第4章 組織犯罪対策

警察活動の最前線


暴力団の資金源封圧に向けて


大阪府警察本部刑事部捜査第四課

山下 登志雄(やました としお) 警部補

 
フーくん ケイちゃん
フーくん ケイちゃん

「刑事さん、これで従業員に給料払えます。」

これは、私が以前、警察署の暴力犯係として、ある会社の社長が暴力団組長等から1千万円を脅し取られそうになっていた恐喝未遂事件を、同組長を逮捕し解決したときに、被害者である社長が安堵した表情で私の手を握り、述べてくれた感謝の言葉です。

私は、今、捜査第四課で、大阪府暴力団排除条例違反等に対する行政命令を担当しており、暴力団の資金源を封圧すべく、資金等を提供し、暴力団員を支援する事業者とこれを受ける暴力団員の取締りに日々取り組んでおります。

この仕事をする中で、暴力団に資金等を提供し、悪がはびこる一因となっている共生者のような事業者がいること、そして、その意識の低いことに驚かされます。そういった事業者のほとんどは「これくらいええやろ、昔からの付き合いや」などと抗弁するのです。

暴力団におびえる被害者がおり、暴力団の存在が悪の温床であることが社会の常識となっているにもかかわらず、暴力団に対して支援を続け、平然と抗弁する事業者に、「勘違いするな、あなた達が暴力団を養っているんやで」と、怒りを覚えます。

私は、微力ではありますが、過去の経験をいかし、暴排条例担当者として「暴力団は絶対悪である、その存在を許さない」という強い信念を持って、暴排意識を社会に更に浸透させ、暴力団を根絶するために、精一杯取り組んでいきたいと思います。

 
大阪府警察本部刑事部捜査第四課 山下 登志雄(やました としお) 警部補

女性刑事としての役割


警視庁組織犯罪対策部組織犯罪対策第五課銃器薬物対策第一係

宮内 奈穂(みやうち なお) 警部補

 
ピーポくん
ピーポくん

「早く起きなさい!」我が家の朝は、まず、子供を起こすことから始まります。二児の母である私は、仕事・家事・育児の三足のわらじを履く組対五課の刑事です。育児をしながら多岐にわたる警察の職種の中でも、とりわけ激務である刑事を続ける理由、それは女性にしか出来ない役割があるからです。

これまで、結婚、流産を経ての出産、そして育児等、様々な経験を積んできましたが、これらの経験があったからこそ、多種多様な被疑者の取調べにも対応でき、真実の追及につながっていると、私は考えます。薬物摂取の罪を犯す人々には、ほんの出来心から薬物に手を出す人や女性特有の悩みを抱え、心の傷を負い、思い悩んだ末、最終的に薬物に手を染める人等その動機は千差万別ですが、それらの人々に対し、女性の視点に立った心のケアを含めた対応が必要だと思うのです。これこそが女性にしかできない役割であり、私の「やりがい」だと思っています。

母として子供たちと向き合いながら、日々「心身共に強く」「他人に優しく」と願っていますが、警察官である私たち両親の背中を見てか、いつの頃からか「僕も人を守る仕事がしたい」と話してくれるようになった5歳の息子の言葉を心の糧とし、これからも違法薬物のない明るい社会を目指して全力で取り組んでいきます。

 
警視庁組織犯罪対策部組織犯罪対策第五課銃器薬物対策第一係 宮内 奈穂(みやうち なお) 警部補

注:掲載されているキャラクターは、都道府県警察のマスコットキャラクターです。



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