第7章 警察活動の支え 

第3節 犯罪被害者支援

1 犯罪被害者支援

(1)基本施策

犯罪被害者及びその遺族又は家族(以下「犯罪被害者等」という。)は、犯罪によって直接、身体的、精神的又は経済的な被害を受けるだけでなく、様々な二次的被害を受ける場合がある。そこで、警察では次のとおり、様々な側面から犯罪被害者支援の充実を図っている。また、各都道府県警察において、捜査員以外の職員が事件発生直後に犯罪被害者支援を行う指定被害者支援要員制度(注)が導入されている。

注:平成25年末現在の要員総数 33,687人

 
図表7-28 犯罪被害者支援に係る基本施策
図表7-28 犯罪被害者支援に係る基本施策

(2)被害者支援連絡協議会の活動

犯罪被害者等が支援を必要とする事柄は、生活、医療、公判等多岐にわたるため、警察のほか、検察庁、弁護士会、医師会、臨床心理士会、地方公共団体の担当部局や相談機関等から成る「被害者支援連絡協議会」が全ての都道府県で設立されている。このほか、警察署の管轄区域等を単位とした犯罪被害者支援のための連携の枠組みが各地に構築され、よりきめ細かな犯罪被害者支援が行われている。

(3)民間の被害者支援団体との連携

全国被害者支援ネットワークに加盟する民間の被害者支援団体は、全ての都道府県で設立されている。これらの団体は、電話又は面接による相談、裁判所へ赴く際の付添い等の直接支援、相談員の養成及び研修、自助グループ(遺族の会等)への支援、広報啓発等を行っており、警察では、こうした団体の設立・運営を支援している。また、都道府県公安委員会は、犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律に基づき、犯罪被害等の早期の軽減に資する事業を適正かつ確実に実施できる団体を犯罪被害者等早期援助団体として指定しており、平成26年4月1日現在、全国で45団体が指定されている。

(4)被害者の特性に応じた施策

犯罪類型等によって犯罪被害者等には異なった特性があることから、警察では、性犯罪被害者、交通事故事件の被害者(注1)、配偶者からの暴力事案の被害者(注2)、ストーカー事案の被害者(注3)、被害少年(注4)、暴力団犯罪被害者等について、その特性に応じた施策を推進している。

注1:165頁参照

注2、3:68頁参照

注4:77頁参照

 
警察職員による病院への付添い(被害者は模擬)

警察職員による病院への付添い(被害者は模擬)

 
警察職員による相談(被害者は模擬)

警察職員による相談(被害者は模擬)

 
図表7-29 被害者の特性に応じた施策の例
図表7-29 被害者の特性に応じた施策の例

(5)犯罪被害給付制度

犯罪被害給付制度は、通り魔殺人等の故意の犯罪行為により不慮の死亡、重傷病又は障害という重大な被害を受けたにもかかわらず、公的救済や損害賠償を得られない犯罪被害者等に対し、犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律に基づき、国が一定の給付金を支給するものである。この制度は、昭和56年1月に開始して以来、犯罪被害等の早期の軽減に重要な役割を果たしている。

 
図表7-30 犯罪被害者等給付金
図表7-30 犯罪被害者等給付金
 
図表7-31 犯罪被害給付制度の運用状況
図表7-31 犯罪被害給付制度の運用状況
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 第3節 犯罪被害者支援

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