第5章 公安の維持と災害対策

2 極左暴力集団の動向と対策

(1)極左暴力集団の動向

暴力革命による共産主義社会の実現を目指している極左暴力集団は、平成26年中も、組織の維持・拡大をもくろみ、暴力性・党派性を隠して大衆運動や労働運動に取り組んだ。

 
極左暴力集団による「11.2全国労働者総決起集会」(11月、東京)
極左暴力集団による「11.2全国労働者総決起集会」(11月、東京)

革マル派(注1)は、同年6月、同派結成50周年を記念し、50年間の活動を取りまとめた書籍の第1巻を刊行した。また、安倍政権が進める諸施策に反対し「政権打倒」等と主張した独自の取組を行うとともに、反戦・反基地、反原発等を訴える集会やデモ等に参加し、同調者の獲得を図った。一方、革マル派が相当浸透しているとみられる全日本鉄道労働組合総連合会(JR総連)及び東日本旅客鉄道労働組合(JR東労組)は、JR東労組の組合員らによる組合脱退及び退職強要事件(注2)に関連する全ての裁判が終結した後も、引き続き、同事件を「国策弾圧」、「えん罪」と主張し続けた。

中核派(党中央)(注3)は、同年10月、同派結成50周年を記念し、50年間の活動を取りまとめた書籍の下巻を刊行した。また、労働運動を通じて組織拡大を図る「階級的労働運動路線」を堅持した。このほか、「すべての原発いますぐなくそう!全国会議」(な全)は、全国各地で集会、デモ等に取り組んで同調者の獲得を図った。一方、19年11月に党中央と分裂した関西地方委員会(関西反中央派)は、反戦・反基地、反原発等を訴える集会やデモ等に参加し、同調者の獲得を図った。

革労協主流派(注4)は、成田闘争を重点に取り組んだ。一方、反主流派(注5)は、反戦・反基地闘争に取り組み、26年10月には、普天間飛行場の名護市辺野古移設工事の関連会社に向けて飛翔弾を発射する事件を引き起こした。

注1:正式名称を日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派という。
注2:13年1月21日から同年6月30日頃にかけて、JR東労組の組合員である被疑者7人が、東日本旅客鉄道株式会社(以下「JR東日本」という。)大宮支社浦和電車区事務所等において、他の労働組合の組合員と行動を共にするなどしたJR東労組の組合員を集団で脅迫し、同組合から脱退させ、さらに、JR東日本から退職させた強要事件。なお、本件については、24年2月6日、最高裁が上告棄却を決定し、被告人7人の有罪が確定した。
注3:正式名称を革命的共産主義者同盟全国委員会という。
注4:正式名称を革命的労働者協会(社会党社青同解放派)という。
注5:正式名称を革命的労働者協会(解放派)という。

(2)極左暴力集団対策の推進

警察では、極左暴力集団に対する事件捜査及び非公然アジト発見に向けたマンション、アパート等に対するローラーを推進するとともに、これらの活動に対する理解と協力を得るため、ポスター等の各種広報媒体を活用した広報活動を推進している。

 
捜査への協力を呼び掛ける広報用ポスター
捜査への協力を呼び掛ける広報用ポスター

また、平成26年11月に都内で行われたデモに際し、機動隊員に暴行を加えた中核派系全学連活動家4人を公務執行妨害罪で逮捕するとともに、関係箇所を捜索するなど、26年中には極左暴力集団の活動家ら15人を検挙した。



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