トピックス

トピックスV 六代目山口組・神戸山口組及び工藤會対策について

警察では、暴力団の壊滅に向け、その組織基盤及び資金獲得活動に対して打撃を与えるための戦略的な取締りを推進している。特に、対立抗争事件や事業者襲撃等事件を敢行し、市民生活に対する大きな脅威となっている暴力団に対して、組織を挙げた強力な取締りを徹底している。

(1)六代目山口組・神戸山口組対策

① 六代目山口組と神戸山口組との対立抗争

平成27年8月末、日本最大の暴力団である六代目山口組傘下の直系組長13人が離脱し、同直系組長であった山健組組長を組長とする神戸山口組を結成した。神戸山口組の結成以降、全国各地で両団体の傘下組織事務所に対する銃器発砲事件、車両突入事件等が多発しており、六代目山口組と神戸山口組とは対立抗争の状態にある。

両団体の対立抗争に起因するとみられる不法行為は、28年5月末までに27回発生したが、中には住宅街における銃器発砲事件等も含まれており、市民生活に対する大きな脅威となっている。

② 警察における対策

警察においては、対立抗争事件の捜査を徹底するなどして、両団体に対する取締りを強化しているほか、市民生活の安全確保に向け、警戒活動の徹底を図っている。

また、そのための体制強化として、警察庁及び関係都道府県警察に両団体に対する集中取締本部を設置したほか、監視カメラ等の装備資機材を整備するなどの対策を進めている。

28年4月には、兵庫県公安委員会が、暴力団対策法(注)の規定に基づき、神戸山口組を指定暴力団として指定した。これにより、神戸山口組の構成員に対し、暴力団対策法に基づく各種行政命令を発出することなどが可能となった。

今後も、両団体に対する取締り及び警戒活動の徹底、暴力団対策法の活用等を通じて、 市民生活の安全確保並びに両団体の弱体化及び壊滅に向けた取組を更に強力に推進する。

注:暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律
 
神戸山口組事務所に対する捜索時の状況
神戸山口組事務所に対する捜索時の状況

事例

六代目山口組傘下組織構成員(26)らは、28年3月、神戸山口組傘下組織事務所にダンプカーを衝突させるなどし、同事務所の外壁等を損壊した。同年4月、同構成員らを建造物損壊罪で逮捕した(兵庫)。

 
神戸山口組傘下組織事務所に対するダンプカー衝突事件の現場
神戸山口組傘下組織事務所に対するダンプカー衝突事件の現場

事例

神戸山口組傘下組織構成員(47)らは、28年3月、六代目山口組傘下組織構成員らに対し、集団で殴打するなどの暴行を加え、傷害を負わせた。同月、同神戸山口組傘下組織構成員らを暴力行為等処罰ニ関スル法律違反で逮捕した(警視庁)。

(2)工藤會対策

① 工藤會の概要

工藤會は、福岡県北九州市に主たる事務所を置く指定暴力団で、過去に凶器等を用いた事業者襲撃等事件(注)を多数敢行している団体であり、事業者はもとより、市民生活に対する大きな脅威となっている。

注:139頁参照
② 工藤會対策の推進

警察では、

○ 各部門から動員した捜査員等の北九州地区への集中的な投入

○ 全国警察からの機動隊及び捜査員の派遣

○ 暴力団捜査等を行う警察官の増員

○ 監視カメラ等の装備資機材の充実強化

等の対策を行い、集中的な取締りの徹底及び警戒活動の強化を図るとともに、平成24年12月には、福岡県及び山口県の各公安委員会が、工藤會を特定危険指定暴力団等として指定するなど、暴力団対策法の規定も効果的に活用しながら、工藤會対策を推進してきた。

26年9月以降、工藤會総裁、同会長等の幹部を殺人、組織的殺人未遂等で逮捕したほか、同年11月から27年2月にかけて、福岡県公安委員会が工藤會の合計5か所の事務所に対し、特定危険指定暴力団等の事務所使用制限命令を発出した。また、同年7月には「全国社会復帰対策連絡会議」を福岡県において開催し、工藤會を含めた暴力団からの離脱者に対する広域的な社会復帰支援が可能となるよう、情報共有を図るなどした。

今後も、取締りの徹底、暴力団対策法の活用等を通じて、工藤會の壊滅に向けた取組を更に強力に推進する。

 
工藤會事務所に対する捜索時の状況
工藤會事務所に対する捜索時の状況

事例

工藤會総裁(68)らは、22年から26年までの間、工藤會の運営費名目の上納金のうち、同総裁の個人所得である合計約8億1,000万円を隠して申告することで、所得税合計約3億2,000万円を免れた。27年6月から7月までに、同総裁ら5人を所得税法違反で逮捕した(福岡)。

事例

工藤會総裁(68)及び同会長(59)らは、24年4月、組織の活動として、殺意をもって、元警察官の男性に対して拳銃を発射し、同男性の身体に命中させ、傷害を負わせた。27年7月、同総裁及び同会長ら18人を組織的犯罪処罰法(注)違反(組織的殺人未遂)等で逮捕した(福岡)。

注:組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律


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