したところですが、今回は、大阪市内において実施し、近畿圏を中心に活動している犯罪被害者団体等10団体の方々から犯罪被害者等施策の進捗状況について、御意見・御要望を伺いました。今回は、近畿2府4県の知事部局、政令指定都市に意見聴取会の傍聴を呼びかけたところ、中国地方から参加を希望した鳥取県や、近畿圏の警察本部も含めて13の団体が本意見聴取会を傍聴しました。
(日時)平成20年1月31日(木)14時30分~18時10分
(場所)新大阪丸ビル新館8階809号室
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(出席者)
【犯罪被害者団体等】
- 風通信社
- NPO法人KENTO
- Japan Victim Assistance Ring
- 少年犯罪被害当事者の会
- 全国犯罪被害者の会(あすの会)関西集会
- TAV交通死被害者の会
- 六甲友の会
- NPO法人大阪被害者支援アドボカシーセンター
- (財)関西カウンセリングセンター
- (社)京都犯罪被害者支援センター
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【関係府省庁等】
- 内閣府犯罪被害者等施策推進室
- 内閣府男女共同参画局
- 警察庁
- 総務省
- 法務省
- 文部科学省
- 厚生労働省
- 国土交通省
- 海上保安庁
- 最高裁判所
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【傍聴した団体】
- 滋賀県、滋賀県警察本部
- 京都府、京都府警察本部
- 大阪府
- 兵庫県
- 奈良県
- 和歌山県、和歌山県警察本部
- 鳥取県
- 大阪市
- 堺市
- 神戸市
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(概要)
冒頭内閣府犯罪被害者等施策推進室から、「犯罪被害者等基本計画」の進捗状況等について報告が行われた。
次いで、犯罪被害者団体等から犯罪被害者等基本計画の進捗状況について意見聴取を行い、引き続いて意見交換を行った。
本意見聴取会において犯罪被害者等から述べられた意見・要望の概要は以下のとおり。
(※注 文中における「被害者」は、「犯罪被害者等」を指す。)
1 損害回復・経済的支援等への取組
(1)損害賠償の請求についての援助等(基本法第12条関係)
- 損害賠償命令制度は、被告人が異議を申立てれば現状と変わらないのではないか。被害者がこの制度を選択すると刑事裁判で刑が軽くなるようなことのないよう配意願いたい。この点は刑事和解制度も同様で、賠償と刑は分けて考えるべき。また、制度を分りやすく説明した資料を作成し、被害者や弁護士が混乱しないよう事前に周知徹底してほしい。実施後の評価のため申請件数等、利用状況の数字を毎年報告してほしい。
- 損害賠償請求制度に関し、「被害者の手引き」は被害者・家族に事件発生直後に配布し、また、全部をHPに掲示したり、リンクを活用して利便性を高めるなど、被害者に必要な情報がHPですべて手に入るような仕組みにして欲しい。
- 保険金支払いの適正化等について、加害者や保険会社が誠実に対応するよう指導を徹底して欲しい。
- 犯人捜しのための懸賞金を国から補助して欲しい。
- 基本法・基本計画の策定に当たり、身体に重篤な障害を負った人たちの意見が少なかったように感じているが、過去の事件におけるこうした被害者の調査を行い、救済すべきである。
- PTSD等の治療に必要な抗うつ剤のようなものを処方する際、病名でうつと書かれてしまうと被害者の精神に負荷を及ぼすので、PTSDという病名での処方を認めて欲しい。
- 地域によっては、犯罪発生から短期内は警察の費用で、その後一定限の回数は民間支援団体でカウンセリングの費用を負担できる場合があるが、その場合でも、それ以降は被害者の自己負担となる。特に性犯罪の被害者は、被害後、仕事に行けなくなったりしてカウンセリング費用の捻出も困難となるから、カウンセラーが現地に行く場合の交通費等の費用も含め、こうしたカウンセリング費用についても支援が必要である。カウンセリングについて社会の認知をさらに高める啓発も必要である。
- 被害直後の生活に必要な小口の生活資金のようなものを迅速に貸し付ける制度を作って欲しい。
(2)給付金の支給に係る制度の充実等(基本法第13条関係)
- 独立行政法人日本学生支援機構の事業として犯罪被害者の遺児に対する資金援助を検討して欲しい。
- 医療保険利用の利便性確保について、交通事故関係の診療には未だ保険適用外診療が多く、保険が適用できるよう、申請を待つだけでなく積極的に医療機関に働きかけて欲しい。
- 重傷病給付金については、本来なら入院が必要でも生活のため3日間入院できずに通院治療に切り替えてしまう被害者がいることを踏まえ、改善して欲しい。
(3)居住の安定(基本法第16条関係)
- 事件直後や中長期的な住宅確保のための公的制度について、同じ生活圏の中で住居が確保できるよう、配慮をお願いしたい。
(4)雇用の安定(基本法第17条関係)
- 事業主等の理解の増進に関し、休暇取得について被害者の負担が軽減されるよう、国から職場・勤務先等の雇用主へ働きかけを実施して欲しい。
- 被害者のための休暇制度がまだまだ企業に浸透していないので、国から企業に周知徹底し、被害者が安心して休暇をとれるようにして欲しい。
2 精神的・身体的被害の回復・防止への取組
(1)保健医療サービス及び福祉サービスの提供(基本法第14条関係)
- 児童相談所及び婦人相談所における相談援助については、虐待を受けてもそれを虐待だと認識できるとは限らない子供の声を把握できるようなシステムを考えて欲しい。
- 関係機関における職員研修については、参加者に、被害者の心情を理解させるのはもちろん、なぜ研修が必要なのかまで理解できるような充実をはかって欲しい。また、被害者に接する全職員を対象として欲しい。
- 法科大学院において、法曹になる者全員に必須科目として犯罪被害者について理解を深める教育が必要である。
- 少年事件の場合、被害者や被害者の兄弟も少年である場合が多いが、被害者の兄弟は何の援助も受けられないばかりか、同じ学校に通うことも困難となるので、対策を考えて欲しい。
(2)安全の確保(基本法第15条関係)
- 講話の依頼を受けることが多くなったが、対応する担当者の対応について、被害者遺族に対する配慮が足りないと感じることが多い。
- 加害者の出所情報について、検察から連絡があったのに、地方更生保護委員会、保護観察所、警察等が認識していなかった。被害者から相談しなくともこれらの機関から連絡があれば被害者は安心するが、単に不安を与えるだけでは施策として不完全である。
(3)保護、捜査、公判等の過程における配慮等(基本法第19条関係)
- 真相解明は、亡くなった被害者にも、遺族にも、誠に切実なものである。また、交通事故被害を軽視するような被害者に対する認識を改めて欲しい。
- 検察庁における被害者のための控え室の整備を進めて欲しい。
3 刑事手続への関与拡充への取組
(1)刑事に関する手続への参加の機会を拡充するための制度の整備等(基本法第18条関係)
- 交通事故犯罪では、過失が争われた場合、被害者が加害者にされてしまうことがあり得るため、被害者が公判前に捜査情報を閲覧し、事実を確認することが必要不可欠であり、刑事訴訟法第47条の「但し書き」の要件を緩和して欲しい。
- 刑事裁判への被害者参加制度は大いに賛成であるが、この制度が本当に被害者のために機能するためには、その前提として体制の整備が必要である。特に検察官の量的・質的向上により被害者と検察官のコミュニケーションを向上させること、被害者を理解している弁護士による支援体制の早期確立が必要。また、制度をわかりやすく紹介するビデオを作成して欲しい。
- 裁判員制度の導入に伴い、公判前整理手続きに被害者も関与できるようにすること、捜査記録の閲覧・謄写により被害者弁護士に加害者弁護士と同等の権利を持たせること、被害者が言いたいことを十分に検討できる時間を確保すること、裁判員が裁判官から丁寧な説明を受けるのと同様に、被害者参加人も検察官から丁寧な説明をうけること等が必要。
- 交通事故被害者への対応として、加害者に関し、運転免許の行政処分の内容等、重要な点については被害者からの問い合わせをまたずに担当者が漏れなく情報提供する運用にして欲しい。特に死亡や重体事故では迅速に。
- 刑事事件記録の閲覧制度について、被害者等が求める開示のタイミング(捜査段階)や対象範囲(全記録)を踏まえた再検討が必要。特に、裁判員制度が導入されると、被害者が記録を検討する十分な時間がなくなる恐れがある。
- 交通事故鑑定士について、国家資格制度を構築して欲しい。まずは警察においてしっかりとした交通事故鑑定を行って欲しい。
- 遺影の持込み、意見陳述内容、各審で被害者等が行使できる権利範囲、通知の取得方法等、現行では被害者自ら調査・確認しなければならないことがあるので、こういったことにも対処できる情報提供の充実をして欲しい。また、三審制の流れや概略がわかるパンフレットを裁判前に提示・説明して欲しい。
- 捜査状況(目撃者については特に)の情報提供、被害者連絡制度の通知時期等、被害者の要望にマッチさせて欲しい。
- 交通事故捜査においては、子供なら飛び出しなどといった被害者への先入観を持たず、科学捜査を徹底し、また、交通事故自動記録装置の設置、ドライブレコーダーの備付け(特に業務用のバスやトラックには義務づけを、一般車両については税制の優遇が必要)を積極的に推進してほしい。
- 仮釈放等の審査に被害者の意見等を踏まえる制度について、検察官と保護観察官との連携が不足しているため、同じ説明を何度もさせられている。そもそも、被害者が加害者の仮釈放を阻止するために更なる苦痛を受けなければならないのか疑問である。
- 検察審査会の起訴議決に拘束力を認める制度は、できるだけ前倒しで実施して欲しい。また、2度の「不起訴不当」議決が出たら議決に拘束力を認める方向で検討して欲しい。
- 被害者遺族の最低限の権利として、少年審判全体を傍聴することを望む。加害少年の未熟さや、事件直後の被害者の負担や報復感情で審判廷が混乱する等と勝手な先入観や偏見で被害者、被害者遺族が少年審判廷に望める機会を奪わないで欲しい。ただし、審判傍聴を認めることで逆送率が下がるようなことが決してないようにして欲しい。子を失った親は、刑事裁判や少年審判にしっかり関わることで生きる力が出てくる。
- 少年事件の被害者による記録の閲覧及び謄写は、事実関係をはっきり知りたいという理由の場合でも認められるよう適用範囲が拡大されること、その時期は、捜査段階などできる限り早い段階からでも可能にすることを望む。加害者が家庭裁判所送致されるのと意見陳述が非常に近接しており、記録を閲覧する前に被害者遺族が意見陳述しなければならない現状があり、十分に思いが述べられない。また、非行と生育歴が関係あるというなら、社会記録を含めて公開が必要である。
- 犯罪が発生したら、第一にしっかりと犯人を捕まえ、捕まえたならばしっかり捜査して事 実認定をきちんとして欲しい。
- 少年事件について、被害者が死亡した事件は刑事裁判にして欲しい。
- 被害者のための制度について、地域による運用の差があるが、どこでも同じ運用がなされるべきである。
- 導入が検討されているという社会奉仕命令制度については、被収容人員適正化方策に関する部会で議論されていることも考えると、交通事犯の起訴率の低さ、執行猶予率律の高さからして、交通事犯の多くが対象とされてしまうのではないかと懸念している。また、今後、制度の検討過程で交通事犯被害者遺族の意見も聞いて欲しい。
- 記録の謄写について、地方によって業者がいなかったりカラーコピー機等の設備が整っていないなどの地域差があるが、全国全ての裁判所、検察庁において、平等な謄写の提供が受けることができるよう改善して欲しい。
- 加害少年の保護観察後の状況等も被害者に教えてもらいたい。
- 少年審判の傍聴を含む少年法の改正を、是非、今国会で成立させて欲しい。
- 加害者に被害者の声をきちんと伝える機会が重要である。
4 支援のための体制整備への取組
(1)相談及び情報の提供等(基本法第11条関係)
- 犯罪被害者等施策について国と地方では、取組や意識に温度差がありすぎるので国からもっと地方に働きかけて欲しい。
- 法テラスの被害者精通弁護士の数は不足しており、力量にも大きな差があるので、対策を検討して欲しい。被害者の弁護士を国選とし、費用は加害者に負担させて欲しい。
- 地方公共団体へ犯罪被害者等基本計画を周知徹底して欲しい。総合的対応窓口の設置を促進し、早急に市町村レベルまで体制整備して欲しい。
- 「いじめ」などの対応において教育委員会の隠蔽体質を早急に改善して欲しい。
- 今後、法テラスの支援活動や被害者参加制度に伴い、弁護士が被害者の代理人として参加することが多くなるが、こうした弁護士には被害者についての専門的な知識等が必要である。
- 保護司は地域の名士というだけの場合もあり、被害者について正しい理解があるとは限らないので被害者の立場からは信用できず、被害者施策を行うことは不適切と思う。保護司に関わらせるならかなりの職権と責任を持たせることが必要。
- 被害者等の「等」の中に交通事犯被害者が含まれることを関係各省庁の担当者に再度徹底させ、「交通事故なのだから」という考え方を払拭して欲しい。支援に関わる弁護士、ボランティア、カウンセラーなど現場の方々への徹底も同様。
- 自治体の交通相談窓口で被害者と加害者を同じ窓口で対応している自治体があるが、配慮に欠けているので改善を望む。
- 民間団体の支援について、全国どこでも一定レベル以上の均質な支援を行うために研修・認定制度を実施することは非常に重要である。
- 傘団体も含め、いろいろな支援団体の活動が本当に支援になっているか検証し、評価するシステムが必要である。評価においては、被害者が加わって評価するシステムをつくるべきである。
- いい施策ができても実行するのは市町村の窓口と思われるので、きちんと対応できるよう、内閣府中心に引っ張っていって欲しい。
- 被害者には、加害者が刑期を終えたことによって不安を覚えた場合の相談や、被害の恐怖からハローワークにいくことができない場合の就職相談など、必要とする情報をどこで入手したらいいか分からないような場合もあるから、対策を講じて欲しい。
- 保護観察官、保護司に被害者施策を担当させるなら、加害者が矯正教育の結果どのように更生したのか等の情報が保護局、保護観察所に伝達されていない現状を改善する必要がある。
- 被害者が一番知りたいのは、加害者が事件、事故に対して反省しているのか、なにを考えているかである。被害者が厳罰を求めるのは行刑施設で反省したり自己の罪について考えさせたいからであり、不起訴や執行猶予になってしまうと、加害者自身、自分が犯した罪の自覚を持つことができない。
- 民間団体で支援に携わるものは、支援業務が多忙なので、団体の広報等は行政機関で行って欲しい。また、国による民間団体への援助を充実して欲しい。
- 被害者支援に携わる人は、弁護士・臨床心理士・医者等の資格があるだけでは適切な支援に全くつながらないので、被害者について正しく理解し、二次被害を与えないような支援をできるよう、きちんとした研修をお願いしたい。
(2)調査研究の推進等(基本法第21条関係)
- 基本計画推進専門委員等会議において交通事故被害者固有の要望や意見が反映された議論をしてほしい。犯罪の類型によるニーズの違いを前提とした議論をしないと施策の実効性がともなわない。
(3)民間の団体に対する援助(基本法第22条関係)
- 民間の団体への援助については、全国被害者支援ネットワークに参加していない団体にも配慮して欲しい。
5 国民の理解増進と配慮・協力の確保への取組
(1)国民の理解の増進
- 精神障害者による事件について白書に載っていないが、経済的な回復がされないばかりか、加害者が起訴されないことにも苦しんでいるので、そういうことも取り上げてほしい。
- 生まれつきの障害者に比べ、人生の途上で犯罪被害に遭い障害者となった被害者に対する公的機関や社会の理解が足りないと日頃から痛感している。
- 犯罪被害者週間について、ポスター等の広報を強化して欲しい。
- 犯罪被害者週間の開始を国連決議にかかる交通事故の被害者のための日(11月の第3日曜日)とするなど、国においても同日についての十分な広報・啓発をして欲しい。また、特定の日だけでなく、365日交通事故死ゼロを目指す運動をして欲しい。
- 「犯罪被害者白書」を国民に広く読んでもらえるよう、都道府県や市町村の公立図書館や大学・高等学校等に無料配布して欲しい。
- 若年層、特に学生に対する犯罪被害者に関する教育は重要。学校において、犯罪被害者週間に向けた全校的な催しを行い、さらに行政や支援団体とも共催するなどすれば、有効と思われる。
- 若年層が参加しやすいよう、犯罪被害者週間について、受験や試験期間なども考慮した春秋2回開催なども考慮すべき。
- 若年層への啓発や取組の遅れている自治体職員への動機付け等の観点からも、「生命のメッセージ展」や犯罪被害者週間におけるパネル展示のようなものを市役所や図書館等の公共施設に常設あるいは期間展示するような環境を整備して欲しい。
- 学校における被害者に関する教育の推進・実施について考えていただきたい。
6 その他
- 精神障害者による通り魔事件は、何の言われもなく社会の犠牲になったのだからテロに準ずる扱いをして欲しい。
- 裁判官の中には、無愛想だったり小声で話が聞き取れない人も見受けられるので、傍聴している者が内容を理解できるよう、裁判員制度導入までに裁判官の意識改革が必要である。
- 被害者を威圧する振る舞いをするような悪質な弁護士も見受けられるので、弁護士会を通じて適切に指導して欲しい。目に余る行為にはペナルティを課して欲しい。
- 交通事故被害者は、公的機関、国民から未だに「犯罪被害者等」と認識されておらず、飲酒運転に限らず交通事故撲滅のためのキャンペーンを張り、交通事故犯罪を国民に周知して欲しい。
- 継続して意見聴取会を開催して欲しい。様々な媒体を利用するなどして、特に性暴力犯罪被害者等、様々な理由で公の場に出ることが困難な被害者団体や、自助グループが安心して意見を述べられる場を提供して欲しい。
- 被害者が施策の進捗状況について国に具体的意見を述べるには、具体例を知る必要があるので、定期的にそうした情報を提供する場を内閣府で作って欲しい。また、被害当事者団体のみで意見交換を行うことができる場の提供についても検討して欲しい。
- 交通事犯においては、死者数こそ減っているが、医療の進歩により死亡だけは免れたという事犯が増えた側面もあり、事故発生件数は依然として高い水準にあるから、楽観は許されない。
- 福岡の事件が業務上過失致死傷罪とされたことに象徴されるように、危険運転致死傷罪には明らかな欠陥が認められるから、様々な類型を網羅できるよう、自動車運転過失致死傷罪に危険運転致死傷罪を統合した上で刑の上限を20年として欲しい。死者数が減少しているのに危険運転致死傷罪で立件された事案は増加している。早急に抑止効果の高い法律を考えて欲しい。
- 民事裁判において、過失に争いがないと被告の尋問が不要とされるケースが多いが、原告が要求すれば、少なくとも一度は被告を法廷において尋問するべきである。また、迅速な裁判を理由として尋問を制限すべきでない。
- 民法の法定利息の引き下げは可能な限り早期実現して欲しい。実現までは、裁判官の自由な判断によるライプニッツ方式とホフマン方式の選択を復活させて欲しい。
- 裁判官の判決のばらつきが少なくなるような対策を考えて欲しい。裁判官(特に家裁裁判官)が、被害者の心情や置かれた状況、市民感覚を理解するのに資するような研修・講演などを実施して欲しい。民事裁判の中で、裁判官から「加害者を刑務所に入れた上に、まだ、賠償金まで請求するのか」と言われた例がある。
- 犯罪者からの自己破産の申立ては、受理しないようにするべきである。
- 裁判所における被害者のための待合室の整備を全国各地で進めて欲しい。
- 裁判所において、被害者に加え、付添い傍聴をする支援員の分についても傍聴券を優先的に発行して欲しい。
- 裁判所の待合室について、特定の部屋を被害者専用控え室とすると、出入りにより被害者と特定されてしまうので、被害者によっては、期日ごとに違う部屋にして欲しいという声があがっている。