第7章 警察活動の支え 

第2節 国民の期待と信頼に応える強い警察

1 国民の期待と信頼に応える強い警察の確立に向けた取組

(1)国民の期待と信頼に応えるために

① 積極的かつ合理的な組織運営

警察では、平成25年9月に「国民の期待と信頼に応える強い警察」の確立に向けた取組を強化するとの方針を示し、積極的かつ合理的な組織運営を推進している。

具体的には、警察の業務が多様かつ広範なものとなっている中で、警察が国民から負託された責務を全うするため、警察署の業務を中心に大胆な合理化・効率化を進めるとともに、大量採用・大量退職期が到来していることを踏まえた若手警察職員の早期戦力化等に取り組んでいる。

また、非違事案に対して厳正に対処するとともに、原因・背景の分析に基づき、非違事案につながりにくい業務の仕組みの構築を図るなど、非違事案対策の高度化に取り組んでいる。

 
若手職員の早期戦力化のための研修

若手職員の早期戦力化のための研修


事例

大阪府警察では、若手警察官の職務質問技能の向上及び現場執行力の強化を目指す取組として「職質相談「ステップ・アップ・センター」」を開設している。

この取組では、「地域警察職務質問指導マイスター」に任命された優れた技能を有する地域警察官等が、若手警察官の職務質問に関する疑問や相談に個別に対応するほか、様々な職務質問の場面を想定したロールプレイング方式での指導を行っている。平成25年中は、延べ3,223人が、非番日や休日を利用して、同センターでの相談等や指導を受けた。

 
職務質問ステップ・アップ・センター

職務質問ステップ・アップ・センター

② 監察の実施と苦情をいかした業務改革の推進
ア 監察

警察では、その能率的な運営及び規律の保持に資するために、警察庁、管区警察局及び都道府県警察において、国家公安委員会が定める監察に関する規則に基づき、厳正な監察を実施している。

平成25年度中、警察庁及び管区警察局においては、都道府県警察等に対し、2,235回の監察を実施し、捜査状況を管理するための書類の記載が不十分であるなど不備のある点について業務改善を図った。

 
図表7-19 監察に関する規則(平成12年国家公安委員会規則第2号)
図表7-19 監察に関する規則(平成12年国家公安委員会規則第2号)
イ 苦情をいかした業務改革の推進

都道府県警察では、職員の職務執行に対する苦情の傾向を分析し、その結果を踏まえた業務改善策の策定、苦情の内容に応じて講じた措置の点検・検証を行うなど、苦情を活用した組織的な業務改革を推進している。

事例

埼玉県警察では、同県警察ウェブサイトを閲覧して運転免許証の記載事項変更手続に訪れた外国人から「手続に必要な書類が掲載されていない。」との苦情の申出があったことから、外国人の手続に必要な書類もウェブサイトで確認できるように業務改善を行った。

(2)適正な予算執行の確保

警察では、適正な予算執行を確保するため、次のような取組を行っている。

① 警察が行う会計監査

国家公安委員会が定める会計の監査に関する規則に基づき、警察庁長官、警視総監、道府県警察本部長及び方面本部長は、監査手法に改善・工夫を加えながら、一層適正な会計経理を推進するため、会計監査を実施している。

平成25年度は、図表7-20のとおり、警察庁の会計監査実施計画を作成し、全120部署を対象に会計書類の点検を行うとともに、捜査費の執行に直接携わった捜査員2,504人を含む6,084人に対して聞き取りを実施するなどした。

26年度については、25年度の会計監査実施結果を踏まえつつ、引き続き厳正な監査を行うこととしている。

 
図表7-20 会計の監査に関する規則(平成16年国家公安委員会規則第9号)と平成25年度会計監査実施計画
図表7-20 会計の監査に関する規則(平成16年国家公安委員会規則第9号)と平成25年度会計監査実施計画
 
監査における職員からの聞き取り

監査における職員からの聞き取り


② 会計に関する職員教育

職員に予算執行の手続に関する正確な知識を修得させるとともに、適正経理の重要性を再認識させるため、会計に関する職員教育を徹底している。また、それに必要な捜査費等の経理に関する各種の解説資料を作成し、配布している。

③ 会計業務の改善に係る取組

警察庁では、会計業務の改善に係る各種取組を全庁を挙げて推進するため、関係職員から成る「警察庁会計業務改善委員会」及び外部有識者から成る「警察庁会計業務検討会議」を開催して、行政事業レビュー、調達改善及び随意契約の適正化に係る取組等を通じ、会計業務の改善に努めている。


 第2節 国民の期待と信頼に応える強い警察

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