第4章 安全かつ快適な交通の確保

第5節 道路交通秩序の維持

1 交通指導取締り

(1)悪質性・危険性・迷惑性の高い運転行為への対策

警察では、平成25年12月に取りまとめられた「交通事故抑止に資する取締り・速度規制等の在り方に関する提言」(注)を踏まえ、機動的な交通街頭活動をより一層推進し、違法行為の未然防止に努めるとともに、交通事故の分析結果、地域住民からの取締り要望等を踏まえ、無免許運転、飲酒運転、著しい速度超過、交差点関連違反等の交通事故に直結する悪質性・危険性の高い違反及び駐車違反等の迷惑性が高い違反に重点を置いた取締りに努めている。

また、速度管理や速度取締りに関する指針を設定・公表して、国民への情報発信に努めるとともに、取締りスペースの確保が困難な道路や警察官の配置が困難な時間帯において速度取締りが行えるよう、新たな取締り機器の導入を前提に研究を進めている。

26年中は、703万4,892件の道路交通法違反を取り締まっている。近年は最高速度違反の取締りの件数が全体の約3割で推移している。

注:156頁参照
 
図表4-34 主な道路交通法違反の取締り状況(平成26年)
図表4-34 主な道路交通法違反の取締り状況(平成26年)
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白バイの活動
白バイの活動

(2)使用者等の責任追及等

事業活動に関して行われた過労運転、過積載運転、放置駐車、最高速度等の違反やこれらに起因する事故事件について、運転者の取締りにとどまらず、使用者に対する指示や自動車の使用制限命令を行っているほか、これらの行為を下命・容認していた使用者等(注)を検挙するなど、使用者等の責任追及に努めている。

また、タクシーやトラック等の事業用自動車の運転者が、その業務に関して行った道路交通法等に違反する行為については、運輸支局等に通知して所要の行政処分等を促し、事業用自動車による交通事故防止に努めている。

さらに、自動車整備業者等による車両の不正改造等、事業者による交通の安全を脅かす犯罪に対しても、取締りを推進している。

注:使用者のほか、安全運転管理者その他自動車の運行を直接管理する地位にある者も含む。

事例

平成25年11月、過労のため居眠り運転をした事業用中型貨物自動車(中型トラック)が大型貨物自動車に衝突し、被害車両の運転者2人が死亡した。この交通事故を端緒として、この中型トラックの運転者(57)に過労運転を命じていた運送会社代表取締役(64)を、26年1月に道路交通法違反(過労運転の下命)等で検挙した(静岡)。

 
中型トラックの交通事故現場
中型トラックの交通事故現場


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