第7章 警察活動の支え 

5 管区警察局・皇宮警察本部の活動

(1)管区警察局の活動

① 管区警察局の役割

警察庁には、その地方機関として7つの管区警察局、東京都警察情報通信部及び北海道警察情報通信部が設置されている。事務を能率的に処理するため、管区警察局は、警察庁の事務の一部を分担して所掌している。東京都と北海道の区域は、管区警察局の管轄外とされ、必要に応じ、警察庁が直接に指揮監督等を行う。

 
図表7-13 管区警察局の管轄区域
図表7-13 管区警察局の管轄区域
② 管区警察局の主な業務

管区警察局では、主として次のような業務を行っている。

ア 府県警察に対する監察

管区警察局の監察機能は、平成12年以降の警察改革の一環として強化され、各管区警察局に総務監察部(注)を設置し、管区内の府県警察に対する監察を実施している。

注1:東北管区警察局、中国管区警察局及び四国管区警察局は総務監察・広域調整部を設置している。

イ 広域調整

広域的な対処を必要とする重要事件の合同捜査・共同捜査、高速道路における広域的な交通規制、交通取締り等の実施等に関し、府県警察に対する指導・調整を行っている。

ウ 大規模災害への対応

大規模災害の発生時には、被災状況等に関する情報の収集・分析に当たるとともに、警察災害派遣隊の派遣等に関する調整を行っている。

 
図表7-14 管区警察局の主な業務と果たしている役割
図表7-14 管区警察局の主な業務と果たしている役割

事例

東北管区警察局は、東北6県警察の広域緊急援助隊のほか、自衛隊、自治体、消防、秋田県医師会・歯科医師会等延べ590人の参加を得て、検視・身元確認訓練、原子力関連施設周辺における救出救助訓練等を行い、大規模災害警備活動における救出救助能力の向上、関係機関との連携強化を図った。

 
救出救助訓練

救出救助訓練

エ 警察の情報通信

警察庁や都道府県警察を結ぶ情報通信網の整備、管理等を行っている。また、サイバーフォース(注)と呼ばれる技術部隊を設け、サイバーテロの未然防止や被害拡大防止に係る活動を行っている。

注:115頁参照

オ 犯罪の取締りのための技術支援

府県警察の行う捜索差押え、検証等の現場に臨場するなどして、記録媒体内部の電磁的記録の損壊防止、コンピュータの設定状況等の確認、証拠となる電磁的記録の抽出等の技術支援を行っている。

カ 教育訓練

管区警察局に附置された管区警察学校では、主として警部補及び巡査部長の階級にある府県警察の職員を対象とした昇任時教育、専門的教育等を実施している。

(2)皇宮警察本部の活動

警察庁に附置されている皇宮警察本部は、天皇陛下及び皇族方の護衛、皇居、御所等の警備等を行っている。

① 天皇及び皇族の護衛

天皇陛下及び皇族方の御身辺の安全を確保するため、護衛を担当する側衛官(注)が、皇居、御所等はもとより、国内外において常に直近で護衛に当たっている。

平成25年中は、天皇皇后両陛下がインドを御訪問になった際などに、海外に側衛官を派遣し、御身辺の安全を確保した。

注:皇宮護衛官のうち護衛を担当する者

 
天皇誕生日一般参賀に伴う護衛警備実施

天皇誕生日一般参賀に伴う護衛警備実施


② 皇居、御所等の警備

皇居、赤坂御用地、各御用邸、京都御所、正倉院等における安全を確保するため、1都1府4県(注)において警戒警備活動を行っている。

注:栃木県、東京都、神奈川県、静岡県、京都府及び奈良県

 
図表7-15 皇宮警察本部の勤務地
図表7-15 皇宮警察本部の勤務地
③ 国賓等の護衛

国賓として来日した外国要人の皇居参内や、信任状等の捧呈に伴う特命全権大使・公使の皇居参内に際して、騎馬、サイドカー等で護衛に当たっている。

 
図表7-16 平成25年に護衛警備を実施した主な行事
図表7-16 平成25年に護衛警備を実施した主な行事
 
国賓歓迎行事に伴う護衛警備実施

国賓歓迎行事に伴う護衛警備実施


コラム③ 旧枢密院庁舎の皇宮警察本部庁舎としての再使用

皇居内にある旧枢密院庁舎は、大正10年に完成し、昭和22年に枢密院が廃止された後は内閣官房、法務省等の庁舎として使用された。その後、昭和37年から59年までの間は皇宮警察本部庁舎として使用されていたが、同年に皇宮警察本部の新庁舎が完成した後は使用されていなかった。

歴史的建造物であることから、平成17年度に再使用が検討され、改修の上、25年7月から、皇宮警察本部庁舎の本館として使用が再開された。

 
皇宮警察本部本館(旧枢密院庁舎)

皇宮警察本部本館(旧枢密院庁舎)


 第1節 警察の基盤

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