トピックス

トピックスIV 六代目山口組・神戸山口組対策について

平成27年8月末、日本最大の暴力団である六代目山口組傘下の直系組長13人が離脱し、神戸山口組を結成して以降、全国各地で両団体の傘下組織構成員らによる銃器発砲事件(注1)、傷害事件等が発生した。こうした情勢を受け、警察庁は、28年3月7日、両団体が対立抗争の状態にあると判断した。

同年4月には、兵庫県公安委員会が、暴力団対策法(注2)の規定に基づき、神戸山口組を指定暴力団として指定した。また、同年6月には、六代目山口組も、同委員会から9回目の指定暴力団の指定を受けた。

両団体は、29年7月現在も対立抗争の状態にある。

注1:159頁参照
注2:暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律

コラム 神戸山口組をめぐる最新の動向

平成29年4月、神戸山口組傘下組織の一部が別団体の結成を表明した。警察では、六代目山口組を含めた関係団体に関する情報収集、これらの団体に対する取締り及び警戒活動の徹底、暴力団対策法の活用等を通じて、市民生活の安全確保並びにこれらの団体の弱体化及び壊滅に向けた取組を強力に推進している。

(1)対立抗争に起因するとみられる不法行為の発生状況

両団体が対立抗争の状態にあると判断した平成28年3月7日以降、両団体の対立抗争に起因するとみられる不法行為は、29年5月末までに19都道府県で48回発生している。このうち銃器発砲は6回、火炎瓶使用は3回、暴力団事務所等への車両突入は10回となっている。

28年5月には、住宅街の路上において神戸山口組傘下組織幹部が射殺されるなど、市民の身近な場所で凶悪な事件が発生しており、市民生活に対する大きな脅威となっている。

 
図表IV-1 対立抗争に起因するとみられる不法行為の発生状況
図表IV-1 対立抗争に起因するとみられる不法行為の発生状況
Excel形式のファイルはこちら

(2)警察における対策

① 取締り及び警戒活動の徹底

警察では、平成28年3月7日以降、警察庁及び関係都道府県警察に両団体に対する集中取締本部を設置して、全国警察を挙げて対立抗争事件の続発防止と両団体の弱体化を目的とした集中取締りを実施するとともに、市民生活の安全確保に向け、警戒活動の徹底を図っている。

29年5月末までに発生した両団体の対立抗争に起因するとみられる不法行為に関連した検挙事件数は31事件、検挙人員は163人となっている。

 
六代目山口組総本部事務所に対する捜索時の状況
六代目山口組総本部事務所に対する捜索時の状況

事例

六代目山口組傘下組織構成員の男(32)は、28年5月、神戸山口組傘下組織幹部に対して拳銃を発射し、殺害した。同年6月、同男を殺人罪等で逮捕した(岡山)。

事例

神戸山口組傘下組織構成員の男(52)らは、28年3月、路上において六代目山口組傘下組織構成員に対し、集団で殴打するなどの暴行を加えた。同月、同男ら6人を暴力行為等処罰ニ関スル法律違反(集団的暴行)で逮捕した(北海道)。

② 暴力団排除活動

警察では、取締り及び警戒活動に加え、暴力追放運動推進センターや弁護士会と緊密に連携し、事務所撤去訴訟を始めとした暴力団排除活動を支援している。

事例

28年1月、六代目山口組傘下組織事務所に対して、火炎瓶が投げ込まれる事件が発生したことから、同年8月、適格暴追センター(注)の認定を受けた福岡県暴力追放運動推進センターが、地域住民から委託を受け、福岡地方裁判所に対し、同センターの名をもって同事務所の使用禁止の仮処分命令の申立てを行ったところ、同年9月、同命令が決定され、同事務所は同年10月に同組織により撤去された。適格暴追センターによる仮処分命令の申立てが裁判所に認められたのは、全国初であった(福岡)。

注:国家公安委員会の認定を受け、指定暴力団等の事務所の付近住民から委託を受けて、自己の名をもって事務所使用差止請求を行うことができる暴力追放運動推進センター

事例

28年3月、茨城県水戸市内の神戸山口組傘下組織事務所に対する車両突入事件及び銃器発砲事件が相次いで発生したことから、同事務所付近の小学校の設置者である水戸市が、茨城県警察、茨城県暴力追放運動推進センター及び茨城県弁護士会と連携し、同事務所の使用禁止の仮処分命令の申立てを行った。同年4月、同事務所を暴力団事務所として使用しないことなどを内容とする和解が成立し、同事務所は同年6月に同組織により撤去された(茨城)。



前の項目に戻る     次の項目に進む