第2章 生活安全の確保と犯罪捜査活動

2 生活安全産業の育成と活用

(1)警備業の育成

警備業は、施設警備、雑踏警備、交通誘導警備、現金輸送警備、ボディガード等の種々の形態を有しており、ホームセキュリティ等の機械警備の需要も拡大するなど、国民生活に幅広く生活安全サービスを提供している。また、空港や原子力発電所のようなテロの標的とされやすい施設での警備も行っている。

警察では、こうした警備業が果たす役割に鑑み、警備業法に基づく警備業者に対する指導監督を行うなどして、警備業務の実施の適正と警備業の健全な育成を図っている。

 
図表2-87 警備業者・警備員数の推移(平成17~26年)
図表2-87 警備業者・警備員数の推移(平成17~26年)
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(2)古物商・質屋を通じた盗品等の流通防止と被害回復

古物商や質屋では、その営業に係る古物や質物として盗品等を扱うおそれがあることから、古物営業法及び質屋営業法では、事業者(注1)に対し、これらの営業に係る業務について必要な規制等を定め、窃盗その他の犯罪の防止を図っている。警察では、これらの法律に基づく品触れ(注2)や指導監督等により、犯罪被害の迅速な回復に努めている。

注1:古物営業の許可証の交付を受けている事業者数は75万3,893、質屋営業の許可証の交付を受けている事業者数は3,098(それぞれ平成26年末現在)
注2:警察本部長等が盗品等の発見のために必要があると認めたときに、古物商等に対して被害品の特徴等を通知し、その有無の確認及び届出を求めるもの

コラム 古物商・質屋からの申告

古物営業法及び質屋営業法では、古物商・質屋に対し、取引に係る物品について不正品又は盗品等の疑いがあると認めるときは、警察官に申告する義務を課しており、これに基づき、平成26年中は616件の申告がなされた。また、同年中、古物商等からの申告や情報提供が被疑者特定の端緒となった刑法犯は、401件あり、そのうち373件を窃盗犯が占めている。

(3)防犯設備関連業界との連携

警察では、より良質な防犯設備が供給されるよう、最新の犯罪情勢や手口の分析結果等を事業者に提供するなどして防犯設備の開発を支援している。

また、公益社団法人日本防犯設備協会が認定している防犯設備士等(注)は、防犯設備の設計、施工、維持管理に関する知識・技能を有する専門家として活躍しており、平成27年3月末現在、38都道府県に防犯設備士等の地域活動拠点が設立されている。警察では、防犯設備の効果的な設置及び適正な管理に向けて、これらの専門家と協働した防犯診断等の取組を推進している。

注:防犯設備士(27年4月1日現在2万4,939人)、総合防犯設備士(同334人)


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