第5章 公安の維持と災害対策

5 大衆運動の動向

(1)原子力政策をめぐる動向

原子力発電所の再稼動等を捉え、全国各地で反対集会、デモ等が行われた。毎週金曜日の首相官邸前における抗議行動と同抗議行動に連帯する取組が各地で継続されたほか、都内では、「NO NUKES DAY」と題して、反対集会、デモ及び国会議事堂周辺での抗議行動が行われた(平成26年3月9日延べ3万2,000人、同年6月28日5,500人(いずれも主催者発表))。

 
NO NUKES DAY(3月、東京)(共同通信社)
NO NUKES DAY(3月、東京)(共同通信社)

(2)集団的自衛権をめぐる動向及び反戦・反基地運動

集団的自衛権をめぐり、平成26年4月上旬から全国各地で反対集会、デモ等が行われた。「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」が閣議決定された当日及びその前日(同年6月30日及び7月1日)には、首相官邸前に各日1万人超(いずれも主催者発表)が集まり抗議行動を行った。

また、反戦・反基地運動では、沖縄県の普天間飛行場の名護市辺野古への移設をめぐり、海底ボーリング調査の中止等を訴え、移設先のキャンプ・シュワブゲート前等で抗議行動が行われた。

 
キャンプ・シュワブゲート前集会(8月、沖縄)(共同通信社)
キャンプ・シュワブゲート前集会(8月、沖縄)(共同通信社)

(3)国際会議等を捉えた反グローバリズム等の社会運動

平成26年6月開催のG7ブリュッセル・サミット(ベルギー)では、G7に反対する活動家ら約130人がデモを行った。同年9月にニューヨークで開催された国連気候サミットでは、反資本主義を掲げる活動家ら約1,000人がウォール街での座込み等を行い、約100人が逮捕された。

 
米国・ウォール街での抗議(9月)(時事)
米国・ウォール街での抗議(9月)(時事)

(4)我が国の捕鯨を取り巻く国内外の動向

過激な環境保護団体「シー・シェパード(Sea Shepherd)」は、我が国の南極海調査捕鯨に対し、抗議船による捕鯨船等への体当たり等過激な妨害活動を行った。また、和歌山県太地町でのイルカ漁に対して、活動家多数を同町に派遣し、漁の中止を訴えて抗議活動を行った。

警察では、警戒活動を推進し、法務省入国管理局等関係機関と連携して水際対策を強化している。

なお、平成26年中、シー・シェパード関係者11人が上陸を拒否された。

 
調査捕鯨に対するシー・シェパードによる抗議(提供:(一財)日本鯨類研究所)
調査捕鯨に対するシー・シェパードによる抗議(提供:(一財)日本鯨類研究所)

(5)雇用問題を捉えた運動

全国労働組合総連合(全労連)は、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律の改正反対や最低賃金の引上げを求める運動等に取り組んだほか、平成26年5月の第85回中央メーデーで「すべての労働者の大幅賃上げ」、「安倍「暴走政治」ストップ」等のスローガンを掲げて集会及びデモを行った。



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