海上における「安全・安心の確保」のために

福岡県門司警察署地域課船舶警ら係

寺本　幸藏（てらもと　こうぞう） 一般職員

　 　

私が勤務する船舶警ら係では、密航・密輸・密漁等の各種事案に対する警戒警ら、プレジャーボート等の小型船舶に対する安全指導や海事関係法令違反の検挙、水難事故者等の捜索救助等の活動を行っています。海上における「県民の安全・安心の確保」。これが私たちの使命です。

長年にわたる勤務の中で、特に印象に残っているのは、悪天候のため転覆し、自力で航行できなくなったヨットを発見・救助した事案です。ヨットに乗っていた2名は若干衰弱した様子で、私たちがヨットに近づくと必死に救助を求めてきました。現場は大型船や高速船が多数往来する危険な海域であり、また強風が吹き荒れる悪天候の中、要救助者の安全が確保されるよう細心の注意を払いながら、無事に警察用船舶に2名を救助することができました。船内で救助者から感謝の言葉を頂き、任務を達成できた喜びと共に、自らの担当する業務をとても誇らしく感じたのを覚えています。

救助が必要な事態に至らずとも、警ら中には、安全意識が低く、救命具を着用せずにマリンレジャーを行うボート等を発見することもしばしばあることから、今後もさらなる安全指導を徹底するとともに、船舶職員としての誇りと使命感を持って各種警察活動を推進していきたいと思います。

　

犯罪の芽を摘む

岐阜県警察本部生活安全部生活安全総務課

長屋　実希（ながや　みき） 巡査長

　 　

私は、子供や女性に対する声掛け、つきまとい等の行為を「犯罪の芽」の段階で検挙や指導・警告し、性犯罪等の重大な事案の発生を未然に防ぐ活動に携わっています。

ある日、小学1年生の女の子が、学校帰りに見知らぬ男性から「木の実をあげる」と声を掛けられた事案を認知しました。私は、怯える女の子の目線に立って丁寧に事情を聴き、現場付近の聞き込み等を開始しました。2日後、行為者として1人の男性が浮上し、同人から警察署で事情を聴いたところ、「女の子が可愛かった。」等と声を掛けた事実を認めたことから、厳重注意としました。

本件では、幸いそれ以上の行為に至っていませんでしたが、このような声掛け事案は、一歩間違うと誘拐等の重大な犯罪に発展しかねないことから、犯罪に至る前の段階で、事件の発生を防ぐための対応をすることが非常に重要なのです。

声を掛けた人物を特定し、厳重注意したことを伝えると、母親は、ほっとした表情で深く頭を下げ、不安そうだった女の子も、にっこりとほほ笑んでくれました。親子が抱いていた怯え・不安の大きさを改めて感じるとともに、「犯罪の芽を摘む」こと、これが今の私の役割だと強く認識しました。今後も、子供や女性が「安全に安心して暮らせるように」全力を尽くしていきます。