第2章 生活安全の確保と犯罪捜査活動

警察活動の最前線

「おかげさま」の山岳警備活動


富山県警察本部生活安全部地域課山岳係

山田 智敏(やまだ ちとし) 巡査部長

 
立山くん
立山くん

富山県警察山岳警備隊は、昭和40年に発足してから現在に至るまでの52年もの長い歴史の中で、地元の山岳ガイドから伝授された登山、遭難者の救助・ケア等の技術を先輩隊員から後輩隊員へ脈々と受け継いできました。

救助活動は、想像を絶する過酷な自然環境において、人員や装備が限られた条件下で行われるため、山小屋関係者を始め、山で働く民間の方々との協力が欠かせません。特に、山小屋の方々には、日々変化する登山道や雪渓の説明、防寒着の確認等の登山者へのアドバイスをしていただいていますが、救助活動が行われる際には、山岳警備隊員と一緒に救助現場に駆けつけ、身動きの取れなくなった遭難者を交代で背負って搬送していただくこともあります。また、救助活動が難航し、夜間に及んだときなどは、山岳警備隊員が道に迷わないように、山小屋の建物の明かりを煌(こう)々と灯し、隊員の帰還を待ってくれているのです。

こんなとき、誰とはなしに「おかげさま」という言葉が交わされます。これは、救助活動において、山岳警備隊、民間の方々を問わず皆が力を結集し、尊い命が救われるという思いから自然に交わされるものなのだと思います。

我々山岳警備隊は、今後も民間の方々と力を合わせて、安全・迅速・確実な救助活動を行い、県内外から訪れる登山者の安全安心の確保に努めてまいります。

 
富山県警察本部生活安全部地域課山岳係 山田 智敏(やまだ ちとし) 巡査部長

特殊詐欺根絶のために


警視庁刑事部捜査第二課特別捜査第14係(現 警視庁葛西警察署交通課)

原 直隆(はら なおたか) 警部

 
ピーポくん
ピーポくん

特殊詐欺の被害者は、お金だけではなく、人を信じる気持ちまでも失うことになります。特殊詐欺は、被害者のその後の人生までも狂わせる卑劣な犯罪です。

私は、担当した事件の被害者の方から以前お手紙を頂いたことがあり、そこには、「困っている人を助けてあげたいという優しい気持ちにつけ込まれ、家族の介護に使うはずだった大切なお金をだまし取られてしまった」という悔しさや絶望感、被害後の苦しい生活状況等が切々とつづられていました。

私は、失意の中で涙ながらに被害の状況を語っていたこの方の姿を思い出し、思わず目頭を押さえました。しかし、お手紙を読み進めると、自らがつらい状況にあるにもかかわらず、親身になって被害の相談を受けてくれた地元の警察官への感謝や、犯人の検挙を伝えた私たち捜査員に対する激励の言葉も書かれており、私は胸を熱くするとともに、被害者の思いに応えるべく、犯人検挙への決意を新たにしました。

特殊詐欺は、他者への思いやりや道徳心につけ込む悪質な犯罪です。私は、全国警察と共に、特殊詐欺の根絶に向け、全身全霊を傾けて捜査に邁(まい)進していきたいと思います。

 
警視庁刑事部捜査第二課特別捜査第14係(現 警視庁葛西警察署交通課) 原 直隆(はら なおたか) 警部

注:掲載されているキャラクターは、都道府県警察のマスコットキャラクターです。



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