第7章 警察活動の支え

4 犯罪被害者支援

(1)基本施策

犯罪被害者及びその遺族又は家族(以下「犯罪被害者等」という。)は、犯罪によって直接、身体的、精神的又は経済的な被害を受けるだけでなく、様々な二次的被害を受ける場合がある。そこで、警察では次のとおり、様々な側面から犯罪被害者支援の充実を図っている。また、各都道府県警察において、あらかじめ指定された警察職員が事件発生直後に犯罪被害者支援を行う指定被害者支援要員制度(注)が導入されている。

注:平成27年末現在の要員総数 3万5,253人(28年4月28日時点の集計値)
 
図表7-27 犯罪被害者支援に係る主な施策
図表7-27 犯罪被害者支援に係る主な施策

(2)犯罪被害給付制度

犯罪被害給付制度は、通り魔殺人等の故意の犯罪行為により不慮の死亡、重傷病又は障害という重大な被害を受けたにもかかわらず、公的救済や損害賠償を得られない犯罪被害者等に対し、犯罪被害者支援法(注)に基づき、国が一定の給付金を支給するものである。この制度は、昭和56年1月に開始して以来、犯罪被害等の早期の軽減に重要な役割を果たしている。

注:犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律
 
図表7-28 犯罪被害者等給付金
図表7-28 犯罪被害者等給付金
 
図表7-29 犯罪被害給付制度の運用状況
図表7-29 犯罪被害給付制度の運用状況
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(3)被害者の特性に応じた施策

犯罪類型等によって犯罪被害者等には異なる特性があることから、警察では、性犯罪被害者、交通事故被害者(注1)、配偶者からの暴力事案の被害者(注2)、ストーカー事案の被害者(注3)、被害少年(注4)、暴力団犯罪被害者等について、その特性に応じた施策を推進している。

注1:179頁参照
注2・3:92頁参照
注4:101頁参照
 
図表7-30 被害者の特性に応じた施策の例
図表7-30 被害者の特性に応じた施策の例

(4)関係機関・団体との連携

犯罪被害者等が支援を必要とする事柄は、生活、医療、公判等多岐にわたるため、全ての都道府県で、警察のほか、検察庁、弁護士会、医師会、臨床心理士会、地方公共団体の担当部局や相談機関等の関係機関・団体から成る「被害者支援連絡協議会」が設立されている。

また、よりきめ細かな犯罪被害者支援を行うため、全国被害者支援ネットワークに加盟する民間の被害者支援団体が設立されているほか、全ての都道府県において、犯罪被害者支援法に基づき、都道府県公安委員会が犯罪被害等の早期の軽減に資する事業を適正かつ確実に実施できる団体を犯罪被害者等早期援助団体(注)として指定している。これらの団体では、電話又は面接による相談、裁判所へ赴く際の付添い等の直接支援、相談員の養成及び研修、自助グループ(被害者遺族の会等)への支援、広報啓発等を行っている。

注:平成27年6月25日現在、全国で47団体

コラム 内閣府からの犯罪被害者等施策の移管について

内閣の重要政策に関する総合調整等に関する機能の強化のための国家行政組織法等の一部を改正する法律が施行されたことにより、平成28年4月1日、これまでは内閣府が担ってきた犯罪被害者等基本計画の作成及び推進に関する事務が、国家公安委員会に移管された。

移管後は、犯罪被害者等基本計画の作成及び推進に関する事務を通じ、国家公安委員会が犯罪被害者等施策に係る政府の司令塔としての役割を担い、関係省庁、地方公共団体の担当部局等の関係機関・団体に対し、犯罪被害者等のための施策の更なる充実を働き掛けつつ、各種取組を推進していくこととなった。



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