第4章 組織犯罪対策

2 マネー・ローンダリング関連事犯の検挙状況

マネー・ローンダリングとは、一般に犯罪によって得た収益を、その出所や真の所有者が分からないようにして、捜査機関による収益の発見や検挙を逃れようとする行為である。我が国では、組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法において、マネー・ローンダリングが罪として規定されている。

マネー・ローンダリング事犯の検挙事件数は、図表4-25のとおりであり、平成27年中は389件(前年比89件(29.7%)増加)であった。このうち、暴力団構成員等によるものは94件で、全体の24.2%を占めている。

暴力団構成員等が関与したマネー・ローンダリング事犯を前提犯罪(注)別にみると、主要なものとしては詐欺に係るものが24件、ヤミ金融事犯に係るものが14件、窃盗に係るものが11件、賭博に係るものが9件となっているが、その他にも売春防止法違反や風営適正化法違反に係るものなどがあり、暴力団が様々な犯罪から資金を獲得し、その資金についてマネー・ローンダリングを行っている実態がうかがわれる。

また、27年中における来日外国人が関与したマネー・ローンダリング事犯は34件であった。

注:不法な収益を生み出す犯罪であって、その収益がマネー・ローンダリングの対象となるもの
 
図表4-25 マネー・ローンダリング事犯の検挙状況の推移(平成18~27年)
図表4-25 マネー・ローンダリング事犯の検挙状況の推移(平成18~27年)
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事例

無登録で貸金業を営んでいた工藤會傘下組織幹部の男(39)らは、多数の借受人に法定金利を超える高金利で金銭を貸し付け、25年12月から27年5月までにかけて、返済金約4,500万円を同男らの管理する複数の他人名義の口座に振り込ませて隠匿した。同年7月、同幹部ら8人を組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿)で検挙した。

また、返済金を振り込ませていた他人名義の口座に滞留する犯罪収益である預貯金債権約30万円に対して、組織的犯罪処罰法の規定に基づく起訴前の没収保全命令が発出されるとともに、同男らが保有する自動車、預貯金債権等約4,500万円に対して、同法に基づく追徴保全命令が発出された(福岡)。



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