2 生活安全産業の育成と活用
(1)警備業の育成
平成28年末現在、全国の警備業者数は9,434業者、警備員数は54万3,244人となっている。
警備業は、施設警備、雑踏警備、交通誘導警備、現金輸送警備、ボディガード等の種々の形態を有しており、特に各種センサー、非常通報装置等の警備業務用機械装置を使用して、住宅、事務所、店舗、駐車場等における盗難等の事故の発生を警戒し、防止する機械警備業務(注)の需要が近年増加傾向にあるなど、国民に幅広く生活安全サービスを提供している。また、空港や原子力発電所等の重要施設での警備も行っているほか、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の警備対策においても大きな期待が寄せられるなど、警備業に対する社会的な需要は増大している。
警備業法においては、専門的な知識等を要し、事故発生時に不特定又は多数の者の生命、身体又は財産に危険を生ずるおそれがある警備業務に関し、警備員等の知識等に関する検定が設けられており、当該警備業務のうち一定のものについては、検定に合格した警備員の配置が義務付けられている。具体的には、空港保安警備業務、施設警備業務、雑踏警備業務、交通誘導警備業務、核燃料物質等危険物運搬警備業務及び貴重品運搬警備業務について、それぞれ1級及び2級の検定が行われており、17年以降、1級検定合格証明書が3万3,049件、2級検定合格証明書が24万2,254件交付されている。
警察では、警備業が果たすこうした役割に鑑み、警備業法に基づき、警備業務の質の向上を図るとともに、警備業者に対する指導監督を行うなどして、警備業務の実施の適正と警備業の健全な育成を図っている。
(2)古物商・質屋を通じた盗品等の流通防止と被害回復
古物商や質屋においては、その営業の中で古物や質物として盗品等を扱うおそれがあることから、古物営業法及び質屋営業法では、事業者に対し、これらの営業に係る業務について必要な規制等を定め、窃盗その他の犯罪の防止を図っている。警察では、これらの法律に基づく品触れ(注)や指導監督等により、盗品等の流通防止と被害の迅速な回復に努めている。