第7章 警察活動の支え 

6 研究機関の活動

(1)警察政策研究センター

警察大学校に置かれている警察政策研究センターは、様々な治安上の課題に関する調査研究を進め、政策提言を行うとともに、警察と国内外の研究者等との交流の拠点として活動している。

① フォーラムの開催

関係機関・団体等と連携し、国内外の研究者・実務家を交えて社会安全等に関するフォーラム等を開催している。

 
フォーラムの開催

フォーラムの開催

 
図表7-17 フォーラムの開催状況(平成25年度)
図表7-17 フォーラムの開催状況(平成25年度)

注:118頁参照

② 大学関係者との共同研究活動の推進

大学関係者と共同して研究活動を行っている。最近の研究活動として、慶應義塾大学大学院法学研究科との間で、近年の情報通信技術の発達に伴い国民の自由と安全をいかにバランスよく保障していくかについて共同研究を行っているほか、警察政策学会における共同研究活動に参画した。

事例①

今後の我が国における犯罪対策の在り方について議論するために設置された、警察政策学会犯罪予防法制部会「これからの安全・安心研究会」での多様な専門分野の有識者による議論に参加・協力し、その成果が「「これからの安全・安心」のための犯罪対策に関する提言」として取りまとめられた。

③ 大学・大学院における講義の実施

警察政策に関する研究の発展及び普及のため、東京大学公共政策大学院、一橋大学国際・公共政策大学院、早稲田大学法科大学院、中央大学法科大学院、首都大学東京都市教養学部、法政大学法学部等に職員を講師として派遣している。

 
大学・大学院講義(中央大)

大学・大学院講義(中央大)


④ 警察に関する国際的な学術交流

海外で開催される国際的な学術会議に参加し、日本警察に関する情報発信を行っている。また、韓国警察大学治安政策研究所、フランス高等治安・司法研究所、フランス・トゥールーズ第一社会科学大学警察学研究センター及びドイツ・フライブルク大学安全・社会センターとの間で協定を締結し、警察に関する国際的な学術交流を実施している。

 
警察に関する国際的な学術交流

警察に関する国際的な学術交流


事例②

25年6月、台湾・新北で開催された第14回アジア警察学会年次総会に参加して、我が国における総合的な犯罪対策と新たなアプローチについて発表を行った。

(2)警察情報通信研究センター

警察大学校に置かれている警察情報通信研究センターでは、警察活動に関わる情報通信技術について研究しており、その成果は犯罪捜査等の効率化や警察における情報通信システムの整備を始めとする様々な警察活動に活用されている。

研究例① 画像処理技術に関する研究

犯罪捜査等の効率化のため、低画質な画像の鮮明化技術、多数の画像から情報を効率的に選別する解析技術、画像から人物等を特定する識別技術等の研究を行っている。

 
画像鮮明化に関する研究

画像鮮明化に関する研究

研究例② 映像伝送用の無線通信システムに関する共同研究

災害や事件事故等の発生時には、現場の映像等を警察本部へ迅速に伝送する必要がある。そこで、これに用いる無線通信システムについて装置の小型化や効果的な活用方策について、その通信方式の標準化に携わった独立行政法人情報通信研究機構と共同して研究を行っている。

 
外部研究機関との共同研究

外部研究機関との共同研究

(3)科学警察研究所

警察庁に附置されている科学警察研究所は、犯罪科学に関する総合的な研究機関である。生物学、医学、化学、薬学、物理学、工学、社会学、心理学等の広範囲にわたる科学の最新の成果を犯罪捜査、犯罪予防、交通事故防止等に役立てており、その機能は、鑑定、研究、研修の3つに分けられる。

 
図表7-18 科学警察研究所の役割
図表7-18 科学警察研究所の役割

研究例 凶悪事件の犯罪者プロファイリング

犯罪者プロファイリングとは、統計データや心理学等に基づいて犯罪現場や被害者から得られた情報等を分析し、犯人像等犯罪捜査に役立つ情報を導き出すものである。科学警察研究所では、殺人、強制わいせつ等の凶悪事件に関する犯罪者プロファイリングの研究に取り組み、統計的手法を基盤においた信頼性の高い分析方法の体系化を進めている。例えば、連続強姦事件の場合、類似事件の情報等を分析し、同一犯による犯行か否かを判断したり、犯人像や犯人の活動領域を推定することによって捜査活動を支援している。


 第1節 警察の基盤

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