第7章 警察活動の支え 

警察活動の最前線

被災地に笑顔を

前 岩手県大船渡警察署被災地対策隊地域安全班(現 宮崎県宮崎南警察署刑事第二課)

米澤 秀紀(よねざわ ひでき) 警部補

 
風ぴかぽ 雨ぴかぽ

風ぴかぽ・雨ぴかぽ

 
顔写真

東日本大震災の被災地の各県警察には、今も、全国から多くの警察官が出向しています。

私も、平成25年4月から1年間、岩手県警察に出向し、岩手県大船渡警察署の一員として、被災地の安全・安心のため、様々な活動に携わりました。その一つが、高齢者や子供を対象とした防犯教室です。

被災地では、仮設住宅に居住する被災者を対象とした仮設住宅購入名目の特殊詐欺の被害や、復興工事等で交通量が増加したことにより交通事故が、多く発生しています。

そのため、大船渡警察署の防犯教室では、振り込め詐欺等の特殊詐欺の手口を劇で紹介して、高齢者に被害防止を呼び掛けたり、ヒーローが悪者から子供を救う「防犯戦隊ケセンジャー」ショーを披露して、子供たちに交通ルールや不審者への対応策を教えています。

私は、震災で悲しい思いをした人たちが劇やショーを見て少しでも笑ってほしいという思いで防犯教室を行いましたが、劇のユニークな台詞や動きに手を叩いて笑ってくれる地域住民の笑顔や、大声でケセンジャーを応援してくれる子供たちの真剣なまなざしを見ていると、こちらの方が嬉しくなり、日頃の苦労も忘れることができました。

私は、現在は宮崎県警察に帰県しましたが、被災地の皆さんが安心して笑顔で暮らせるようになることを願い、今後も職責を果たしていきたいと思っています。

 
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被害に遭われた方々の明日のために

鹿児島県警察本部警務部相談広報課 被害者支援室

田島 かおり(たじま かおり) 警部補

 
チェストくん

チェストくん

 
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「被害者支援に答えはない」

支援活動を行う中で、私が日々実感することです。

毎日発生する事件・事故によって被害に遭われた方々は、私たちの想像以上に悲しみや苦しみを感じています。私はその現状を目の当たりにし、警察官として成し得る精一杯のことをしようと、職務に取り組んでいます。

ある事件により最愛の子供を亡くされた御夫婦は、その事実を受け止められない様子でしたが、「真実が知りたい」という一心を支えに、私たちの付添いを受けながら、裁判を傍聴されました。

判決後、交わした会話の中で忘れられない言葉があります。

「何年かかっても夫婦で子供の足取りをたどりたい。それだけが、子供が生きていた証を取り戻すために親としてできることだから」

警察による事件・事故の捜査には終わりがありますが、被害に遭われた方々にとっての事件・事故には、終わりがありません。しかし、そのような中で、被害に遭われた方々がそれでも前を向いて生きていこうとする強さに、支援に当たる私たちが励まされることも多く、それが日々の職務の原動力となっています。

これからも被害に遭われた方々に寄り添い、その気持ちを受け止め、明日につながるよう力を尽くしたいと思っています。

 
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注:掲載されているキャラクターは、都道府県警察のマスコットキャラクターです。


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