第3章 サイバー空間の安全の確保

警察活動の最前線


より安全なサイバー空間を目指して


山形県警察本部生活安全部生活環境課

サイバー犯罪対策室サイバー犯罪特捜係

田中 秀典(たなか ひでのり) 巡査長

 
カモンくん
カモンくん

私が、サイバー犯罪捜査係として勤務を始めてから、2年が経過しました。この2年間で、サイバー犯罪は、巧妙化、悪質化の一途を辿り、特に、平成27年中のインターネットバンキングに係る不正送金事犯の被害額は、全国で30億円を超え過去最悪を更新しました。

私は、平成26年に、複数の都道府県警察の合同捜査によるインターネットバンキング不正送金事件捜査に従事した際に、インターネット技術が日々進化するのに伴って新たな手口の不正アクセスや不正プログラムの悪用も急速に進んでおり、サイバー犯罪が年々、悪質巧妙化し、サイバー空間の脅威が拡大していることを思い知らされました。

今や、犯罪は、実空間からサイバー空間へと広がり、様々な犯罪がインターネットと関わりを持つようになってきております。これら犯罪に対処するには、警察職員一人一人が、サイバー犯罪に対する対処能力を身に付けるとともに、全国規模で敢行されるサイバー犯罪に対しては、全国警察の捜査能力と技術を結集し、一丸となって対処しなければならないと思っております。

私も、サイバー空間を暗躍する犯罪者の取締りに向け、日々精進し、より安全なサイバー空間の確保に努めていきたいと考えております。

 
山形県警察本部生活安全部生活環境課 サイバー犯罪対策室サイバー犯罪特捜係 田中 秀典(たなか ひでのり) 巡査長

サイバー攻撃対策の現状~見えざる敵と戦うために~


近畿管区警察局奈良県情報通信部

情報技術解析課技術指導係(現 同課解析係)

古谷 洋惣(ふるや ひろふさ) 技官

 
警察庁マーク

私は、奈良県警察サイバーセキュリティ対策プロジェクトの一員として、関係部署と協力して、重要インフラ事業者等への個別訪問や訓練・研修を実施し、サイバー攻撃対策に取り組んでいます。具体的には、近年、事業者が持つ情報の窃取等を目的とした「標的型メール攻撃」が増加傾向にあるため、事業者に対し、実際に模擬の標的型メールを送付した上での共同対処訓練やセキュリティ研修を実施しています。そのほか、サイバー攻撃の危険性に対する理解やセキュリティ意識の向上を図るため、その時々で話題となっている攻撃手法やマルウェア等セキュリティ上の脅威について、デモンストレーションを交えた講演を実施しています。講演を行うに当たっては、対象者の職種やセキュリティ意識が様々な中、事業者の要望に沿いつつ、いかに分かりやすく、脅威が実感できる内容にできるか工夫を加えています。

サイバー攻撃の手口については、日々、高度化・巧妙化しているため、この種の攻撃による被害を防止するためには、システムのセキュリティ対策だけではなく、利用者のセキュリティ意識をいかに高めるかが重要です。今後も、工夫を凝らした講演や訓練を実施し、サイバー攻撃による被害の未然防止に努めていきます。

 
近畿管区警察局奈良県情報通信部 情報技術解析課技術指導係(現 同課解析係) 古谷 洋惣(ふるや ひろふさ) 技官

注:掲載されているキャラクターは、都道府県警察のマスコットキャラクターです。



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