第6章 公安の維持と災害対策 

2 極左暴力集団の動向と対策

(1)極左暴力集団の動向

暴力革命による共産主義社会の実現を目指している極左暴力集団は、平成25年中も、組織の維持・拡大をもくろみ、暴力性・党派性を隠して大衆運動や労働運動に取り組んだ。

革マル派(注1)は、同年2月、結成 50周年を迎え、都内で記念集会を開催した。また、安倍政権が進める諸施策に反対し「政権打倒」等と主張した独自の取組を行うとともに、反戦・反基地、反原発等を訴える集会やデモ等に参加し、同調者の獲得を図った。一方、革マル派が相当浸透しているとみられる全日本鉄道労働組合総連合会(JR総連)及び東日本旅客鉄道労働組合(JR東労組)は、JR東労組の組合員らによる組合脱退及び退職強要事件(注2)について、刑事裁判の終結後も、同事件を「国策弾圧」、「えん罪」と主張し続けた。

中核派(党中央)(注3)は、結成50周年を記念し、同年12月、革共同50年史として、これまでの活動を取りまとめた書籍を刊行した。また、労働運動を通じて組織拡大を図る「階級的労働運動路線」を堅持した。このほか、「すべての原発いますぐなくそう!全国会議」(な全)は、全国組織化に向け、首都圏を中心に各地で「な全」の結成を進めた。一方、19年11月に党中央と分裂した関西地方委員会(関西反中央派)は、反戦・反基地、反原発を訴える集会やデモ等に積極的に参加した。

 
反原発運動に取り組む極左暴力集団

反原発運動に取り組む極左暴力集団


革労協主流派(注4)は、成田闘争を重点に取り組んだ。一方、革労協反主流派(注5)は、自衛隊の海外派遣やオスプレイ追加配備等を捉えて反戦闘争に取り組み、25年11月には、在日米軍横田飛行場に向けた飛翔弾発射事件を引き起こした。また、電源開発大間原子力発電所の建設や四国電力伊方発電所の再稼動に反対して現地でデモに取り組んだ。

 
成田闘争に取り組む極左暴力集団(10月、千葉)

成田闘争に取り組む極左暴力集団(10月、千葉)


注1:正式名称を日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派という。

注2:平成13年1月21日から同年6月30日頃にかけて、JR東労組の組合員である被疑者7人が、東日本旅客鉄道株式会社(以下「JR東日本」という。)大宮支社浦和電車区事務所等において、他の労働組合の組合員と行動を共にするなどしたJR東労組の組合員を集団で脅迫し、同組合から脱退させ、さらに、JR東日本から退職させた強要事件。なお、本件については、24年2月6日、最高裁が上告棄却を決定し、被告人7人の有罪が確定

注3:正式名称を革命的共産主義者同盟全国委員会という。

注4:正式名称を革命的労働者協会(社会党社青同解放派)という。

注5:正式名称を革命的労働者協会(解放派)という。

(2)極左暴力集団対策の推進

警察では、極左暴力集団に対する事件捜査及び非公然アジト発見に向けたマンション、アパート等に対するローラーを推進するとともに、これらの活動に対する理解と協力を得るため、ポスター等の各種広報媒体を活用した広報活動を推進している。

平成 25年中には、革マル派の非公然アジト2か所を摘発するとともに、革労協反主流派最高幹部を含む極左暴力集団の活動家ら合計36人を検挙した。


 第3節 公安情勢と対策

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