第1章 治安情勢の概況

1 社会の動き

 昭和47年は、内外ともに変動の激しい年であった。
 国際的には、米中接近、米ソ会談を軸として冷戦構造がくずれ多極化が進む中で、東西欧州間の交渉の進展、日中国交の正常化、朝鮮半島における南北の話し合いの開始、ベトナム和平の進展など緊張緩和への動きが目立つ一方、中ソ間の対立や中近東における不安定な政治情勢等諸々の問題をかかえて緊張が高まりつつあるところも少なくなかった。
 こうした中で、最近国際社会において、我が国の動向が大きな影響力を持つようになるとともに、国際情勢の変化もまた敏感に我が国に影響を与え、治安面においても、日本人によるテルアビブ・ロッド空港のテロ事件のような国際的な治安事象の発生をみるに至った。
 一方、国内的には沖縄復帰の実現、田中内閣の誕生、日中国交の正常化、年末総選挙における共産党の進出などが注目された。
 経済面では、景気は停滞が続いたのち上昇に転ずるという過程をたどったが、消費者物価は依然として上昇が続き、これに加えて公害、地価、環境破壊などの問題が高度経済成長に伴うひずみの現われとして社会問題化し、国民の意識の中に「生産第一主義よりも福祉社会の実現を」といった欲求が強まった。
 こうした社会の動きの中で、治安的観点からは、次のようなことが注目される。
(1) 豊かで安全な生活への指向
 産業技術の飛躍的発達は、国民の日常生活に多くの利便をもたらしてきたが、反面、交通事故の多発、公害の激化、大規模事故の危険性の増大などを招き、国民の生命や健康が損なわれる度合も一段と高まってきている。ちなみに、経済審議会が昭和47年5月に行なった「国民選好度調査」の結果によると、国や地方自治体に対する国民の各種要望12項目のうち、「公害の防止」、「老人、母子、心身障害者対策などの社会保障」、「犯罪の防止」の3項目についてのみ、「ぜひ力を入れてやってもらいたい」とするものが60%を越えており、生命、身体の安全な保障への強い要請が国民の意識にはっきりと現われていることがうかがわれる。
(2) 価値観の多様化と利害対立の激化
 戦後の自由かつ開放的な社会の進展と物質文明の発達は、道徳や倫理についての国民意識に著しい変化をもたらし、既成モラルへの反発や、自己中心的な考え方の強まりなどにより、各種問題に対する価値観はますます多様化してきている。
 このような価値観の多様化は、権利意識の高まりと相まって、コンセンサスの形成を困難にしており、最近の各地における地域開発、日照権、ゴミ処理問題などをめぐる鋭い利害対立事案はその現われともみられる。
(3) 地域社会の崩壊と匿名性の増大
 都市化に伴う都市への急激な人口集中と生活圏域の拡大、マイホーム主義の普遍化等は、地域社会の急速な崩壊、連帯意識の希薄化をもたらし、犯罪行為や反道徳的行為への社会的歯止めを失わせる傾向を強めることとなった。
 更に、都市において顕著にみられる匿名性の増大は、道徳律のし緩をもたらし、人々を無責任な行動や犯罪行為に走らせる傾向を強めている。
(4) モータリゼーションの進展
 我が国における最近のモータリゼーションの進展は、まことに著しいものがあり、昭和47年中だけでも250万台の自動車が増加し、全保有台数は2,300万台を越え、自動車は、都市、農村を問わず、今や国民の日常生活上不可欠な交通手段となっている。これに伴い、交通事故の多発と死傷者の増加を招くとともに、犯罪の広域化、スピード化が著しくなった。
 更に、自動車の急激な増加によって、大都市を中心に交通渋滞が慢性化するとともに、騒音、排出ガス、光化学スモッグ等の交通公害が深刻化しつつある。

2 警察事象の推移と特徴

 前述の社会情勢を反映して、警察事象の推移も極めて変化に富み、激しい動きをみせたが、その主なものを概観すれば、次のとおりである。
(1) 犯罪情勢
 一般犯罪の発生件数は、昭和39年をピークとして年々減少傾向にあり、昭和47年は約122万件で戦後最低となった。このような傾向は、欧米先進諸国において犯罪が逐年増加の傾向にあるのに比べて、我が国の犯罪情勢の大きな特徴の一つとなっている。このうち窃盗は、約100万件でおおむね横ばいであり、長期的にみた全体の減少傾向は、凶悪犯、粗暴犯の減少によるものである。凶悪犯では、強盗、強かんの減少が著しく、強盗は昭和38年に比べて60%、強かんは75%となっている。粗暴犯では、恐喝が昭和38年当時の3分の1近くに減っている。
 しかし、犯罪の内容をみると、殺人事件の場合残忍な手段によるものや近親者が被害者となるものが増加しており、また交通機関等に対する爆破予告事件や、千日デパートビル火災事件の発生など、人心に与える影響の極めて大きい事件の発生が目立った。
 一方、犯罪の広域化、スピード化に加えて、社会構造の複雑化、国民意識の変化などにより、捜査活動はますます困難になっており、重要事件の捜査が全般的に長期化する傾向にある。
 暴力団については、厳しい世論を背景に継続的かつ粘り強い取締りなどによって、昭和47年末現在でその勢力は、約3,000団体、約12万3,000人となっており、ピーク時の昭和38年に比べ、団体数で約半数、構成員数で約6万人が減少した。しかし、暴力団の勢力は依然として根強く、一部では組織の大規模化がみられるとともに、けん銃使用の殺人事件や覚せい剤の密売、と博等の資金源関連犯罪の増加が目立っている。更に、会社や金融機関に対する大型の恐喝等暴力団が新たな資金源の場を企業に求める傾向にあることが注目される。
(2) 少年問題
 罪を犯した少年の数は、昭和39年をピークとして逐年減少し、昭和47年は約11万人となっている。しかしながら、犯罪者が一定人口に占める割合を表わす犯罪者率では、成人に比べ約3倍の高い率を示しており、更に年齢層別にみると、18歳以上の年長少年は減少傾向にあるのに反して、14歳から15歳の年少少年は昭和44年以来増加の傾向を示している。少年犯罪の大多数は一過性の単純なものであるが、その主体が最も感受性の強い年代層であるだけに、処遇上慎重な配慮を要する事案が多い。
 シンナーやボンドの乱用は、昭和42年以来社会問題となっていたが、昭和47年8月からシンナー等の乱用に対する法規制により、これらを乱用する少年の補導数は激減した。
(3) 風俗、保安、公害問題
 風俗環境は、最近における都市化の急激な進展や享楽的な風潮の広まりによって次第に変ぼうしており、深夜飲食店やモーテル、ソープランド等の増加が目立っている。一方、性に対する考え方の変化や、ポルノブームの影響もあって、いかがわしい出版物、映画、広告物等が増加した。
 覚せい剤事犯は、昭和30年以降ほとんど影をひそめていたが、暴力団等の密売組織の介在によって、昭和45年頃から逐年急激に増加し、再び全国に浸透する勢いをみせている。
 銃砲刀剣類の不法所持事犯は、ここ数年来減少傾向にあったが、昭和47年は暴力団関係者による改造けん銃の密造密売事件が急増し、けん銃の不法所持事犯の検挙数は前年に比べ、約2倍に増加した。
 公害は、今や国民にとって身近な重要な問題となっており、昭和47年中に警察に持ち込まれた国民からの大気汚染、水質汚濁、騒音などに関する苦情は、約2万7,000件の多くに達した。一方、昭和47年中に検挙した悪質な公害関係事件は791件で、昭和44年に比べて約6倍となっている。
 また、昭和47年中には庶民のマイホームづくりを阻害する悪質な不動産犯罪、日常の経済生活を侵害するやみ金利などの金融犯罪や悪らつな商品取引事犯、更には医師不足につけ込んだにせ医師事犯などの発生が目立った。
(4) 交通情勢
 昭和47年末の自動車保有台数は約2,300万台で、国民4.6人に1台の割合となり、運転免許所持者数は約2,900万人で、運転免許適齢者2.7人に1人が運転免許をもつに至っている。
 交通事故は、昭和45年まで逐年増加を続けていたが、昭和47年は、前年に引き続き2年連続して発生件数、死者数、負傷者数がいずれも減少した。死者数は1万5,918人で前年に比べ360人減、負傷者数は約89万人で前年に比べ約6万人減となった。
 これは、交通安全施設の整備充実、交通指導取締りの強化、運転者管理体制の整備、国民各層の交通安全への理解と努力などによるものであると考えられる。
 しかし、交通事故の死者の内容をみた場合、歩行者及び自転車事故が全体の約半数を占めていること、幼児の死亡事故がむしろ増加していることなど多くの問題が依然として残されている。
 一方、交通渋滞は、大都市を中心に慢性化しており、更に、自動車交通に起因する騒音、振動、大気汚染等の交通公害が社会問題化している。
 また、4月末に富山市で端を発したいわゆる暴走族騒ぎは、その後各地方都市に波及し、深夜にわたり投石、放火等の不法事案を繰り返すまでに至ったが、強力な取締りにより、9月末には、いずれの都市でも騒ぎは鎮静した。
(5) 警備情勢
 左翼諸勢力は、「70年代闘争」の一環として昭和47年中に「5.15沖縄闘争」、「10.21国際反戦デー闘争」、相模原の米軍車両搬送阻止闘争、北熊本の自衛隊沖縄配備反対闘争などの闘争を展開した。
 極左暴力集団は、テロ・ゲリラ化の傾向を一層強め、連合赤軍事件、テルアビブ事件などの極めて凶悪な犯罪を敢行し、社会に大きな衝撃を与えたが、世論の厳しい批判を浴びて孤立化し、警察の徹底した取締りによって組織に大きな打撃を受け、全般的に活動が停滞した。しかしなお、極左暴力集団は、その組織の再建強化をはかりながら、各種問題をとらえて武装闘争再開の機をうかがっている。
 こうした左翼諸勢力の動向のなかで、昭和47年中で注目すべきことは、共産党の活発な活動である。共産党は、革命勢力としての体質を維持しながら柔軟な路線を展開するとともに、その強力な組織力と宣伝力を駆使し、12月の総選挙において衆議院で第3党に進出し、また、総評等各種の団体に対して党の影響力を浸透させるなど、70年代後半の「民主連合政府」樹立に向けて体制づくりを一段とおし進めた。
 一方、右翼は、日中国交正常化や共産党の議会での進出に強く危機感を抱き、政府、自民党に対する抗議行動や左翼諸勢力の大衆行動に対するいやがらせ的な行動などの活動を繰り広げた。
(6) その他
 以上のほか、国民の日常生活と密接に関連する警察事象として、保護の対象となった者や、警察に対する訴え、相談等が依然として多くみられた。
 昭和47年中の家出人は約9万人、でい酔者及び酩酊者として保護された者は約15万人であり、また迷子として保護された者は約6万6,000人であった。そのほか、交通事故による歩行中の幼児及び老人の死者率が他の年齢層に比べて著しく高いことや、犯罪・事故の被害者になりやすいひとり暮しの老人が全国で約46万人と推計されていることなどが注目された。
 訴え、相談等についてみると、昭和47年中の110番の利用状況は約208万件で、国民の50人に1人の割合で利用されており、内容的には交通事故・違反、被害の届出、照会・連絡などが多い。
 更に、警察に持ち込まれた悩み事や困りごと等の相談は約22万件で、このうち交通事故などの事故相談、契約関係のもつれ、身上相談、少年の非行関係等の相談が目立っている。
 一方、台風などの災害や山岳遭難、水難その他の事故は約3万件で、ここ数年おおむね横ばいの状況である。しかし、死者、行方不明者は、前年に比べて急激に増加し、約7,000人に達した。なかでも、7月の集中豪雨や大阪の千日デパートビル火災などで多数の人命が一挙に失われた。

3 展望と課題

(1) 今後の治安情勢
 我が国の警察は、戦後の未曾有の混乱期を経たのち、現在に至るまで幾多の試練を受けてきた。70年代に入ってからも、極左暴力集団による凶悪事件や大規模事故事件の発生、交通事故の多発、公害事案の激化等数々の困難な問題に遭遇したが、国民の協力を得てこれらの問題の克服に全力を傾注した結果、一応治安は、表面的には平穏を保つに至っている。しかし、現今の流動する社会情勢の下において、今後の治安情勢をながめると、なお幾つかの看過することのできない問題点が指摘されよう。
 その主なものを列挙すれば、次のとおりである。
 第1は、予測できない新しい型の警察事象の発生のおそれである。
 最近における社会の底流には、物価、公害、住宅、福祉などの問題をめぐる不平不満が目立っており、また、一部にではあるが、法軽視の風潮がみられるとともに、情報過多の中で、情報の選択能力を欠く附和雷同型の行動型式が多くなる傾向も認められる。こうした諸々の不安定要因が重なり合って、今後さ細なきっかけから、従来の経験尺度等では測り得ない新たな型の大規模な警察事象が突発することが十分予想される。
 第2は、犯罪や交通事故等を助長する諸要因の増大である。
 社会的連帯意識が希薄化し、また匿名性の増大が顕著になりつつある現状は、社会の中における犯罪抑制機能を次第に低下させることになろう。また、都市への急激な人口集中に際して生ずる風俗環境の悪化など生活環境の不健全化は犯罪の温床を醸成することとなりやすい。
 更に、モータリゼーションの進展は、交通事故の増加、交通渋滞の慢性化、交通公害の激化の要因となるのみでなく、犯罪をはじめとする各種警察事象の広域化、スピード化にますます拍車を加えることになるものと考えられる。
 このような情勢から、今後の犯罪捜査活動はますます困難さを加えることが予想されるとともに、交通事故防止の徹底をはじめとする交通警察活動も、一層抜本的な対策を必要とするものと考えられる。
 第3は、公害事犯、経済事犯などの多発化の傾向と、覚せい剤禍等の社会問題化である。
 高度経済成長に伴うひずみの一つである公害事犯の推移は、今後更に国民の重要な関心事となるであろう。また、経済秩序を乱し、ひいては国民の日常生活に大きな支障をもたらす経済事犯の増大等も懸念されるところである。
 一方、物質文明の発達に伴って生じがちな頽廃ムードの下で、覚せい剤、ギャンブル、ポルノなどが社会にまん延するのが世界的な状況であり、我が国においては、これまではこの種の問題が大きな社会的害毒に発展しないよう厳しく対処してきたが、今後の社会情勢の変化の中では、従来以上の努力を必要とするものと考えられる。
 第4は、災害事故の大規模化である。
 都市における建築物の高層化や地下街の拡大、ガスタンク等の危険物の増大により、今後は震災、火災、爆発事故等の災害が大規模化するおそれが一層強まっていくものと考えられる。更に、大量高速交通機関の発達とその過密化の傾向は、大規模な事故発生の危険性を潜在させている。
 第5は、警察事象の国際化である。
 国際交流の増大に伴い、警察事象の面においても、ハイジャックなどの発生や、国際的な犯罪者の我が国への潜入、更には国外逃亡事犯の増加等犯罪の国際化の傾向が強まるものと予想され、また、最近激増している覚せい剤事犯についても、その供給源は大半が外国となっており、この傾向は将来も引き続きみられよう。
 このような情勢から、今後犯罪捜査その他の警察活動を推進していくうえで、外国警察機関との捜査協力の緊密化等国際化の傾向が一層高まっていくものと考えられる。
 最後に、今後特に注目すべきことは、国民の間に近時とみに高まってきた豊かで安全な生活への指向である。
 戦後四半世紀間、我が国は目ざましい経済成長により、国民の所得も増加し、生活水準も著しく向上してきたが、一方、今日の社会においては犯罪、事故等国民の安全を脅かす問題が依然として数多く存在している。しかも、生活の利便性が増大し、衣食住が向上すればする程国民の間にはより高い水準の安全性を希求する声が高まってきている。このような国民の要望にこたえて、各種の犯罪、事故、災害等からいかに国民の安全を守っていくかということが、警察に課せられた現下の最大の課題である。
(2) 今後の警察運営のあり方
ア 犯罪と事故の未然防止の徹底~国民の平穏な生活の確保を目ざして~
 今後の治安情勢に対処して、国民の安全を確保するためには、まず何よりも、犯罪、事故の未然防止を徹底することが必要である。
 そのため、国民が日常身近に抱くさまざまな不安感を除去するための密度の濃い街頭活動の徹底、機動捜査力等を駆使しての悪質な犯罪の早期検挙の徹底、歩行者、自転車事故の大幅減少を目標にした交通安全施設の整備及び総合的交通規制の推進等を一層強力に進めなければならない。
イ 地域住民の要望にこたえる施策の推進
 現在の社会情勢の下において、警察活動を円滑に推進していくためには、国民の理解と協力とを得ることが何よりも必要である。
 そのため、国民の要望や意見をきめ細かにくみ取り、それを警察運営に生かすとともに、日常国民の身近で起こる事案の迅速適切な処理を図ることが肝要である。
ウ 社会の変化に的確に対応しうる警察体制の確立~警察の総合力の発揮と広域的警察行政の展開~
 激変する社会情勢と警察事象の複雑多様化、広域化等に、今後敏速適切に対処しうる警察体制の確立が必要である。
 そのため、警察の各専門分野のみでは処理しがたい大規模かつ複雑な警察事案の発生に対して、警察の総合力を発揮できる体制を確立するとともに、広域的な警察事象に対して、全国各警察の活動が効率的に遂行されるよう警察庁、管区警察局の指導調整の機能を一層充実する必要がある。
エ 警察管理の近代化、合理化
 最近における社会情勢の変化は著しく、これに伴い警察事象も増大の一途をたどっており、警察に課せられる責務の重要性と業務量は一段と増している。こうした事態に対処するためには、警察の内部管理についても検討改善を加えて、その一層の近代化、合理化を図る必要がある。
 そのため、優秀な人材の確保について一層努力するとともに、勤務条件、勤務環境等の改善を図り、また、科学技術に関する研究開発体制の整備充実を推進していかなければならない。
オ セーフティ・ミニマムの導入
 先に述べたとおり、近時国民一般の中に、より高い水準の安全性確保の欲求が高まってきている。しかしながら、従来いわゆるセーフティ・ミニマムとでもいうべきもの、すなわち、国民の安全の確保に関して、国や地方公共団体が責任をもって整備すべき最低の基準については、必ずしも明確なものがあったとは言えない状況である。そこでこの際、国民が何を警察に期待しているかを正確には握して、警察行政の各分野ごとに国民の要望にこたえて、警察が保障すべき具体的な基準を設け、その目標に向かって、警察行政上の諸施策を計画的に推進することが必要であると考える。例えば、駐在所や派出所の設置基準、警ら密度の基準、110番などによる急訴に対する現場到着所要時間の基準、信号機の設置基準等警察が国民の安全確保のために保障すべき具体的な基準を設定し、それを国民の前に明らかにした上で警察行政を推進していくべきである。
 このような安全基準とでもいうべきものを策定することによって、警察行政を国民にとって容易に理解できる身近なものにするとともに、国民が日常実感として抱く安全感を一層高めるよう努力することが必要である。


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