特集 組織犯罪対策の歩みと展望

警察活動の最前線


暴力団組織の弱体化・壊滅に向けて


福井県警察本部刑事部組織犯罪対策課

三屋 昭洋(みつや あきひろ) 警部補

 
リュウピー君・リュウミーちゃん
リュウピー君・リュウミーちゃん
 
福井県警察本部刑事部組織犯罪対策課 三屋 昭洋 警部補 顔写真

私は現在、組織犯罪対策部門の一員として、暴力団犯罪捜査の指導や、暴力団対策法の運用に関する業務を担当しています。

県内の暴力団は、取締りの強化や暴力団排除の気運の高まりを受け、活動実態等をますます不透明化させる一方で、依然としてみかじめ料や用心棒代の徴収、恐喝によって得た金を主な資金源として活動している状況にあります。

そのような厳しい情勢の中、平成26年、飲食店経営者が、未払いの飲食代金等の取立てを暴力団幹部に依頼したことを発端とする、飲食店の利用客に対する恐喝事件が発覚しました。被害者は当初、報復を恐れて被害の申告に消極的でしたが、保護対策の徹底による安全の確保を約束するなどして、被害者を説得し、協力を得ることができました。被害者の信頼を勝ち得たことで、事件を検挙するとともに、当該暴力団の資金供給ルートの全容を解明し、資金源の封圧に成功しました。その際、本件捜査により得た情報を私が分析した結果を基に、暴力団員による用心棒の役務の提供行為を認定し、全国で2例目となる中止命令を発出することができました。

これからも、事件の検挙・暴力団対策法の運用・暴力団排除活動とを効果的に連動させた取組を推進し、暴力団組織の弱体化・壊滅に向けて、日々業務に邁進する決意です。

 
福井県警察本部刑事部組織犯罪対策課 三屋 昭洋 警部補

「被害者なき犯罪」に立ち向かう


奈良県警察本部刑事部組織犯罪対策第一課

(現・奈良県吉野警察署地域課)

大家 美知(おおや みち) 警部補

 
ナポくん
ナポくん
 
奈良県警察本部刑事部組織犯罪対策第一課(現・奈良県吉野警察署地域課) 大家 美知 警部補 顔写真

昨今、危険ドラッグに起因する重大な交通事故や事件が多発し、社会問題となっています。私自身は、警察官になるまで、薬物犯罪はどこか別世界の話であるように感じていましたが、薬物事犯の捜査に従事して、世の中には驚くほど薬物がまん延していることを痛感しています。

平成26年、空港も港も持たない奈良県において、海外旅行者を運び屋に仕立てた覚醒剤密輸入事件が発覚しました。事件の全容を解明するため、コントロールド・デリバリー等の手法を用いて捜査を実施したものの、当初は思うように成果が出ませんでした。しかし、粘り強く関係者からの聴取等の捜査を続けた結果、ついに奈良県において過去最大の押収量となる覚醒剤1.3kgを押収するとともに、密輸入に関与した外国人を逮捕することができました。

現在、日本国内において出回っている覚醒剤のほぼ全てが輸入品であると言われており、大量に密輸入された覚醒剤の国内への拡散を阻止できた経験は、私の大きな財産となりました。

薬物犯罪そのものには被害者が存在しません。しかし、何の罪もないのに、薬物を乱用した者が引き起こす重大な事件や事故に巻き込まれ、被害に遭われる方はたくさんいます。そのような事件や事故を発生させないために、私は、これからも薬物犯罪に立ち向かっていきたいと思います。

 
奈良県警察本部刑事部組織犯罪対策第一課(現・奈良県吉野警察署地域課) 大家 美知 警部補

注:掲載されているキャラクターは、都道府県警察のマスコットキャラクターです。



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