第1章 警察の組織と公安委員会制度

公安委員の声


警察官の充実について


熊本県公安委員会委員長

山本 隆生(やまもと りゅうせい)


委員就任  平成24年7月31日(1期目)

委員長就任 平成25年7月1日(2期目)


近年、私たちのごく身近なところで、子供に対する声掛け事案や特殊詐欺、ストーカー事案、危険ドラッグ等生活の安寧を脅かす様々な犯罪が増加傾向にあるように思えます。

とりわけストーカー行為やDV等、初期の段階からしっかりと対応すべき事案が多くなっている気がします。切羽詰まって警察に駆け込む住民にとって、警察は最後の拠り所であり、期待と信頼は大変大きいものと想像されます。そのため相談にしっかりと耳を傾けることで相談者に安心感を与え、その後も的確にフォローをすることが重要です。 

また、現在警察では、限られた定員の下で創意工夫しながら、日夜懸命な努力を続けられていますが、それでも複雑化・多様化している住民の日常生活との関わりでは、多くの困難に直面しています。

そのような状況下で住民の期待に応えていくためには、日頃の教養・訓練、そしてそれらを通じての職員の考え方や意識の醸成は欠かせません。あわせて、新たな今日的事案に対処できる専門家の確保も必要だと思います。例えば、ストーカーやDVの相談に来られる住民の方々に寄り添い、相談に適切に対応できる専門的能力を備えた警察官が存在すれば、住民にとって大変心強いでしょう。今後警察官の増員を図っていく中で、昨今の生活環境の中で必要とされる警察へのニーズを分析し、それに応じた多様な人材確保のために、更に知恵を絞っていく必要があるのではないでしょうか。私も公安委員として、警察の方と一緒に知恵を絞り、「安全・安心なくまもと」の実現に微力ながら寄与したいと考えています。

 
熊本県公安委員会委員長 山本 隆生 顔写真

「秉燭(ひょうそく)の人」たれ


富山県公安委員会委員

髙木 繁雄(たかぎ しげお)


委員就任  平成25年10月8日(1期目)


我が国の犯罪情勢は、刑法犯の認知件数が平成14年をピークに一貫して減少している反面、振り込め詐欺を始めとする特殊詐欺の被害総額が過去最高となるなど依然として予断を許さない状況である。こうした中、警察庁では「国民の期待と信頼に応える強い警察の確立」に向け、積極的かつ合理的な組織運営の推進に取り組んでおられる。

また、高齢化の進展や単身世帯の増加に伴い、地域の人間関係が希薄化する現代に適した効果的・効率的な捜査手法の改革にも迫られている。このように様々な難局に直面する逆境の時こそが組織改革のチャンスでもあり、このためには警察官一人ひとりのより一層の真摯な取組姿勢が求められる。大切なことは、それぞれが持ち場で最善を尽くす、つまり「一隅を照らす」のだと言う志を持ち続けることと、そうした人を警察も今以上に評価していくことだと思われる。

この「一隅を灯す人」からさらに一歩進め、灯りを高く掲げ周りをも明るくする人を「秉燭(ひょうそく)の人」というが、警察官の皆さんにはこの秉燭の人を目指し、日々の業務に最善を尽くしてほしい。このことがひいては国民の期待と信頼に応える強い警察組織へと進化される道ではないかと考えている。高い志を掲げ大いなる自負を持ち、警察官として充実した人生を送られるよう祈念している。

 
富山県公安委員会委員 髙木 繁雄 顔写真


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