第5章 安全かつ快適な交通の確保

5 高速道路における交通警察活動

(1)高速道路ネットワークと交通事故の現状

高速道路(高速自動車国道及び指定自動車専用道路をいう。以下同じ。)は、年々、路線数が増加し、平成27年末には190路線となり、その総延長距離は1万2,000キロメートルを超えている。同年中の高速道路における死者数は215人と、前年より11人増加した。

 
図表5-17 高速道路における交通事故発生件数・死者数・負傷者数の推移(平成18~27年)
図表5-17 高速道路における交通事故発生件数・死者数・負傷者数の推移(平成18~27年)
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(2)高速道路における交通の安全と円滑の確保

① 交通事故分析に基づいた事故防止対策

警察では、交通事故の発生状況を詳細に分析し、死亡事故等の重大事故発生地点や事故多発地点等について現場点検を道路管理者と共同して実施し、必要な対策を協議・検討するとともに、パトロール等を強化している。

特に逆走が原因となる交通事故や中央帯により往復の方向別に分離されていない区間における対向車線へのはみ出しによる交通事故、車両故障又は交通事故により停車中の車両から降車し、又は車内に留まった運転者等が後続車に衝突され被害に遭う交通事故が後を絶たないことから、道路管理者等と連携して交通安全施設等の計画的な整備等を推進している。

② 適正な交通規制の実施 

警察では、交通規制に当たっては、道路構造、気象条件、交通実態、交通事故発生状況等を勘案してその適正を期するとともに、必要に応じて見直しを行っている。

また、速度規制については、平成28年3月に調査研究委員会において取りまとめられた「高規格の高速道路における速度規制の見直しに関する提言」を踏まえ、新東名高速道路等の高規格の高速道路における100キロメートル毎時を超える速度への規制速度の引上げについて検討を進めている。

③ 安全利用のための広報啓発及び交通安全教育の推進

警察では、高速道路を安全に利用してもらうため、関係機関・団体等と協力して、高速道路に入る前の心得や車両故障、交通事故等により運転ができなくなった場合の措置について広報啓発活動を行うとともに、高速道路を利用する運転者が交通事故現場を視察して発生要因や防止対策を検討するなどの参加・体験・実践型の交通安全教育を行っている。

④ 交通指導取締り

警察では、著しい速度超過、飲酒運転を始め、車間距離保持義務違反、通行帯違反等の悪質性・危険性の高い違反に重点を置いた取締りに努めている。また、全ての座席でのシートベルトの着用及びチャイルドシートの使用の徹底を図るため、関係機関・団体等と連携して普及啓発活動を推進するとともに、27年中はシートベルト装着義務違反を17万3,365件取り締まった。

 
シートベルト着用の普及啓発活動
シートベルト着用の普及啓発活動


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