3 高齢運転者対策の充実
(1)高齢運転者に対する教育
更新期間が満了する日における年齢が70歳以上の者は、運転免許証を更新する際、高齢者講習の受講が義務付けられている。この講習では、安全運転に必要な知識等に関する講義のほか、自動車等の運転指導や、運転適性検査器材(注)による指導等を通じ、受講者に自らの身体的機能の変化を自覚してもらうとともに、その結果に基づいた安全な運転の方法について、具体的な指導を行っている。平成27年中は258万9,265人が受講した。
また、更新期間が満了する日における年齢が75歳以上の者は、満了する日より前の6月以内に、認知機能検査を受けることが義務付けられている。この検査は、高齢運転者に対して、自己の記憶力・判断力の状況を自覚してもらい、引き続き安全運転を継続することができるよう支援することなどを目的としており、検査の結果に応じた高齢者講習を行っている。27年中の認知機能検査の受検者数は163万709人であった。
(2)臨時認知機能検査の導入等
一定の違反行為をした75歳以上の高齢運転者に対する臨時認知機能検査の導入、同検査で認知機能の低下が自動車等の運転に影響を及ぼすおそれがあると判断された者に対する臨時高齢者講習の導入、認知機能検査で認知症のおそれがあると判断された者に対する臨時適性検査(専門医の診断)等に係る制度の見直し等(注)を内容とする道路交通法の一部を改正する法律が平成27年6月に公布され、29年3月に施行されることとなっており、警察では、関係機関・団体と連携しながら施行準備を進めている。
運転経歴証明書の様式
(3)申請による運転免許の取消し(運転免許証の自主返納)
身体機能の低下等を理由に自動車等の運転をやめる際には、運転免許の取消しを申請して運転免許証を返納することができるが、その場合には、返納後5年以内に申請すれば、運転経歴証明書の交付を受けることができる。この運転経歴証明書は、金融機関の窓口等で犯罪収益移転防止法の本人確認書類として使用することができる。
警察では、運転経歴証明書制度の周知を図るとともに、運転免許証を返納した者への支援の強化に努めるなど、自動車等の運転に不安を有する高齢者等が自主的に運転免許証を返納しやすい環境の整備に向けた取組を進めている。