第3章 サイバー空間の安全の確保

警察活動の最前線


安心・安全なサイバー空間の実現を目指して


和歌山県警察本部生活安全部生活環境課

サイバー犯罪対策室

岡本 進吾 (おかもと しんご) 警部補

 
きしゅう君
きしゅう君
 
和歌山県警察本部生活安全部生活環境課サイバー犯罪対策室 岡本 進吾 警部補 顔写真

私が初めてサイバー犯罪の捜査に携わっていた平成15年当時は、まだ「ハイテク犯罪」という名称が一般的な時代でした。この10年ほどでスマートフォンの爆発的な普及等を通じてインターネットはさらに国民の生活に浸透し、一方でこれを悪用した犯罪についても、手口の巧妙化が進み、犯人を特定することが困難になっています。

最近では、発信元を匿名化するソフトを使用した威力業務妨害、脅迫事件の捜査に携わりました。この事件では、犯人の発信元につながる情報が完全に偽装されていたことから、捜査は困難を極めましたが、紙にして1万ページにも及ぶ膨大な通信記録を1つ1つ緻密に精査することで、犯人を検挙することができました。サイバー犯罪捜査といえば、一見華やかな印象を受けますが、実際には、姿の見えない犯人を追い詰めるため、電子機器の解析や通信記録の精査等の地道な捜査を粘り強く行うことが要求されるのです。

これからも、巧妙化するサイバー犯罪に対応するため、新たな技術や知識を習得し、一人でも多くの皆さんが安心・安全なサイバー空間を実感できるよう、サイバー犯罪の検挙・撲滅を目指したいと思います。

 
和歌山県警察本部生活安全部生活環境課サイバー犯罪対策室 岡本 進吾 警部補

サイバー攻撃対策に向けた取組について


東京都警察情報通信部情報技術解析課

貞包 篤 (さだかね あつし) 技官

 
警視庁ロゴマーク
 
東京都警察情報通信部情報技術解析課 貞包 篤 技官 顔写真

私は現在、サイバー攻撃対策プロジェクトの一員としてサイバーテロ、サイバーインテリジェンス対策に取り組んでいます。サイバー空間上の治安を維持するためには、民間事業者の協力が必要不可欠であることから、普段は都内の重要インフラ事業者に対して、情報セキュリティ対策に対する助言、不正プログラムの感染等のインシデント対策の訓練や情報セキュリティに関する講演を行っています。

平成26年中は特に、インターネットで広く利用されている様々なソフトウェアに、サイバー攻撃に結びつくおそれのある重大なぜい弱性が次々に発見されました。このぜい弱性による被害を防止するため、事業者を個別に訪問し、ぜい弱性がもたらす危険について丁寧に説明を行い、これに迅速に対処するための組織づくりを促すことで、重大事案の発生を防ぐことができました。このように、一つ一つの活動はとても地道なものですが、現実の世界での地道な取組が、サイバーテロの防止には不可欠なのです。

サイバー空間をめぐる情勢は常に変化しており、安全への対策にもゴールはありません。そのような環境にあるからこそ、サイバー空間の治安を守る一員として、官民一体となった取組を通じて社会の安全の実現に寄与していきたいと思っています。

 
東京都警察情報通信部情報技術解析課 貞包 篤 技官

注:掲載されているキャラクターは、都道府県警察のマスコットキャラクターです。



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