特集 交通安全対策の歩みと展望

第2節 交通安全対策の歩み

(1)交通安全対策の基本的枠組みの形成

① 道路交通取締法の制定等

戦後の道路交通の混乱に対処するため、昭和22年、「道路における危険防止及びその他の交通の安全を図ること」を目的とした道路交通取締法が制定され、道路交通の基本的なルールが定められた。

同法の制定当初は、歩行者も車馬と同様に左側通行が原則であったところ、歩車道の分離が十分でない中、通行方法をより安全で合理的なものとするため、24年の同法の一部改正により、「人は右、車は左」という対面交通が採用された。

② 道路交通法の制定等

道路交通取締法は、変貌する道路交通の実態に対応しきれず、規定の不備等も指摘されるようになり(注)、35年、同法が廃止され、新たに「道路における危険を防止し、交通の安全と円滑を図ること」を目的とした道路交通法が制定された。

以後、その時々の交通情勢に応じ、累次の法令改正が行われており、45年には、同法の目的に「道路の交通に起因する障害の防止」が加えられ、自動車交通による大気汚染、騒音、振動等の交通公害の防止のための交通規制が行えるようになった。

注:歩行者・自動車の通行方法や自動車の運転者の義務等に関する規定が十分でなかったほか、政令への委任の範囲が広く、国民の権利や自由の制限に関わる規定が少なからず政令で規定されているなどの問題があった。
③ 交通安全基本計画の作成等

45年、交通安全対策基本法が制定されるとともに、同法に基づき内閣総理大臣を会長とする中央交通安全対策会議が設置された。

46年度以降、同会議において作成される交通安全基本計画に基づき、交通安全対策が総合的かつ計画的に推進されることとなった(注)

注:10頁参照

コラム 交通事故被害者の遺族の声

「悔しさと悲しみを抱いて~あまりにも理不尽な息子の死~」(注)

加害者は29歳の大手運送会社の運転手でした。

飲酒した上、速度オーバー、前方不注意で、バイクに乗った20歳の息子を跳ね飛ばし、26メートル先の地面にたたき付けたのです。バイクは息子が倒れていた位置から33.5メートルも引きずられて大破していたと捜査書類にあります。

救急病院のICUで、酸素マスクを当てられて、変わり果てた姿で横たわる息子。耳から血を流しながら意識がありません。頭が混乱して現実を受け取れません。

「だーい、ここで死んでどうするん!まだまだやりたいことがいっぱいあるやろ!」

横たわる息子の耳元で叫んでも何の反応もありません。輸血をしても血圧が上がらない。ぬくもりのある足をさすり続けることしかできません。電気ショックもむなしく、息子は、10時間後に息を引き取りました。

我が子が目の前で死ぬ、という光景を想像してみてください。残酷で…地獄で…正気を失いそうでした。

早朝に元気な足音を残して新聞配達に出掛けて行った子が、午後には遺体になって帰って来るというのですから、あまりにも惨(むご)すぎて、嗚咽(おえつ)を漏らしながらの帰宅でした。

斎場に向かうという日の朝、息子の部屋の襖(ふすま)を開けると、彼の匂いが充満していました。気丈にしていた気持ちがプツリと切れた瞬間です。

「だーい、ごめんね。ごめんね」

息子に取りすがって声を放って泣いても、とめどもなく涙があふれて止まりません。

ハンドルを握る人全てが、命に想いを寄せて、安全運転に徹してほしいと心から願っています。

注:平成28年12月中、福岡県警察において、交通指導取締りの際に違反者に手渡し、交通事故の悲惨さを訴えて交通安全意識の醸成を図るために作成された資料に掲載された手記。なお、掲載に当たって一部改稿した。

(2)第一次交通戦争と警察の取組

我が国の自動車交通は、昭和30年代に入り、急成長期を迎えた。それまでの自動車交通の中心は貨物自動車であったが、30年代には自動二輪車を中心として、40年代には乗用自動車を中心として増加した自動車保有台数(注1)は、45年には約1,859万台と、30年に比べて約13倍に増加したほか、運転免許保有者数(注2)や自動車走行キロも大幅に増加を続けた。

また、これと並行して道路整備も進み、44年には道路実延長が100万キロメートルを超えたほか、高速自動車国道供用距離も増加を続け、40年には名神高速道路が、44年には東名高速道路が全線開通することとなった。

自動車交通の急成長は、社会経済の発達と国民生活の向上に大きく寄与した一方で、交通事故も急増したことから、交通戦争と称されるようになり、45年には死者数(注3)が1万6,765人でピークとなった。

この間の死者数を状態別にみると、図表特-31のとおり、歩行中と自動車乗車中の死者が増加しており、死亡事故件数を類型別にみると、図表特-32のとおり、正面衝突等や横断中の死亡事故が増加している。これは、自動車保有台数の増加や道路整備により自動車走行キロが増加する中、自動車乗車中の重大事故も増加したことや、当時、信号機等の整備が十分ではなく、道路横断中の歩行者が死亡する事故が増加したことによるものと考えられる。

注1:3頁(図表特-5)参照
注2:3頁(図表特-4)参照
注3:3頁(図表特-2)参照
 
図表特-31 状態別死者数の推移(昭和39~平成28年)
図表特-31 状態別死者数の推移(昭和39~平成28年)
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図表特-32 類型別死亡事故件数の推移(昭和39~平成28年)
図表特-32 類型別死亡事故件数の推移(昭和39~平成28年)
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20年代後半から50年代初めにかけて警察が重点的に取り組んだ交通安全対策の概要は、次のとおりである。

① 交通違反に対する取締りの強化

重大な交通事故の多くは運転者の無謀な運転行動により発生するとの考え方に基づき、20年代後半から運転者の交通違反に対する取締りを強化し、30年代以降、白バイ及びパトカーの大幅増強等により取締りの体制を充実させた。特に、47年から49年にかけて、交通警察官を全国で約9,000人増員したことにより、取締りの執行力が高まった。

また、42年の道路交通法の一部改正により、大量に発生する交通違反を刑事手続を経ずに処理することができるよう、交通反則通告制度(注)が新設された。

さらに、40年代後半以降、暴走族による一般通行者に多大な危険・迷惑を及ぼす暴走行為や暴走族同士の対立抗争事件の多発等が社会問題となったことから、53年には、共同危険行為等が禁止・処罰されることとなった。

注:道路交通法に違反する行為について罰則を存置しながら、車両等の運転者が行った違反のうち、比較的軽微であって、現認・明白・定型のものを反則行為とし、反則行為をした者(一定の者を除く。)に対しては、行政上の手続として警視総監又は道府県警察本部長が定額の反則金の納付を通告し、その通告を受けた者が反則金を任意に納付したときは、その反則行為に係る事件について公訴が提起されないが、一定期間内に反則金を納付しなかったときは、本来の刑事手続が進行することを内容とするもの
② 交通安全施設等の整備

歩行者等が安全に通行することができる交通環境を整えることが重要であるとの考え方に基づき、41年の「第1次交通安全施設等整備事業三箇年計画」の策定以降、道路管理者による歩道、ガードレール等の整備と協調しながら、信号機や道路標識を始めとする交通安全施設等の整備を推進した。

また、信号機や可変式道路標識の増加に伴い、46年から、交通情報の収集、信号機の制御等を一体的かつ有機的に行う交通管制センターの整備を始めた。

③ 交通安全教育の推進

歩行中の子供が犠牲となる痛ましい交通事故が続発する中、歩行者が、正しい通行方法を始め、交通事故の危険から身を守るための知識や技能を習得することが重要であるとの考え方に基づき、30年代半ばから、交通指導員、学校関係者等と連携し、子供に対する交通安全教育を強力に推進した。45年には、新たな制度として、歩行者の通行の安全の確保等を任務とする交通巡視員が各都道府県警察に置かれることとなり、通学・通園中の児童・幼児の誘導や小学校等における交通安全教育に携わるようになった。

また、46年には、交通安全に関する知識の普及を図るため、国家公安委員会が交通の方法に関する教則を作成・公表することとされ、47年に国家公安委員会告示として公示された。

 
子供に対する交通安全教育(昭和40年代)
子供に対する交通安全教育(昭和40年代)

(3)第二次交通戦争と警察の取組

昭和45年をピークに減少し始めた死者数(注1)は、55年に増加に転じ、63年には再び1万人を超え、第二次交通戦争と称される状況となり、平成4年には1万1,452人を記録した。

この間、自動車保有台数(注2)は、増加率が徐々に低下したものの、引き続き増加を続けたほか、自動車走行キロも増加を続けた。また、貨物自動車や自動二輪車が中心であった自動車交通は、昭和50年代に入ると、乗用自動車が中心となった。さらに、運転免許保有者数(注3)も増加を続けた。

この間の死者数を状態別(注4)にみると、特に自動車乗車中の死者が増加しており、死亡事故件数を類型別(注5)にみると、正面衝突等の死亡事故が増加している。また、63年以降、図表特-34のとおり、自動車乗車中の若者(注6)の死者が急増しており、その一因として、第二次ベビーブーム世代の者が運転免許取得年齢に達し、運転技能が十分ではない若者の運転免許保有者数が増加したことがあるものと考えられる。

注1:3頁(図表特-2)参照
注2:3頁(図表特-5)参照
注3:3頁(図表特-4)参照
注4:13頁(図表特-31)参照
注5:13頁(図表特-32)参照
注6:16歳以上24歳以下の者
 
図表特-33 年齢層別死者数の推移(昭和42~平成28年)
図表特-33 年齢層別死者数の推移(昭和42~平成28年)
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図表特-34 年齢層別自動車乗車中死者数の推移(昭和53~平成28年)
図表特-34 年齢層別自動車乗車中死者数の推移(昭和53~平成28年)
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50年代半ばから平成10年代にかけて警察が重点的に取り組んだ交通安全対策の概要は、次のとおりである。

① 運転者教育の充実

国民皆免許時代と称される状況において、自らの意思で安全運転を励行する運転者を育成することが重要であるとの考え方に基づき、運転者に自己の心理的・性格的特性や運転技能の特性に由来する危険性を自覚させたり、危険の予測や回避について理解を深めさせたりするための教育手法を開発し、それを活用した各種の講習制度を導入した。

昭和50年代には、運転免許証の更新時の講習を見直し、運転免許の種別や年齢に応じた学級編成を推進するとともに、更新者の心理的・性格的特性を検査して本人に自覚させるなどの教育手法の導入を図った。

61年には、一定の違反行為をした初心運転者に特別な講習を受講させる制度を導入した。

平成6年には、運転免許証の取得時に、危険予測能力等を修得させるための講習を受講させる制度を導入し、運転シミュレーターを活用するなど、更に教育効果の向上を図った。

10年には、運転免許証の更新期間が満了する日における年齢が75歳以上の者に対して、運転免許証の更新時に高齢者講習(注)が義務付けられ、14年には、その受講対象者について、同年齢が70歳以上の者に拡大された。

注:安全運転に必要な知識等に関する講義のほか、自動車等の運転及び動体視力等の検査を通じ、受講者に自らの身体機能の変化を自覚させた上で、その結果に基づく助言・指導を行うことを内容とするもの
 
運転シミュレーターを活用した講習
運転シミュレーターを活用した講習
② 運転免許制度の充実

2年には、技能及び知識が十分に定着していない運転者を矯正することを目的として、初心運転者期間制度が導入され、この期間に一定の違反行為をした者は、講習又は再試験を受けなければならず、再試験に合格しなければ運転免許を取り消されることとなった。

一方、6年には、優良運転者の優遇措置が講じられ、運転免許証の有効期間が3年間から5年間に延長されるとともに、運転免許証には優良運転者である旨が記載されることとなった。

また、貨物自動車の大型化に運転者の知識や技能が追い付いていなかったことなどを背景として、貨物自動車の死亡事故が頻発していた状況を踏まえ、16年の道路交通法の一部改正により、車両総重量が5トン以上11トン未満の自動車に対応した中型免許が新設された(注)

注:貨物自動車に係る交通事故防止対策の推進を図るための規定の整備等を内容とする27年の道路交通法の一部を改正する法律による準中型免許の新設については、33頁参照
③ 被害軽減対策

死者数が増加に転じたことを踏まえ、交通事故が発生した際の被害を最小限に抑えるための被害軽減対策を積極的に講じた。

自動二輪車乗車中のヘルメット着用については、昭和40年に高速道路において、47年に最高速度が40キロメートル毎時以上とされている道路において順次義務化されていたところ、53年には、全ての道路において義務化された。また、原動機付自転車乗車中のヘルメット着用については、61年に義務化された。

自動車乗車中のシートベルト着用については、46年に高速道路において努力義務とされていたところ、60年に全ての道路において運転者及び助手席同乗者に対して義務化された。また、同年から高速道路における運転者に係る義務違反に対して、61年から全ての道路における運転者及び助手席同乗者に係る義務違反に対して、それぞれ運転者に行政処分点数が付されることとされた。さらに、平成19年の道路交通法の一部改正により、後部座席同乗者のシートベルト着用が義務付けられ、20年から高速道路における違反に対して、運転者に行政処分点数が付されることとされた。

6歳未満の幼児を同乗させる際のチャイルドシートの使用は、12年に義務化された。

④ 悪質・危険運転者対策の強化

最高速度違反や飲酒運転のような死亡事故につながりやすい悪質・危険な運転行為に対しては、長年にわたり、取締りを強化するとともに、罰則の引上げ、行政処分の強化等の対策を講じてきた。

しかしながら、11年には、東名高速道路で飲酒運転のトラックに追突された乗用車が炎上して幼児2人が死亡した交通事故が発生するなど、悪質・危険な運転行為による交通事故が後を絶たず、厳罰化を求める声が高まってきたことも踏まえ、14年に飲酒運転、過労運転、無免許運転等に対する罰則や違反行為に付する行政処分点数の引上げ等を行った。また、13年の刑法の一部改正では、危険運転致死傷罪が新設され、飲酒の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を運転し、人を死傷させた者等に対して、より厳しい罰則が適用されることとなった。

さらに、18年には、福岡県で飲酒運転の乗用車に追突された乗用車が橋の下の海中に転落して幼児3人が死亡した交通事故の発生等を契機として、国民の飲酒運転根絶気運が一層高まり、19年に飲酒運転を助長する行為(注)を直罰化するとともに、飲酒運転に対する罰則を更に引き上げた。また、同年の刑法の一部改正では、それまで業務上過失致死傷罪等が適用されていた自動車運転による死傷事故について、交通事故事件の実態に即した適正な科刑を実現するため、自動車運転過失致死傷罪が新設された。

注:車両等提供、酒類提供及び要求・依頼しての同乗
 
飲酒運転根絶の広報啓発用リーフレット
飲酒運転根絶の広報啓発用リーフレット
⑤ 違法駐車対策の推進

違法駐車は、交通事故を誘発させ、交通渋滞を悪化させる要因となるほか、地域住民の生活環境を害することから、対策が求められていた一方、その大半は、運転者が車両を離れているため、違反者を特定することが困難であるという問題があるほか、大量の違反に見合うだけの警察力を違法駐車の取締りに振り向けられず、その結果、不出頭者を捕捉できなかったことから、違法駐車を十分に抑止できていなかった。

そこで、16年の道路交通法の一部改正により、放置違反金制度(注1)を導入するとともに、放置車両(注2)の確認事務(注3)を民間に委託することができるようにし、違法駐車の抑止を図った。

注1:運転者に対して放置駐車違反の責任追及を行うことができないときは、都道府県公安委員会が車両の使用者に放置違反金の納付を命ずることができる制度
注2:違法駐車と認められる車両であって、その運転者がこれを離れて直ちに運転することができない状態にあるもの
注3:放置車両の確認と放置駐車確認標章の取付けに関する事務
⑥ 自転車対策の推進

自転車は車両であるとの意識が徐々に薄れ、自転車の歩道通行が常態化し、自転車が関係する交通事故が増加していたことから、19年の道路交通法の一部改正により、車道通行の原則を維持しつつ、自転車が例外的に歩道通行できる要件を明確化するなどし、自転車の交通秩序の整序化を図った。

(4)近年における警察の取組

平成4年を第2のピークに減少し始めた死者数は、21年には、57年ぶりに4千人台となり、その後も減少傾向が続き、28年には、67年ぶりに3千人台となったが、高齢者人口の増加等を背景として、死者数の減少幅が縮小する傾向にある。

20年代から警察が重点的に取り組んだ交通安全対策の概要は、次のとおりである。

① 高齢運転者対策の推進
ア 認知機能検査の導入

高齢運転者に対して、自己の記憶力・判断力の状況を簡易な検査によって自覚させ、引き続き安全運転を継続することができるように支援することを目的として、21年に、運転免許証の更新期間が満了する日における年齢が75歳以上の者に対する認知機能検査が導入された。

検査の結果、認知症のおそれがあると判定され、かつ、一定期間内に信号無視等の特定の違反行為をした場合には、臨時適性検査として認知症の専門医の診断を受けなければならず、認知症と診断されると、運転免許の取消し又は停止処分がなされることとなった(注)

注:高齢運転者対策の推進を図るための規定の整備等を内容とする27年の道路交通法の一部を改正する法律による臨時認知機能検査の導入等については、30頁参照
 
図表特-35 認知機能検査の内容
図表特-35 認知機能検査の内容
イ 高齢運転者等専用駐車区間制度の導入

身体機能の変化が運転に影響を与えるおそれのある高齢運転者等による駐車を支援することを目的として、22年に高齢運転者等専用駐車区間制度が導入された。この制度により、道路標識により指定されている場所では、高齢者等が運転し、都道府県公安委員会が交付した標章を掲示した普通自動車に限り、駐車又は停車をすることができることとなった。

② 一定の症状を呈する病気等に係る運転者及び無免許運転への対策の推進

意識障害を伴う発作を起こす持病について、運転免許の拒否事由等に該当しないよう虚偽の申告をし、運転免許証の更新をしていた運転者による多数の死傷者を伴う交通事故が、23年には栃木県鹿沼市で、24年には京都市で、それぞれ発生した。

また、同時期には無免許運転による交通事故も相次いで発生しており、23年には名古屋市においてブラジル人による死亡ひき逃げ事件が、24年には京都府亀岡市において少年による通学中の児童等10人を死傷させる交通事故が発生した。

こうした状況を踏まえ、25年の道路交通法の一部改正により、免許を受けようとする者等に対する病気の症状に関する質問制度や、一定の症状を呈する病気等に該当する者を診断した医師による任意の届出制度等を導入するとともに、無免許運転に対する罰則の引上げ等を行った。

③ 通学路における交通安全の確保

24年4月以降、登下校中の児童等が死傷する交通事故が全国で連続して発生したことを受け、通学路の危険箇所に対する具体的な交通安全対策を講ずるため、教育委員会、学校、道路管理者等と連携し、全国約2万校の公立小学校及び公立特別支援学校小学部の通学路において、約8万か所を対象とした緊急合同点検を実施し、交通安全対策を必要とする箇所として約7万5,000か所を抽出して、必要な対策を可能なものから順次推進している(注)

注:23頁参照
④ 交通事故抑止に資する取締り・速度規制等の推進

25年8月から同年12月にかけて、国家公安委員会委員長が、学識経験者、自動車評論家、関係団体の関係者等から構成される「交通事故抑止に資する取締り・速度規制等の在り方に関する懇談会」を主催し、同月、「交通事故抑止に資する取締り・速度規制等の在り方に関する提言」が取りまとめられた。同提言を踏まえた各種施策の実施により、交通事故防止に資する交通指導取締りや交通規制を推進している(注)

注:36、42頁参照
 
図表特-36 交通事故抑止に資する取締り・速度規制等の在り方に関する提言(概要)
図表特-36 交通事故抑止に資する取締り・速度規制等の在り方に関する提言(概要)

コラム 交通警察官の声①

第一線の交通警察官に対するアンケート(注)では、10年前と比べた業務負担の変化について、図表特-37のとおり、多くの者が交通事故捜査を中心に業務負担の増加を感じていることが明らかとなり、特に、交通事故に係る証拠収集・聞き込み等に関する業務は、「増加」又は「やや増加」と答えた者が7割を超えた。

また、交通警察官の仕事に「やりがいを感じる」と答えた者は82.9%であり、このうち、最もやりがいを感じるものとして、「交通事故の被害者や管内の住民から感謝されたとき」と答えた者は40.8%であった。

注:警察庁において、平成28年12月から29年1月にかけて、各都道府県警察のうち、交通警察官の人数が最も多い警察署に勤務している交通警察官(交通部門における勤務経験が通算10年以上である者に限る。)に対して実施したもの(636人が回答)
 
図表特-37 10年前と比べた業務負担量
図表特-37 10年前と比べた業務負担量
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図表特-38 最もやりがいを感じるもの
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