第2章 生活安全の確保と犯罪捜査活動

3 交番・駐在所の活動

交番・駐在所では、パトロールや巡回連絡等の様々な活動を通じて、地域住民の意見・要望等に応えるべく、管轄する地域の実態を把握し、その実態に即した活動を行っている。また、昼夜を分かたず常に警戒体制を保ち、様々な警察事象に即応する活動を行うことにより、地域住民の安全と安心のよりどころとなり、国民の身近な不安を解消する機能を果たしている。

平成28年4月1日現在、全国に交番は6,248か所、駐在所は6,431か所設置されている。

(1)パトロール、立番等

① パトロール、立番等による警戒

地域警察官は、事件・事故の発生を未然に防ぐとともに、犯罪を取り締まるため、犯罪の多発する時間帯・地域に重点を置いたパトロールを行っている。パトロールに当たっては、不審者に対する職務質問、危険箇所の把握、犯罪多発地域の家庭や事業者に対する防犯指導、パトロールカード(注)による情報提供等を行っている。

また、交番・駐在所等の施設の外に立って警戒に当たる立番や、駅、繁華街等の人が多く集まる場所や犯罪が多発している場所において、一定の時間立って警戒する駐留警戒等を行っている。

注:パトロール中に気付いた防犯上の注意事項を伝えたり、空き巣等の被害者にパトロールを行っていることを知らせて安心してもらったりすることなどを目的として、地域警察官が管内の地域住民に配布するもので、交番名やパトロールを行った日時等が記載されている。
 
パトロール
パトロール
② 職務執行力の強化

警察では、地域警察官の職務執行力を強化するため、職務質問、書類作成等の能力向上を目的とした研修・訓練を実施するとともに、卓越した職務質問の技能を有する者を選抜して、警察庁指定広域技能指導官又は都道府県警察の職務質問技能指導官等として指定し、実践的な指導等を通じて地域警察官全体の職務質問技能の向上に努めている。

平成27年中の地域警察官による刑法犯検挙人員は18万5,165人と、警察による刑法犯の総検挙人員の77.4%を占めている。

③ 交番相談員の活用

28年4月1日現在、全国で約6,300人の交番相談員が配置されている。交番相談員は、警察官の身分を有しない非常勤の職員であり、地域住民の意見・要望等の聴取、拾得物・遺失届の受理、被害届の代書及び預かり、事件・事故発生時の警察官への連絡、地理案内等の業務に従事しており、その多くは、経験や知識を有する退職警察官である。

 
交番相談員
交番相談員

(2)地域住民と連携した活動

① 巡回連絡

地域警察官は、担当する地域の家庭、事業所等を訪問し、犯罪の予防、災害・事故の防止等、地域住民の安全で平穏な生活を確保するために必要な事項の指導・連絡や、地域住民からの意見・要望等の聴取を行う巡回連絡を行っている。

 
巡回連絡
巡回連絡

事例

平成27年2月、福岡県警察では、「高齢者に対する特殊詐欺等被害防止のための特別巡回連絡強化期間」を設定した上で、巡回連絡を通じた防犯指導及び広報啓発を行った。

県内在住の女性(70歳代)は、警察官を名のる男から、捜査に必要であるから現金を手交するようにとの電話を受け、同男の指示に従い現金の受取役の男と接触したものの、巡回連絡時の特殊詐欺に関する防犯指導を思い出したことから、被害に遭うことなくその場を立ち去ることができた。

② 交番・駐在所連絡協議会

28年4月1日現在、全国の交番・駐在所に約1万2,000の交番・駐在所連絡協議会が設置されている。そこでは、地域警察官が、地域住民と地域の治安に関する問題について協議したり、地域住民の警察に対する意見・要望等を把握したりすることにより、地域社会と協力して事件・事故の防止等を図っている。

(3)遺失物の取扱い

警察では、拾得物を速やかに遺失者に返還するため、拾得物・遺失届の受理業務を行っている。平成27年中に届出のあった拾得物は、特例施設占有者保管分(注)を含め約2,671万点に上っている。

なお、警察に提出された拾得物のうち、通貨については約119億円が、物品については約975万点が遺失者に返還されている。

注:一定の公共交通機関又は都道府県公安委員会が指定した施設占有者(特例施設占有者)は、拾得物に関する事項を警察に届け出たときは、その物件を自ら保管することができる。
 
図表2-79 拾得物・遺失届の取扱い状況の推移(平成23~27年)
図表2-79 拾得物・遺失届の取扱い状況の推移(平成23~27年)
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図表2-80 遺失物の取扱いの流れ
図表2-80 遺失物の取扱いの流れ


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