特集:変容する捜査環境と警察の取組 

警察活動の最前線

被疑者検挙に向けて

山口県警察本部刑事部捜査第一課

藤澤 佳世(ふじさわ かよ) 警部補

 
ふくまるくん

ふくまるくん

 
顔写真

私は、平成24年4月から捜査第一課において手口係長として勤務し、県下で発生した事件の犯行手段、犯行対象等の手口を分析し、被疑者の割り出しを行っています。

昨年、山口県東部地区において連続事務所荒しが発生した際は、犯行地区や犯行対象となった建物の形状、物色状況等から、過去に山口県において検挙歴があり、刑務所を出所して間もない窃盗常習者を浮上させ、被疑者検挙に結びつけることができました。

手口分析を行うには、多数の被疑者の犯行手口を広く把握しておくことが必要で、窃盗常習者のみならず、過去、自分が携わった事件の被疑者の犯行手口等も頭に入れ、いざ事件が発生した時に少しでも貢献できればと思いながら、日々地道な作業をしています。

現在は、サイバー犯罪等の新たな犯罪が生まれ、捜査手法も著しく進化していますが、そのような捜査環境の中でも、手口捜査の重要性は依然として大きいと思います。

私は、これからも手口捜査を大事にしながら、被疑者の検挙に少しでも貢献したいと思っています。

 
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「鼻の捜査官」を育てる

富山県警察本部刑事部鑑識課

松野 郁彦(まつの いくひこ) 警部補

 
立山くん

立山くん

 
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鑑識に携わって20年が経ち、現在、機動鑑識係長として日夜犯罪現場に出動しながら、嘱託警察犬の業務を担当しています。

犬の嗅覚は人間の数千倍から一億倍といわれ、その鋭い嗅覚や高い身体能力を役立てているのが警察犬です。富山県警察では、民間飼育の犬を嘱託警察犬としており、臭いを嗅ぎ分ける力や臭いを追い続ける力等の能力向上が課題の一つになっています。

平成24年1月、高齢者が行方不明との一報を受けた私は、1メートルを超える積雪の中、2頭の警察犬と数時間にわたり行方不明者を捜索しました。しかし、足跡の上には雪が積もり、警察犬が臭いを嗅ぎ取ることができず、その方を発見することはできませんでした。後日、その方の御遺体が発見されたと聞き、「もし私が発見できていたら…」と、救えなかった悲しみとともに、悔しさが心の底からこみ上げてきました。

その苦い経験から、警察犬の能力向上のための定期訓練会を計画し、山林や雪上、公園等、様々な捜索現場の想定の下で訓練を重ねています。その結果、25年は、窃盗事件現場に残された遺留物の臭いから犯人発見の手掛かりになる証拠を発見し、犯人検挙に貢献したほか、山間部で遭難し、低体温症となっていた行方不明者を無事発見、保護することができました。

今後も、現場で汗を流しながら警察犬の能力を高める訓練を実施し、事件や事故の解決に役立てるよう努力して、県民の期待と信頼に応えていきたいと思っています。

 
(筆者は右)

(筆者は右)

注:掲載されているキャラクターは、都道府県警察のマスコットキャラクターです。


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