第6章 警察活動の支え

6 研究機関の活動

(1)警察政策研究センター

警察大学校に置かれている警察政策研究センターは、様々な治安上の課題に関する調査研究を進め、政策提言を行うとともに、警察と国内外の研究者等との交流の拠点として活動している。

① フォーラム等の開催

関係機関・団体等と連携し、国内外の研究者・実務家を交えて社会安全等に関するフォーラム等を開催している。

 
フォーラムの開催
フォーラムの開催
 
図表6-18 フォーラム等の開催状況(平成26年度)
図表6-18 フォーラム等の開催状況(平成26年度)

事例

平成26年12月、アジア諸国を中心とする警察教養機関、犯罪学研究者等の交流・共同研究を目的として設立された団体であるアジア警察学会の年次総会を初めて我が国で開催した。開催期間中、「現代社会における治安上の脅威に対する方策」をテーマに、日・米・独の大学教授による講演等を内容とするフォーラムを開催したほか、参加者による自由研究報告等を通じて我が国の治安情勢や対策について積極的に情報発信を行った。

 
2014年アジア警察学会年次総会
2014年アジア警察学会年次総会
② 大学関係者との共同研究活動の推進

大学関係者と共同して研究活動を行っている。これまでに、例えば、慶應義塾大学大学院法学研究科との間で、テロ等の各種治安事象への対策を講ずるに当たり、憲法学的見地から、国民の自由と安全をいかにバランスよく保障していくかについて共同研究を行っている。

③ 大学・大学院における講義の実施

警察政策に関する研究の発展及び普及のため、東京大学公共政策大学院、一橋大学国際・公共政策大学院、早稲田大学法科大学院、中央大学法科大学院、首都大学東京都市教養学部、法政大学法学部、日本大学法学部等に職員を講師として派遣している。

 
大学・大学院での講義
大学・大学院での講義
④ 警察に関する国際的な学術交流

海外で開催される国際的な学術会議に参加し、日本警察に関する情報発信を行っている。また、韓国警察大学治安政策研究所、フランス高等治安・司法研究所、フランス・トゥールーズ第一社会科学大学警察学研究センター及びドイツ・フライブルク大学安全・社会センターとの間で協定を締結し、警察に関する国際的な学術交流を実施している。

事例

26年7月、ブルガリア・ソフィアで開催された第25回国際警察幹部シンポジウム年次総会に参加し、我が国における特殊詐欺の情勢及び対策について発表を行った。

事例

26年11月、協定を締結している韓国警察大学治安政策研究所の所長らの訪問を受け、日韓両国の治安情勢等について意見交換するなど協力関係を深めた。

 
韓国警察大学治安政策研究所長来訪
韓国警察大学治安政策研究所長来訪

(2)警察情報通信研究センター

警察大学校に置かれている警察情報通信研究センターでは、警察活動に関わる情報通信技術について研究しており、その成果は、警察における情報通信システムの整備や犯罪捜査の効率化に活用されている。

研究例 画像処理技術に関する研究

防犯カメラ等に記録された低照度、低画質な画像の鮮明化技術、多数の画像から人物や車両等を抽出し、映像を効率的に解析する技術、画像から人物等を識別する技術等の画像処理に関する技術について研究を行っている。

 
画像鮮明化処理の状況
画像鮮明化処理の状況

(3)科学警察研究所

各分野の専門的知識・技術を有する研究員が、科学捜査、犯罪防止、交通事故防止等についての研究・開発を行うとともに、都道府県警察の鑑定技術職員に対する研修を行っている。

また、都道府県警察からの依頼により、事件、事故等に係る鑑定・検査を実施している。

研究例 危険ドラッグの分析及び代謝に関する研究

その乱用に伴う事件・事故が近年多発している危険ドラッグは、新たに構造の異なる化学物質が次々と登場することから、最新の高性能機器等を用いて薬物の特定のための新たな検査手法を開発している。また、薬物の使用を証明するため、人における危険ドラッグの吸収、代謝及び排泄等を明らかにすることを目的として研究を行っている。

 
培養肝細胞を用いた薬物代謝機構の解明
培養肝細胞を用いた薬物代謝機構の解明

研究例 可搬型化学剤検知装置に関する研究

化学剤を使用したテロへの対処に当たっては、現場において迅速に原因物質を特定することが非常に重要である。このため、高感度かつ網羅的に様々な種類の化学剤を検知し、原因物質を迅速に特定できる可搬型の装置の開発を進めている。

 
可搬型化学剤検知装置
可搬型化学剤検知装置


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