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サイバー空間の脅威の高まりや世界中で発生する国際テロ、国境を容易に越える国際犯罪等、我が国をめぐる治安情勢は時代と共に変化しています。警察では、こうした治安情勢の変化に的確に対処するため、組織の在り方を見直していきます。
昭和29年7月に誕生した現行警察制度は、平成26年で60周年を迎えました。警察では、治安情勢や社会構造の変化に対応して、警察の在り方を不断に見直してきました。
戦前の警察制度は、国家警察を基本とし、内務大臣が主任の大臣として地方長官たる警視総監及び府県知事等を指揮監督していました。戦後、連合国軍総司令部の方針を受け、警察法(昭和22年法律第196号。以下「旧警察法」という。)が制定されましたが、旧警察法は、警察の民主化を図るという意義を有するものであった一方、市町村警察制度を導入して警察運営の単位が細分化したことによる非効率な警察運営や小規模な自治体の重い財政負担、政府の治安責任の不明確さといった問題を抱えていました。こうした弊害を改善するため、数度の法改正が行われたものの、根本的な問題解決には至りませんでした。
旧警察庁庁舎(人事院ビル)
そこで、警察制度の抜本的な改正が議論され、昭和29年7月、警察法(昭和29年法律第162号。以下「現行警察法」という。)が施行されました。現行警察法は、民主的理念を基調とする旧警察法の優れた点を受け継ぎつつ、能率的かつ合理的な警察制度とすることを図ったものです。
特に、警察の民主的運営と政治的中立を確保するための公安委員会制度を維持しつつ、国家公安委員会委員長は国務大臣をもって充てることとするなど政府の治安責任を明確化することとしたこと、警察運営の単位を都道府県とし、執行事務を都道府県警察に一元化しつつ、国の一定の関与を認めることとしたことが特徴です。
現行警察法は、制定以来、治安情勢の変化等に応じて、様々な見直しが重ねられてきました。
我が国の治安情勢については、昭和30年代には約140万件前後で推移していた刑法犯の認知件数が、49年以降増加傾向に転じ、平成14年には戦後最多の約285万件を記録しました。こうした危機的状況を脱するため、全閣僚を構成員とする犯罪対策閣僚会議が開催され、「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」に基づく取組が開始された15年以降、刑法犯の認知件数は減少に転じ、24年には14年の半数以下に減少しました。しかし、サイバー空間の脅威等の治安上の脅威が深刻化しているほか、2020年オリンピック・パラリンピック東京大会の開催に向けて、良好な治安の確保は重要な課題となっています。
こうした情勢を踏まえ、25年12月、第21回犯罪対策閣僚会議において、2020年オリンピック・パラリンピック東京大会が開催される32年までの7年間を視野に、「世界最高水準の安全なサイバー空間の構築」等を主な取組の柱とする「「世界一安全な日本」創造戦略」が策定されました。
警察では、この戦略を踏まえ、治安情勢の変化に的確に対応するための取組を推進していくこととしています。
第21回犯罪対策閣僚会議(提供:内閣広報室)
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