第6章 公安の維持と災害対策

警察活動の最前線


災害救助と機動隊の絆


熊本県警察本部警備部機動隊第1小隊

出田 諒(いでた りょう) 巡査長

 
ゆっぴー
ゆっぴー

私は、機動隊のレンジャー隊員として、災害や遭難現場での捜索・救助、爆発物の処理を要する事案や立てこもり事案への対処など、様々な現場での活動を使命とし、充実した日々を送っています。 

当隊では、普段からあらゆる現場を想定した実戦的訓練を積み重ね、現場対応能力の向上に努めています。当然、訓練は厳しいですが、「流した汗は裏切らない」を合い言葉に全員が励まし合いながら訓練に取り組んでおり、困難な現場で任務を完遂したときには、何ものにも代え難い達成感を味わうことができます。

これまで経験した現場のうち、最もそれを感じたのは山岳での行方不明者捜索でした。極寒の中、一歩足を踏み外せば滑落の危険がある険しい山道からロープを使って崖を降下しながら捜索していたところ、約100メートル崖下に行方不明者を発見したのです。地理的条件からヘリは使えず、要救助者を背負って下山しなければならないなど困難を極めましたが、捜索に当たっていた隊員全員が仲間を信じ、一致団結して「要救助者を必ず救助する」という強い信念を持って活動し、任務を完遂しました。

このような現場を乗り越えられたのは、普段の厳しい訓練で培った隊員同士の強い信頼関係があったからこそだと思います。この深い絆で結ばれた仲間がいる機動隊で勤務できることを誇りに思うとともに、今後も県民の安全安心のために頑張っていきたいと考えています。

 
熊本県警察本部警備部機動隊第1小隊 出田 諒(いでた りょう) 巡査長

那須御用邸警察犬担当者として


皇宮警察本部警備部警備第二課

那須御用邸皇宮護衛官派出所

髙田 健(たかだ けん) 皇宮巡査

 
五三の桐
五三の桐

「皇宮警察で警察犬業務に携わりたい」そんな思いを胸に平成24年春、皇宮護衛官を拝命しました。3年後、警視庁警察犬訓練所における集中研修を経て、栃木県・那須御用邸の警察犬担当者となりました。

那須御用邸は、皇居の約6倍という広大な面積を有し、その大部分が森林等に覆われていることから、管内の警戒には、人の目だけでなく、人の数千倍という鋭い嗅覚を持った警察犬を伴っての警らが非常に重要となっています。また、警察犬は侵入者を発見した際には溢れる闘争心で犯人を追い詰め、逃走・反撃を諦めさせる力を持っています。こうした警察犬の優れた能力を最大限に発揮させるためにも日夜訓練に励んでいます。

着任して半年後、私は新たに配置されたトーマス号の担当となりました。毎日、厳しくかつ優しく接しながらも、訓練は困難の連続です。何を考えているのか、何を求めているのか、あらゆる情報はトーマス号の表情と態度から感じ取るしかなく、ある意味では、対人関係以上にコミュニケーション能力が重要になってきます。この訓練次第で、トーマス号がどのような能力をいかした警察犬に成長するかが決まります。トーマス号の一生を左右する大きな責任感とやりがいを感じながら、日々業務に励んでいます。

 
トーマス号と本人
トーマス号と本人

注:掲載されているキャラクターは、都道府県警察のマスコットキャラクターです。



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