第7章 警察活動の支え

警察活動の最前線


「何もない」留置施設を目指して


青森県青森警察署 留置管理課留置管理係

(現 青森県警察本部 生活安全部 生活安全企画課 ストーカー・DV対策係)

戸嶋 美智子(としま みちこ) 警部補

 
アピーくん レピーちゃん
アピーくん レピーちゃん

様々な人が留置される留置施設では、自殺、自傷、反抗等、全く思いどおりにはならないことが起き得ます。それでも留置は何もなくて当たり前と考えられていました。しかし、私はそうは思いません。留置施設の「何もない」は、普段と違う兆候を読み取る「洞察力」、規律・秩序のために動ける「機敏さ」、事故リスクの軽減のために工夫する「創造力」、つまり「人」が創り出すものだと考えるからです。

「何もない」が当たり前の留置部門は、事件を検挙した時のように光が当たることは多くないものの、私は留置の仕事に誇りを持ち、「何もない」に光を当てるために同僚と一緒に知恵を出し合い、ハード面、ソフト面の改善に積極的に取り組んできました。

そして、留置施設内に危険物等を持ち込まれる事案を防止するために開発した「身体検査用足型マット」については、その活用により被留置者が隠匿した物が留置担当官により発見され、発見者が表彰を受けるとともに、足型マットが県内全署に配布されるなど、少なからず留置業務に貢献することができ、「何もない」に光が当たる瞬間を体験することができました。

これからも、私たちの持つ「洞察力」「機敏さ」「創造力」を武器に、「何もない留置施設」の維持のために尽力していきたいと思います。

 
青森県青森警察署 留置管理課留置管理係 (現 青森県警察本部  生活安全部 生活安全企画課 ストーカー・DV対策係) 戸嶋 美智子(としま みちこ) 警部補

犯罪被害に遭われた方々の平穏を願って


和歌山県警察本部警察相談課

犯罪被害者支援室犯罪被害者支援係

川﨑 力夫(かわさき りきお) 警部補

 
きしゅう君
きしゅう君

私は、犯罪被害者支援係に従事することになって、被害に遭われた方々の体験談を聴いたり、手記を読む機会が多くなりました。その内容は大変深刻で被害に遭われた方々は直接の被害は元より、その後の暮らしにおいても厳しい負担を強いられていました。この被害後の現状を知ったことで、心から被害者支援の大切さを感じました。

犯罪被害者支援係に配属された当時、殺人事件の被害者の御遺族の支援に当たったことがありました。幼子であった被害者の子を、一人暮らしであった老齢の御遺族の方が養育することになったのですが、その方から、「年金だけで孫を育てるには経済的に不安です」と打ち明けられました。当時の私には、この不安を解消する知識がなく、遠慮気味に話す祖母の要望に応えることができなかったのです。しかし、私たちと連携して支援に当たっていた民間の被害者支援団体が、県の親族里親制度があることを知らせてくださったことから、幼子は親族の方とともにその制度の適用を受けることができました。被害の内容によっては長期にわたって問題を抱えることになる場合があり、支援には関係機関や団体と連携する必要性を強く感じました。

被害に遭われた方々の平穏を願いながら、被害者の視点に立った支援活動に当たりたいと思っています。

 
和歌山県警察本部警察相談課 犯罪被害者支援室犯罪被害者支援係 川﨑 力夫(かわさき りきお) 警部補

注:掲載されているキャラクターは、都道府県警察のマスコットキャラクターです。



前の項目に戻る     次の項目に進む