第2章 生活安全の確保と犯罪捜査活動

4 国民の健康を害する事犯への対策

(1)保健衛生事犯(注)対策

保健衛生事犯の検挙状況の推移は、図表2-32のとおりである。

警察では、厚生労働大臣の承認を得ていない医薬品(以下「無承認医薬品」という。)を広告・販売するなどの医薬品医療機器法違反、無資格で医行為を行うなどの医師法違反、診療所の無許可開設等の医療法違反、無資格で美容施術を行う美容師法違反等の国民の健康被害に直結する保健衛生事犯の取締りを行っている。

無承認医薬品の広告・販売事犯については、近年、国外を仕出地とするものが全体の半数前後を占めている上、インターネットを利用して広告・販売を行っているものも多いことから、外国捜査機関等に対し情報を提供し、ウェブサイトの削除を要請するなどしている。

注:薬事関係事犯(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「医薬品医療機器法」という。)違反、薬剤師法違反等)、医事関係事犯(医師法違反、歯科医師法違反等)及び公衆衛生関係事犯(食品衛生法違反、狂犬病予防法違反等)
 
図表2-32 保健衛生事犯の検挙状況の推移(平成24~28年)
図表2-32 保健衛生事犯の検挙状況の推移(平成24~28年)
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(2)食の安全に係る事犯(注1)対策

食の安全に係る事犯の検挙状況の推移は、図表2-33のとおりであり、平成28年中は、産業廃棄物処理の委託を受けた食肉を産業廃棄物ではない食品として販売した事犯等がみられた。

警察では、食の安全に係る事犯の取締りを推進するとともに、食品安全行政に関する関係府省連絡会議(注2)に参加するなど、関係機関との連携の強化に努めている。

注1:食品衛生関係事犯(食品衛生法違反等)及び食品の産地等偽装表示事犯(不正競争防止法違反等)
注2:食品安全基本法に基づき、関係府省間の密接な連携の下、食品の安全性の確保に関する施策を総合的に推進することを目的とした会議
 
図表2-33 食の安全に係る事犯の検挙状況の推移(平成19~28年)
図表2-33 食の安全に係る事犯の検挙状況の推移(平成19~28年)
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事例

産業廃棄物処理会社(A社)の代表取締役(75)は、27年8月頃から12月頃にかけて、食品等事業者(B社)から廃棄処理委託を受けた産業廃棄物である食肉に関し、全量の廃棄処分をしたように装い、B社から委託料をだまし取るとともに、めん類製造業の経営者(78)に食肉を販売するなどした。また、同経営者らは、同年9月頃から12月頃にかけて、食品卸売業者に対し、同食肉を産業廃棄物ではない食品であると装って販売し、代金をだまし取った。28年8月までに、同代表取締役ら1法人3人を食品衛生法違反(無許可営業)等で検挙した(愛知、岐阜)。



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